何とも高級そうなこのウイスキーは75年ごろに売り出されたロイヤルヴェルヴェットという本格的なカナディアンブレンデッドウイスキーです、姉妹品にブラックヴェルヴェットやレッドヴェルヴェットがあり本品はシリーズ最高級品となります。
70年代には熟成年数が表示されておらず12年以上が「ウイスキー特級」と表示されていました、その意味では当時では高級カナディアンウイスキーの一つでした、しかも立派な木箱に納められており状態も当時のままに保管されています。
メーカーはブラックヴェルヴェット・カナディアンウイスキー社(ギルビー社の100%子会社)で1939年に蒸留を開始しています、その後蒸留所は1999年に売却され現在は閉鎖されています、その意味では貴重なカナディアン・アンティークウイスキーだと思います。
プレミアムリカーショップで木箱入りでも2万円弱で販売されていますので、オールドカナディアンウイスキーを味わいたい人にはお勧めの逸品です、日本では70年代からロイヤルクラウンやカナディアンクラブなどのカナディアンウイスキーファンが多いのでカナディアンウイスキーのアンティークものも残存数が多いと思います。
飲みやすくコストパフォーマンス最高のカナディアンウイスキー、ブランディのような甘い香りが好きな人にはお勧めのカナディアンです、是非ともストレートで飲んでほしいウイスキーです。
高級感溢れる木箱入り
食事の際にはウイスキーを飲みながら何を食べても構わないと思うのですが、ウイスキーの味と香りを壊さず更に美味しく飲めるおつまみはそう多くはないと思います。
私がショットバーで必ず頼むのが無塩のクラッカーです、ウイスキーの癖がより解り易くなる気がします、更にはクラッカーを食べてから飲むと味がリセットして別の銘柄に変えるときにはベストなおつまみだと思います。
癖が強いウイスキーにはチーズやドライフルーツが合います、また塩味を付けずにベーキングしたナッツ類も合います、癖を壊さず美味しく感じるのでこれらもときどき無塩クラッカーと合わせて頼んだりしています。
逆に熟成もののトロンと甘口のブレンデッドやグレーンウイスキーには若干スパイシーなビーフジャーキーや酸味と甘みのバランスがとれたピクルスも大変美味しく感じます。
またちょっと小腹が空いたときに食べても嫌味がないのは卵料理です、オムレツでもスクランブルエッグでもOKです、薄味のハムや干し魚の焼き物も最高に合います、同様に薄味であれば食べやすくステーキをスライスしたタリアータなどもよく合います。
逆にウイスキーの味や香りを壊してしまう食材ナンバーワンは生野菜です、小松菜やホウレンソウなどの葉野菜は特にエグ味が増してせっかくの高級ウイスキーが台無しになってしまいます、推測ですが鉄やマグネシウムなどのミネラル成分が関係しているのでしょうか野菜もウイスキーも双方の味が悪くなります。
またエグ味とは異なりシソやラッキョウなどの香草類や強い味と香りのスパイス類は言わずもがでウイスキーの味と香りそのものが変化してしまいます、同じスピリッツでもブランデーではこういった現象は少ないので不思議です、特にモルトウイスキーと生野菜との相性は悪いように感じます、個人的にウイスキーと相性がよいと思う生野菜はトマト(プチトマト)とキュウリです。
またフルーツは生野菜ほど味や香りを壊さないのですが柑橘類は先の生野菜のようにエグ味に変わってしまいアウトです、リンゴ・梨・桃・柿・ブドウなどは逆に美味しく感じるようになります。
ただしブレンデッドやアメリカンウイスキーで作るウイスキーカクテルはジンジャーエールやリキュールなどの甘み成分が入るのでどんな柑橘系でも合います、まあウイスキーカクテルはシングルモルトウイスキーとは別次元に存在するアルコール飲料だと思ったほうがよいでしょう。
とはいえ味や香りの感性は人によっても異なりますので自分なりにいろいろ試してみるのがよろしいかと思います、あくまでもシングルモルトウイスキーをストレートで飲む際の相性の話であり他のスピリッツ系アルコールやカクテルには適用されません。
数年間をかけてウイスキーに合うおつまみを各種研究しましたので、これに関しては別のカテゴリで徐々に記事にしていきましょう。
下戸とはアルコールが飲めない人や飲んでもすぐに酔ってしまう人を指して言いますが、アルコールに強い人でも飲み過ぎると起こる二日酔いも実は同じアルコールの科学で証明できるのです。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解され、更にアセトアルデヒドは同じく肝臓で酢酸に分解されます、そして酢酸も最終形の水分と二酸化炭素に分解され体外に排出されます。
ここで重要になるのが、アルコール分解酵素(アルコール脱水素酵素)とアセトアルデヒド分解酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素)です、この2つの分解酵素は生まれ持っての遺伝や経験による獲得により総量が決まってしまい人によって正常値を100とした欠損率が異なるのです。
世界的にみてアジア系人種はどちらの酵素も欠損率が高いという研究結果が出ていますが、タイ人やカンボジア人は欠損率0というドイツ人やロシア人並みの酵素保有率を持っています。
