何を隠そう私がこれまでに一番多く飲んだアイラモルトがこの明るい琥珀色に輝くカリラ12年です、一時期はショットバーではこれしか飲まない時期もあったほどです。
一癖も二癖もあるピート臭やヨード臭が強く感じて敬遠する人もいるでしょう、でも一度好きになってしまうとこの香りが堪らなくなってしまうのです。
特にブルーチーズ好きの私にはブルーチーズを美味しく食べるためのウイスキーと言っても過言ではないほどで、アンモニア臭がきつく味が濃いブルーチーズと味も香りも本当に相性が抜群なのです。
ロックで飲むと若干の水分で連鎖アルコール分子が分解して味がガラッと変わるのも楽しいです、ストレートで気になっていたヨード臭も香ばしいカラメルコーティングのアーモンドのような香りに変化するのには驚きます。
アイラモルトの命ともいえるピート臭(スモーキーフレーバ)、ヨード臭(磯の香り)、加えてスパイシーな味を存分に堪能でき私個人的にはリーズナブルな価格ということもありアイラモルトのなかでもイチオシの逸品です。
尚、現在日本で手軽に購入できるカリラ蒸留所の銘柄はカリラ12年に加えてカリラ12年の原酒であるカスクストレングス版などがあります、もしもUD社発売の「花と動物シリーズ」のカリラ15年を現在飲んでみたいと思ったらオークションで落とすしかなく最低でも7万円は覚悟する必要があります、しかし味はカリラ12年に比べてコクが増して甘みが加わり至福の逸品です。
品名 カリラ12年
熟成年数 12年
カスク バーボン
蒸留所 カリラ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 43度
内容量 700ml
価格 6,000円~7,500円(2023年8月時点)
玄関脇の飾り棚に鎮座しているラフロイグ・セレクトカスク
魔除けだとかお清めだとか深い意味はまったくありません
左:ラフロイグ・セレクトカスク 右:ラフロイグ10年
ラフロイグ10年と並んで人気の高いセレクトカスクはペドロヒメネスシェリーカスク、シェリーカスク、バーボンカスクでそれぞれ熟成された原酒をヴァッティングしたうえでヴァージン・アメリカンオークカスクで更に熟成させたという4種の樽で熟成させた貴重なアイラモルトです。
ペドロヒメネスシェリーとは、一般的なシェリーの原料である白ワイン用の辛口ブドウ品種であるフィノではなく非常に甘い白ブドウ品種のペドロヒメネスを原料としたシェリーのことです。
またヴァージンカスクとはどのアルコール類の熟成にも使用されていない作りたての新しい熟成樽のことで、先に使われていた酒種の影響がまったく無く木そのものの味と香りが染み込みます、対してファーストフィルとはウイスキーの熟成として始めて使われる他の酒種に使っていたカスクのことです。
熟成方法が凝っているのにラフロイグ10年に比べてリーズナブルな価格としているのは、あくまでも個人的な推測ですがブレンデッドウイスキー向けに製造されている各種カスクの余剰分を上手く再利用したのではないかと思います。
8年前後の若熟成ものもブレンドされているのでしょうか鼻にツンとくる刺激臭もありますが、ペドロヒメネスシェリーカスクからくるのか甘みを感じるフルーティな後味や香りもします、とはいえアイラモルトらしいピーティーな香りに加えて上品なブレンデッドウイスキーのようなフルーティな香りを楽しめる逸品です。
アイラモルトらしいすべての要素を堪能できてこの価格は極めてコストパフォーマンスが高く、ショットバーでも気楽に飲めるボトルの一つでありアイラモルトファンには堪らなく嬉しい存在でもあります、ショットバーにラフロイグ10年と合わせて2本おいてあれば是非とも飲み比べてほしいと思います。
品名 ラフロイグ セレクトカスク
熟成年数 不明(ノンエイジ)
カスク ペドロヒメネスシェリー、シェリー、バーボン、ヴァージン・アメリカンオーク
蒸留所 ラフロイグ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 40度
内容量 700ml
価格 5,500円~6,500円(2023年10月19日更新)
特記事項 3カスクヴァッティング~ヴァージン・アメリカンオークカスクフィニッシュ
アラート 価格上昇中(2023年10月19日更新)
アードベック、ボウモアと並んで3大アイラモルトの一つとも言えるアイラモルトを代表するブランドがラフロイグです、そのスタンダードとも言えるのがラフロイグ10年です。
ラフロイグ蒸留所は1815年に開所した老舗中の老舗蒸留所で英国チャールズ国王御用達のスコッチウイスキー蒸留所として君臨してきました、その意味でもキング・オブ・アイラとも呼ばれています。
アイラモルトの強烈なピート臭とヨード臭がしっかり付加され若熟成のスパイシー感が口に広がる刺激はまさにキング・オブ・アイラの名に相応しいです、この強烈な味と香りから男性のアイラモルトファンに好まれる傾向があります。
