大学時代に先輩に飲ませてもらったジョニーウォーカー・ブラックラベル(通称ジョニ黒)があまりにも美味すぎて一発で虜になってしまった記憶があります、その当時は同じランクの国産ブレンデッドウイスキーの5倍もする1万円ほどの価格で大卒初任給が5万円の時代には手軽に買えるウイスキーではありませんでした。
その後日本は高度成長を成し遂げ円がどんどん強くなり、また輸入税もかからなくなり国産ウイスキー並みの価格に下がり、今ではポケットマネーで買えるウイスキーになりました。
ところでジョニーウォーカーは1909年から100年以上続くスコッチウイスキーの老舗ブランドであり、日本では60年代頃からレッドラベルと共に高級ウイスキーブランドとして親しまれてきたスコッチを代表するブレンデッドウイスキーです。
1990年以降はゴールド・ダブルブラック・グリーン・ブルーと上級だったブラックラベルの更に高級版が次々に誕生しましたが、私を含めて同年代のスコッチウイスキーファンはいまだにジョニーウォーカーと言えばこのブラックラベルであり常飲ボトルとしているファンも多いです。
ちなみにジョニーウォーカー・ブラックラベルのキーモルトはアイラ島のラガヴーリン、スカイ島のタリスカー、スペイサイドのカーデュやダルユーインをメインに40種ほどのモルトを贅沢にも使っています、ラガヴーリンとタリスカーの名前だけでもありがたみを感じるのは私だけでしょうか。
それぞれのキーモルトとジョニーウォーカー・ブラックラベルを飲み比べてみたら非常に興味深い結果になりました、以前はカーデュが強く感じたのですが現在流通しているジョニーウォーカー・ブラックラベルはタリスカーのエッセンスがかなり高いことが解りました。
しかもブラックラベルは12年ですからタリスカーの12年以上が使われているということです、この経験を通して更に大好きなウイスキーになってしまいました、私の家飲み常飲ウイスキーとしては筆頭格です。
今も昔も私の中でのスコッチウイスキーのナンバーワンはジョニーウォーカー・ブラックラベルです、スコッチウイスキーを飲みなれているファンと同様にグリーンやブルーラベルには目もくれずにきっとこれからも常飲し続けることでしょう。
年代ごとにしっかり保存しています、いつの時代も変わらぬ美味さ
ハイランドに存在する14の蒸留所で造られたシングルモルトだけをブレンドしたウイスキーがあります、それがザ・グラッドストンアクスのアメリカンオークです、ヴァッティング後にバーボンカスクで再熟成しています。
モルトブレンデッドウイスキー自体が数少なくアイラモルトだけというのは割と人気があるのですが、あえてハイランドモルトだけというのが非常に興味深いです。
私はショットバーで一度飲んですっかり虜になってしまいました、なんといってもエッセンスが多いのです、スモーキー以外と限定するとウイスキーの持つ全てのエッセンスが詰まっているのではないでしょうか。
香りはモルティでバニラのような甘い香りがします、飲み始めは甘みの中にスパイシーさも加わりフィニッシュにほのかにビターを感じます、またグラスに注いで時間が経つとフルーティな香りに変化します、さらにちょっと水を足してトゥアイスアップにするといきなりマイルドでスムースな味に変化します。
よくできたウイスキーなのですが価格が4,000ほどで買えるというリーズナブルな価格も嬉しいです、姉妹品にブラックアクスがありこちらはアイラモルトとハイランドモルトのモルトブレンデッドになりスモーキーでスパイシーな風味に仕上がっています、アイラモルトが好きな人にはブラックアクスがお薦めです。
横道ですが、ボトルの向かって左側だけにえくぼのような凹みがあります、注ぐ時にちょうど親指がすっぽり入ってしっくりします、飲み手の配慮が嬉しいボトルでもあります。
帰宅前に〆の一杯を飲むために寄る行きつけのショットバーに置いてあるスコッチとアイリッシュは早々に全制覇して、たまにはジャパニーズでも飲んでみるかと棚に目をやると飲んでみたかったシーバスリーガル・ミズナラ18年を見つけました。
ミズナラ(水楢)とは日本産の楢種の一つで、ウイスキー品評会で最優秀賞や金賞を連続で取りまくっているジャパニーズウイスキーの熟成カスクに使われていることから世界中でブームが起きているカスク木種です。
ちなみに水楢は「ジャパニーズオーク」と表記されるのかと思いきや、なんと世界中で日本語そのままの「ミズナラ」と表記されるのは特別感があって日本人としては気持ちが良いです。
その流れに素直に乗りスコッチ・ブレンデッドウイスキー・キングであるシーバス・ブラザーズ(ブランドはシーバスリーガル)も日本市場限定で製品化しています、現行流通ボトルは赤ラベルがスタンダードのシーバスリーガルで「水楢」は青ラベルと色で見分けがつくようにしています。
外食でボトルキープはしても家飲み用にはほぼ買うことはないシーバスリーガルですが、こうしてショットバーに来ればいつでも飲めるというのが私の人生観とも一致して実にショットバーという存在感が私の人生において重要な存在なのかが解ります。
世の流れはバブル時代に謳歌したカクテルブームが終焉しつつあり、どのショットバーでもウイスキーの銘柄数が増えてきているのはウイスキーファンとしては大歓迎と言うべき状況です。
