
飲んだ後にはラーメンとか牛丼とか食べたくなる人が多いのですが、これにも立派な科学的根拠が存在していたのです。
アルコールは胃で20%を小腸で80%が吸収され、血管によって身体を回り肝臓で分解されます、そして最終的には水と二酸化炭素となって体外に排出されます。
この肝臓でアルコールが分解される過程において大量に消費される成分が糖分です、糖分は初期には血中の糖分を使いますが不足すると肝臓に蓄えられているグリコーゲンを糖に分解して放出し補います。
この状況が長時間続くと、肝臓は身体の貯蔵糖分であるグリコーゲンが減ったのを補填するように脳に働きかけます、つまりこの状況が腹が空いて何かを食べたいという衝動を起こすのです。
この時に重要なのが糖質の基となる炭水化物であり、脳の過去の学習からラーメンや丼ものが食べたいという衝動を起こすのです。
飲んで食べると太るという人がいますが、これは逆で食べたい時に食べるのが最も効率良く糖や脂肪が消費されるのです、我慢している状況が続くと摂取した際に消費よりも貯蓄が優先され太るのです。
「食べたい時に食べたい物を食べるのが健康」、とはよく言ったものでアルコール摂取時も例外では無いようです。

つい先日のこと、行きつけのショットバーでびっくるする会話を耳にしてしまいました、それはこんな感じです。
マスター 「ご注文は何にしましょう?」
客 「ハイボールで!」
マスター 「何をハイボールにしますか?」
客 「え!? ハイボールに種類があるんですか?」
まあ話の流れで解ったのですが、きっとそのお客さんは居酒屋でハイボールを頼む感覚だったのでしょう、居酒屋でハイボールといえばウイスキーハイボールを暗黙の了解で指しており、指定が無ければ店で決めているウイスキーを使うようにしています。
居酒屋でのウイスキーハイボールの多くは日本のものではサントリー角などでアメリカンウイスキーであればジムビームやアーリータイムス辺りが原価的に用意されていると思います、指定が無ければ安いほうの原価のウイスキーで作ります、なのでハイボールだけで通ってしまうわけです。
ところがショットバーでハイボールといえば飲み方の指定であって特定の飲み物を指してはいませんので、どんなお酒のハイボールなのかを指定しなければ作れないわけです。
ウイスキーのハイボールやジンなどのスピリッツをハイボールで飲む人もいれば、ブランデーやリキュールをハイボールで飲む人もいます、だから冒頭の会話となってしまうわけです。
まあショットバーに慣れないとなかなか自分の好みのお酒が飲めないという敷居の高さを敬遠する人もいますが、知らないものは知らないと正直になればバーテンダーが丁寧に教えてくれます。
カクテルだって最初から知っている人などいません、誰もが時間をかけて覚えていくものです、その中から自分の好みを知って各種スピリッツや各種リキュールを使ったカクテルを少しずつ覚えていくのです。
ウイスキーも同じことです、一つのショットバーで少なくても100種ほどの各種ウイスキーが置いてあるのですから、どんな味が好みかを聞きながら覚えていくのがショットバーで飲む愉しみというものです。
それに価値を見出せない人はショットバーでは愉しくお酒を飲むことはできないでしょう、妙なプライドを捨て正直に生きること、ショットバーはそんな生き方を学べるところでもあるのかもしれません。

