ラフロイグが1815年に蒸留を開始したときの味を今に伝えるという意味でマネージャーであるキャンベル氏の拘りで作られたロア(「伝承」の意味)は、ラフロイグのウイスキーに対する精神そのものを味わえる特別仕様の逸品です。
その拘りのスペックの一つはヴァージン・ヨーロピアンオークカスクで熟成した後にファーストフィル・バーボンカスクに移し更に熟成させるという手の込んだ2カスクマチュアードとしています、更に熟成前に複数のカスクで熟成させたカスク原酒をヴァッティングしています、これによって複雑なエッセンスを醸し出す見事なバランスのウイスキーに仕上がっています。
ラフロイグといえば過去にはグレーンウイスキーを混ぜたブレンデッドもオフィシャルで創出していた時期もあります、その意味ではラフロイグ蒸留所だけで完結ブレンデッドとしたラフロイグ・モルトブレンデッドウイスキーと言っても過言ではありません。
尚、ラフロイグはオフィシャル版はホワイトラベルで、特別仕様や限定版はブラックラベルで識別していますのでブラックラベルのラフロイグを見つけたらよく調べてから購入するのがよいかもしれません。
品名 ラフロイグ ロア
熟成年数 不明
カスク ヴァージン・ヨーロピアンオーク、ファーストフィル・バーボン、他数種のカスク
蒸留所 ラフロイグ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 48度
内容量 700ml
価格 14,000円~15,500円(2024年2月現在)
特記事項 複数カスクヴァッティング&2カスクマチュアード(ヴァージン・ヨーロピアンオークカスク~ファーストフィル・バーボンカスクフィニッシュ)
アードベックのオフィシャルラインアップのなかにあってアイラモルトエッセンスの全てを存分に楽しめるのがアンオーです、アイラモルトのスタンダードと言っても過言ではないほどアイラモルト特有の味と香りを複雑に織り交ぜた逸品で大変美味しいアイラモルトです。
ショットバーで「終売になるかも」という情報を得て慌てて購入したのですが1年前に買ったときよりも価格が30%ほど高くなっていました、オークションでも高額で出品されていますので入手困難なエリアが存在している可能性があります。
アンオーの名前の由来はアードベック蒸留所の所在地である「オー岬」(マル・オブ・オー)にちなんでいます、アードベックの持てるカスクをバランスよくヴァッティングし蒸留所の存在をアピールするために創出したシングルモルトなのでしょう。
複雑な味と香りの原点はアードベックのベーシックカスクであるスパイシーさとコクを齎すファーストフィルバーボンに加えて、甘い香りとフルーティーさを齎すPX(ペドロヒメネス)シェリーカスク、そしてビター感を齎す内側を焦がしたヴァージン・チャーカスク、この3つの特徴的なカスクのヴァッティングにより味と香りに様々なエッセンスを添加しています。
ヴァージン・チャーカスクの独特なビター感がほどよく効いていて最後に感じるホットケーキのような甘さ、スモーキーからフルーティへと変化し再びスモーキーに戻る香りというアードベックらしからぬ上品さもあります、熟成年数は不明ですがおそらく5年から10年熟成くらいのカスクをバッティングしていると思いますが、いずれにしても味と香りのバランスは見事です。
品名 アードベック アンオー
熟成年数 不明
カスク ファーストフィルバーボン、ペドロヒメネスシェリー、ヴァージン・チャー
蒸留所 アードベック(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 46.6度
内容量 700ml
価格 10,500円~12,500円(2024年1月時点)
特記事項 3カスクヴァッティング
アラート 品薄状況で価格上昇傾向
謎のアイラモルトにあって昔からショットバーでは置いてあって当たり前の定番のように扱われているフィンラガン、そのなかでもカリラの若熟成との噂が高いフィンラガン・オリジナルピーティは確かにカリラを思わせるピート臭とスパイシーな味がダイレクトに楽しめます。
フィンラガンという名称は過去にアイラ島に存在していた城の名前であり、伝統的なアイラモルトであることを名称でも印象付けています。
謎のアイラモルトの傾向としてカスクストレングスやカスクバッティングなど原酒や原酒に近いものをそのままボトリングしているのを特徴としている銘柄が多いなかで、常飲としてストレート飲みで気楽に楽しめるのはやはりアルコール度数が40~43度のものです。
ウイスキーは継続して楽しく飲めて初めてその存在価値があるのです、カスク原酒も時には飲みたい気分にもなりますが永く愛飲できるお勧めの逸品ということになると、どうしても飲みやすく且つ明確な特徴を醸し出している銘柄ということに落ち着きます。
その意味からしてフィンラガン・オリジナルピーティは、アイラモルトエッセンスをダイレクトに堪能でき謎のアイラモルトのなかでは価格や味と香りのバランスなどを考えるにウイスキービギナーにもお勧めできる私のイチオシの1本です。
