幻の焼酎と言われて久しい百年の孤独、常に品薄状態で定価で売る店は皆無で飲食店では倍額でも買えるならありがたいと言います、ちなみに私は3年ほど前に普通に定価にちょっとプラスした程度の金額で買えました。
百年の孤独は麦焼酎でしかもアルコール度数は40度で3年間熟成しているのです、つまり日本産のシングルグレーンウイスキーと言ってもおかしくないのです。
ちょっと雑っぽい口当たりですが味は焼酎というよりほんのりですがウイスキーらしい味と香りがします、ちなみに海外ではホワイトウイスキーとネットで紹介しているブロガーもいます。
正月の定例家飲み会でみんなで他の珍しいアルコール類やアイラモルトなどと合わせて試飲して楽しみました、たまにはこういう味も超若熟成のドライ系のグレーンウイスキーのようで新鮮に感じます、個人的にはこういう味は大好きです、ウイスキーも焼酎も蒸留酒であり私好みの酒類です。
近年誕生してきたスコッチウイスキーのなかでとりわけアイラモルトには俗にいう「謎のアイラモルト」という存在があります、例えばピーツビースト・スカラバス・As we get it・アイリーク(イーラッハ)・フィンラガンなどです。
ピーツビーストはサブタイトルそのものが「謎のアイラモルト」と謳っておりラベルは有名なイラストレーターによるもので怪物が吐いた炎によってラベルの左隅が焼かれたように焦げ落ちています。
この謎のアイラモルトの何が謎かというと蒸留所も熟成年数もカスクもほぼ全てが非公開となっているからです、蒸留所の多くはブレンデッドウイスキー用にディステラりーオフィシャル版とは別に製造してボトラー各社に販売しています。
こうしたブレンデッド用に作られたシングルモルトの中で、特に優れた品質のものをボトラー各社が樽ごと買い取ってボトリングして製品化しているのです。
近年数多く誕生してきたボトラーズとは、自らの蒸留所を持たず蒸留所から樽ごと買取りそのままボトリングしたり、幾つかの蒸留所の原酒を独自のレシピでブレンドしたりと蒸留所の純正ボトルにはない味と風味を楽しめるので過去からボトラーズブランドには多くのファンが形成されています。
こうしたボトラーズブランドの製品の中には蒸留所の純正品では非常に高価になる長期熟成ものや、逆にアイラモルトの熱烈ファンが多い若熟成ものなど蒸留所のオフィシャル版では味わいたくても味わえないものを世に出してくれるので、これらをいつでもリーズナブルな価格で満喫できる時代に生まれてきたことは大変幸福なことだと思います。
そこでアイラモルトファンは謎のアイラモルト銘柄の蒸留所や熟年数を味と香りを頼りに当て合うのが一つの楽しみとしています、私もショットバーでこういった話をよく常連やマスターと話し合いますがそれぞれの考えがなるほどと思わせるものも多く大変勉強にもなるし非常に楽しい時間を過ごさせてもらえます。
ネットにも予想を示した記事も散見されますが、これは絶対違うだろうと思うものもあったり自分と同じ考えもあったりで、これはこれで非常に楽しく読まさせてもらうことができます。
難しいのはアードベック蒸留所とキルホーマン蒸留所だと思います、何故ならあらゆる味と香りのオフィシャル版を出しており熟年数によって解りやすい色の違いもなくカスクによってさまざまな色をしているので一概に色が薄いから熟年数が若いとも言えないからです。
押しなべて言えることはたった一つ、謎のアイラモルトは極めてコストパフォーマンスが高いということです、訳あり商品ではないのですが味も香りも蒸留所の純正品と比べて価格から考えたら非常に得した気分になります。
「謎のアイラモルト」の中で私の一押しはアイリーク(イーラッハ)です、おそらくラガヴーリン蒸留所の若い熟年数のシングルモルトではないかと頑なに信じています、ネットでは香りの刺激感などからラフロイグを想像している人も見受けますが私個人的な意見ではラフロイグではなくラガヴーリンだと思います。
ラガヴーリンが値上がりした今では、ラガヴーリンライクな上品さがありながらも若熟成のガツンとくるアイラモルトらしさを気軽に飲めるアイリーク(イーラッハ)は本当にありがたい存在の一つです。
尚、この「謎のアイラモルト」ブームを受けてか「謎のスペイサイド」や「謎のハイランド」などもブームになりつつありますが人気はイマイチです、やはりアイラモルトはスコッチのなかでも特別な存在なのではないでしょうか。
