2023年6月13日 11:00
アイラモルトウイスキーなどに代表されるスコッチウイスキーの中には他の国のモルトウイスキーとは確実に異なる独特の燻製のような香りがあります、ではこの独特な香りはどこからくるのでしょうか。
モルトウイスキーですから原料は大麦を発芽させた大麦麦芽です、これは他の国のモルトウイスキーと同じ原料ですから何らの違いはありません、ということは原料の違いではなく何の違いによるものでしょうか。
最初に答えを言ってしまうと、大麦を発芽させた後に発芽を止め固定させる為に乾燥させるのですが、この時の乾燥方法によって独特の香りの基が生まれるのです。
スコットランドに在る湿原は3000年前から存在しており年中ピートモスというコケに覆われています、このピートモスが長い時を経て積り重なっていき湿原の下部には泥状の炭が生まれます、この泥状の炭をピートと呼び日本では泥炭と訳されています。
スコットランドでは古くからピートをレンガ状に乾燥させ、日本でいう練炭のようなものを燃料として調理や暖をとるために使われていました、つまり前述の麦芽を乾燥させるときにも昔からピートが使われており、このピートから出る煙によって独特のピート臭(泥臭い燻製臭)が生まれていたのです。
このピートによる麦芽の乾燥方法はアイラ島だけではなくスコットランドにある他の蒸留所でも用いられています、つまりアイラモルトを代表するスコッチウイスキーが他の国のモルトウイスキーと一線を引いた香りとなる一つの理由がこのピートにあります。
もう一つ実はアイラモルト独特の香りの基になる要素があります、それはアイラ島にある蒸留所のほとんどが海辺にあり年中潮風が吹いています。
つまり熟成樽はこの潮風や波のしぶきを受けて表面に塩が付くほどになります、これが長い年月をかけて塾生樽の中に染み込んで磯の香り(ヨード臭)をつけているのです。