ブランディと言ったらコニャック、コニャックと言ったら五大コニャックブランドのヘネシー・レミーマルタン・マーテル・クルボアジェ・カミュです、なかでもバブルのど真ん中の夜の帳でよく飲まれたのがヘネシーXOとレミーマルタンXOです。
XOというのはブランディの長期熟成の最高ランクを示しています、つまりその銘柄の最高級品ということです。
特にレミーマルタンXOの一目で解る高級感溢れるボトルデザインは高級クラブで大変人気があり、当時は1本数十万円という価格が付けられていてもどんどん消費されていきました。
レミーマルタンXOやヘネシーXOの甘くトロンとした口当たりはまさにバブルの申し子です、今飲んでも記憶は瞬間的に80年代が蘇ってきます、まさに狂喜乱舞の時代だったのです。
そんなバブル時代に浴びるように飲んだレミーマルタンXOが何故かコレクションウイスキーの中に混ざって保管されていました、きっといつかは思い出して飲んでみたくなると思ってのことでしょう、記憶は確実に味と香りに宿っています。
現行商品もまったく同じボトルデザインで生き続けています、ヘネシーXOも同様に当時のボトルデザインのまま現行商品に継続されています、最高級品とは数十年経っても古さをまったく感じさせません、そこがトップブランドという存在だと思います。

この1年で価格が倍以上になった業務用のコーン缶ですが薄黄色の自然な色と味で好んで使っています、コーンポタージュに使うと人工的な甘みがないので美味しいです。
これをオリーブオイルとバターで軽く炒めてパセリパウダーを振るだけでウイスキーによく合うおつまみになります、この場合好みですが私は塩味がウイスキーと合わないので無塩バターを使い塩やコショーも使いません。
居酒屋で食べるコーンバターはビールには合うのですが味が濃すぎてウイスキーにはちょっと合わない気がします、同じコーンバターでも合わせるお酒の種類でバターとオリーブオイルの配合を変えたり調味料を工夫すればそれぞれのお酒に合った味になるというよい例だと思います。
基本的におつまみは素材の味を生かすことにあって味を作りこむものではないという信条があるので、素材の味を消すような調味料の使い方は好きではありません。

業務用コーン缶を使ったあっさりコーンバター

オーガニックコーンとグリーンアスパラのコーンバター
こちらのコーンは色が濃い黄色なので映えます
ウイスキーを楽しめるようになったら是非とも冷蔵庫に入れておいてほしいのがオリーブの塩漬けです、私は常に予備の瓶詰めを数本ストックしています。
ダイレクトにつまみにしてもOKですしチーズや肉料理のアクセントにしても美味しいです、また黒オリーブは若干渋味がありステーキなどのワインソースに細かくして入れても味のアクセントとなり美味しいです。
酒屋さんに置いてあるということはウイスキーやワインなどには欠かせないおつまみになるということです、口直し的な味のリセットにもなるのでお勧めのおつまみです、ただし食べすぎには要注意です、消化に悪いのでお腹を壊してしまいます。
尚、おつまみとしてお店で出すときには是非種無しにしましょう、種を出す所作も食べかすがお皿に残ったビジュアルもお客様に対してデリカシーが欠けると評価されてしまいます。

種無しは食べやすくて最高!

