バブル景気は高いものほどよく売れるという変な時代でした、そんなバブル景気真っ最中な時代にはファッションブランドやスポーツブランドからも高級ブレンデッドウイスキーが商品化されていました。
90年代に入るといつの間にかこれらのブランドのウイスキーは姿を消していきました、また多くは香港やパリの免税店で発売され日本人向けを意識してかバックラベルなどには日本語表記されているのも面白いです。
当時は日本向けに高価なウイスキーを出せば売れた時代で今は無き銘柄のウイスキーも多数あります、アンティークウイスキーショップやリサイクルショップには見たことも無いウイスキーがずらりと並んでいます。
これらは全て80年代に免税店やリカーショップが並行輸入して販売されていたものです、風味はどれもトロンとした甘口でこれはこれで一つのカテゴリとしてのウイスキーとして美味しく飲めるものが多いです。
ブランディが流行っていた時期でもあり、当時のジャパニーズウイスキーがこれらに比べてドライな風味ということもあり、今思うに80年代はジャパニーズウイスキーの氷河期だったのかもしれません。
ダンヒル
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バーバリー
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JPS
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もう10年近く前になるでしょうか、30数年前のバブル経済期の頃にヒースロー国際空港で買ったボウモア飲み比べ200mlボトルセットをみんなで飲み比べしました。
このセットはボウモア8年、12年、15年、17年、21年で当時出されていたボウモアの全オフィシャルの200mlボトルで現在では二度と手に入らないものです。
味と香りの違いを楽しむための免税店限定セット、もし今オークションに出したら購入価格自体が2万円ほどだったのでどれほどの金額で売れたでしょうか、おそらく世界でも現存していないのではないかとというほど極めて貴重なセットだったのです。
味と香りは当然楽しめたのですが、そういうことよりも貴重な経験をしたこと自体が宝だと思うのです、それをみんなで共有できるのはすばらしいことです。
貴重なボトルを持っていることは一つの誉れ、でもそれを手放してしまったらそれを再度手にするのには数十倍のお金を払わなければならないのです、貴重であろうが高額であろうが今それを楽しめることに大きな価値があると思うのです。
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そのときの写真をスタッフがこっそり撮って残してくれていました
ちなみに左のボウモア12年は現在プレミアムが付いている激レアのカモメラベル
以前はほぼ毎日で最近でも週2回は通うネパール料理レストラン、常に芋2種と麦1種の焼酎をキープしているのですが、ウイスキーのキープを始めたというので早々にシーバス・リーガル12年の1リットルボトルをキープしました、それにしても1リットルボトルで1万1,500円とはスナックの半額で嬉しいです。
ショットで積算するとキープ価格の倍以上になってしまうので、私のような自由なスタイルでゴクゴク飲む派には日本のボトルキープ制度は本当にありがたいです。
バランタインと並びブレンデッドの代表格のシーバス・リーガルはブレンデッドのスタンダードとして日本においては昔から安定した地位を築いています、ちなみに国によってはバランタインがスタンダードとなっていたりで国によって事情が異なるのが面白いところです、いわゆるその国におけるウイスキーセーラーのマーケティング戦略の違いでしょう。
スパイシーな味と香りが売りのネパール料理にはマイルドなブレンデッドウイスキーは実に良く合います、ストレートにロックに水割りとどんなスタイルでも美味しく飲めるのがまた嬉しいです。
ちなみにシングルモルトファンには驚きの事実ですが、実はシーバスリーガルのキーモルトはストラスアイラ、グレンリベット、ロングモーン、ベンリアックという4つのスペイサイドの超有名な蒸留所のシングルモルトです。
特にロングモーンは現在では手が出せないほどの高級シングルモルトになってしまっています、この事実は見逃せません、ブレンデッドウイスキーはシングルモルトに比べて決して格下なのではありません。
