
つい先日のこと、行きつけのショットバーでびっくるする会話を耳にしてしまいました、それはこんな感じです。
マスター 「ご注文は何にしましょう?」
客 「ハイボールで!」
マスター 「何をハイボールにしますか?」
客 「え!? ハイボールに種類があるんですか?」
まあ話の流れで解ったのですが、きっとそのお客さんは居酒屋でハイボールを頼む感覚だったのでしょう、居酒屋でハイボールといえばウイスキーハイボールを暗黙の了解で指しており、指定が無ければ店で決めているウイスキーを使うようにしています。
居酒屋でのウイスキーハイボールの多くは日本のものではサントリー角などでアメリカンウイスキーであればジムビームやアーリータイムス辺りが原価的に用意されていると思います、指定が無ければ安いほうの原価のウイスキーで作ります、なのでハイボールだけで通ってしまうわけです。
ところがショットバーでハイボールといえば飲み方の指定であって特定の飲み物を指してはいませんので、どんなお酒のハイボールなのかを指定しなければ作れないわけです。
ウイスキーのハイボールやジンなどのスピリッツをハイボールで飲む人もいれば、ブランデーやリキュールをハイボールで飲む人もいます、だから冒頭の会話となってしまうわけです。
まあショットバーに慣れないとなかなか自分の好みのお酒が飲めないという敷居の高さを敬遠する人もいますが、知らないものは知らないと正直になればバーテンダーが丁寧に教えてくれます。
カクテルだって最初から知っている人などいません、誰もが時間をかけて覚えていくものです、その中から自分の好みを知って各種スピリッツや各種リキュールを使ったカクテルを少しずつ覚えていくのです。
ウイスキーも同じことです、一つのショットバーで少なくても100種ほどの各種ウイスキーが置いてあるのですから、どんな味が好みかを聞きながら覚えていくのがショットバーで飲む愉しみというものです。
それに価値を見出せない人はショットバーでは愉しくお酒を飲むことはできないでしょう、妙なプライドを捨て正直に生きること、ショットバーはそんな生き方を学べるところでもあるのかもしれません。
ハイランド地方のモルトウイスキーをベースにしたリキュールがあります、それがドランブイというリキュールです、ショットバーに通う人なら誰しも知っていると思います。
ドランブイの歴史は古く、スコットランドのスチュアート王家に伝わるレシピが1745年に王家の争いの果てにフランスに無事亡命できた勲章として兵士を代表してジョン・マッキノンに贈られました。
その後1906年にマッキノンの子孫が酒造会社の協力の下に商品化しイギリス全土で親しまれるようになりました、そしてその後は全世界に輸出されていったのです。
現行商品は数十種のモルトウイスキーをブレンドした後にハーブやスパイスを漬け込み、スコットランドに咲くヒースという花から採ったハチミツを加えるという何とも贅沢なレシピのリキュールです。
アルコール度数は40度でブレンデッドウイスキーなどと同じです、ストレートで飲む人もいますがお薦めは水割りかお湯割です、甘すぎずモルトウイスキーの風味を感じられます。
ちょっと疲れたときなどに飲むと熟睡でき疲れが飛びます、そもそものレシピはそういう滋養強壮の薬だったのですから納得です。


アンティークウイスキーブームということもあって始めてリサイクルリカーショップを覗いてみました、そこで大きな発見がありました、それはバーボンがほとんど無いことと意外にも高値が付いていたということです。
店員さんにも聞いてみたのですが、アンティークバーボンは持込が少なく並べればすぐ売れていくのだそうです、アンティークバーボンのニーズはそう高いとは思えないのですが私なりに理由を考えてみました。
バーボンがブームだったのは70年代後半から90年代前半くらいです、この頃は国産ウイスキーからバーボンやスコッチブレンデッドにニーズが移り大量に輸入され消費されていきました。
輸入税の緩和などからそれまで高額だった海外の酒類の価格がどんどん下がっていき国産ウイスキーよりも安くなってバーボンやスコッチブレンデッドブームが起きたのだと思います、スナックなどでのキープウイスキーの半分以上がバーボンという時期もあったほど一時期は日本人の多くがバーボンを飲んでいました。