さて、この2つの分解酵素ですが人によって保有率が異なるということが下戸や二日酔いになりやすい人を生んでいます。
アルコール分解酵素がゼロもしくは少ない人は下戸となってしまい身体がアルコールを受け付けません、またアルコール分解酵素は正常でもアセトアルデヒド分解酵素が少ない人は酔いやすく二日酔いにもなりやすい人となります。
実は二日酔いの原因はアルコール自体ではなく分解後に生じるアセトアルデヒドにあるのです、このアセトアルデヒドは人によっては有害な猛毒でもあり頭痛や吐き気を引き起こします、またタンパク質と結び付きやすいので癌の発祥原因とも言われる有害物質です。
横道にそれますが北欧系産のヨーグルトにはフルーティな味付けとしてアセトアルデヒドが添加物として含まれる場合があります、北欧系の人にとってはアセトアルデヒドはすぐに分解され身体にはほぼ無害なのですがアジア系の人にとっては有害になる人もいるので注意が必要です。
さて、ではかなり飲んでもケロっとしている人はどんな身体構造をしているのでしょうか、それはアルコール分解酵素が弱いか正常でアセトアルデヒド分解酵素が正常か強力な人です。
つまりゆっくりとアルコールが分解され、分解された瞬間にトコロテン式にアセトアルデヒトが分解されるので身体の血中にはアルコールと酢酸が増えるだけでアセトアルデヒドが少量しか存在しません、だから幾ら飲んでも楽しくなるばかりで頭痛や吐き気もないのです。
ただしアルコールに強い人も飲み過ぎには要注意です、どんなに強い人でも肝機能には限界というものがあるのですから。
最後に横道ですが、最新のゲノム分析で日本人のアルコール分解酵素の遺伝子であるADH1Bは約2万年前に変異し、アセトアルデヒト分解酵素であるALDH2は7500万年前に変異し変異遺伝子が増えてきたことが解りました、これらから下戸は確実に遺伝によるものだということが結論付けられたのです。
私の個人的な嗜好ですがウイスキーを楽しむときに無くてはならないおつまみがブルーチーズとクラッカーです、最近はチーズもクラッカーも価格が一気に倍ほどになり非常に高くつくおつまみになりましたががショットバーでの定番おつまみとしています。
ブルーチーズにも拘りがあって一番好きなのが癖が強烈な羊の乳を使ったフランス産のロックフォールです、二番手はイタリア産のゴルゴンゾーラですがセミハードタイプのアオカビが多く癖の強いピカンテを必ず選びます。
自分の目で見てできるだけアオカビが多く入ったものを選びます、またブルーチーズ意外ではハードタイプのパルメジャーノ・レッジャーノやコクのあるミモレットがウイスキーには最高に合うチーズだと思います。
チーズと合わせるクラッカーは減塩タイプか無塩タイプにします、チーズの旨さを倍増させてくれます、ウイスキーもクラッカーも麦が原料ですから基本的に合わないわけがありません、癖の強いウイスキーもクラッカーでリセットできるので数種類を飲み比べるように楽しむ人には必須おつまみです。
奥・手前左:ロックフォール 手前右:ゴルゴンゾーラ・ピカンテ
一緒にドライチーズやサラミチーズもよく買います
大学時代に先輩に飲ませてもらったジョニーウォーカー・ブラックラベル(通称ジョニ黒)があまりにも美味すぎて一発で虜になってしまった記憶があります、その当時は同じランクの国産ブレンデッドウイスキーの5倍もする1万円ほどの価格で大卒初任給が5万円の時代には手軽に買えるウイスキーではありませんでした。
その後日本は高度成長を成し遂げ円がどんどん強くなり、また輸入税もかからなくなり国産ウイスキー並みの価格に下がり、今ではポケットマネーで買えるウイスキーになりました。
ところでジョニーウォーカーは1909年から100年以上続くスコッチウイスキーの老舗ブランドであり、日本では60年代頃からレッドラベルと共に高級ウイスキーブランドとして親しまれてきたスコッチを代表するブレンデッドウイスキーです。
1990年以降はゴールド・ダブルブラック・グリーン・ブルーと上級だったブラックラベルの更に高級版が次々に誕生しましたが、私を含めて同年代のスコッチウイスキーファンはいまだにジョニーウォーカーと言えばこのブラックラベルであり常飲ボトルとしているファンも多いです。
ちなみにジョニーウォーカー・ブラックラベルのキーモルトはアイラ島のラガヴーリン、スカイ島のタリスカー、スペイサイドのカーデュやダルユーインをメインに40種ほどのモルトを贅沢にも使っています、ラガヴーリンとタリスカーの名前だけでもありがたみを感じるのは私だけでしょうか。
それぞれのキーモルトとジョニーウォーカー・ブラックラベルを飲み比べてみたら非常に興味深い結果になりました、以前はカーデュが強く感じたのですが現在流通しているジョニーウォーカー・ブラックラベルはタリスカーのエッセンスがかなり高いことが解りました。
しかもブラックラベルは12年ですからタリスカーの12年以上が使われているということです、この経験を通して更に大好きなウイスキーになってしまいました、私の家飲み常飲ウイスキーとしては筆頭格です。
今も昔も私の中でのスコッチウイスキーのナンバーワンはジョニーウォーカー・ブラックラベルです、スコッチウイスキーを飲みなれているファンと同様にグリーンやブルーラベルには目もくれずにきっとこれからも常飲し続けることでしょう。
年代ごとにしっかり保存しています、いつの時代も変わらぬ美味さ