砂糖がボトルの中で結晶化している怪しいリキュールがあります、カクテルやお菓子作りに利用されるグヨ・クリスタルキャンメルというリキュールですが買ったばかりの状態ではボトルの下部5分の1は砂糖の結晶で白くなっています。
キャラウェイ・クミン・コリアンダーなどのスパイスエキスの超甘いリキュールなのですがアルコール度数は45度と恐ろしく高く、リキュールだと思って軽く考えてゴクゴク飲んだら完全に記憶が飛びます。
それにしてもアルコールにどんなに砂糖を加えても自然に結晶化するまでにはかなりの時間がかかります、それをあえて意図して製造しているとしたらなんて手の込んだことをするものだと感心します。
また名前のとおりで液体は無色透明です、アルコールにスパイスを漬け込むと有機物で確実に茶色になるはずですので、スパイスをアルコールで漬け込んだ後再度蒸留してエキス分だけ取り出しているのだと思います、アルコール度数が高いのはそれを暗に示しているのかもしれません。
再蒸留とはいえ一応スパイスエキス入りの薬膳酒ですので、風邪を引いたときや疲れているときにレモン果汁を加えてお湯割で飲んでも美味しいし若干なりとも効果が期待できます。



飲み干しても砂糖の結晶がこんなにも残る
幻の焼酎と言われて久しい百年の孤独、常に品薄状態で定価で売る店は皆無で飲食店では倍額でも買えるならありがたいと言います、ちなみに私は3年ほど前に普通に定価にちょっとプラスした程度の金額で買えました。
百年の孤独は麦焼酎でしかもアルコール度数は40度で3年間熟成しているのです、つまり日本産のシングルグレーンウイスキーと言ってもおかしくないのです。
ちょっと雑っぽい口当たりですが味は焼酎というよりほんのりですがウイスキーらしい味と香りがします、ちなみに海外ではホワイトウイスキーとネットで紹介しているブロガーもいます。
正月の定例家飲み会でみんなで他の珍しいアルコール類やアイラモルトなどと合わせて試飲して楽しみました、たまにはこういう味も超若熟成のドライ系のグレーンウイスキーのようで新鮮に感じます、個人的にはこういう味は大好きです、ウイスキーも焼酎も蒸留酒であり私好みの酒類です。


近年誕生してきたスコッチウイスキーのなかでとりわけアイラモルトには俗にいう「謎のアイラモルト」という存在があります、例えばピーツビースト・スカラバス・As we get it・アイリーク(イーラッハ)・フィンラガンなどです。
ピーツビーストはサブタイトルそのものが「謎のアイラモルト」と謳っておりラベルは有名なイラストレーターによるもので怪物が吐いた炎によってラベルの左隅が焼かれたように焦げ落ちています。
この謎のアイラモルトの何が謎かというと蒸留所も熟成年数もカスクもほぼ全てが非公開となっているからです、蒸留所の多くはブレンデッドウイスキー用にディステラりーオフィシャル版とは別に製造してボトラー各社に販売しています。
こうしたブレンデッド用に作られたシングルモルトの中で、特に優れた品質のものをボトラー各社が樽ごと買い取ってボトリングして製品化しているのです。
近年数多く誕生してきたボトラーズとは、自らの蒸留所を持たず蒸留所から樽ごと買取りそのままボトリングしたり、幾つかの蒸留所の原酒を独自のレシピでブレンドしたりと蒸留所の純正ボトルにはない味と風味を楽しめるので過去からボトラーズブランドには多くのファンが形成されています。
こうしたボトラーズブランドの製品の中には蒸留所の純正品では非常に高価になる長期熟成ものや、逆にアイラモルトの熱烈ファンが多い若熟成ものなど蒸留所のオフィシャル版では味わいたくても味わえないものを世に出してくれるので、これらをいつでもリーズナブルな価格で満喫できる時代に生まれてきたことは大変幸福なことだと思います。
