
アンティークウイスキーブームということもあって始めてリサイクルリカーショップを覗いてみました、そこで大きな発見がありました、それはバーボンがほとんど無いことと意外にも高値が付いていたということです。
店員さんにも聞いてみたのですが、アンティークバーボンは持込が少なく並べればすぐ売れていくのだそうです、アンティークバーボンのニーズはそう高いとは思えないのですが私なりに理由を考えてみました。
バーボンがブームだったのは70年代後半から90年代前半くらいです、この頃は国産ウイスキーからバーボンやスコッチブレンデッドにニーズが移り大量に輸入され消費されていきました。
輸入税の緩和などからそれまで高額だった海外の酒類の価格がどんどん下がっていき国産ウイスキーよりも安くなってバーボンやスコッチブレンデッドブームが起きたのだと思います、スナックなどでのキープウイスキーの半分以上がバーボンという時期もあったほど一時期は日本人の多くがバーボンを飲んでいました。
ただ贈答用となるとスコッチブレンデッドのケースの豪華さもあって高級感が好まれました、つまり高級スコッチブレンデッドは贈答用などで保管されているので現存数が多くバーボンの多くが既に消費され当時の流通品はほぼ枯渇してしまっているのだと推測します。
これがバーボンのアンティークボトルがほとんど出ない理由だと思います、時代が変われば価値対象が変わるというのはこういうことです、当時1万円以上もしたアンティークのスコッチブレンデッドが6,000円で買える時代に当時3,000円だったスタンダードバーボンが恐ろしいことに軒並み1万円以上しているのです。
希少価値があるとはいえ10万円以上も出してアンティークバーボンを買う心理は理解できないかもしれませんが私には理解できます、狂喜乱舞した異次元の世界で浴びるように飲んだバーボン、当時を思い出して再度当時の風味を味わいたいという願望は私には正常だと受け入れられます、スコッチもそうですが同じ銘柄でも今のものはマイルドな傾向ですが狂った時代の尖った味とは別物なのです。
同じように当時は1,000円で買えたスタンダードスコッチブレンデッドのJ&Bやホワイトホースなどもノンエイジでありながらも高級スコッチブレンデッドよりも高値で取引されています、これもバーボンと同じで当時買われては消費されていったウイスキーであり現存数が極めて少ないからです。
未来に何が起きるのかを正確に読んで今の行動に繋げている人はなかなかいません、過去のオンタイムのリアル情報と日本のウイスキートレンドなどあらゆるウイスキーに関する正確な情報を得て10年後のウイスキー事情はどうなっているかという予測はそれほど難しいことではありません。
解る人には正確に10年後のウイスキー事情は既に解っていることと思います、今ここで言えることは世界中でウイスキー蒸留所の新設ブームが巻き起こっていることと現存のウイスキー蒸留所が昨年辺りから増産に切り替えているということです、そして人の趣向はそう長くは続かないということです。

昨年8月に国産ウイスキーが店頭から消え在庫のある多くの国産ウイスキーが値上げしていると伝えましたが、来月4月にまた平均で30%程度の値上げが行われることが解りました。
ショットバーや居酒屋にお酒を卸している業者の告知書を先日行きつけのショットバーで見せてもらいましたが、この2年間で都合3度目の値上げとなり1年前の価格に対して倍以上になっている銘柄さえあります。
現在では既に多くの国産ウイスキーメーカーではシングルモルトのカスク原酒が枯渇しています、更にはシングルグレーンのカスク原酒も枯渇しているという情報があります、つまり何をしても国産のウイスキーが作れない状況になっているのです。
オークションサイトでも信じられない価格で売買されています、ショットバーやクラブでは業者から手に入らないのでオークションサイトで高額でも何とか手に入れているといいます。
私のように手に入らなければ別のもので代用しようということはお酒をビジネスにしている人には通じません、お客さんからの要望で何としても手に入れなければ売り上げにならないからです、国産が無いからスコッチやアイリッシュで代用というわけにはいかないのです。
