
私がアイラモルトウイスキーを初めて飲んだのは26歳の時で、なんとロンドンのヒースロー国際空港内にあったスコッチバーでした。
学生の頃からお酒は何でも大好きで、ほぼ毎日のようにバーボン(ジャックダニエルなど)やブレンデッドウイスキー(ジョニーウォーカーなど)を飲んで未来の自分の姿を想像しては大学に通う以外何もできない現状とのギャップに悶々としていました。
ヒースロー空港での話しに戻りますが、当時私はパリに本社がある外資系のIT企業でフリーランスのSEをしており年に数回パリに出張がありました、そしてその時はたまたま直行便が取れずにロンドン経由になったわけです。
トランジットの為空港外には出られないのですが、せっかくロンドンにいるのだからということで当時日本では1本1万円以上もした本場のシングルモルトウイスキーを飲もうと空港内をぐるぐる回ってやっと探し当てたのがカウンターだけの小さなスコッチバーというわけです。
おつまみはクラッカーとポケットサイズの袋に入ったピーナッツだけしか置いてなかったのですが、その時に飲んだウイスキーが初めて飲んだアイラモルトの「ボウモア」というウイスキーだったのです。
飲み慣れていたバーボンやブレンデッドウイスキーとはまったく似ても似つかない強烈な刺激臭とスパイシーな味で口の中がピリピリします、しかしチェイサーと交互にゆっくりと飲むと口の中にフルーツのような香りや燻製のようなスモーキーな香りが広がり何とも言えない複雑な香りとピリッとした味に包まれ一発ではまってしまったのです。
気が付いたらバーテンダーに薦められるままに、「アードベック」や「ラフロイグ」など小一時間に5~6杯飲んで至福の時を過ごしていました。
日本に帰ってから調べてみるとアイラモルトだけで日本酒まではいかないまでも物凄い種類が在ることが解りました、そして当時でも15種類くらいは輸入されていて「ボウモア」と「ラフロイグ」はすぐ手に入れナイトキャップの座をバーボンウイスキーから奪い取ってしまいました。
それ以来、毎日のように仕事帰りに地元のショットバーでビール(コロナやハイネケン)をチェイサー代わりにアイラモルトを飲むのがルーティン化してしまったのです。
私は大のブルーチーズ好きで特に癖の強いロックフォールは最も好きなブルーチーズです、デパ地下のチーズ売り場に行くとテンションがMAXに上がります。
そんなある日オレンジ色に輝く変わったブルーチーズを見つけました、それがこのシャロップシャー・ブルーです、ミモレットのような色でしっかり全体的にアオカビがびっしりと入っています。
食べてみたところ想像とは違う食感と味に驚きました、食感はチェダーのような食感で味はハードタイプのパルメジャーノ・レッジャードのような風味が入っています、塩味も薄くてかなりアンモニア臭が強いストライクのブルーチーズです。
ロックフォールよりも香りが強いチーズはウォッシュタイプのシャンベルタンくらいかと思っていましたが、ブルーチーズでこの強烈な香りは信じられません。
アイラやアイランズモルトのように個性が強いウイスキーでないとウイスキーが負けてしまいそうな骨太なブルーチーズ、これはこれで合うウイスキー探しで大いに楽しめます、ちなみにお値段ですがロックフォールとほぼ同じ程度でナチュラルチーズの中ではかなり高額の部類です。

全体的に綺麗に広がるアオカビの景色にチーズ魂が騒ぎます
ウイスキー派の私も昔からときにブランディが飲みたくなることがあります、特に〆の一杯で飲むことが多いです、そんなブランディの家飲み用として置いているのがマーテルのVSOPです。
マーテルは五大コニャックブランドの一つでVSOPはXOに次ぐ長期熟成の品質ランクとなっています、XOほどではありませんが甘くトロンとした口当たりを感じられウイスキーとは一味も二味も異なる美味さを堪能できます。
私が家飲み用にマーテルVSOPを選んでいる理由の一つにボトルデザインがあります、多くのブランディは一目でブランディと解るようなデザインですがこのマーテルはウイスキーと並べても違和感が無いデザインをしています。
五大コニャックともなればそれほどブランドによる味の違いは感じられません、それであれば違和感が無いデザインで注ぎやすいストレートなロングボトルを選ぶのが私流です。
そして封を開ければ1ヶ月も持ちませんから、紫外線防止の黒い擦りガラス製のボトルも不要で中身が見える透明なロングガラス瓶が好ましいのです。
ブランディは眠れない夜に脳を沈静化させてくれる薬代わりとして、ウイスキーと共に私の人生には必須のアイテムと言えるでしょう。

フルーツは柑橘系以外ならウイスキーのおつまみとしてよく合います、特にほんのりした甘みと酸味のブドウは最高です。
この場合、是非とも皮ごと食べられる種無しブドウをお薦めします、何故なら種がお皿に残ったビジュアルがお洒落じゃないからです、また女性の場合は種をとる仕草を嫌がる人も多いでしょう。
品種は手に入るものでいいのですがチリ産のワイン用に栽培されている種無しブドウが赤も白も甘みがあって美味しいです、シーズンにはデパ地下やフルーツパーラーで買えるでしょう。
盛り付けは枝付きでもいいのですが、枝から取って他のフルーツと一緒に盛り付けるといいと思います、おつまみの基本は皿に乗っているものは全て食べられるものが理想です、つまりお客様に食べカスを出させないというデリカシーが肝要です。

何故か強いアルコールを飲んだ後にステーキなどの肉類を食べたい人が多いです、私も多分に漏れず飲み始めよりも飲んだ後の方が肉類を無性に食べたくなります。
そんな時にはできるだけ柔らかくてさっぱりした赤身の肉が合います、私のお薦めはロースやフィレの赤身を食べやすい大きさにカットして作るサイコロステーキです、少な目のオリーブオイルにスライスニンニクで香りを付けて、一口大にカットした牛の赤身肉を焦がさないように弱火でローストします。
塩味やスパイスの香りが強いとせっかくのウイスキーの味が飛んでしまうのでほんの少しだけ塩とスパイスを振るだけがおつまみに最適です、スパイスはレインボーコショーやホールハーブを粉にしたものが合います。
もしお店で出すときには盛り付ける前に余分な油を吹いてさっぱりと頂けるように工夫して欲しいです、飲んだ後の身体はたんぱく質(アミノ酸)を欲しがるのであって脂肪分を欲しがっているのではありません、何事にも基本原理を学ぶことがお客様の健康を考えてあげる意味で重要です。
