
大麦麦芽を原料としたモルトウイスキーですが、スコッチウイスキーにみられるピートによる麦芽乾燥を施しての蒸留したての原酒はどの蒸留所でもほぼ同じ味と香りがします。
では何故同じ原料と製法を行った同一地区のアイラ島に在る蒸留所であるにも関らず、蒸留所によってすぐ解るような味と香りに仕上がるのでしょうか、ずばりその答えは貯蔵による熟成に在ります。
熟成期間も大きな要因ですが、もっとも解りやすい味と香りが付くのはカスク(貯蔵樽)に秘密が在るのです。
ウイスキーのカスクの多くはオークで日本名では楢(ナラ)です、ただ同じオークでも採れる地域によって繊維の密度や香りがかなり違います、そんな違いから木材としての呼び名もホワイトオーク・スパニッシュオーク・コモンオーク・セシルオーク・ミズナラなどと区分けされています、したがってカスクにどんな木材を使っているかで味と香りが変わってきます。
サントリーでも輸入のホワイトオークなどを使ったカスクと、数量限定販売での品質にこだわった逸品では国産のミズナラを使ったカスクで熟成したものがあります。
もう一つ味に色付けされる要因としてはカスク作りの過程における乾燥の方法です、窯を使って乾燥するキルン方式と野ざらしにして自然乾燥させる天日方式では乾燥による水分の抜け具合や隙間によって味に微妙な変化が起きるとされています。
ちなみに窯を使っての乾燥でもひび割れしないようにじっくりと半年をかけ、天日の場合は最低でも2年かかるということですから本当にウイスキーは丁寧に作られたお酒だと思います。
そんなにも時間がかかるためウイスキー蒸留所ではバーボンやシェリーを熟成するために使われていた使い古したカスクを使うのが一般的です、スコッチウイスキーファンはこれらのカスクによる違いを大いに愉しんでいるのです、飲み慣れた同じ銘柄でもカスクが違えば味が変わり気分も変わるということかもしれません。
このカスクからアルコールによって長い期間をかけてゆっくりとタンニンや微量有機物が溶けだして独特の味と香りとなります、リンゴや梨の香り・アーモンドの香り・薔薇の香り・蜂蜜のような甘味とエグ味などと表現されますが、同じ蒸留所の同じ材質のカスクでもカスクによって若干のばらつきがでる為に同じ年に仕込んだカスクが異なるウイスキーをヴァッティングしてアルコール度の調整後に瓶詰されます。
強いアルコールが好きな人の為のヘビーおつまみとしてストロング・ラムレーズンを作りました、アルコール度数がかなり高いので数粒食べただけで確実に酔います、これは意図して作ったのではなく、自家製のリキュールを各種作っているときにたまたま砂糖を加えずにレーズンの甘さだけでラムリキュールを作った際の副産物です。
普通のおつまみ用のラムレーズンはラムにガムシロップを加えて三倍ほどに薄めた液にレーズンをたっぷりと漬け込みます、私の場合はラムレーズンではなくてラムリキュール作りだったのでラムの原液だけを加えてレーズンの甘みだけで楽しむストロング・ラムリキュールを作ったのです。
たまたまだったのですが自家製リキュールとして美味しく飲んで残ったレーズンを食べてみたら強烈なアルコールがガツンときますが美味しかったのです、ウイスキーとの相性もばっちりです、ウイスキーを常にストレートで飲む人のおつまみとしてチーズ盛りなどの脇に少し和えるなどするとよいかもしれません、チーズとの相性もいいです。

確実に酔えるストロング・ラムレーズン
昔からチーズ&サラミはウイスキーのおつまみとして定番になっています、ただ日本で普通に買えるサラミはハードタイプで硬いものがほとんどです、ところがイタリア産やスペイン産のサラミの中にはソフトタイプが多くあります、ソフトタイプは美味しいのですが日持ちしないので扱いが難しいです、夏場に素手で触るとあっという間にカビてしまう恐れがあります。
そんなソフトタイプのサラミは太さも倍ほどで塩分やスパイスもほとんど入ってなく豚肉の旨みをそのまま感じられるのでウイスキーの味の邪魔をしません、むしろドライ系のウイスキーがマイルドに感じるほど相性は抜群です、チーズと共に食べると更にウイスキーに合うおつまみになります。
この場合の合わせるチーズはチェダーやミモレットなどが癖が少なく濃厚なコクを醸し出すので良く合います、味的に物足りない人向けにハーブ塩を添えるといいでしょう、ハーブ塩は市販されていますがオリジナルのものを作るのも話のネタになってよろしいかと思います。
豚肉によく合うハーブはオレガノやローズマリーです、岩塩と共にミルにかければあっという間に出来上がります、風味と塩味が調整できるので好みで合わせられるので数種類作っておくのも面白いと思います、私はフローラルの香りを隠し味(香り)的に入れる意味でオレガノとタイムに加えてフレンチラベンダーをほんの少し入れます。
イタリア産の定番ソフトサラミ

自家製ハーブ塩でイタリアン風味に

バブル景気は高いものほどよく売れるという変な時代でした、そんなバブル景気真っ最中な時代にはファッションブランドやスポーツブランドからも高級ブレンデッドウイスキーが商品化されていました。
90年代に入るといつの間にかこれらのブランドのウイスキーは姿を消していきました、また多くは香港やパリの免税店で発売され日本人向けを意識してかバックラベルなどには日本語表記されているのも面白いです。
当時は日本向けに高価なウイスキーを出せば売れた時代で今は無き銘柄のウイスキーも多数あります、アンティークウイスキーショップやリサイクルショップには見たことも無いウイスキーがずらりと並んでいます。
これらは全て80年代に免税店やリカーショップが並行輸入して販売されていたものです、風味はどれもトロンとした甘口でこれはこれで一つのカテゴリとしてのウイスキーとして美味しく飲めるものが多いです。
ブランディが流行っていた時期でもあり、当時のジャパニーズウイスキーがこれらに比べてドライな風味ということもあり、今思うに80年代はジャパニーズウイスキーの氷河期だったのかもしれません。
ダンヒル

バーバリー

JPS

高級コニャックの三大ブランドの一つであるヘネシーの最上級クラスであるXOは、80年代からバブルの象徴のようなブランディとして日本人に親しまれています。
バブル経済期ではクラブやショットバーで財布を気にせずゴクゴク飲めたヘネシーXOも今では特別な日にショットで飲むようなお酒になってしまいました、ウイスキー派の私もナイトキャップとして今でも時々楽しむ程度のお酒の一つになっています。
トロンとした甘い香りと味は至福の気分になります、バブルの頃にはこれを水割りやハイボールで飲む人がたくさんいました、本当に狂喜乱舞の時代だったのだと思います、高級コニャックは是非ともストレートでじっくりと香りを楽しみながら味わってほしいと思います。
ちなみにコニャックとかアルメニャックとはブランディのなかで生産地域を限定し厳しいルールの中で作られるブランディであり、優れた品質を保障されています。
現行商品は80年代からずっと同じボトルデザインです、最高級品とは百年以上経っても古さをまったく感じさせません、そこがトップブランドという存在だと思います。

80年代のミニボトルと比較してもまったく同じです、最高級コニャックと言われるだけあって40年以上経っても同じボトルとラベルなのですね