ちなみにシーバスリーガルのキーモルトはストラスアイラ・グレンリベット・ロングモーン・ベンリアックという4つのスペイサイドの超有名蒸留所のシングルモルトです。
特にロングモーンは現在では高級シングルモルトになってしまっています、この事実は見逃せません、ブレンデッドウイスキーはシングルモルトに比べて決して格下なのではありません、シングルモルト独特のそれぞれの癖を打ち消しバランスの取れた味と香りに仕上げているのがブレンデッドウイスキーという存在なのです。
ブレンデッドもストレートでいただきます
昔から風邪薬の民間治療法として玉子酒というものがあります、これは暖めた日本酒に卵黄を溶かし込んで飲むというものです、検証すると実に理にかなっていることが解ります。
身体を暖めると免疫力が向上しウイルスの増殖を抑え撃退します、その際に多量の糖分とビタミン類が消耗します、玉子酒はこれらを一度にしかもスムースに摂取できるのです、日本酒には意外にも糖分が多いのです。
ところで私は日本酒があまり得意ではないので、風邪を引いて熱があるときには若いときからスコッチブレンデッドウイスキーやバーボンのお湯割を飲んでいます。
アレンジレシピとして糖分を補給する目的でハチミツを入れバタード・ホットラムのレシピのようにクローブを浮かせた即効のドランブイライクなホットウイスキーが好きです、2杯ほど飲んで布団に入るとものすごい量の汗が出てきて、ほぼ1日で熱が下がります。
横道ですが、私は道楽の一つで世界中のスパイスとホールハーブを100種以上持っており、イエーガーマイスターやドランブイなどのリキュールを模倣して独自のレシピを幾つも作っては薬膳酒にして楽しんでいます、疲れたときや気分転換にこれらを飲んで元気を貰います。
このホワイトホース・ファインオールドはホワイトホースのスタンダードで1,500円ほどと非常にリーズナブルな価格ですが5年熟成のモルトとグレーンをブレンドしている本格的なウイスキーです、ストレートで飲んでもスパイシー&ドライな味で辛口好きな人には堪らないウイスキーだと思います。
特に水割りやお湯割りにすると角が取れて程よいマイルドな味になり飲み心地は最高です、熟成ブレンデッドのようにベタ甘な感じも無くすっきり飲めます、それでいて焼酎の乙類とほぼ同じ価格でアルコール度数は倍なのでコストパフォーマンスが極めて高いといえます。
私の大学時代には今の相対価格で4倍という高級ウイスキーでした、そんな憧れのスコッチウイスキーを焼酎のようにゴクゴク飲める時代の若い人が羨ましい限りです。
ちなみにホワイトホースのキーモルトはなんとアイラの上品なシングルモルトで有名なラガヴーリンです、加えてスペイサイドのオルトモア・クライゲラヒ・グレンエルギンと花と動物シリーズを熟知しているシングルモルトファンなら一発でそのスペックの凄さが理解できるでしょう。
それぞれの蒸留所の5年熟成という若熟成はシングルカスクでも飲めません、こういったブレンデッドウイスキーに混ぜ合わされたキーモルトのそれぞれのエッセンスを探りながら飲むのもシングルモルトファンの楽しみの一つです。
ブレンデッドウイスキーのキーモルトに興味を持って、そのキーモルトとなっているシングルモルト単独のエッセンスを経験により記憶し、そのうえでブレンデッドウイスキーを楽しめるようになるとシングルモルトファンとして一皮向けたといえるのかもしれません。
水割りでウイスキーを飲むなら絶対に口当たりのよいブレンデッドに限ります、ただしあくまでも自論ではありますが。
外食や家飲みでのウイスキーのスタイルはゴクゴク飲める水割りかお湯割です、それでいろいろ試したのですがアイラモルトは最大の特徴であるピーティ感やスパイシー感が軽くなってしまって価格の高さもあってか何か損した気分になってしまうのです。
その点でブレンデッドやアイリッシュはストレートやロックで飲むのとそれほど味や香りが変わることはなく美味しく楽しめるのです、そんな飲み方するときにブレンデッドで最適なのがデュワーズ12年です、どんなスタイルで飲んでも味も香りもほとんど変わらず実に腰が安定したウイスキーだと思います。
ビールと同じで手元に常に置いてないと不安になるウイスキーの一つで、切れそうになれば買いに走ります。
先日家飲みに来たスタッフにも薦めてその場にあった開けたてをプレゼント、アイラモルトの虜になっている彼は多分物足りないと思っているのだろう、でも飲み続けているうちにブレンデッドの良さも徐々に解ってくるようになると思います。
ちなみにデュワーズのキーモルトは、ハイランドのアバフェルディとロイヤルブラックラ、スペイサイドのクライゲラキ・オルトモア・デヴェロンという知る人ぞ知る超が付くほどの豪華すぎる蒸留所メンバーです。
花と動物シリーズの終売ディステラリーであることは勿論のこと、シングルモルトファンはこれらの事実をしっかり理解しているからこそありがたみを感じて大切に飲み続けるのです、おそらく彼もこういった裏情報が解ってくるとデュワーズの存在のありがたみを少しは感じるようになるでしょう。
オフィス近くのリカーショップで買ってすぐにオフィスで撮影