何に使うのでしょうか、オークションサイトには国産シングルモルトの空瓶が大挙して出展されています、いったいこの状況はいつまで続くのでしょうか、手軽に本物の国産シングルモルトが飲める日が早く戻ってくることを願うばかりです。

国産高級シングルモルトウイスキーやスコッチシングルモルトが次々にリカーショップの店頭から消え、ついにはネット通販サイトでも在庫ゼロ状態だということをこの一ヶ月間の間にお伝えしてきましたが今後は日本国民の愛飲ウイスキーの鉄板であるサントリー角が店頭からもネット通販サイトからも消えつつあります。
高級シングルモルトウイスキーは熟成に期間がかかるため一時的な減産による原酒枯渇で生産できないという状況は解るのですが、角はブレンデッドであり日本のウイスキー規格に則り蒸留したての飲用アルコールをブレンドしてもよいウイスキーです。
何時でも量産可能な昔からのポピュラーウイスキーが消えてなくなるとは信じがたい事実であり大きな事件です、その裏には大きく2つの驚くべく理由がありました、この2つの理由の前に国産シングルモルトウイスキーの枯渇により需要が増したという3つめの理由も前提にあります。
新らしい理由の一つは新型コロナパンデミックにより家飲みが増えて1年ほど前から工場在庫がほぼゼロになったことです、家飲みにはサントリー角は最適でストレートからハイボールまで美味しく飲めるので最適なウイスキーだったわけです。
二つめの理由は家飲み需要で在庫がゼロになり増産で何とか凌いでいたところに海外旅行の解禁が加わり韓国旅行者が次々にサントリー角を買い求めていったことです、サントリー角はここ最近韓国では大人気のウイスキーで日本では1,500円で買えるのに国産ウイスキーを持たない韓国ではバランタイン12年と同クラスの4,000円以上もする高級ウイスキーです。
加えて有名なKポップシンガーが角を片手に持った動画の拡散により韓国でサントリー角が更なる大ブームを引き起こし円安も加わり韓国旅行者がお土産に爆買いしているのです、これらの理由が重なり1960年の発売以来常に売り上げトップの座を守ってきたサントリー角がなんと店頭から姿を消すという事態に陥ったのです。
居酒屋でも大人気の角ハイボール、業務用の2.7リットルや5リットルボトルまで品薄で価格上昇しているそうです、そこで居酒屋ではスコッチブレンデッドのJ&Bやバーボンのジムビームに切り替えて凌いでいるのです。
90年中期からつい数年前までほぼステイディに安定していたウイスキー状況が新型コロナパンデミックをきっかけに大きく変化しています、ショットバーでもカクテルよりもウイスキーが多く出るようになりこれまで見たこともないウイスキーが次々と輸入されています。
ウイスキーファンの私としては飲んだことのないウイスキーを海外まで行って買ってこなくても散歩がてらに近所のリカーショップで買えるようになったのは嬉しい限りですが、これまで愛飲してきたシングルモルトウイスキーの多くが2~3倍と価格が上昇しているのは何とも言えない気持ちになります。

つい先日ジャパニーズウイスキーのシングルモルトや高級ブレンデッドが原料となるカスク原酒が枯渇して生産中止状態となっているとお伝えしたばかりですが、ウイスキーの本場スコットランドでもカスク原酒が枯渇している蒸留所が続々と現れ始めました。
数年前から国産シングルモルトが手に入らないならとスコッチシングルモルトのニーズが高まりつつあったのですが、ついに標的となったスコッチ銘柄もここにきて続々と入手困難状況になっています。
最も驚いたのがアイラモルトのブナハーブンです、1年ほど前から話題になっていたラガヴーリンではなくまさかのブナハーブンのノンピーテッド版が現在ではまったく手に入りません。
現在手に入るのは価格は上昇しているもののヘビリーピーテッドのトチェクアガーとピーテッドのキャビノックに加えて免税店限定販売のエリーナグレーネとクラックモナの1リットル版2種だけです、オフィシャルの12年・18年・25年及びステューラダーは超が付くほどの幻のアイラシングルモルトと化してしまいました、25年はつい先日8万円という価格になっていましたが完売表示が目立つようになりました。