ただ贈答用となるとスコッチブレンデッドのケースの豪華さもあって高級感が好まれました、つまり高級スコッチブレンデッドは贈答用などで保管されているので現存数が多くバーボンの多くが既に消費され当時の流通品はほぼ枯渇してしまっているのだと推測します。
これがバーボンのアンティークボトルがほとんど出ない理由だと思います、時代が変われば価値対象が変わるというのはこういうことです、当時1万円以上もしたアンティークのスコッチブレンデッドが6,000円で買える時代に当時3,000円だったスタンダードバーボンが恐ろしいことに軒並み1万円以上しているのです。
希少価値があるとはいえ10万円以上も出してアンティークバーボンを買う心理は理解できないかもしれませんが私には理解できます、狂喜乱舞した異次元の世界で浴びるように飲んだバーボン、当時を思い出して再度当時の風味を味わいたいという願望は私には正常だと受け入れられます、スコッチもそうですが同じ銘柄でも今のものはマイルドな傾向ですが狂った時代の尖った味とは別物なのです。
同じように当時は1,000円で買えたスタンダードスコッチブレンデッドのJ&Bやホワイトホースなどもノンエイジでありながらも高級スコッチブレンデッドよりも高値で取引されています、これもバーボンと同じで当時買われては消費されていったウイスキーであり現存数が極めて少ないからです。
未来に何が起きるのかを正確に読んで今の行動に繋げている人はなかなかいません、過去のオンタイムのリアル情報と日本のウイスキートレンドなどあらゆるウイスキーに関する正確な情報を得て10年後のウイスキー事情はどうなっているかという予測はそれほど難しいことではありません。
解る人には正確に10年後のウイスキー事情は既に解っていることと思います、今ここで言えることは世界中でウイスキー蒸留所の新設ブームが巻き起こっていることと現存のウイスキー蒸留所が昨年辺りから増産に切り替えているということです、そして人の趣向はそう長くは続かないということです。
モンデ酒造の80年代に流通していたレアなジャパニーズウイスキーです、88年までの酒税法改正前の1級表示はアルコール度数が40度以上43度未満に付けられていた表示です。
モンデの前身は東邦酒造で一時的にモロゾフ酒造に変わりましたが1972年にモンデ酒造と改称されました、現在では主にワインの製造を行っている酒造メーカーです。
保管ダンボールから出てきたときにはスコッチウイスキーかと思っていたのですが、調べてみると山梨県にあるモンデ酒造のジャパニーズウイスキーだったのでびっくりしました、記憶に無かったのですがまさかのオールドジャパニーズウイスキーで複雑な気持ちです。
当時、ジャパニーズウイスキーとしてはマルス酒造のウイスキーが好きだったので比較目的で買ったのかもしれません、マルスアンバーと飲みくらべてみましたがマルスアンバーに比べてドライでグレーンとスピリッツを割ったような風味がします。
古いジャパニーズマイナーブランドのウイスキーとしての価値こそあれ、内容的には当時のジャパニーズウイスキー特有のスピリッツ感は否めません。

インド料理のアルジラとは茹でたジャガイモをクミンを黒くなるまで炒めたキャノーラオイルで和えた料理です、クミンというスパイスは加熱すると香りが出て香りを付けるためのスパイスであり辛味はほとんどありませんからウイスキーにも合います。
このアルジラをオリーブオイルを使って作ってみたらアルジラとは風味の異なる美味しいおつまみになりました、好みで辛味が弱く風味がよい韓国産の唐辛子を使うと風味が増して美味しくなりました、間違ってもペペロンチーノ用のトウガラシを使わないようにしましょう、辛味は味も風味もウイスキーには合いませんので。
ジャガイモは皮ごと使って大きめのカットでごろんとした感じにするほうがジャガイモのホクホク感と甘みが感じられて美味しくなります、尚塩味は薄いほうがウイスキーのおつまみに向く味になります、若干塩を多めにすればビールには最高のおつまみとなります。