オレガノを少々振りかけてイタリアン風味にすればショットバーでのおつまみに最適です

食事の際にはウイスキーを飲みながら何を食べても構わないと思うのですが、ウイスキーの味と香りを壊さず更に美味しく飲めるおつまみはそう多くはないと思います。
私がショットバーで必ず頼むのが無塩のクラッカーです、ウイスキーの癖がより解り易くなる気がします、更にはクラッカーを食べてから飲むと味がリセットして別の銘柄に変えるときにはベストなおつまみだと思います。
癖が強いウイスキーにはチーズやドライフルーツが合います、また塩味を付けずにベーキングしたナッツ類も合います、癖を壊さず美味しく感じるのでこれらもときどき無塩クラッカーと合わせて頼んだりしています。
逆に熟成もののトロンと甘口のブレンデッドやグレーンウイスキーには若干スパイシーなビーフジャーキーや酸味と甘みのバランスがとれたピクルスも大変美味しく感じます。
またちょっと小腹が空いたときに食べても嫌味がないのは卵料理です、オムレツでもスクランブルエッグでもOKです、薄味のハムや干し魚の焼き物も最高に合います、同様に薄味であれば食べやすくステーキをスライスしたタリアータなどもよく合います。
逆にウイスキーの味や香りを壊してしまう食材ナンバーワンは生野菜です、小松菜やホウレンソウなどの葉野菜は特にエグ味が増してせっかくの高級ウイスキーが台無しになってしまいます、推測ですが鉄やマグネシウムなどのミネラル成分が関係しているのでしょうか野菜もウイスキーも双方の味が悪くなります。
またエグ味とは異なりシソやラッキョウなどの香草類や強い味と香りのスパイス類は言わずもがでウイスキーの味と香りそのものが変化してしまいます、同じスピリッツでもブランデーではこういった現象は少ないので不思議です、特にモルトウイスキーと生野菜との相性は悪いように感じます、個人的にウイスキーと相性がよいと思う生野菜はトマト(プチトマト)とキュウリです。
またフルーツは生野菜ほど味や香りを壊さないのですが柑橘類は先の生野菜のようにエグ味に変わってしまいアウトです、リンゴ・梨・桃・柿・ブドウなどは逆に美味しく感じるようになります。
ただしブレンデッドやアメリカンウイスキーで作るウイスキーカクテルはジンジャーエールやリキュールなどの甘み成分が入るのでどんな柑橘系でも合います、まあウイスキーカクテルはシングルモルトウイスキーとは別次元に存在するアルコール飲料だと思ったほうがよいでしょう。
とはいえ味や香りの感性は人によっても異なりますので自分なりにいろいろ試してみるのがよろしいかと思います、あくまでもシングルモルトウイスキーをストレートで飲む際の相性の話であり他のスピリッツ系アルコールやカクテルには適用されません。
数年間をかけてウイスキーに合うおつまみを各種研究しましたので、これに関しては別のカテゴリで徐々に記事にしていきましょう。

下戸とはアルコールが飲めない人や飲んでもすぐに酔ってしまう人を指して言いますが、アルコールに強い人でも飲み過ぎると起こる二日酔いも実は同じアルコールの科学で証明できるのです。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解され、更にアセトアルデヒドは同じく肝臓で酢酸に分解されます、そして酢酸も最終形の水分と二酸化炭素に分解され体外に排出されます。
ここで重要になるのが、アルコール分解酵素(アルコール脱水素酵素)とアセトアルデヒド分解酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素)です、この2つの分解酵素は生まれ持っての遺伝や経験による獲得により総量が決まってしまい人によって正常値を100とした欠損率が異なるのです。
世界的にみてアジア系人種はどちらの酵素も欠損率が高いという研究結果が出ていますが、タイ人やカンボジア人は欠損率0というドイツ人やロシア人並みの酵素保有率を持っています。
さて、この2つの分解酵素ですが人によって保有率が異なるということが下戸や二日酔いになりやすい人を生んでいます。
アルコール分解酵素がゼロもしくは少ない人は下戸となってしまい身体がアルコールを受け付けません、またアルコール分解酵素は正常でもアセトアルデヒド分解酵素が少ない人は酔いやすく二日酔いにもなりやすい人となります。
実は二日酔いの原因はアルコール自体ではなく分解後に生じるアセトアルデヒドにあるのです、このアセトアルデヒドは人によっては有害な猛毒でもあり頭痛や吐き気を引き起こします、またタンパク質と結び付きやすいので癌の発祥原因とも言われる有害物質です。
横道にそれますが北欧系産のヨーグルトにはフルーティな味付けとしてアセトアルデヒドが添加物として含まれる場合があります、北欧系の人にとってはアセトアルデヒドはすぐに分解され身体にはほぼ無害なのですがアジア系の人にとっては有害になる人もいるので注意が必要です。
さて、ではかなり飲んでもケロっとしている人はどんな身体構造をしているのでしょうか、それはアルコール分解酵素が弱いか正常でアセトアルデヒド分解酵素が正常か強力な人です。
つまりゆっくりとアルコールが分解され、分解された瞬間にトコロテン式にアセトアルデヒトが分解されるので身体の血中にはアルコールと酢酸が増えるだけでアセトアルデヒドが少量しか存在しません、だから幾ら飲んでも楽しくなるばかりで頭痛や吐き気もないのです。
ただしアルコールに強い人も飲み過ぎには要注意です、どんなに強い人でも肝機能には限界というものがあるのですから。
最後に横道ですが、最新のゲノム分析で日本人のアルコール分解酵素の遺伝子であるADH1Bは約2万年前に変異し、アセトアルデヒト分解酵素であるALDH2は7500万年前に変異し変異遺伝子が増えてきたことが解りました、これらから下戸は確実に遺伝によるものだということが結論付けられたのです。