そこでアイラモルトファンは謎のアイラモルト銘柄の蒸留所や熟年数を味と香りを頼りに当て合うのが一つの楽しみとしています、私もショットバーでこういった話をよく常連やマスターと話し合いますがそれぞれの考えがなるほどと思わせるものも多く大変勉強にもなるし非常に楽しい時間を過ごさせてもらえます。
ネットにも予想を示した記事も散見されますが、これは絶対違うだろうと思うものもあったり自分と同じ考えもあったりで、これはこれで非常に楽しく読まさせてもらうことができます。
難しいのはアードベック蒸留所とキルホーマン蒸留所だと思います、何故ならあらゆる味と香りのオフィシャル版を出しており熟年数によって解りやすい色の違いもなくカスクによってさまざまな色をしているので一概に色が薄いから熟年数が若いとも言えないからです。
押しなべて言えることはたった一つ、謎のアイラモルトは極めてコストパフォーマンスが高いということです、訳あり商品ではないのですが味も香りも蒸留所の純正品と比べて価格から考えたら非常に得した気分になります。
「謎のアイラモルト」の中で私の一押しはアイリーク(イーラッハ)です、おそらくラガヴーリン蒸留所の若い熟年数のシングルモルトではないかと頑なに信じています、ネットでは香りの刺激感などからラフロイグを想像している人も見受けますが私個人的な意見ではラフロイグではなくラガヴーリンだと思います。
ラガヴーリンが値上がりした今では、ラガヴーリンライクな上品さがありながらも若熟成のガツンとくるアイラモルトらしさを気軽に飲めるアイリーク(イーラッハ)は本当にありがたい存在の一つです。
尚、この「謎のアイラモルト」ブームを受けてか「謎のスペイサイド」や「謎のハイランド」などもブームになりつつありますが人気はイマイチです、やはりアイラモルトはスコッチのなかでも特別な存在なのではないでしょうか。
私も「アイラモルト」のカテゴリの一つに蒸留所名と同じレイヤーに「謎のアイラモルト」を作りました、現在手持ち銘柄は昔からメジャーなものばかりですが近年では非常に種類が多くなっています、したがって全ての銘柄を網羅することは不可能に近いのですが可能な限り探し出しては購入して謎を解いていきたいとと思います。

国産高級シングルモルトウイスキーやスコッチシングルモルトが次々にリカーショップの店頭から消え、ついにはネット通販サイトでも在庫ゼロ状態だということをこの一ヶ月間の間にお伝えしてきましたが今後は日本国民の愛飲ウイスキーの鉄板であるサントリー角が店頭からもネット通販サイトからも消えつつあります。
高級シングルモルトウイスキーは熟成に期間がかかるため一時的な減産による原酒枯渇で生産できないという状況は解るのですが、角はブレンデッドであり日本のウイスキー規格に則り蒸留したての飲用アルコールをブレンドしてもよいウイスキーです。
何時でも量産可能な昔からのポピュラーウイスキーが消えてなくなるとは信じがたい事実であり大きな事件です、その裏には大きく2つの驚くべく理由がありました、この2つの理由の前に国産シングルモルトウイスキーの枯渇により需要が増したという3つめの理由も前提にあります。
新らしい理由の一つは新型コロナパンデミックにより家飲みが増えて1年ほど前から工場在庫がほぼゼロになったことです、家飲みにはサントリー角は最適でストレートからハイボールまで美味しく飲めるので最適なウイスキーだったわけです。
二つめの理由は家飲み需要で在庫がゼロになり増産で何とか凌いでいたところに海外旅行の解禁が加わり韓国旅行者が次々にサントリー角を買い求めていったことです、サントリー角はここ最近韓国では大人気のウイスキーで日本では1,500円で買えるのに国産ウイスキーを持たない韓国ではバランタイン12年と同クラスの4,000円以上もする高級ウイスキーです。
