突然ですが「無借金」とは「借入金がゼロ」という意味ではありません、借り入れなどの返済債務の総額に対して現預貯金と貸付債権の総額が上回っている状態を指していいます。
つまり債権債務を相殺することにより何時でも債務を清算することで「無借金」状況となるからです、また特に借り入れや保証人などの金銭の支払い債務が一切無い場合を「完全無借金」といいます、この「完全無借金」状況を成し得たいと思うのは事業を興している経営者でなくてもローンを抱えている人など誰しも考えることだと思います。
この「完全無借金」状況ですが私は経営者になってから起業当初の約2年間の他にバブル経済期に6年間という長期安定期間を経験しています、更にその後に上場企業傘下に入っていた2年間と経営者になってから都合3回の「完全無借金」状態を経験しています、常に大規模な事業投資や開発投資を繰り返し法人だけではなく個人でも融資の保証人などで大きな債務を抱えるのが事業を興す経営者人生として当たり前のようになっていました。
事業資金により大きな債務を抱えるということはそれだけ大きな事業を興しているということの裏返しでもあります、一人でできる範囲の小さな事しかやらずに無借金だと豪語しても事業家として誇るに足りません、ある意味では投資額(借入金による)の大きさはその人の信用力を測る指標でもありますが同時に投資回収や借入金を完済できるかどうかも重要な指標でもあります。
そんな私の過去にはこんな事実があります、上場企業の傘下に入り一旦は法人個人共に「完全無借金」となるも2年後に傘下から離れる際にバイアウトの為の譲受資金全てを調達できず、代わりに相応の債務を引き受けることを条件として傘下からの自立再興を果たしました。
つまり上場企業傘下から離脱した再興時には法人個人合わせて億を越える莫大な債務を抱えての再出発だったわけです、その後は幾度かの天国と地獄を繰り返して今のような平穏な状況があります、ちなみに離脱後の4年間ほどは利子だけがどんどん増えて元金は一向に減らない状況が続き一時期は将来に大きな不安を抱えることもありました。
それでも一昨年の暮れにメイン法人がまず完全無借金状態となったと同時に個人も債務がゼロとなり現在では老後計画の経済基盤となる預金に加えて債権を多数保有できるまでになりました、更につい先日メイン法人の他に私の関係するグループ法人を統括して完全無借金状態となりました。
経営者というもの会社にお金が足りなければ個人の借り入れは当たり前のように発生します、なのでそれなりの売り上げ規模の会社で経営者個人の債務がゼロというのは本当に稀なことです、再興後にも一旦債務がゼロになるという瞬間がありましたが達成間際にIT事業を復活させ事業投資で再び大きな債務を抱えてしまいました。
この完全無借金状況は14年前の再興時に10年以内には達成したいと頑張ってきました、若干予定が伸びましたが新型コロナ禍中にもかかわらず経営者人生で4度目の法人個人合わせての「完全無借金」を達成することができました。
2年間で43兆円という新型コロナによる政府の中小企業支援策が昨年打ち切られ、リーマンショック後のゾンビ企業数を超える中小企業のなんと24%というゾンビ企業続出のなかでの達成は本当に並大抵のことではありませんでした、でもこれで将来の憂いが完全に消滅しました。
今後は隠居を考え新事業を興すにしても無理の無い範囲で収め大きな事業投資を行うことはありません、後継者や身内に資産と私財を残しても負の財産を引き継がせることはありません、これで心置きなく隠居し悠々自適なセカンドライフという隠居生活を送ることができそうです。
※「ゾンビ企業」とは実質的には破綻状況であり、政府や金融機関の支援を一切受けられず個人借り入れなどによってなんとか存続しており、個人借り入れができなくなった時点で倒産が確定してしまう企業の俗称。
1年ほど前から隠居後のスローなセカンドライフにおけるボケ防止を意識して経営者駆け込み寺やベンチャー企業グローンアップ支援などのサイトを幾つか立ち上げました、私の信条である準備に早すぎることはないということを実践したというわけです。
いざ始めようと思っても用意が無ければ準備に1年もかかります、更にはサイトが周知され検索されるまでには長期間を要します、それではせっかくの気持ちが萎えてしまいます、そんな経験を若い頃からしてきて常に5年10年先を先取りするように行動開始するのが私流なのです。
最初の問い合わせまでには1年以上は猶予があると考えての早期準備だったのですが、驚くことにサイトオープンの半年後くらいから検索に引っかかるようになったのかポツンポツンと問い合わせが入るようになりました、緊急性を要しない問い合わせには丁重に準備中であることを伝えています。
それでも早期に施策しないと好機を逃すと感じた1社とは早々に契約し、第三者割り当て増資や資本政策などのコンサルティング契約を締結し月額報酬に加えて2回に渡る第三者割り当て増資での成功報酬を得るまでに至りました。
メイン事業法人から隠居し報酬がゼロになったとしても、公的年金と自己年金に加えてボケ防止策としてのコンサルティングの年間報酬総額は独り身の私には充分過ぎるほどの額になります。
つまり常に1社とコンサルティング契約できていれば老後は悠々自適に道楽を楽しみながら暮らせ、更には道楽ごとでの大きな設備投資やいざというときの貯蓄もしていけるという確証が得られたわけです、この実績は気持ちのうえで隠居への大きなバックボーンとなりました。