オーナーは頼めば何でも快くやってくれます、アイラモルトをお願いすればきっと入れてくれるのでしょう、ただスパイシーな料理とアイラモルトを合わせて美味しいのかどうかは疑問ですが是非とも一度は体験しておきたいと思います。
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シーバス・リーガル12年1,000mlボトル
大学時代に先輩に飲ませてもらったジョニーウォーカー・ブラックラベル(通称ジョニ黒)があまりにも美味すぎて一発で虜になってしまった記憶があります、その当時は同じランクの国産ブレンデッドウイスキーの5倍もする1万円ほどの価格で大卒初任給が5万円の時代には手軽に買えるウイスキーではありませんでした。
その後日本は高度成長を成し遂げ円がどんどん強くなり、また輸入税もかからなくなり国産ウイスキー並みの価格に下がり、今ではポケットマネーで買えるウイスキーになりました。
ところでジョニーウォーカーは1909年から100年以上続くスコッチウイスキーの老舗ブランドであり、日本では60年代頃からレッドラベルと共に高級ウイスキーブランドとして親しまれてきたスコッチを代表するブレンデッドウイスキーです。
1990年以降はゴールド・ダブルブラック・グリーン・ブルーと上級だったブラックラベルの更に高級版が次々に誕生しましたが、私を含めて同年代のスコッチウイスキーファンはいまだにジョニーウォーカーと言えばこのブラックラベルであり常飲ボトルとしているファンも多いです。
ちなみにジョニーウォーカー・ブラックラベルのキーモルトはアイラ島のラガヴーリン、スカイ島のタリスカー、スペイサイドのカーデュやダルユーインをメインに40種ほどのモルトを贅沢にも使っています、ラガヴーリンとタリスカーの名前だけでもありがたみを感じるのは私だけでしょうか。
それぞれのキーモルトとジョニーウォーカー・ブラックラベルを飲み比べてみたら非常に興味深い結果になりました、以前はカーデュが強く感じたのですが現在流通しているジョニーウォーカー・ブラックラベルはタリスカーのエッセンスがかなり高いことが解りました。
しかもブラックラベルは12年ですからタリスカーの12年以上が使われているということです、この経験を通して更に大好きなウイスキーになってしまいました、私の家飲み常飲ウイスキーとしては筆頭格です。
今も昔も私の中でのスコッチウイスキーのナンバーワンはジョニーウォーカー・ブラックラベルです、スコッチウイスキーを飲みなれているファンと同様にグリーンやブルーラベルには目もくれずにきっとこれからも常飲し続けることでしょう。
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年代ごとにしっかり保存しています、いつの時代も変わらぬ美味さ
ハイランドに存在する14の蒸留所で造られたシングルモルトだけをブレンドしたウイスキーがあります、それがザ・グラッドストンアクスのアメリカンオークです、ヴァッティング後にバーボンカスクで再熟成しています。
モルトブレンデッドウイスキー自体が数少なくアイラモルトだけというのは割と人気があるのですが、あえてハイランドモルトだけというのが非常に興味深いです。
私はショットバーで一度飲んですっかり虜になってしまいました、なんといってもエッセンスが多いのです、スモーキー以外と限定するとウイスキーの持つ全てのエッセンスが詰まっているのではないでしょうか。
香りはモルティでバニラのような甘い香りがします、飲み始めは甘みの中にスパイシーさも加わりフィニッシュにほのかにビターを感じます、またグラスに注いで時間が経つとフルーティな香りに変化します、さらにちょっと水を足してトゥアイスアップにするといきなりマイルドでスムースな味に変化します。
よくできたウイスキーなのですが価格が4,000ほどで買えるというリーズナブルな価格も嬉しいです、姉妹品にブラックアクスがありこちらはアイラモルトとハイランドモルトのモルトブレンデッドになりスモーキーでスパイシーな風味に仕上がっています、アイラモルトが好きな人にはブラックアクスがお薦めです。
横道ですが、ボトルの向かって左側だけにえくぼのような凹みがあります、注ぐ時にちょうど親指がすっぽり入ってしっくりします、飲み手の配慮が嬉しいボトルでもあります。
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