尚、フィンラガンにはフィンラガン・オリジナルピーティの加水する前の原酒をそのままボトリングしたフィンラガン・カスクストレングス(58度)もありますので飲み比べてみるのも面白いかもしれません、価格もちょうど1.5倍程度と非常にリーズナブルですのでお勧めです。
品名 フィンラガン オリジナルピーティー
熟成年数 不明
カスク 不明
蒸留所 不明(アイラ島)
ボトラー ヴィンテージモルト
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 40度
内容量 700ml
価格 3,500円~4,500円(2023年11月時点)
ポートアスケイグは知る人ぞ知るアイラ島最大の蒸留所であるカリラ蒸留所の本拠地の地名です、だからといってカリラ蒸留所かどうかは謎のままです、ただ大きなヒントになることは確かです。
熟成年数を堂々とラベルに謳っている謎のアイラモルトはポートアスケイグをはじめ稀なケースです、ちなみに12年もありますので蒸留所当てには12年の方が解りやすいでしょう、ショットバーで12年を飲みましたが一瞬で解りました。
しっかり付いたピート臭にヨード臭が堪りません、そのくせ甘酸っぱいフルーティな味とスパイシーな喉越しは私の記憶に染み込んでいる例のアイラモルトですから忘れようもありません、アイラモルトファンであれば迷うことなく一発で解るでしょう。
かの蒸留所であればディステラリーオフィシャルに比べてほとんど変わらない価格ということを考えると存在意義が薄れてしまうのですが、謎のアイラモルトの良いところはリリース年度によってカスクも変わるので味も香りも微妙に変化してくるところです。
こういった妙味はディステラリーオフィシャル版では味わえません、謎のアイラモルトの存在意義は逆説的に言うとボトラーとしてはこういった曖昧さを自由にできるし飲み手はそれを楽しむことができるところです。
カスク販売する蒸留所にとっても余剰カスクが無駄にならないのでボトラーは重要なお客様ということになります、蒸留所もボトラーもビジネスなのですから大人の事情は世の常ということです。
最後にアイラモルトの妙味を存分に味わいたい人は本ボトルの8年がお勧めです、12年はかの蒸留所のオフィシャル版の方が価格も安く味も香りもほとんど同じですのであえて創出する意義があったのかどうかという疑問が残ります、ちなみにかの蒸留所のオフィシャル版では8年の方がスモールバッチということもあって希少性から価格は高いのでポートアスケイグ8年はお得感も享受できます。
品名 ポートアスケイグ8年
熟成年数 8年
カスク 不明
蒸留所 不明(アイラ島)
ボトラー スペシャリティ・ドリンクス
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 45.8度
内容量 700ml
価格 7,000円~8,000円(2023年11月時点)
アイラモルトとしては色はかなり濃い目
(色が解りやすいようにと背景を白にして撮影しました)
謎のアイラモルトで私のお薦めナンバーワンのアイリーク、ラガヴーリンの若熟成ものだと信じ切っている私にとっては本当にこの価格でこの味と香りはハイコストパフォーマンスの極みであり実にありがたいボトルです。
英語読みのアイリークはスコットランド住民はゲール語で「イーラッハ」と発音します、その意味はずばり「アイラの真の男」です、その名に恥じない力強いアイラモルトそのものの強烈な味と香りが格安の価格でありながら存分に堪能できます。
ファンの間でもラガヴーリンとラフロイグに意見は分かれるものの私的にはラガヴーリンの若熟成モルトだと頑なに信じています、若熟成ならではのピート臭がきついので上品なラガヴーリンらしからぬ粗い感じがしますが、飲み心地や飲み干した後のフルーティな香りは間違いなくラガヴーリンでしょう。
ピート臭、スパイシーな一口目、フルーティーな香りとバニラやカラメルのような甘い後味、アイラモルトエッセンスの全てがワンストップで楽しめる逸品です。
加水して飲んでも美味しいと評判ですのでロックや水割りでもOKです、ウイスキービギナーの方にも是非ともアイラモルトの世界を堪能していただきたいと思います。
アイリークがもしもラガヴーリンだとしたらラガヴーリン8年の現在価格に比べてアイリークは約半額です、機会があれば実際にストレートで飲み比べしてみたら如何でしょう。
尚、58度のカスクストレングス版も6,000円ほどですので、アイラモルトを存分に楽しみたい方にはカスクストレングス版の方をお勧めします。
品名 アイリーク(イーラッハ) シングルモルト・ピーティ
熟成年数 不明(5年程度か?)
カスク 不明
蒸留所 不明(アイラ島)
ボトラー ザ・ハイランズ&アイランズスコッチカンパニー
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 40度
内容量 700ml
価格 3,500円~4,500円(2023年11月時点)