
キルホーマン蒸留所が124年ぶりにアイラ島で産声を上げる以前では最も新しい蒸留所だったのがブナハーブン蒸留所です、そのブナハーブン蒸留所のスタンダードともいえるのがブナハーブン12年です。
ブナハーブン12年はアイラモルトの特徴の一つであるピートを使っての麦芽の乾燥を行わなっていないのでピート臭はありません、したがって熟成樽の香り成分を充分に楽しめます。
その点においてはブルイックラディ蒸留所のザ・クラシックラディと同系統のアイラモルトですが、こちらが大先輩ということになります。
アイラモルトらしからぬ上品な味わいと香りで、ワールド・スピリッツ・コンペティション2011に銀賞、インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション2010に金賞を受賞しています。
アイラモルトとしてではなく上品な味わいのスコッチウイスキーとして評価すべきで、その意味ではアルコール度数が若干高めでも飲みやすい味のウイスキーに仕上がっています。
クラッカーやバケットとの相性がとても良いと感じる味なので、食事をしながらでもアイラモルトを楽しみたいときにはもってこいのウイスキーかもしれません。
<2023年10月16日追記>
驚いたのがこの間まで普通に買えていたのに何故か現在では12年及び18年は極めて入手困難な状況になっています、ブナハーブン25年は手に入るのですが7万円以上します。
<2024年11月15日追記>
1年前には入手困難で市場では1万円以上で取引されていたのに現在では輸入品ですが正常な状況に戻りました、価格も倍ほどに高騰していたのですが現在は従来価格に戻っています、ということで「アラート」は落としておきました。
品名 ブナハーブン12年
熟成年数 12年
カスク 不明
蒸留所 ブナハーブン(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 46.3度
内容量 700ml
価格 6,000円~7,500円(2024年11月15日更新)
特記事項 ノンピート

オクトモアはブルイックラディ蒸留所の最高級ブランドでオクトモアの後に付く番号は原酒番号となっています、つまりオクトモアブランドすべてがシングルカスクということです。
現在入手可能なオクトモアは10.3アイラ・バーレイ、10.4ヴァージンオーク、11.1スコティッシュ・バーレイ、13.3アイラ・バーレイなどがあり、価格はほぼ同程度ですが10.4ヴァージンオークのアルコール度数は63.5度もあります。
番号によって大麦種・熟成樽・製法が異なるのでアルコール度数も変わり当然味と香りも伴って変わるので、番号違いをコレクションしては味や香りの違いを楽しんでいるファンもいます。
また番号によってボトルの色も形も変えるという拘りようで一つの液体アートとして考える人もいるようです、ちなみに私は価格からしても常用やコレクションではなく好奇心からときどき味と香りを確認している程度です。
10.3アイラ・バーレイのアイラ・バーレイの意味はアイラに存在するたった一つの農場で作られた大麦だけを使用したシングルファームモルトを指し、ピートの強さを示すフェノール値はオクトモアの中では低めですが他のアイラモルトよりもかなり強めです。
またヴァージン・アメリカンオークカスクでオクトモア初の6年熟成という挑戦的なウイスキーに仕上げています、つまり純粋無垢のアイラモルト・シングルカスクという芸術的な逸品です。
6年熟成という若熟成年数がなせる業なのか上品でおしゃれなボトルからは想像できない骨太なピート&スパイシー感がドスンときてアイラモルトらしいエッセンスはピカイチです、飲み込んだ後にはすーっと口の中が甘酸っぱく変わり何ともいえない後味の切れのよさも見事です。
厳選された原料・樽・製法などそれぞれの原酒にウイスキー作りの技とノウハウが詰まったオクトモア、6年熟成でこの価格云々はさて置き完成度としては最高級アイラモルトの芸術品と言っても過言ではないでしょう。
品名 オクトモア10.3 アイラ・バーレイ
熟成年数 6年
カスク ヴァージン・アメリカンオーク
蒸留所 ブルイックラディ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 61.3度
内容量 700ml
価格 47,000円~60,000円(2023年10月11日更新)
特記事項 シングルカスク
アラート 通常入手困難状況で価格急上昇中

ブルイックラディ蒸留所のポートシャーロットのスタンダードともいえるポートシャーロット10年はザ・クラシックラディのノンピートでフルーティな味と香りとは真逆の実にアイラモルトらしい骨太の逸品に仕上がっています。
ブルイックラディ蒸留所では冠銘柄のブルイックラディ、ピーテッド版のポートシャーロット、最高級ブランドのオクトモアと3つのブランドを出しており、アイラの蒸留所の中にあって個性的なスタイルの経営方針を貫いています。
さてポートシャーロット10年はかなり強くピート臭をつけており燻製の香りが強烈にきてアイラモルトファンには嬉しい香りが堪能できます、加えてバーボンカスクとワインカスクからくる甘いケーキのような香りが口の中でミックスして何ともいえない深い後味と香りを楽しめます。
ザ・クラシックラディを置いていないショットバーはあってもポートシャーロットは置いています、確かにこの味と香りは虜になってしまうのも頷けます。
これぞアイラモルト、同じ蒸留所の対照的なザ・クラシックラディと是非とも飲み比べてほしいと思います、この2本を比較してしまうと謎のアイラモルトのベース蒸留所を当てるのが如何に難しいか解ると思います、まったく別の蒸留所だと勘違いしてしまうでしょう。
品名 ポートシャーロット10年
熟成年数 10年
カスク ファーストフィル・バーボン65%、セカンドフィル・バーボン10%、セカンドフィル・フレンチワイン25%
蒸留所 ブルイックラディ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 50度
内容量 700ml
価格 7,000円~8,000円(2023年8月時点)
特記事項 ヘビーピーテッド、3カスクヴァッティング

