とにかく若い頃はバーボンを良く飲みました、20歳~30歳代にはスナックでのキープボトルは今のようにボウモアやラフロイグなどのアイラモルトではなくワイルドターキーやブラントンでした。
先日、久しぶりに行きつけのネパール料理の店でジャックダニエルを見つけてストレートで飲んでみました、飲んだ瞬間に学生時代や血気盛んだった若い頃の記憶が呼び起こされました。
オーディオブログでは「記憶は音に宿る」などと言っていますが、いやいや「記憶は味と香りにも宿る」と今後は言うことにしましょう。
私の中でのバーボンはあくまでもバーボンであってウイスキーとは別のお酒という認識でいます、何故ならブドウなどのフルーツから造られる蒸留酒はブランデーでありウイスキーとは言いませんから、トウモロコシやライ麦から造るお酒はウイスキーではなくあくまでもバーボンだと思うのです。
そんな意味ではバーボンも美味いお酒です、そしてロックでもハイボールでもどんなスタイルで飲んでも味が壊れず気取らずに飲めるところが嬉しいです。
家には70年代後半から90年代にかけて海外出張の度に酔った勢いで大人買いしたウイスキー類が大量にストックされています、その中にたしかバーボンやブランデーも混ざっていた記憶がありますのでクローゼットの奥にしまっているダンボールを開けて状態の確認も含めてこの年末に整理したいと思います。

懐かしい記憶を蘇えらせてくれたジャックダニエル・ブラック1,000ml版
帰宅前に〆の一杯を飲むために寄る行きつけのショットバーに置いてあるスコッチとアイリッシュは早々に全制覇して、たまにはジャパニーズでも飲んでみるかと棚に目をやると飲んでみたかったシーバスリーガル・ミズナラ18年を見つけました。
ミズナラ(水楢)とは日本産の楢種の一つで、ウイスキー品評会で最優秀賞や金賞を連続で取りまくっているジャパニーズウイスキーの熟成カスクに使われていることから世界中でブームが起きているカスク木種です。
ちなみに水楢は「ジャパニーズオーク」と表記されるのかと思いきや、なんと世界中で日本語そのままの「ミズナラ」と表記されるのは特別感があって日本人としては気持ちが良いです。
その流れに素直に乗りスコッチ・ブレンデッドウイスキー・キングであるシーバス・ブラザーズ(ブランドはシーバスリーガル)も日本市場限定で製品化しています、現行流通ボトルは赤ラベルがスタンダードのシーバスリーガルで「水楢」は青ラベルと色で見分けがつくようにしています。
外食でボトルキープはしても家飲み用にはほぼ買うことはないシーバスリーガルですが、こうしてショットバーに来ればいつでも飲めるというのが私の人生観とも一致して実にショットバーという存在感が私の人生において重要な存在なのかが解ります。
世の流れはバブル時代に謳歌したカクテルブームが終焉しつつあり、どのショットバーでもウイスキーの銘柄数が増えてきているのはウイスキーファンとしては大歓迎と言うべき状況です。
ちなみにシーバスリーガルのキーモルトはストラスアイラ・グレンリベット・ロングモーン・ベンリアックという4つのスペイサイドの超有名蒸留所のシングルモルトです。
特にロングモーンは現在では高級シングルモルトになってしまっています、この事実は見逃せません、ブレンデッドウイスキーはシングルモルトに比べて決して格下なのではありません、シングルモルト独特のそれぞれの癖を打ち消しバランスの取れた味と香りに仕上げているのがブレンデッドウイスキーという存在なのです。

ブレンデッドもストレートでいただきます
幻の焼酎と言われて久しい百年の孤独、常に品薄状態で定価で売る店は皆無で飲食店では倍額でも買えるならありがたいと言います、ちなみに私は3年ほど前に普通に定価にちょっとプラスした程度の金額で買えました。
百年の孤独は麦焼酎でしかもアルコール度数は40度で3年間熟成しているのです、つまり日本産のシングルグレーンウイスキーと言ってもおかしくないのです。
ちょっと雑っぽい口当たりですが味は焼酎というよりほんのりですがウイスキーらしい味と香りがします、ちなみに海外ではホワイトウイスキーとネットで紹介しているブロガーもいます。
正月の定例家飲み会でみんなで他の珍しいアルコール類やアイラモルトなどと合わせて試飲して楽しみました、たまにはこういう味も超若熟成のドライ系のグレーンウイスキーのようで新鮮に感じます、個人的にはこういう味は大好きです、ウイスキーも焼酎も蒸留酒であり私好みの酒類です。