私も「アイラモルト」のカテゴリの一つに蒸留所名と同じレイヤーに「謎のアイラモルト」を作りました、現在手持ち銘柄は昔からメジャーなものばかりですが近年では非常に種類が多くなっています、したがって全ての銘柄を網羅することは不可能に近いのですが可能な限り探し出しては購入して謎を解いていきたいとと思います。
国産高級シングルモルトウイスキーやスコッチシングルモルトが次々にリカーショップの店頭から消え、ついにはネット通販サイトでも在庫ゼロ状態だということをこの一ヶ月間の間にお伝えしてきましたが今後は日本国民の愛飲ウイスキーの鉄板であるサントリー角が店頭からもネット通販サイトからも消えつつあります。
高級シングルモルトウイスキーは熟成に期間がかかるため一時的な減産による原酒枯渇で生産できないという状況は解るのですが、角はブレンデッドであり日本のウイスキー規格に則り蒸留したての飲用アルコールをブレンドしてもよいウイスキーです。
何時でも量産可能な昔からのポピュラーウイスキーが消えてなくなるとは信じがたい事実であり大きな事件です、その裏には大きく2つの驚くべく理由がありました、この2つの理由の前に国産シングルモルトウイスキーの枯渇により需要が増したという3つめの理由も前提にあります。
新らしい理由の一つは新型コロナパンデミックにより家飲みが増えて1年ほど前から工場在庫がほぼゼロになったことです、家飲みにはサントリー角は最適でストレートからハイボールまで美味しく飲めるので最適なウイスキーだったわけです。
二つめの理由は家飲み需要で在庫がゼロになり増産で何とか凌いでいたところに海外旅行の解禁が加わり韓国旅行者が次々にサントリー角を買い求めていったことです、サントリー角はここ最近韓国では大人気のウイスキーで日本では1,500円で買えるのに国産ウイスキーを持たない韓国ではバランタイン12年と同クラスの4,000円以上もする高級ウイスキーです。
加えて有名なKポップシンガーが角を片手に持った動画の拡散により韓国でサントリー角が更なる大ブームを引き起こし円安も加わり韓国旅行者がお土産に爆買いしているのです、これらの理由が重なり1960年の発売以来常に売り上げトップの座を守ってきたサントリー角がなんと店頭から姿を消すという事態に陥ったのです。
居酒屋でも大人気の角ハイボール、業務用の2.7リットルや5リットルボトルまで品薄で価格上昇しているそうです、そこで居酒屋ではスコッチブレンデッドのJ&Bやバーボンのジムビームに切り替えて凌いでいるのです。
90年中期からつい数年前までほぼステイディに安定していたウイスキー状況が新型コロナパンデミックをきっかけに大きく変化しています、ショットバーでもカクテルよりもウイスキーが多く出るようになりこれまで見たこともないウイスキーが次々と輸入されています。
ウイスキーファンの私としては飲んだことのないウイスキーを海外まで行って買ってこなくても散歩がてらに近所のリカーショップで買えるようになったのは嬉しい限りですが、これまで愛飲してきたシングルモルトウイスキーの多くが2~3倍と価格が上昇しているのは何とも言えない気持ちになります。
つい先日ジャパニーズウイスキーのシングルモルトや高級ブレンデッドが原料となるカスク原酒が枯渇して生産中止状態となっているとお伝えしたばかりですが、ウイスキーの本場スコットランドでもカスク原酒が枯渇している蒸留所が続々と現れ始めました。
数年前から国産シングルモルトが手に入らないならとスコッチシングルモルトのニーズが高まりつつあったのですが、ついに標的となったスコッチ銘柄もここにきて続々と入手困難状況になっています。
最も驚いたのがアイラモルトのブナハーブンです、1年ほど前から話題になっていたラガヴーリンではなくまさかのブナハーブンのノンピーテッド版が現在ではまったく手に入りません。
現在手に入るのは価格は上昇しているもののヘビリーピーテッドのトチェクアガーとピーテッドのキャビノックに加えて免税店限定販売のエリーナグレーネとクラックモナの1リットル版2種だけです、オフィシャルの12年・18年・25年及びステューラダーは超が付くほどの幻のアイラシングルモルトと化してしまいました、25年はつい先日8万円という価格になっていましたが完売表示が目立つようになりました。
