円安が止まりません、ついに先月末には対ドルの瞬間値で160円をつけてしまいました、つまり2年前に比べて40%も一気に加速的に円安が進行しています、その煽りで輸入品は1年で倍になり賃上げ分は瞬間的に水の泡と消えました。
このスーパー円安を受けて海外観光客の伸びも著しく観光名所ではインバウンドバブルが起きています、そして寿司屋をはじめ外食産業で大幅な値上げが発生し日本人からどんどん高級食材が遠のいてしまう結果となっています。
そんなスーパー円安は経済指標にも現れています、それは国の経済力を示すGDPです、日本は昨年ドイツに抜かれ4位に転落しました、そして2030年ごろと予想されていたインドにも来年度に抜かれ5位になる公算が出てきました、次いでイギリスにも抜かれることは疑う余地もありません。
ちなみに先進諸国でGDPの伸びが右肩下がりなのは日本だけです、一時期低迷していたヨーロッパ各国も新型コロナウイルス禍を他所に右肩上がりの状況です、いずれにしても2050年には10位以下となるのは必至で今更何を講じたところで人口減少が止まらないのですから改善の見込みは期待薄です。
むしろ上位で無理してGDPを伸ばそうと国民に負担を強いるよりも、国力は低位でも豊かに暮らせる国にしてほしいと願います、政府は海外協力投資よりも国内投資に資金を向けてほしいです、まあ遅からずGDP10位ともなればそうせざるを得ないのですから甘んじてGDPの降下を受け入れ静観しましょう。
ところでこのスーパー円安を受けて巨万の富を得ている国があります、それはずばり日本です、何故なら日本は世界一の外貨準備高を誇る国だからです、世界的にGDPの約5%の平均値に対して日本は驚くことに25%の外貨保有率を誇ります、政府も日本銀行も危機的な円安になっても円安を容認しドル売りのタイミングを図る余裕すら見せています。
ちなみに円安を追い風に23年度の日本の経常収支は25兆4,000億円と突出の過去最大額となり22年度より16兆円も増加しているという事実があります、ということで為替介入には消極姿勢となり当面円安は続くでしょう、ただし一旦円高にトレンドが振れた場合は日本銀行は絶好の好機と捉え一気にドル売りをしかけ130円近辺まで戻すと思います。
宇宙で最初に誕生した原子である水素ですが、この水素が未来のエネルギーとして各所で研究が進められています、また一部では既に新たな次世代燃料として実用段階に入っています。
この水素のすごいところは酸素と結びつくことで瞬間的に高温で燃える高エネルギー原であるということです、サントリーではこれを利用して蒸留装置を新たに水素用に改良し水素を原料とした世界初の蒸留所を造りました、高速で蒸留原酒を連続的に造れるために水素は高額でも原価率を抑えることができるといいます。
そしてもう一つ最大の特徴は二酸化炭素を一切出さないというスーパークリーンエネルギーであることです、現在世界中で二酸化炭素低減策を繰り出していますが水素はこの問題を即解決します。
また自動車エンジンのエネルギーとして日本を始め各国で研究が進んでいます、これも近いうちに実用段階に入るでしょう、ただしガソリンに代わる水素スタンドというインフラ整備の問題が急浮上してきます。
現在では水素の価格は高額です、また水素を作るために二酸化炭素を排出するという問題があります、ただこれも太陽光発電や風力発電を利用すれば解決します、水素の製造は水を電気分解によって精製しますから多くの電力が必須となるのです。
燃えても水しか排出しない高効率クリーンエネルギーとして期待される水素ですが火力が強い気体だけに事故が発生すれば極めて大きな災害となります、この辺りの研究が遅れている現状があります、これをクリアできれば化石燃料は加速的に水素に置き換わっていくことでしょう。
2023年6月に日本政府は水素基本戦略を改定し2040年までに15兆円もの予算を計上しました、化石燃料の資源が無い日本は世界に先駆けて水素を次世代エネルギーにしようと計画しているのです、ここに大きなビジネスチャンスが転がっているのを見逃してはいけません。
コンビニエンスストアと都市型ミニスーパーの台頭により肉屋・魚屋・八百屋などの個人商店が消えてなくなっていった状況と酷似しているのが昨今の飲食業界です、全国のラーメン店や焼肉店をはじめ中小規模のレストランが今年に入り大挙して倒産に見舞われています。
新型コロナウイルス禍以前にも予想されていた状況でしたが何とか国の持続化給付金や営業時間短縮協力金によって持ちこたえていたとみるのが正解で、その根拠に給付金が支給されなくなるや否や続々と倒産に追い込まれる飲食店が急増しています。
この裏には円安と物価高による仕入れ食材と光熱費の大幅値上げ、そして所得倍増計画での人件費増に加えて借入金返済やリース支払いが重く圧し掛かってきたと考えられます、それならばと価格を上げるとお客さんが離れていくというジレンマによって易々と価格を上げることもできません、その結果止むを得ず破産を選択するしか自分や家族を守る方法がないということです。
