「人を相手にせず、天を相手にせよ」
西郷隆盛は事あるごとに「敬天愛人」(天を敬い人を愛せよ)を口にしました、天(大きな事や使命)を相手にすれば他者のことなど些細なことです。
藩主交代の際に新藩主久光を罵り藩を追われた隆盛が旅の途中で空を見上げてこうつぶやいた、「他人の取るに足らない野望や思惑に振り回されることなく、天から与えられた使命を全うせよ!」と。
起業したのなら志を高く持ち覚悟をもって何が起きてもぶれずにこれを継続させることが肝要です、「我を何とでも言え我は我の道を進むのみ」、同様の言葉を坂本竜馬も残しています、己の志を燃やす者に他者の思惑に踊らされている暇はありません。
そして成功する人は今の状況で一喜一憂はしないものです、未来に必ず笑えることを知っているからに他なりません。
「世間の人に交わらず、己が家ばかりにて成長したる人は、心のままにふるまい、己の心を先として一目を知らず、人の心をかねざる人、かならず悪しきなり」
鎌倉時代初期の禅僧で「日本曹洞宗」の開祖である道元のこの一言、孔子然り、道元然りで時を越えても今に通じる言葉が新鮮です。
子曰く、「家に引きこもり外の人との関わりを持たないと自己中心的な考えとなり、相手の気持ちを考えることができない人になる、自分の欲望を優先しては周囲の人を傷つけることをする、これは悪いことだ」。
人は人との関わりの中で人としての心を磨かれ成長します、他の何をもっても人の心を磨くことはできません。
ダイヤモンドを磨くのはダイヤモンドしかありません、人もまた同じように人でしか人間性を磨がくことはできないのです。
成功する人は人間関係は全ての人生事象の要であることを忘れません、経営方針に「良好なる人間関係と共存共栄の思考」を入れると見事に無機質な内容が人間味あるものに変わります。
企業が成長できない一つの理由は、人間関係や社会との繋がりや貢献を経営方針(企業理念)に入れていないからに他なりません。
「本当の人間の価値はすべてがうまくいって満足しているときではなく、試練に立ち向かい困難と闘っているときにわかる」
キング牧師(本名:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)、ノーベル平和賞受賞者のこの一言は彼を知れば知るほど実に重い一言です。
6歳で黒人差別を身をもって体験し、成人するや否や差別問題に立ち上がり数々の困難を乗り越えて奴隷制度の廃止に貢献しました。
上手くいっているときは誰しも良い人を演じられます、心の余裕がそうさせるからです、しかしその人の真の姿は実は困難に直面しているときに現れるのです。
ちょっとした仕草に、ちょっとした言い方に、真の心の広さや器の大きさが各所に出てしまうものです、どんなに苦しい時も厳しいときも前を向いて余裕を持って過ごしていたいものです。
成功者は常に自己利益ではなく他者利益を優先して考えています、そして自ら先に与えることを優先事項としています、それが結果的に困難な時に自分に大きく戻ってくることを知っているからです。
その瞬間に自分には得にならないと他者事に無関心であれば、他者も今度はこちらの都合を聞いてはくれません、これは極当たり前のことです、結果他者優先しない人は孤立して世間を自ら狭くしてしまいます。
上手くいってないと思うのであれば、まずは自己優先志向から軌道修正してみたらどうでしょうか?
「窮鳥懐に入れば猟師もこれを撃たず 」
天然ボケと言われた名僧侶珍念のこの言葉、人間関係上の問題が起きると何かにつけて頭に浮かんできます。
どんな人でも自分の懐へ飛び込んできたら攻撃する人はいません、つまり経験豊富な人と付き合う時は中途半端な距離を取ってはいけません、ある程度の年配者は中途半端な関係が一番嫌うのです。
何故なら時間に限りが有り、意味ある事と人にだけ時間を使っていきたいと考えているからに他なりません。
縁あって出会った自分よりも経験がある人との最良の付き合い方とは、相手の懐へ入ってしまうか手の届かない世界で過ごすかどちらかということです。
懐へ飛び込んだ場合、その経験豊富な人は敵対勢力から守り自身の事業や利益を分け与えてくれます。
不要な争いを避け労せず利益を得る事、これが成功者の思考です、その為には経験豊富な人とどう付き合うべきか?
言わずもがです、ただし経験豊富なら誰でもよいということではありません、自身のビジネスや人生にプラスになる人であることが前提です。
「和を以って貴しと為す」
社会科の教科書に「聖徳太子」の名が復活しました、そのあまりにも有名な偉人である聖徳太子の十七条憲法の第一条の全文がこれです、実にシンプルでありながら響きます。
夢の実現を目指す人は、この「和」を十七条憲法の筆頭に上げている意味を深く感じ入ることが肝要なのではないかと思うのです。
「和」は「やわらぐ」や「なごむ」とも読みます、私はあえて「和」の意味を「与えあうこと」と読みとり意識しています。
争いの中に成功はありません、「競合」でなく「協業」、「潰し合い」ではなく「住み分け」という思考が肝要です。
真のライバルとは争う相手ではなく、「互いに切磋琢磨し成長を誓い合う相手」ということを頭に入れておくべきです。
互いに切磋琢磨できないような器の小さい相手なら、それこそ相手にすべきではありません、何故なら不要な揉め事が必ず潜むからです。
少なくても「和」を考え行動すればプラスになってもマイナスになることは何一つありません、ビジネスを楽しんで日々の満足に感謝しましょう。
そこには「和」の精神が不可欠であり、これが解る人だけが成功者というステージに上り詰めることができるのです。
「和」=「与えあうこと」、どうか起業家なら最低限これだけは理解してほしいと強く願います。