考えるにブナハーブンはアイラモルトでありながらトチェクアガーなど限られた銘柄以外はノンピーテッドを前面に押し出している蒸留所です、ジャパニーズシングルモルトの代替品として必然的に標的になったのではないでしょうか。
私が本ブログでブナハーブン12年を紹介した際にアラートを発していましたが、それから1ヶ月もしないうちにショップ店頭は勿論のことネット通販でも全て在庫ゼロの表示です、更にはフリーマッケットサイトやオークションサイトも1ヶ月以上に渡りウォッチしていますが1本も出てきていません。
またキャンベルタウンのスプリングバンク蒸留所関連の銘柄の価格が急騰しています、スプリングバンク10年やキルケラン12年は1年前の2~3倍の価格となっています、既にヘーゼルバーンとロングロウは幻のシングルモルトになっています。
ローランドでは閉鎖から2000年に創業再開したばかりのブラドノックがカスク原酒の枯渇からか入手困難状況で価格が急騰しています、今後は生産量の少ない蒸留所銘柄はほぼ入手困難になっていくと思います。
アイラモルトファンの私として現在大変気になっているのが、もともと蒸留所自体の生産数の少ないアードベックの限定版と数量限定のラガヴーリン10年です、これらも価格急上昇中で買えるうちに予備を買っておこうと思います。
愛飲ウイスキーがある日突然消えてなくなるときが来る予兆をひしひしと感じ恐々とする今日この頃、この感覚はバブル経済崩壊とほぼ同時に忽然と日本市場から姿を消した高級ブレンデッドウイスキーの数々を彷彿させます、これらが30年以上経って再び脚光を浴びる日が来るなんて誰にも想像もできなかったでしょう。
現在ほぼ日本のシングルモルト及び高級ブレンデッドウイスキーが店頭から姿を消しているのをご存知でしょうか、サントリーの山崎・白州・響などは店頭から姿を消し定価の2倍~3倍でオークションにかけられている状態です。
この理由は明確で、80年代の日本におけるジャパニーズウイスキー離れが進んだジャパニーズウイスキー氷河期にあります。
世はまさにバブル全盛期でそれまで高価で影を潜めていたワインやスコッチウイスキーが飲まれるようになり、各種のワインや高級ブレンデッドウイスキーがどんどん輸入されました。
これを受けて日本のウイスキーメーカーは生産を一気に控えるようになります、90年以降も徐々に回復傾向に向かったとはいえ減産は継続されウイスキーブームが再び沸き起こる2015年くらいまで続いたわけです。
シングルモルトは熟成に最低12年はかかります、この結果現在のニーズに合わせてどんどんボトリングして出荷したくても原酒が枯渇して無いのです。
冒頭の3種は現在既に生産中止状態です、加えてニッカウイスキーの余市・竹鶴も生産中止に追い込まれました。
これが解消するまでにおそらく10年はかかるでしょう、この間に国産ウイスキーが無いならスコッチウイスキーということでスコッチウイスキーのニーズが急速に高まり今度はスコッチウイスキーの価格が大幅に高騰しているというわけです。
加えてスコッチウイスキーの原材料であるモルト自体がウクライナ情勢の余波で価格高騰しており、世はまさにウイスキーバブルに突入しているのです、ちなみに品薄銘柄は1年前の価格の2~3倍にまで高騰しています。
私の不安は今のウイスキーブームが去った後、今度は国産ウイスキーやスコッチウイスキー余りという逆転現象が起こることです。
この10年ほどは世界中がウイスキー蒸留所の新規設立ブームで沸いています、日本でもこの数年で国産シングルモルトウイスキーを造ろうという蒸留所の設立ラッシュが起きています、また多くの焼酎メーカーまで国産モルトウイスキーの生産を開始しました。
いつの時代も世の現状を冷静に把握し5年・10年先に起こるべく状況を正確に読んで行動した人が勝者になります、今の状況をどのように思考しどのような行動を起こすべきなのでしょうか。
少なくても10年後には今の状況は確実に一変しています、一つ言えることは歴史は確実にリズミカルに陰陽状況を繰り返すということです、「昇りエスカレーターを確認したら即乗り頂上手前で降りる」、これはビジネス常勝の心得です。