加えて有名なKポップシンガーが角を片手に持った動画の拡散により韓国でサントリー角が更なる大ブームを引き起こし円安も加わり韓国旅行者がお土産に爆買いしているのです、これらの理由が重なり1960年の発売以来常に売り上げトップの座を守ってきたサントリー角がなんと店頭から姿を消すという事態に陥ったのです。
居酒屋でも大人気の角ハイボール、業務用の2.7リットルや5リットルボトルまで品薄で価格上昇しているそうです、そこで居酒屋ではスコッチブレンデッドのJ&Bやバーボンのジムビームに切り替えて凌いでいるのです。
90年中期からつい数年前までほぼステイディに安定していたウイスキー状況が新型コロナパンデミックをきっかけに大きく変化しています、ショットバーでもカクテルよりもウイスキーが多く出るようになりこれまで見たこともないウイスキーが次々と輸入されています。
ウイスキーファンの私としては飲んだことのないウイスキーを海外まで行って買ってこなくても散歩がてらに近所のリカーショップで買えるようになったのは嬉しい限りですが、これまで愛飲してきたシングルモルトウイスキーの多くが2~3倍と価格が上昇しているのは何とも言えない気持ちになります。

つい先日ジャパニーズウイスキーのシングルモルトや高級ブレンデッドが原料となるカスク原酒が枯渇して生産中止状態となっているとお伝えしたばかりですが、ウイスキーの本場スコットランドでもカスク原酒が枯渇している蒸留所が続々と現れ始めました。
数年前から国産シングルモルトが手に入らないならとスコッチシングルモルトのニーズが高まりつつあったのですが、ついに標的となったスコッチ銘柄もここにきて続々と入手困難状況になっています。
最も驚いたのがアイラモルトのブナハーブンです、1年ほど前から話題になっていたラガヴーリンではなくまさかのブナハーブンのノンピーテッド版が現在ではまったく手に入りません。
現在手に入るのは価格は上昇しているもののヘビリーピーテッドのトチェクアガーとピーテッドのキャビノックに加えて免税店限定販売のエリーナグレーネとクラックモナの1リットル版2種だけです、オフィシャルの12年・18年・25年及びステューラダーは超が付くほどの幻のアイラシングルモルトと化してしまいました、25年はつい先日8万円という価格になっていましたが完売表示が目立つようになりました。
考えるにブナハーブンはアイラモルトでありながらトチェクアガーなど限られた銘柄以外はノンピーテッドを前面に押し出している蒸留所です、ジャパニーズシングルモルトの代替品として必然的に標的になったのではないでしょうか。
私が本ブログでブナハーブン12年を紹介した際にアラートを発していましたが、それから1ヶ月もしないうちにショップ店頭は勿論のことネット通販でも全て在庫ゼロの表示です、更にはフリーマッケットサイトやオークションサイトも1ヶ月以上に渡りウォッチしていますが1本も出てきていません。
またキャンベルタウンのスプリングバンク蒸留所関連の銘柄の価格が急騰しています、スプリングバンク10年やキルケラン12年は1年前の2~3倍の価格となっています、既にヘーゼルバーンとロングロウは幻のシングルモルトになっています。
ローランドでは閉鎖から2000年に創業再開したばかりのブラドノックがカスク原酒の枯渇からか入手困難状況で価格が急騰しています、今後は生産量の少ない蒸留所銘柄はほぼ入手困難になっていくと思います。
アイラモルトファンの私として現在大変気になっているのが、もともと蒸留所自体の生産数の少ないアードベックの限定版と数量限定のラガヴーリン10年です、これらも価格急上昇中で買えるうちに予備を買っておこうと思います。
愛飲ウイスキーがある日突然消えてなくなるときが来る予兆をひしひしと感じ恐々とする今日この頃、この感覚はバブル経済崩壊とほぼ同時に忽然と日本市場から姿を消した高級ブレンデッドウイスキーの数々を彷彿させます、これらが30年以上経って再び脚光を浴びる日が来るなんて誰にも想像もできなかったでしょう。