ラフロイグが1815年に蒸留を開始したときの味を今に伝えるという意味でマネージャーであるキャンベル氏の拘りで作られたロア(「伝承」の意味)は、ラフロイグのウイスキーに対する精神そのものを味わえる特別仕様の逸品です。
その拘りのスペックの一つはヴァージン・ヨーロピアンオークカスクで熟成した後にファーストフィル・バーボンカスクに移し更に熟成させるという手の込んだ2カスクマチュアードとしています、更に熟成前に複数のカスクで熟成させたカスク原酒をヴァッティングしています、これによって複雑なエッセンスを醸し出す見事なバランスのウイスキーに仕上がっています。
ラフロイグといえば過去にはグレーンウイスキーを混ぜたブレンデッドもオフィシャルで創出していた時期もあります、その意味ではラフロイグ蒸留所だけで完結ブレンデッドとしたラフロイグ・モルトブレンデッドウイスキーと言っても過言ではありません。
尚、ラフロイグはオフィシャル版はホワイトラベルで、特別仕様や限定版はブラックラベルで識別していますのでブラックラベルのラフロイグを見つけたらよく調べてから購入するのがよいかもしれません。
品名 ラフロイグ ロア
熟成年数 不明(ノンエイジ)
カスク ヴァージン・ヨーロピアンオーク、ファーストフィル・バーボン、他数種のカスク
蒸留所 ラフロイグ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 48度
内容量 700ml
価格 14,000円~15,500円(2024年2月現在)
特記事項 複数カスクヴァッティング&2カスクマチュアード(ヴァージン・ヨーロピアンオークカスク~ファーストフィル・バーボンカスクフィニッシュ)
1981年創業のグレンターナー・ブレンディング社によって発売され80年代前期に極少量流通していた希少なハイランドシングルモルトのグレンターナー12年です、ハイランドにおける小さなグレンターナー蒸留所ですが当時はスペイサイドのグレンフィディック同様に盛んにグローバルブランディング戦略を繰り広げていたのが伺えます。
ただグレンフィディックはその後あっという間に確固たる世界ブランドを確立し、現在のグレンターナーはオフィシャルボトルこそ少量出してはいるものの人気を博すほどには至っておりません。
60年代から70年代は世界的なウイスキー離れによるスコッチ蒸留所の大氷河期でした、各スコッチ蒸留所は生き残りをかけて他国市場を切り開くべく販売会社を新規に設立してグローバル戦略を駆使していました、そんな時代背景を今に伝える極めて希少で貴重なシングルモルトです。
こういった貴重なシングルモルトにもう少しスポットライトが照らされてもいいと思うのですが、ウイスキーブームが再来しており世界中でシングルモルトが枯渇している今、こういった小さな蒸留所がもう少し話題になることを祈るばかりです。
ちなみにグレンターナー12年はハイランドウイスキー特有の後味がホットケーキのような甘いハチミツの風味がして大変飲みやすいウイスキーです、貴重な80年代のものと現行のものとの飲み比べもウイスキーの風味の変異を学べ面白いと思います。
品名 グレンターナー12年 80年代流通ボトル
熟成年数 12年
カスク バーボン他
蒸留所 グレンターナー(ハイランド)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 43度
内容量 750ml
購入相場価格 15,000円~20,000円(2024年2月時点)
買取相場価格 5,500円~6,500円(2024年2月時点)
特記事項 バーボンカスクをメインに複数カスクをヴァッティング、購入相場価格及び買取相場価格は状態によってかなり変動します
コリーヴレッカン、アンオーとアードベックの三大特別仕様のオフィシャルラインアップのなかにあって最もストレートにアードベックエッセンスを楽しめるのがウーガダールです。
アルコール度数がかなり高めに調整されているので微妙なニュアンスを味わいたいならトゥワイスアップをお勧めします、ウーガダールに込められたメッセージを素直に受け取りたい人は是非ともチェイサーを飲みながらストレートで頂いてください。
ショットバーで「アンオーが終売になるかも」という情報を得て慌ててアンオーと共に購入したのですがアンオー同様に1年前に買ったときよりも価格が30%ほど高くなっていました、オークションでも高額で出品されだしていますので入手困難なエリアが存在している可能性があります。
ウーガダールの名前の由来はアードベック蒸留所の所在地にある湖の名称で、そのピートが茂る湖の水を仕込み水として製造されたことに由来しています。
何ともいえないフルーツのような甘い香りとスパイスの香りがミックスされ複雑な味わいといいアードベックファンには堪らない逸品でしょう、更には最初から最後まで感じるスモーキーなピートの香りはチーズやハムを最高の味に仕上げてくれます。
品名 アードベック ウーガダール
熟成年数 不明(ノンエイジ)
カスク バーボン、シェリー