ブルイックラディ蒸留所の冠銘柄ブルイックラディのスタンダードともいえるザ・クラシックラディは色鮮やかなブルーボトルで、アイラモルトの中では珍しくボトルすべてをビニールコーティングした斬新なデザインで目を引きます。
ちなみにこのブルーをブルイックラディ蒸留所では「ラディブルー」と呼んでおり蒸留所のある地域の空の色を模したとしています、私の故郷信州の冬の空も同様の色なのですごく共感します、この色はすかっと晴れ渡った青空にうっすらと霧がかかったときの色であり蒸留所がどのような環境下にあるのかが想像できます。
ブルイックラディ蒸留所では冠銘柄のブルイックラディ、ヘビーピーテッド版のポートシャーロット、最高級ブランドで熟成原酒をカスク単位でボトリングしたオクトモアと3つのブランドを出しており、アイラの蒸留所の中にあって個性的なスタイルの経営方針を貫いています、そのためかポートシャーロットやオクトモアはボトラーズ銘柄だと思っている人も多いです。
さてザ・クラシックラディはできるだけ原酒に近い味わいを残す目的でアルコール度数を50度に設定しています、ただアイライモルトの特徴の一つであるピート臭がゼロで物足りないと感じるアイラモルトファンも多いでしょう、その分樽から染み出したフルーティなカスク独特の香り成分が楽しめるのですが最もアイラモルトらしくない味と香りのウイスキーです。
まず梨や桃のような甘い香りがしますが飲んだ瞬間に一転ドライな辛口の味という変化に驚きます、また飲み込んだ後には再度フルーティな後味と香りに包まれます、何とも言えない摩訶不思議なウイスキーがあるものです。
その意味ではアイラモルトファンの心を擽らないのか置いていないショットバーも多いのも確かです、私的にはこんなフルーティ&ドライなアイラモルトも在ってよいと考え気分転換や偏った思考のリセットのために飲む一本です。
アイラモルトとしての評価ではなく美味しいシングルモルトスコッチウイスキーとして評価されるべきだと思います、ただし注意点として非常に飲みやすいのですがアルコール度数はあくまでも50度であることをお忘れなく、一昔前のスクリュードライバーのように意識を無くされないように願います。
<2023年10月16日追記>
新ラベルが出ましたので本ボトルは旧ラベルとなりました、尚本ボトルの価格は急上昇しています。
品名 ブルイックラディ ザ・クラシックラディ 旧ラベル
熟成年数 不明(ノンエイジ)
カスク 不明
蒸留所 ブルイックラディ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 50度
内容量 700ml
価格 6,500円~7,500円(2023年10月16日更新)
特記事項 ノンピート、本ボトルは一世代旧ラベル
アラート 新ラベルの誕生により終売となりました


左:ラガヴーリン16年 右:ラガヴーリン10年
歴史あるラガヴーリン蒸留所がバーボンカスクを使って熟成したモルトがこのラガヴーリン10年で、ラガヴーリン16年とは対照的な味と香りが楽しめる逸品です、2019年に免税店向けの特別仕様で創出されたもので現存数が少ないのか価格が時を刻むごとに上昇傾向にあります。
ラガヴーリン蒸留所の伝統はラガヴーリン16年をフラッグシップボトルとして扱っているように、シェリーカスクで最低でも16年じっくりかけて熟成させないと本来のラガヴーリンらしさが出ないということでショットバーでもラガヴーリンを頼むとほぼラガヴーリン16年を出してきます。
注意事項として断っておきますが、ラガヴーリン10年はラガヴーリン16年の若熟成ものではなく、価格も現在ではラガヴーリン16年よりも高くなっており異種のシングルモルトとして考えたほうがよいでしょう、ラガヴーリン16年の若熟成を飲んでみたいのであればラガヴーリン8年が在りますので飲み比べてみると面白いでしょう。
ラガヴーリン16年に比べてラガヴーリン10年は、俗にいうアイラモルトらしく尖ったスパイシーな味と飲み込んだ後にくる対照的な甘いケーキのような味と香りが広がりアイラモルトファンにはかなり好まれる傾向の味だと思います、ただラガヴーリン16年に比べて明らかに人を選ぶでしょう。
味と香りのバランスではラガヴーリン16年に軍配が上がります、対して一口目からくるスパイシーの中に広がる甘いまったり感という職人芸的な妙味を楽しむなら間違いなくラガヴーリン10年に軍配が上がります。
ラガヴーリン10年はショットバーではほぼ飲むことができません、是非とも家でじっくりとラガヴーリン16年と飲み比べてアイラモルトのカスクの重要性の奥深さを味わってみてください、もしかしたらその日からラガヴーリン10年の個性的且つ魅力的な味にはまり虜になってしまうでしょう。
品名 ラガヴーリン10年
熟成年数 10年
カスク ファーストフィル・バーボン
蒸留所 ラガヴーリン(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 43度
内容量 700ml
価格 12,500円~14,000円(2023年8月時点)
特記事項 免税店向け特別限定版(2019年~)