昔から風邪薬の民間治療法として玉子酒というものがあります、これは暖めた日本酒に卵黄を溶かし込んで飲むというものです、検証すると実に理にかなっていることが解ります。
身体を暖めると免疫力が向上しウイルスの増殖を抑え撃退します、その際に多量の糖分とビタミン類が消耗します、玉子酒はこれらを一度にしかもスムースに摂取できるのです、日本酒には意外にも糖分が多いのです。
ところで私は日本酒があまり得意ではないので、風邪を引いて熱があるときには若いときからスコッチブレンデッドウイスキーやバーボンのお湯割を飲んでいます。
アレンジレシピとして糖分を補給する目的でハチミツを入れバタード・ホットラムのレシピのようにクローブを浮かせた即効のドランブイライクなホットウイスキーが好きです、2杯ほど飲んで布団に入るとものすごい量の汗が出てきて、ほぼ1日で熱が下がります。
横道ですが、私は道楽の一つで世界中のスパイスとホールハーブを100種以上持っており、イエーガーマイスターやドランブイなどのリキュールを模倣して独自のレシピを幾つも作っては薬膳酒にして楽しんでいます、疲れたときや気分転換にこれらを飲んで元気を貰います。
このホワイトホース・ファインオールドはホワイトホースのスタンダードで1,500円ほどと非常にリーズナブルな価格ですが5年熟成のモルトとグレーンをブレンドしている本格的なウイスキーです、ストレートで飲んでもスパイシー&ドライな味で辛口好きな人には堪らないウイスキーだと思います。
特に水割りやお湯割りにすると角が取れて程よいマイルドな味になり飲み心地は最高です、熟成ブレンデッドのようにベタ甘な感じも無くすっきり飲めます、それでいて焼酎の乙類とほぼ同じ価格でアルコール度数は倍なのでコストパフォーマンスが極めて高いといえます。
私の大学時代には今の相対価格で4倍という高級ウイスキーでした、そんな憧れのスコッチウイスキーを焼酎のようにゴクゴク飲める時代の若い人が羨ましい限りです。
ちなみにホワイトホースのキーモルトはなんとアイラの上品なシングルモルトで有名なラガヴーリンです、加えてスペイサイドのオルトモア・クライゲラヒ・グレンエルギンと花と動物シリーズを熟知しているシングルモルトファンなら一発でそのスペックの凄さが理解できるでしょう。
それぞれの蒸留所の5年熟成という若熟成はシングルカスクでも飲めません、こういったブレンデッドウイスキーに混ぜ合わされたキーモルトのそれぞれのエッセンスを探りながら飲むのもシングルモルトファンの楽しみの一つです。
ブレンデッドウイスキーのキーモルトに興味を持って、そのキーモルトとなっているシングルモルト単独のエッセンスを経験により記憶し、そのうえでブレンデッドウイスキーを楽しめるようになるとシングルモルトファンとして一皮向けたといえるのかもしれません。


近年誕生してきたスコッチウイスキーのなかでとりわけアイラモルトには俗にいう「謎のアイラモルト」という存在があります、例えばピーツビースト・スカラバス・As we get it・アイリーク(イーラッハ)・フィンラガンなどです。
ピーツビーストはサブタイトルそのものが「謎のアイラモルト」と謳っておりラベルは有名なイラストレーターによるもので怪物が吐いた炎によってラベルの左隅が焼かれたように焦げ落ちています。
この謎のアイラモルトの何が謎かというと蒸留所も熟成年数もカスクもほぼ全てが非公開となっているからです、蒸留所の多くはブレンデッドウイスキー用にディステラりーオフィシャル版とは別に製造してボトラー各社に販売しています。
こうしたブレンデッド用に作られたシングルモルトの中で、特に優れた品質のものをボトラー各社が樽ごと買い取ってボトリングして製品化しているのです。
近年数多く誕生してきたボトラーズとは、自らの蒸留所を持たず蒸留所から樽ごと買取りそのままボトリングしたり、幾つかの蒸留所の原酒を独自のレシピでブレンドしたりと蒸留所の純正ボトルにはない味と風味を楽しめるので過去からボトラーズブランドには多くのファンが形成されています。
こうしたボトラーズブランドの製品の中には蒸留所の純正品では非常に高価になる長期熟成ものや、逆にアイラモルトの熱烈ファンが多い若熟成ものなど蒸留所のオフィシャル版では味わいたくても味わえないものを世に出してくれるので、これらをいつでもリーズナブルな価格で満喫できる時代に生まれてきたことは大変幸福なことだと思います。
そこでアイラモルトファンは謎のアイラモルト銘柄の蒸留所や熟年数を味と香りを頼りに当て合うのが一つの楽しみとしています、私もショットバーでこういった話をよく常連やマスターと話し合いますがそれぞれの考えがなるほどと思わせるものも多く大変勉強にもなるし非常に楽しい時間を過ごさせてもらえます。
ネットにも予想を示した記事も散見されますが、これは絶対違うだろうと思うものもあったり自分と同じ考えもあったりで、これはこれで非常に楽しく読まさせてもらうことができます。
難しいのはアードベック蒸留所とキルホーマン蒸留所だと思います、何故ならあらゆる味と香りのオフィシャル版を出しており熟年数によって解りやすい色の違いもなくカスクによってさまざまな色をしているので一概に色が薄いから熟年数が若いとも言えないからです。
押しなべて言えることはたった一つ、謎のアイラモルトは極めてコストパフォーマンスが高いということです、訳あり商品ではないのですが味も香りも蒸留所の純正品と比べて価格から考えたら非常に得した気分になります。
「謎のアイラモルト」の中で私の一押しはアイリーク(イーラッハ)です、おそらくラガヴーリン蒸留所の若い熟年数のシングルモルトではないかと頑なに信じています、ネットでは香りの刺激感などからラフロイグを想像している人も見受けますが私個人的な意見ではラフロイグではなくラガヴーリンだと思います。
ラガヴーリンが値上がりした今では、ラガヴーリンライクな上品さがありながらも若熟成のガツンとくるアイラモルトらしさを気軽に飲めるアイリーク(イーラッハ)は本当にありがたい存在の一つです。
尚、この「謎のアイラモルト」ブームを受けてか「謎のスペイサイド」や「謎のハイランド」などもブームになりつつありますが人気はイマイチです、やはりアイラモルトはスコッチのなかでも特別な存在なのではないでしょうか。
私も「アイラモルト」のカテゴリの一つに蒸留所名と同じレイヤーに「謎のアイラモルト」を作りました、現在手持ち銘柄は昔からメジャーなものばかりですが近年では非常に種類が多くなっています、したがって全ての銘柄を網羅することは不可能に近いのですが可能な限り探し出しては購入して謎を解いていきたいとと思います。