また、ラフロイグは伝統的に熟成樽としてファーストフィル・バーボンカスクを用いていますので、後味の焦がしたカラメルのような甘い香りはここからきていると思います。
これは私の個人的な感覚ですが、ショットバーでラフロイグを数杯飲んだ次の朝にもピート臭が残っています、しっかり歯を磨いても胃から上がってくるのでしょうか不思議な現象です、それほどしっかり香り付けがされているという証拠かもしれません。
アルコール度数が40度でありながらアイラモルトらしい力強い味と香りを堪能できる逸品で、世界中のスコッチファンに愛され続けているのは納得するしかありません。
品名 ラフロイグ10年
熟成年数 10年
カスク ファーストフィル・バーボン
蒸留所 ラフロイグ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 40度
内容量 700ml(1,000mlボトルもあり)
価格 8,000円~9,000円(2023年10月19日更新)
アラート 価格上昇中(2023年10月19日更新)
左:ボウモア No.1 中央:ボウモア12年 右:ボウモア15年
色の違いに注目、No.1が如何に若熟成年数であることが色だけでも解る
(熟成年数の色比較は樽が同じ材質の場合に限る)
ボウモアの虜になった人に是非とも飲んでほしい次の1本がこのボウモアNo.1です、ボウモアの歴史そのものの初期のボウモアの味と香りのエッセンスを存分に楽しめます。
ボウモアNo.1はボウモア蒸留所発祥時の最も古い貯蔵庫であるNo.1貯蔵庫においてファーストフィル・バーボンカスクを用いて熟成させたもので、ボウモア蒸留所が最初に世に送り出した頃の味と香りを伝承させたウイスキーだとしています。
海辺の海抜ゼロメートルにあるNo.1貯蔵庫は潮の香りをたっぷりと吸い込んでアイラモルト独特のヨード臭が強いというか力強さを感じる逸品に仕上がっています、ボウモア15年と飲み比べてみるとまったく指向の異なる味で飲んだ瞬間は同じ蒸留所のモルトとは思えません。
アルコール度数は40度に調整されていますが熟成年数は不明です、ボウモア初期の荒さを残すために味や香りから推察して8年前後の熟成樽を数種類ヴァッティングしたシングルモルトだと思います、ボウモア12年と比べてみても色も薄く味も粗いので間違いないでしょう。
初期のボウモアらしさを伝承させたボウモアNo.1、ボウモア独特の強烈な癖を愉しみたい人にはお勧めの逸品です、ボウモア8年が飲めなくなった今ではボウモアNo.1は私にとって極めて貴重な存在です、この味と香りは血気盛んだった若き時代を思い起こさせてくれます。
現在価格が上昇中で量販店では売り切れも続出しています、いずれは買えなくなるプレミアムボトルになってしまうかもしれません、買えるうちに何本も買っておくべき貴重なアイラモルトだと思います。
品名 ボウモア No.1
熟成年数 不明(ノンエイジ)
カスク ファーストフィル・バーボン
蒸留所 ボウモア(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 40度
内容量 700ml
価格 5,500円~7,500円(2023年8月時点)
左:ボウモア15年 右:ボウモア No.1
ボウモア15年の熟成度は色だけでも解る
ボウモア12年はバーボン樽で熟成していますが、それをそのままシェリー樽に詰め替えて更に3年熟成したという手の込んだ製法のボウモア15年は「シェリーカスクフィニッシュ」の別名を持ちます、これらを評価されてか国際的なワインとスピリッツのコンペティションで2007年に最優秀金賞に輝いています。
また既に発売終了しているダーケストの後継品でありボウモアのキャッチコピーであるベストバランス・アイラの名をほしいままにしています、アイラモルトらしさを壊さずに極めて深いコクと旨みを感じる熟成アイラモルトの逸品です。
ボウモア12年同様に飲んだ瞬間と飲み込んだ後に広がる香りのバランスが絶妙で飽きのこないアイラモルトの傑作品です、またボウモア12年よりも更に甘い香りが強く長く漂うのでアイラモルトビギナーにも非常に飲みやすいと思います。
ただアイラモルトの熟成年数が少ない刺激的な味と香りを好む人には高級ブレンデッドウイスキーのような上品なマイルドさと甘い香りは敬遠されるかもしれません。
ピーティでスパイシー感だけがアイラモルトのエッセンスではありません、深いコクと味と香りのバランスを楽しむのもアイラモルトの楽しみだということを私に気づかせてくれた逸品です、いろいろなアイラモルトを飲めば飲むほど最終的にこういった風味に行き着くのです。
品名 ボウモア15年 シェリーカスクフィニッシュ
熟成年数 15年(バーボンカスク12年+シェリーカスク3年)
カスク バーボン、シェリー
蒸留所 ボウモア(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 43度
内容量 700ml
価格 11,000円~15,000円(2023年7月時点)