考えるにブナハーブンはアイラモルトでありながらトチェクアガーなど限られた銘柄以外はノンピーテッドを前面に押し出している蒸留所です、ジャパニーズシングルモルトの代替品として必然的に標的になったのではないでしょうか。
私が本ブログでブナハーブン12年を紹介した際にアラートを発していましたが、それから1ヶ月もしないうちにショップ店頭は勿論のことネット通販でも全て在庫ゼロの表示です、更にはフリーマッケットサイトやオークションサイトも1ヶ月以上に渡りウォッチしていますが1本も出てきていません。
またキャンベルタウンのスプリングバンク蒸留所関連の銘柄の価格が急騰しています、スプリングバンク10年やキルケラン12年は1年前の2~3倍の価格となっています、既にヘーゼルバーンとロングロウは幻のシングルモルトになっています。
ローランドでは閉鎖から2000年に創業再開したばかりのブラドノックがカスク原酒の枯渇からか入手困難状況で価格が急騰しています、今後は生産量の少ない蒸留所銘柄はほぼ入手困難になっていくと思います。
アイラモルトファンの私として現在大変気になっているのが、もともと蒸留所自体の生産数の少ないアードベックの限定版と数量限定のラガヴーリン10年です、これらも価格急上昇中で買えるうちに予備を買っておこうと思います。
愛飲ウイスキーがある日突然消えてなくなるときが来る予兆をひしひしと感じ恐々とする今日この頃、この感覚はバブル経済崩壊とほぼ同時に忽然と日本市場から姿を消した高級ブレンデッドウイスキーの数々を彷彿させます、これらが30年以上経って再び脚光を浴びる日が来るなんて誰にも想像もできなかったでしょう。

現在ほぼ日本のシングルモルト及び高級ブレンデッドウイスキーが店頭から姿を消しているのをご存知でしょうか、サントリーの山崎・白州・響などは店頭から姿を消し定価の2倍~3倍でオークションにかけられている状態です。
この理由は明確で、80年代の日本におけるジャパニーズウイスキー離れが進んだジャパニーズウイスキー氷河期にあります。
世はまさにバブル全盛期でそれまで高価で影を潜めていたワインやスコッチウイスキーが飲まれるようになり、各種のワインや高級ブレンデッドウイスキーがどんどん輸入されました。
これを受けて日本のウイスキーメーカーは生産を一気に控えるようになります、90年以降も徐々に回復傾向に向かったとはいえ減産は継続されウイスキーブームが再び沸き起こる2015年くらいまで続いたわけです。
シングルモルトは熟成に最低12年はかかります、この結果現在のニーズに合わせてどんどんボトリングして出荷したくても原酒が枯渇して無いのです。
冒頭の3種は現在既に生産中止状態です、加えてニッカウイスキーの余市・竹鶴も生産中止に追い込まれました。
これが解消するまでにおそらく10年はかかるでしょう、この間に国産ウイスキーが無いならスコッチウイスキーということでスコッチウイスキーのニーズが急速に高まり今度はスコッチウイスキーの価格が大幅に高騰しているというわけです。
加えてスコッチウイスキーの原材料であるモルト自体がウクライナ情勢の余波で価格高騰しており、世はまさにウイスキーバブルに突入しているのです、ちなみに品薄銘柄は1年前の価格の2~3倍にまで高騰しています。
私の不安は今のウイスキーブームが去った後、今度は国産ウイスキーやスコッチウイスキー余りという逆転現象が起こることです。
この10年ほどは世界中がウイスキー蒸留所の新規設立ブームで沸いています、日本でもこの数年で国産シングルモルトウイスキーを造ろうという蒸留所の設立ラッシュが起きています、また多くの焼酎メーカーまで国産モルトウイスキーの生産を開始しました。
いつの時代も世の現状を冷静に把握し5年・10年先に起こるべく状況を正確に読んで行動した人が勝者になります、今の状況をどのように思考しどのような行動を起こすべきなのでしょうか。
少なくても10年後には今の状況は確実に一変しています、一つ言えることは歴史は確実にリズミカルに陰陽状況を繰り返すということです、「昇りエスカレーターを確認したら即乗り頂上手前で降りる」、これはビジネス常勝の心得です。