今後どのような状況に収束していくかといえば、大手チェーンの大型居酒屋や国際ホテル内にあるような高級レストランと街中華にビストロやショットバーなど客数10数人で満席になるような一人で店を回せる小さな飲食店が生き残ると予想できます、これは不動産屋の空き店舗情報に素直に反映しています。
このどちらにも属さない中間規模の飲食店が生き残るには極めて厳しい状況が今後も続きます、この秋にも2年連続の更なる大幅な物価高が報じられています、所得が当面抑えられる庶民は徐々に外食を控えるようになるでしょう。
代わって売り上げ絶好調なのが高級冷凍食品です、店でしか味わえないような焼き魚やステーキなどの惣菜や具が多い本格的なパスタや丼物がレンジで暖めるだけで作りたてのように美味しくいただけます、日本の冷凍技術は世界一で今やお寿司も自然解凍で美味しくいただける時代です。
わざわざ食べに行かなくても今では家で本格的な美味しい料理が手軽にしかも安価に楽しめてしまう時代なのです、しかも冷凍食品は防腐剤や酸化防止剤などの添加物もほとんど使われなく長期保存でも安全です、どんなビジネスでも時代の流れを正しく読んで素直に合わせることが生き残る方法だと思います。
国連開発計画が先月発表した最新の「豊かさランキング」(HDI値による)で日本は24位と順位を下げ先進諸国で最低の順位となりました、ちなみに1位から3位はスイス、ノルウェー、アイスランドでアジアで最高位は香港の4位です。
この豊かさを測るHDI値とは健康・知識・生活水準の3つの指標を数値化して最終的に人間開発指数(HDI)を割り出しています、健康は平均余命を基に計算され、知識は予測就学年数などを基に計算され、生活水準は国民総所得を基に計算されています。
ここで推察できるのは日本の数値が上がらない理由は生活水準の基となっている所得の低さだけです、国民一人当たりのGDPが日本は現在32位なのですから当然といえば当然の結果です。
ただ所得が低いから困窮しているのかというと物価自体が先進国では最低ラインであり平均所得だけで豊かさを測れないとは思いますが、現在の指標の計算方式があくまでも米ドル換算での数値なのですから致し方ない結果となっています。
また日本国内での豊かさアンケートの結果は実情をより正確に反映しています、最新の結果では「ゆとりがなく希望が持てない」という人が始めて60%を超えました、2008年のリーマンショック以来の調査で最低の結果となりました、別の調査では20代の70%の人が「未来に希望が持てない」という結果もあります。
各種の数字だけを拾えば30年前までの経済大国だった日本は今や発展途上国並みの生活水準に落ちてしまっています、そして貧富の格差は広がるばかりです、生活に困窮している人が増える一方で個人の金融資産総額が過去最高値を記録しました、日本は豊かなのか貧しいのか解らなくなる結果が両極端に出ています。
どのような状況であれ希望だけは捨てるべきではありません、戦後まもなく生まれた私の子供の頃は日本総極貧時代でした、でも国民の全員が未来に希望を持っていました、その10年後の日本は世界を震撼させたほどの復興の速さと経済力の復活を遂げたのです。
「ゆとりがない」と言いながらも自助努力せずじっと我慢だけしているうちは生活向上は遠のくばかりです、そして未来志向で新たなことに挑戦し続けている人との経済格差は広がる一方となるのは至極当然の結果だと思います。
今3月13日、日銀は2016年1月に導入したマイナス金利政策を8年ぶりに終了させ金利を引き上げることを決定し21日より実施しました、これによって各金融機関もローン等の金利を引き上げました。
ちなみにマイナス金利政策とは金融機関が国庫に預ける場合に手数料を取られますが、この手数料が貸付金利を上回ることにより実質的に貸し付ければ損を出すことにより生まれた言葉で、貸付金利自体がマイナスになることではありません。
このマイナス金利政策の終焉によって経済シンクタンクでは、この先の市民への影響として住宅ローンをはじめ各種ローンの金利が上がり、また段階的に金利が引き上げられる見通しであり返済が困難になる法人個人が増えると警鐘を鳴らしています。
マイナス金利政策時代に多くの人は固定金利ではなく当面の金利が低い変動金利を選択しています、これが金利上昇によって返済額が高くなってきます、加えて物価上昇も今4月から更に進む状況から所得上昇が追い付かずに多くの人が破綻状況になると予測しているのです。
残ローンがある持ち家を売ってローンを清算し賃貸に移るという具体的な相談も不動産業者に増えているようですが、ほとんどがオーバーローンであり家を売ってもローンを清算することはできません、更には新型コロナでの緊急融資の返済も63%の人が遅延している状況が追い打ちをかけます。
いつの時代もこういった状況の際にはみんなと同じことをしないことが重要です、金利上昇を逆手にとって実質的に返済額を減らすよう思考するのが結果的に勝者になるのです、世の中がどのような状況になっても選択を間違えなければ勝者になり間違えれば敗者になるということです。