100年ぶりにイングランドに誕生したウイスキー蒸留所であるセント・ジョージス蒸留所は、2007年より蒸留・貯蔵を開始しその熟成過程をボトルに詰めてチャプター番号を付け極少量をウイスキーファンに向けて販売しています。
ちなみにチャプターとは「章」の意味で新たな蒸留所のウイスキーの完成までをストーリー化しているのが実にお洒落です、このチャプター4は熟成21ヶ月のもので1つ前のチャプター3は18ヶ月のものです。
非常にラッキーなことに先日行きつけのリカーショップで偶然発見して即購入しました、15年前に発売されたものですので何かの理由で1本だけ倉庫に保管されていたのでしょう、惜しげもなく通い続けるとこういうビッグチャンスに恵まれるものなのですね。
もしかしたら必ず毎土曜日夜にレアウイスキーが無いかと探しに来るので、店長が在庫リストから売れ残っている珍しいボトルを見つけてそっと棚に置いてくれたかもしれないと勘ぐったりしました、ちなみに15年前当時の5,000円ほどで購入できました。
このチャプター4はファーストフィル・バーボンカスクでのピーテッド版です、ウイスキーとして完成するまでの過程の味を確認できる極めてレアなウイスキーベビーということです。
尚、チャプター1からのデータを調べてみたのですが公式な情報は何も得られませんでした、日本にはあまり輸入されていないのかもしれません、もし並行輸入品でも世の中に現存しているのであれば幾つかのチャプターを手に入れて、是非とも歴史的イングリッシュウイスキーの再興記念遺産をチャプター順に味わってみたいと思っています。
調べではチャプター16が未熟成イングリッシュシングルモルトの最終章のようで7年熟成です、その後2015年からザ・イングリッシュ8年という完成版として商品化したのだと思います。
当時はイングリッシュウイスキーにはまったく興味が無かったので詳しいことは解りません、今から思うとオンタイムで蒸留所の歴史を体感できたのに惜しいことをしたと後悔しきりです。
後付情報で歴史を知ることは極めて重要です、しかし私は好きな事にはアンティークオーディオもそうですが当時の現物を手に入れて五感で知ることをポリシーにしています、知りたい事を探求しながら手に入るまで待つ日々、こんなワクワクする楽しい持間は他にありません。

アメリカンウイスキーのなかでケンタッキー産といえばバーボンです、アーリータイムズもケンタッキーを代表するバーボンやアメリカンブレンデッドウイスキーを造り続け戦後は販売数1位を誇っていました。
そのアーリータイムズから2022年9月に新時代のアメリカン・ブレンデッドウイスキーとしてホワイトが発売されました、アーリータイムス・イエローが終売ということでイエローは現在7,000円前後まで価格上昇しています、それに対して新たに誕生したホワイトは1,500円で手軽にケンタッキー産のグレーン&モルトブレンデッドウイスキーを楽しむことができます。
スコッチでは裏のウイスキー種の欄には「モルト、グレーン」と書かれているのが一般的ですが、アメリカン・ブレンデッドウイスキーであるアーリータイムズの場合は「グレーン、モルト」と書かれているのも面白いです、あくまでもライ麦やトウモロコシで造ったグレーンがメインだという意思表示なのでしょう。
スコッチブレンデッドはモルトをベースに大麦や小麦で造ったグレーンをブレンドしていますが、おそらくアーリータイムズはライ麦やトウモロコシで造ったグレーンにモルトをブレンドし更にアメリカンオークカスクで熟成したものだと思います、詳しいことは公表されていないので詳細は解りませんがボトルの表記から推測するとほぼ間違いないでしょう。
早々に購入し試飲しましたがバーボン特有のバーボン臭を感じさせず非常にすっきりした味と香りです、後味の甘さといいほのかに感じる柑橘系の香りといいスコッチブレンデッドウイスキーだと思って飲んでもそれほどの違和感はありません、ストレートでもハイボールでも美味しくいただけます、これはコストパフォーマンスがかなり高いアメリカンウイスキーだと思います。
家飲みでは主に夏場はハイボールで冬場はお湯割でビール代わりにウイスキーを楽しむ私ですが、そのときのウイスキーは飲みやすいアイリッシュかスコッチ・ブレンデッドを使っています、今後はコストパフォーマンスが高いアーリータイムズ・ホワイトがローテーション入りするかもしれません。
家でゴクゴク飲むお酒はかっこつけずに美味しくてコストパフォーマンスの高いものを選ぶのが私流、その代わりにナイトキャップや嬉しい事があった日には高級ウイスキーを試飲も兼ねてストレートで楽しむ、これが経済的にも負担にならず継続して長期間楽しめる呑兵衛ライフの過ごし方だと思います。