ぼんやりとしていた隠居後のスローなセカンドライフでしたが、早期準備によって思わぬ結果が得られ何となく最終ゴールが見えてきたような気がします、更には今の時代は積極的な狩猟型リアルマーケティングではなく入念な準備を行い待つだけの農耕型デジタルマーケティングが有効だということも身を以って実証できたというわけです。
今年は秋が無かったと思えるほどの異常気象で11月に入っての真夏日は気象観測以来の記録更新だそうです、そんな異常な暑さも先週末から急に初冬らしい涼しい風が吹くようになりました、駅前広場や大通りには恒例のクリスマスイルミネーションも点燈しいよいよ年末を感じさせるようになりました。
新型コロナウイルスも最近では人々からようやく意識が薄れてきたのかパンデミック前の状況に戻りつつあります、否むしろ夜の帳はパンデミック前よりも人で溢れかえり活気付いています。
私の年末恒例行事といえば各種の断捨離ですが今年はこれまで以上に物を捨てようと計画中です、特にスペースを取られていた業務用冷蔵庫やワインクーラーに加えてコレクションに値しないオーディオ関連製品や家具などを大量に処分します。
私の中での断捨離の重要性は不要なものを捨てるのが目的ではありません、新たに興味を抱いている物を保管するためのスペースの確保です、それでも足りないときには別にスペースを用意してしまうという陰陽極まった思考なのです。
これまでにやりたくても各種の要因で出来なかったことが山ほどあります、隠居後のスローなるセカンドライフを意識しつつ今年は大いに断捨離することにしましょう。
ちなみにビジネスでの各種断捨離は3月から始めており今月末で一旦は完了します、物の断捨離が物理的なスペースの確保が目的ならビジネスでの断捨離は脳のスペースの確保です、空いた脳のスペースで来年は誰とどんな愉しみ事をしようかとワクワクが止まりません。
「乙女心と秋の空」と言うように秋は天候の変化が激しく日々寒くなるので物憂げな気持ちになります、従心近い私も秋には多くの特許出願や新事業のアイデアなど脳がフル活動する季節ですが他方で心境の変化も湧き上がり心情的には極めて忙しくなる季節でもあります。
さて心情の変化ということに関してですが昨今突然のように湧き上がってきた違和感があります、そのきっかけとなったのが時々送られてくる区役所からのアンケートです。
先日そのアンケートをゆっくり読んでみて何やら天からの黙示のように感じたのです、そのアンケートとは要介護保険を支払っている独り暮らしの高齢者を対象にしたもので要約すれば「生活するうえでお困り事はありませんか?」というものです。
そして心情の変化とは私はもう他者から支援される側の人間なのだという気付きです、これまで自身が行えることで他者への各種の支援を意識して公私共に生きてきたのですがこのポリシーに突然違和感を感じるようになったのです。
長い期間ずっと愛猫から観葉植物、アンティークオーディオから保存用アンティークウイスキーの世話をしてきて加えて他者の事業や経営の世話までしてきました、愛猫や植物などは道楽ごとですが他者の世話は世話される側が自ら行うことではないのではないのか、もうそろそろ人を対象にしたボランティアライクなことは止めようじゃないか、そんな強い黙示を天から受け取った気持ちになったのです。
そんな黙示を感じてしまったらボランティアライクな事が急に偽善に思えるようになり自分らしくないと考えるようになってきたのです、思えば未来への布石で幾つかのボランティアライクな事業の準備をしているところです、さてこの受け取ってしまった黙示をどう解釈し軌道修正したらよいのだろうかと考えている昨今なのです。
つい先日正月が開けたと思っていたらもう今年も残すところ3ヶ月を切りました、メイン事業会社は大規模案件受注に始まり大規模事業提携に終わる1年になりそうです、今年の夏は名実共に猛暑そのものでした。
話し変わって蝋燭は燃え尽きる直前が最も明るく、ウグイスはあの世へ旅立つ直前が最も美しく鳴くといいます、どんなものでも最期に本分を発揮するものなのでしょう、私のビジネス人生もかくありたいと思います。
隠居を意識しだして早7年、近づくばかりかどんどん離れていきそうだったビジネス人生のXデーですが、今年の流れが正しければ来年の暮れにはゴールがぐっと目前まで迫ってくるような気がしています。
そんな予兆を感じてか既に幾つかの隠居後の準備を粛々と始めています、まず現在のメイン事業会社では未来に憂いを感じる取引先を1年かけたソフトランディングによって契約解除し常に付きまとうストレスからスタッフを解放しました。
また祖業会社では債権債務及び不良資産がすべて片付き会計諸表は起業したての会社のように綺麗そのものになりました、当初の計画では上場企業からの再興から10年で完了する予定でしたが蓋を開けてみたら全てが完了するまでに14年近くかかってしまいました。
40年という歴史ある会社ですが、存続意味が無くなった現在においては株主に理解してもらい残余財産があるうちに解散登記して財産を分配する方向で準備を始めました、この間に引き継ぐべき事業は新社を設立し事業承継も完了しています。
同様に存続させる意味と必要が無くなった幾つかのグループ法人も順次会計諸表を綺麗にし、いずれは他者に譲渡するなり解散登記して身辺整理しておきたいと思っています。
「立つ鳥、跡を濁さず」、隠居の際には後継者にどんな憂いもマイナス資産も残したくはありません、そんな意味でビジネス人生最期の大掃除をしつつメイン事業法人の経営基盤を磐石にしたうえで気持ちよくバトンタッチいたしたく思います。