アメリカンウイスキーのなかでケンタッキー産といえばバーボンです、アーリータイムズもケンタッキーを代表するバーボンやアメリカンブレンデッドウイスキーを造り続け戦後は販売数1位を誇っていました。
そのアーリータイムズから2022年9月に新時代のアメリカン・ブレンデッドウイスキーとしてホワイトが発売されました、アーリータイムス・イエローが終売ということでイエローは現在7,000円前後まで価格上昇しています、それに対して新たに誕生したホワイトは1,500円で手軽にケンタッキー産のグレーン&モルトブレンデッドウイスキーを楽しむことができます。
スコッチでは裏のウイスキー種の欄には「モルト、グレーン」と書かれているのが一般的ですが、アメリカン・ブレンデッドウイスキーであるアーリータイムズの場合は「グレーン、モルト」と書かれているのも面白いです、あくまでもライ麦やトウモロコシで造ったグレーンがメインだという意思表示なのでしょう。
スコッチブレンデッドはモルトをベースに大麦や小麦で造ったグレーンをブレンドしていますが、おそらくアーリータイムズはライ麦やトウモロコシで造ったグレーンにモルトをブレンドし更にアメリカンオークカスクで熟成したものだと思います、詳しいことは公表されていないので詳細は解りませんがボトルの表記から推測するとほぼ間違いないでしょう。
早々に購入し試飲しましたがバーボン特有のバーボン臭を感じさせず非常にすっきりした味と香りです、後味の甘さといいほのかに感じる柑橘系の香りといいスコッチブレンデッドウイスキーだと思って飲んでもそれほどの違和感はありません、ストレートでもハイボールでも美味しくいただけます、これはコストパフォーマンスがかなり高いアメリカンウイスキーだと思います。
家飲みでは主に夏場はハイボールで冬場はお湯割でビール代わりにウイスキーを楽しむ私ですが、そのときのウイスキーは飲みやすいアイリッシュかスコッチ・ブレンデッドを使っています、今後はコストパフォーマンスが高いアーリータイムズ・ホワイトがローテーション入りするかもしれません。
家でゴクゴク飲むお酒はかっこつけずに美味しくてコストパフォーマンスの高いものを選ぶのが私流、その代わりにナイトキャップや嬉しい事があった日には高級ウイスキーを試飲も兼ねてストレートで楽しむ、これが経済的にも負担にならず継続して長期間楽しめる呑兵衛ライフの過ごし方だと思います。
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イタリアンにはイタリアンウイスキーが合うのではないか、そんな予想からか当時グループ会社の直営レストランにスタッフが持ち込んだイタリアンウイスキーをみんなで飲んでみました。
イタリアンウイスキーの代表格PINI(プーニ)ゴールド、飲んだことがなかったのですが高級なボトルスタイルといい如何にも上品そうな味がしそうです。
プーニ蒸留所はいろいろなカスクのシングルモルトを排出しているイタリアを代表するウイスキー蒸留所です、このPINIゴールドはほぼノンピートでファーストフィル・バーボンカスクだけで熟成されているのでフルーティな香りとマイルドな木の香りがミックスされた上品な香りに仕上がっており飲みやすいシングルモルトです。
PINIでは他に赤ワインカスクやカスクヴァッティングなど種類が豊富ですが熟成年数を表示しているのではなく、いろいろな熟成年数のカスクをヴァッティングして独自の味と香りを調えてシリーズ化しています。
アルコール度数が43度なのでストレートでも安心して飲めますし、ストレートから水割りまでどんな飲み方をしても味と香りのエッセンスが壊れることはありません。
なかなか良い経験をしましたが、日本での購入価格は決して安くはありません、その意味で言うとバーボンカスク熟成のシングルモルトではコストパフォーマンスが高いブッシュミルズやタラモアデューなどのアイリッシュウイスキーのほうを支持してしまいます。
勿論私個人的にはということですが、高級な雰囲気を醸し出すボトルデザインといいイタリアンが好きな人へのプレゼントには最適かもしれません。
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直営のイタリアンレストランにて
とにかく若い頃はバーボンを良く飲みました、20歳~30歳代にはスナックでのキープボトルは今のようにボウモアやラフロイグなどのアイラモルトではなくワイルドターキーやブラントンでした。
先日、久しぶりに行きつけのネパール料理の店でジャックダニエルを見つけてストレートで飲んでみました、飲んだ瞬間に学生時代や血気盛んだった若い頃の記憶が呼び起こされました。
オーディオブログでは「記憶は音に宿る」などと言っていますが、いやいや「記憶は味と香りにも宿る」と今後は言うことにしましょう。
私の中でのバーボンはあくまでもバーボンであってウイスキーとは別のお酒という認識でいます、何故ならブドウなどのフルーツから造られる蒸留酒はブランデーでありウイスキーとは言いませんから、トウモロコシやライ麦から造るお酒はウイスキーではなくあくまでもバーボンだと思うのです。
そんな意味ではバーボンも美味いお酒です、そしてロックでもハイボールでもどんなスタイルで飲んでも味が壊れず気取らずに飲めるところが嬉しいです。
家には70年代後半から90年代にかけて海外出張の度に酔った勢いで大人買いしたウイスキー類が大量にストックされています、その中にたしかバーボンやブランデーも混ざっていた記憶がありますのでクローゼットの奥にしまっているダンボールを開けて状態の確認も含めてこの年末に整理したいと思います。