蒸留所 アードベック(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 54.2度
内容量 700ml
価格 11,500円~13,500円(2024年2月時点)
特記事項 2カスクヴァッティング
アラート 品薄状況で価格上昇傾向
古い歴史の中で数多く閉鎖していった蒸留所の中でピティヴァイク(ピティヴェアック)ほど数奇な運命を背負った蒸留所も珍しいでしょう、本ブログの開設にあたりどうしても紹介したいという強い思いに絡げられ、各所を探し回りかなり高額でしたが何とかラベルなどが綺麗なままの液減もない超優良美品を購入できました。
本ボトルは蒸発&劣化防止のパラフィルムでボトルネックをシーリングして保管していたらしく、まったく当時のままの状態であり持った手が震えるほど綺麗な状態でした、写真のボトルに巻いてあるのが業務用パラフィルムで一度開けた高級ウイスキーをショットバーなどで保管するときに使うシーリングフィルムで私も購入して保管ボトルに巻いています。
ピティヴァイク蒸留所はダフタウン蒸留所(花と動物シリーズの1つ)を所有するアーサー・ベル&サンズ社によって1975年に経営戦略的に設立された蒸留所であり極めて実用的に考えられた蒸留所でした、しかしその10年後の1985年にアーサー・ベル&サンズ社はギネス社に買収されてしまいます、その翌年にギネス社はDCL社を買収しUD(ユナイテッド・ディステラーズ)社となります。
そのUD社の所有となった恩恵で1991年に花と動物シリーズとして本ボトルが蒸留所オフィシャルボトルとして発売されます、しかし多数の蒸留所を所有するUD社の経営合理化によりピティヴァイク蒸留所は1993年にローズバンク蒸留所と共に閉鎖されてしまいます。
したがって本ボトルであるピティヴァイク花と動物シリーズはわずか2年足らずの期間だけ製造販売されたもので良品での現存数は極めて少ないのです、黒褐色で独特なドライフルーツ入りのスコッチケーキのような濃厚な味と香りは他の蒸留所には無いもので極めて貴重なシングルモルトだと思います。
ダフタウン蒸留所と同じ設備と同じ水を使用しているにもかかわらずまったく別の味と香りのウイスキーが創出されたと話題になったシングルモルトであり、閉鎖時の貯蔵カスクからボトリングされたピティヴァイク30年などは現在では手が出せないほどの価格で取引されています。
品名 ピティヴァイク(ピティヴェアック)12年 花と動物シリーズ 90年代前期流通ボトル
熟成年数 12年
カスク シェリー
蒸留所 ピティヴァイク(スペイサイド)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 43度
内容量 700ml
購入相場価格 150,000円~180,000円(2024年2月時点)
買取相場価格 60,000円~70,000円(2024年2月時点)
特記事項 今後も値上がり必須、購入相場価格及び買取相場価格は状態によってかなり変動します
アードベックのオフィシャルラインアップのなかにあってアイラモルトエッセンスの全てを存分に楽しめるのがアンオーです、アイラモルトのスタンダードと言っても過言ではないほどアイラモルト特有の味と香りを複雑に織り交ぜた逸品で大変美味しいアイラモルトです。
ショットバーで「終売になるかも」という情報を得て慌てて購入したのですが1年前に買ったときよりも価格が30%ほど高くなっていました、オークションでも高額で出品されていますので入手困難なエリアが存在している可能性があります。
アンオーの名前の由来はアードベック蒸留所の所在地である「オー岬」(マル・オブ・オー)にちなんでいます、アードベックの持てるカスクをバランスよくヴァッティングし蒸留所の存在をアピールするために創出したシングルモルトなのでしょう。
複雑な味と香りの原点はアードベックのベーシックカスクであるスパイシーさとコクを齎すファーストフィルバーボンに加えて、甘い香りとフルーティーさを齎すPX(ペドロヒメネス)シェリーカスク、そしてビター感を齎す内側を焦がしたヴァージン・チャーカスク、この3つの特徴的なカスクのヴァッティングにより味と香りに様々なエッセンスを添加しています。
ヴァージン・チャーカスクの独特なビター感がほどよく効いていて最後に感じるホットケーキのような甘さ、スモーキーからフルーティへと変化し再びスモーキーに戻る香りというアードベックらしからぬ上品さもあります、熟成年数は不明ですがおそらく5年から10年熟成くらいのカスクをバッティングしていると思いますが、いずれにしても味と香りのバランスは見事です。
品名 アードベック アンオー
熟成年数 不明(ノンエイジ)
カスク ファーストフィルバーボン、ペドロヒメネスシェリー、ヴァージン・チャー
蒸留所 アードベック(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 46.6度
内容量 700ml
価格 10,500円~12,500円(2024年1月時点)
特記事項 3カスクヴァッティング
アラート 品薄状況で価格上昇傾向