イタリアンにはイタリアンウイスキーが合うのではないか、そんな予想からか当時グループ会社の直営レストランにスタッフが持ち込んだイタリアンウイスキーをみんなで飲んでみました。
イタリアンウイスキーの代表格PINI(プーニ)ゴールド、飲んだことがなかったのですが高級なボトルスタイルといい如何にも上品そうな味がしそうです。
プーニ蒸留所はいろいろなカスクのシングルモルトを排出しているイタリアを代表するウイスキー蒸留所です、このPINIゴールドはほぼノンピートでファーストフィル・バーボンカスクだけで熟成されているのでフルーティな香りとマイルドな木の香りがミックスされた上品な香りに仕上がっており飲みやすいシングルモルトです。
PINIでは他に赤ワインカスクやカスクヴァッティングなど種類が豊富ですが熟成年数を表示しているのではなく、いろいろな熟成年数のカスクをヴァッティングして独自の味と香りを調えてシリーズ化しています。
アルコール度数が43度なのでストレートでも安心して飲めますし、ストレートから水割りまでどんな飲み方をしても味と香りのエッセンスが壊れることはありません。
なかなか良い経験をしましたが、日本での購入価格は決して安くはありません、その意味で言うとバーボンカスク熟成のシングルモルトではコストパフォーマンスが高いブッシュミルズやタラモアデューなどのアイリッシュウイスキーのほうを支持してしまいます。
勿論私個人的にはということですが、高級な雰囲気を醸し出すボトルデザインといいイタリアンが好きな人へのプレゼントには最適かもしれません。

直営のイタリアンレストランにて
とにかく若い頃はバーボンを良く飲みました、20歳~30歳代にはスナックでのキープボトルは今のようにボウモアやラフロイグなどのアイラモルトではなくワイルドターキーやブラントンでした。
先日、久しぶりに行きつけのネパール料理の店でジャックダニエルを見つけてストレートで飲んでみました、飲んだ瞬間に学生時代や血気盛んだった若い頃の記憶が呼び起こされました。
オーディオブログでは「記憶は音に宿る」などと言っていますが、いやいや「記憶は味と香りにも宿る」と今後は言うことにしましょう。
私の中でのバーボンはあくまでもバーボンであってウイスキーとは別のお酒という認識でいます、何故ならブドウなどのフルーツから造られる蒸留酒はブランデーでありウイスキーとは言いませんから、トウモロコシやライ麦から造るお酒はウイスキーではなくあくまでもバーボンだと思うのです。
そんな意味ではバーボンも美味いお酒です、そしてロックでもハイボールでもどんなスタイルで飲んでも味が壊れず気取らずに飲めるところが嬉しいです。
家には70年代後半から90年代にかけて海外出張の度に酔った勢いで大人買いしたウイスキー類が大量にストックされています、その中にたしかバーボンやブランデーも混ざっていた記憶がありますのでクローゼットの奥にしまっているダンボールを開けて状態の確認も含めてこの年末に整理したいと思います。

懐かしい記憶を蘇えらせてくれたジャックダニエル・ブラック1,000ml版
帰宅前に〆の一杯を飲むために寄る行きつけのショットバーに置いてあるスコッチとアイリッシュは早々に全制覇して、たまにはジャパニーズでも飲んでみるかと棚に目をやると飲んでみたかったシーバスリーガル・ミズナラ18年を見つけました。
ミズナラ(水楢)とは日本産の楢種の一つで、ウイスキー品評会で最優秀賞や金賞を連続で取りまくっているジャパニーズウイスキーの熟成カスクに使われていることから世界中でブームが起きているカスク木種です。
ちなみに水楢は「ジャパニーズオーク」と表記されるのかと思いきや、なんと世界中で日本語そのままの「ミズナラ」と表記されるのは特別感があって日本人としては気持ちが良いです。
その流れに素直に乗りスコッチ・ブレンデッドウイスキー・キングであるシーバス・ブラザーズ(ブランドはシーバスリーガル)も日本市場限定で製品化しています、現行流通ボトルは赤ラベルがスタンダードのシーバスリーガルで「水楢」は青ラベルと色で見分けがつくようにしています。
外食でボトルキープはしても家飲み用にはほぼ買うことはないシーバスリーガルですが、こうしてショットバーに来ればいつでも飲めるというのが私の人生観とも一致して実にショットバーという存在感が私の人生において重要な存在なのかが解ります。
世の流れはバブル時代に謳歌したカクテルブームが終焉しつつあり、どのショットバーでもウイスキーの銘柄数が増えてきているのはウイスキーファンとしては大歓迎と言うべき状況です。
ちなみにシーバスリーガルのキーモルトはストラスアイラ・グレンリベット・ロングモーン・ベンリアックという4つのスペイサイドの超有名蒸留所のシングルモルトです。
特にロングモーンは現在では高級シングルモルトになってしまっています、この事実は見逃せません、ブレンデッドウイスキーはシングルモルトに比べて決して格下なのではありません、シングルモルト独特のそれぞれの癖を打ち消しバランスの取れた味と香りに仕上げているのがブレンデッドウイスキーという存在なのです。

ブレンデッドもストレートでいただきます