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懐かしい記憶を蘇えらせてくれたジャックダニエル・ブラック1,000ml版
帰宅前に〆の一杯を飲むために寄る行きつけのショットバーに置いてあるスコッチとアイリッシュは早々に全制覇して、たまにはジャパニーズでも飲んでみるかと棚に目をやると飲んでみたかったシーバスリーガル・ミズナラ18年を見つけました。
ミズナラ(水楢)とは日本産の楢種の一つで、ウイスキー品評会で最優秀賞や金賞を連続で取りまくっているジャパニーズウイスキーの熟成カスクに使われていることから世界中でブームが起きているカスク木種です。
ちなみに水楢は「ジャパニーズオーク」と表記されるのかと思いきや、なんと世界中で日本語そのままの「ミズナラ」と表記されるのは特別感があって日本人としては気持ちが良いです。
その流れに素直に乗りスコッチ・ブレンデッドウイスキー・キングであるシーバス・ブラザーズ(ブランドはシーバスリーガル)も日本市場限定で製品化しています、現行流通ボトルは赤ラベルがスタンダードのシーバスリーガルで「水楢」は青ラベルと色で見分けがつくようにしています。
外食でボトルキープはしても家飲み用にはほぼ買うことはないシーバスリーガルですが、こうしてショットバーに来ればいつでも飲めるというのが私の人生観とも一致して実にショットバーという存在感が私の人生において重要な存在なのかが解ります。
世の流れはバブル時代に謳歌したカクテルブームが終焉しつつあり、どのショットバーでもウイスキーの銘柄数が増えてきているのはウイスキーファンとしては大歓迎と言うべき状況です。
ちなみにシーバスリーガルのキーモルトはストラスアイラ・グレンリベット・ロングモーン・ベンリアックという4つのスペイサイドの超有名蒸留所のシングルモルトです。
特にロングモーンは現在では高級シングルモルトになってしまっています、この事実は見逃せません、ブレンデッドウイスキーはシングルモルトに比べて決して格下なのではありません、シングルモルト独特のそれぞれの癖を打ち消しバランスの取れた味と香りに仕上げているのがブレンデッドウイスキーという存在なのです。
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ブレンデッドもストレートでいただきます
昔から風邪薬の民間治療法として玉子酒というものがあります、これは暖めた日本酒に卵黄を溶かし込んで飲むというものです、検証すると実に理にかなっていることが解ります。
身体を暖めると免疫力が向上しウイルスの増殖を抑え撃退します、その際に多量の糖分とビタミン類が消耗します、玉子酒はこれらを一度にしかもスムースに摂取できるのです、日本酒には意外にも糖分が多いのです。
ところで私は日本酒があまり得意ではないので、風邪を引いて熱があるときには若いときからスコッチブレンデッドウイスキーやバーボンのお湯割を飲んでいます。
アレンジレシピとして糖分を補給する目的でハチミツを入れバタード・ホットラムのレシピのようにクローブを浮かせた即効のドランブイライクなホットウイスキーが好きです、2杯ほど飲んで布団に入るとものすごい量の汗が出てきて、ほぼ1日で熱が下がります。
横道ですが、私は道楽の一つで世界中のスパイスとホールハーブを100種以上持っており、イエーガーマイスターやドランブイなどのリキュールを模倣して独自のレシピを幾つも作っては薬膳酒にして楽しんでいます、疲れたときや気分転換にこれらを飲んで元気を貰います。
このホワイトホース・ファインオールドはホワイトホースのスタンダードで1,500円ほどと非常にリーズナブルな価格ですが5年熟成のモルトとグレーンをブレンドしている本格的なウイスキーです、ストレートで飲んでもスパイシー&ドライな味で辛口好きな人には堪らないウイスキーだと思います。
特に水割りやお湯割りにすると角が取れて程よいマイルドな味になり飲み心地は最高です、熟成ブレンデッドのようにベタ甘な感じも無くすっきり飲めます、それでいて焼酎の乙類とほぼ同じ価格でアルコール度数は倍なのでコストパフォーマンスが極めて高いといえます。
私の大学時代には今の相対価格で4倍という高級ウイスキーでした、そんな憧れのスコッチウイスキーを焼酎のようにゴクゴク飲める時代の若い人が羨ましい限りです。
ちなみにホワイトホースのキーモルトはなんとアイラの上品なシングルモルトで有名なラガヴーリンです、加えてスペイサイドのオルトモア・クライゲラヒ・グレンエルギンと花と動物シリーズを熟知しているシングルモルトファンなら一発でそのスペックの凄さが理解できるでしょう。
それぞれの蒸留所の5年熟成という若熟成はシングルカスクでも飲めません、こういったブレンデッドウイスキーに混ぜ合わされたキーモルトのそれぞれのエッセンスを探りながら飲むのもシングルモルトファンの楽しみの一つです。
ブレンデッドウイスキーのキーモルトに興味を持って、そのキーモルトとなっているシングルモルト単独のエッセンスを経験により記憶し、そのうえでブレンデッドウイスキーを楽しめるようになるとシングルモルトファンとして一皮向けたといえるのかもしれません。
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