「人は誰でも種々様々な能力を持っているものなのに、どんな優れた能力があるかを知らずにいる場合が多い」
ソニー創業者である盛田昭夫の人材登用の金言です、常に世界をリードしてきた技術集団ソニーの名を世界に広めた彼の実績は実に大きいものがあります。
盛田昭夫は常に世界中にある工場を自家用ジェット機で回り、現場を自身の目で確認していました。
それは製品に関することだけではないのです、どんな人が現場にいるのかを観察するためなのです。
ビデオレコーダーでは世界に先駆けてベータ方式で製品を出したのですがVHS勢力に負け辛酸を舐めました、その悔しさをバネにブルーレイではソニー方式を世界スタンダードにすることに成功しました。
その裏には、優秀な技術者を適切な部署で活躍させたことは言うまでもありません。
自身が持っている能力は目に見える範囲でしか解りません、その点でいえば技術者の能力は実に計りずらいものがあります。
その思考や能力を正確に評価できるのはあくまでも経験豊富な技術者でしかないのです、個々人の見えない能力を100%引き出し有益に活用してこそ技術系経営者なのです。
「経営者の最大の仕事は人事」、なるほどのピカイチの金言です。
「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」
あまりにも有名な上杉膺山(ようざん)のこの一言、誰しも一度は耳にしたことがあるでしょう。
上杉膺山は江戸時代中期に財政難であった米沢藩の改革に取り組み、あっという間に借金を返済し藩の財政を安泰にした日本経済界では神様的存在です、今でも多くの経済人に彼の財務手法解説書は読み継がれています。
「為るように行動すればそれなりの結果を得るし、何もしなければ結果もまた何も無い」、駄目だと思ってもまずは動いてみることです、期待していたこととは別の処に結果が出るかもしれません。
結果を出せない人ほど思いこみ思考によって頑なに動きません、やる前から自身で結論を出してしまっているのです、だから何時までも期待する結果が出ないのです。
「最悪の結果であっても最良の結果」だと思います、何故ならどんな結果にせよその事項やその人に関しては終了するのです、つまり一つの課題を頭から消すことができます。
結論が出ない、結果が出ない、これこそが上手くいっていないという最悪の状態なのです。
その意味では、結論を先延ばしする人は経営者にとっては耐えがたい人種です。
身の振り方の判断に「何日までに回答します」という人は上手くいかない典型的な人です、決断はその場での即断即決です、細かい事はそれこそ自身の中でじっくり解消すべきことです。
「家族や社員と相談する」という引き延ばしは、自身の決断を先延ばしする都合を家族や社員を引き合いに出しているのであり、そのような人と重要なビジネスはできません。
もしも相手が結論を先延ばししたらどうするか、私は打診したという事実もその人もまた無かったものとして先に進みます。
待たせた相手が結論を出した時には状況が一変しており、こちらが受け入れなかったとしても原因は待たせた相手であってこちらが責を問われるものでもありません。
「状況停滞」、これこそ上手くいかない最大の要因なのです。
「誠にその才あれば、弱しといえども必ず強し」
漢書「ジュンイク伝」に記された、三国志にあって知将で知られるジュンイクの一言。
ジュンイクは曹操の重要な家臣の一人で、魏国建国に政治の基礎を作った文才です。
曹操は献帝を自国の許に移すことに成功します、その後ライバル武将たちの妬みなのか、あらぬ意地悪を事あるごとに受けることになりました。
「義を尽くし信じて起こしたことなのに、自分の起こした行動は間違いだったのだろうか?」
落ち込む曹操に、ジュンイクは冒頭の言葉で励ましたのです。
「本当に才能がある者は、今はどのような状況であれ何れは評価され台頭します。 才能のない者は今がどのように輝かしい実績を上げていようが何れは崩壊します」
成功する者はその途中経過を評して一喜一憂しません、真の評価は時が来れば自ずと明白になるのですから。
「天の時」を見極めて長期的な展望の基に計画を錬れること、必ず自身の夢を実現できる人となります。
※「ジュンイク」の漢字は当用漢字にない為に変換できません、したがってカタカナ表記としています。
「自ら人を遇するに礼なきを以って、人の己を謀るを恐る」
天涯孤独の人生を歩み、文武共に三国志中最強と謳われた武将「呂布」(りょふ、ろふ)が残した名言です。
「義を欠く振る舞いをして、それを咎められると反旗を翻す、このようにすれば何時相手が策略により反撃してくるのかと常にびくびくして暮らしていかなければならない」という意味です。
自分の策略が見破られ縁を切られたといって恩を忘れ義に反する行動を行う者は、警戒するあまりに自分の非礼や陥れを知る人から自分の悪事を隠そうと新たなる稚拙な行動を起こしてしまいます。
後ろめたい事が無いのであれば堂々としていれば何も起こらないのに、その警戒心からくる稚拙な行動がきっかけで逆に過去の愚行の数々が周囲の知ることとなります、哀れにも闇に隠れていた事実を自ら表面化させてしまう結果となるのです。
もしも、その相手が百戦錬磨の賢者だとしたらすぐには手を出さないでしょう。
賢者は天の時を何時までも待てます、相手が報復は無いと安心しきった頃を見計らい絶対的な方法と絶大な威力をもって致命的な報復をするに違いありません。
「災いは、忘れた頃にやってくる」(寺田寅彦)
だから、絶対にどんな時も恩を忘れず義だけは通さなくてはならないのです。
そうでなければ一生安堵な日々を送ることはできません、そして成功などは生涯に渡り有り得ません。
「智者は時に後れず、勇者は決を留めず」
後漢末期、黄巾軍の反乱に困った朝廷は、薫卓(とうたく)と皇甫崇(こうほすう)に反乱軍の討伐を依頼します。
すぐさま軍を上げ討伐に向かう薫卓、しかし皇甫崇は一向に動きません、そして見かねた名将薫卓が皇甫崇に言い放った言葉がこれです。
ビジネスに最も肝要なのは動くタイミングです、つまり天の時です、そして常に持つべきゆるぎない覚悟です。
「今、発動すべきか」、「今は待つべきか」、「今、撤退すべきか」、この「動くタイミング」、すなわち「好機=チャンス」を見極めるセンス、これが成功者の絶対的な条件となります。
このタイミングを見極めるためには、世の中の景気動向やブーム、政治的なインフラや法的事項など、あらゆる事項に精通していなければなりません。
そして、状況把握、分析、結論と実に多くの要素を瞬時に検討しなければならないのです。
対して、思いつきや思い込みなどの感情的要素で動くのは、既にその時点で失敗を意味しています。
ましては、自己利益や自己防衛などの自己都合で動くのは、もっての外で確実に失敗します。
また「一旦決まった結論は、躊躇せずにどんな結果になろうとも即行動し、結果が出るまでどんなに苦労しようとも継続する覚悟」、それが成功する「人としての器」なのです。
「心の準備が無い」、「よく検討してから」、これらは「やりたくない」という口実です、それであるならきっぱりと、「最初から無かった事にする」という潔さが肝要です。
「やろう!」、それで如何なる理由が有ろうが途中で躊躇うなら、何をやっても良い結果は出ることはありません。
決めた以上、何をおいても最後までやり通すことが肝要です。
障害は動いた後で、じっくり取り除けばよいのです。