お酒ならなんでも好きな私ですが、特にウイスキーと並びビールと焼酎は三好酒の一つになっています。
ビールに始まりビールに終わる私は、途中焼酎やウイスキーをロックやストレートで飲む際のチェイサーも水ではなくビールにしているくらいです。
さてここで焼酎というお酒は何とも不思議で奇異な蒸留酒は他に無いと思うのですが、不思議に思っているのは私だけかもしれません。
実は私が不思議だと考えるにはしっかりとした根拠があるのですが、普通の人は考えもつかないどうでもいいような事なのかもしれません。
さて何が不思議だと思うかですが、先ずは今から言うお酒の組み合わせを頭に思い浮かべて熟考して欲しいのです。
それではいきます、ワインとブランデー、ビールとモルトウイスキー、日本酒と焼酎、どうですかこの組み合わせの法則が解ったでしょうか。
答えはどの組み合わせも同じ原料で作られており前者は醸造酒で後者は蒸留酒ということです、ワインはブドウを醸造しブランデーはワインを蒸留して作り、ビールは大麦を醸造しウイスキーはホップを加える前のビールの基を蒸留して作り、日本酒は米を醸造し調整前の日本酒の原酒を蒸留して焼酎が作られています。
この組み合わせのなかで、アルコール度が高い蒸留酒に加水してアルコールを下げた場合に同じ原料の醸造酒の代わりに飲めるのは焼酎だけなのです。
例えばブランデーを水で薄めてワインの代わりになるでしょうか、ウイスキーを水で薄めてビールの代わりになるでしょうか、ところが焼酎は水で薄めても辛口の日本酒の味わいとなり更にお湯割りは熱燗代わりにしっかり飲めるのです。
この理由は何ででしょう、理由はともあれ「事実は最大の根拠なり」ということで焼酎は私的には以上の根拠から特別な存在であり神の酒だと崇めているのです。
ちなみに焼酎の蒸留したての原酒を30~40度に加水して樽で熟成すると、米や芋ウイスキーとして飲めることも既に実証済みで家庭用の小型貯蔵樽が市販されているのも面白い事実であり、焼酎がホワイトウイスキーと呼ばれる所以がここにあります。

下戸とはアルコールが飲めない人や飲んでもすぐに酔ってしまう人を指して言いますが、アルコールに強い人でも飲み過ぎると起こる二日酔いも実は同じアルコールの科学で証明できるのです。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解され、更にアセトアルデヒドは同じく肝臓で酢酸に分解されます、そして酢酸も最終形の水分と二酸化炭素に分解され体外に排出されます。
ここで重要になるのが、アルコール分解酵素(アルコール脱水素酵素)とアセトアルデヒド分解酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素)です、この2つの分解酵素は生まれ持っての遺伝や経験による獲得により総量が決まってしまい人によって正常値を100とした欠損率が異なるのです。
世界的にみてアジア系人種はどちらの酵素も欠損率が高いという研究結果が出ていますが、タイ人やカンボジア人は欠損率0というドイツ人やロシア人並みの酵素保有率を持っています。
さて、この2つの分解酵素ですが人によって保有率が異なるということが下戸や二日酔いになりやすい人を生んでいます。
アルコール分解酵素がゼロもしくは少ない人は下戸となってしまい身体がアルコールを受け付けません、またアルコール分解酵素は正常でもアセトアルデヒド分解酵素が少ない人は酔いやすく二日酔いにもなりやすい人となります。
実は二日酔いの原因はアルコール自体ではなく分解後に生じるアセトアルデヒドにあるのです、このアセトアルデヒドは人によっては有害な猛毒でもあり頭痛や吐き気を引き起こします、またタンパク質と結び付きやすいので癌の発祥原因とも言われる有害物質です。
横道にそれますが北欧系産のヨーグルトにはフルーティな味付けとしてアセトアルデヒドが添加物として含まれる場合があります、北欧系の人にとってはアセトアルデヒドはすぐに分解され身体にはほぼ無害なのですがアジア系の人にとっては有害になる人もいるので注意が必要です。
さて、ではかなり飲んでもケロっとしている人はどんな身体構造をしているのでしょうか、それはアルコール分解酵素が弱いか正常でアセトアルデヒド分解酵素が正常か強力な人です。
つまりゆっくりとアルコールが分解され、分解された瞬間にトコロテン式にアセトアルデヒトが分解されるので身体の血中にはアルコールと酢酸が増えるだけでアセトアルデヒドが少量しか存在しません、だから幾ら飲んでも楽しくなるばかりで頭痛や吐き気もないのです。
ただしアルコールに強い人も飲み過ぎには要注意です、どんなに強い人でも肝機能には限界というものがあるのですから。
最後に横道ですが、最新のゲノム分析で日本人のアルコール分解酵素の遺伝子であるADH1Bは約2万年前に変異し、アセトアルデヒト分解酵素であるALDH2は7500万年前に変異し変異遺伝子が増えてきたことが解りました、これらから下戸は確実に遺伝によるものだということが結論付けられたのです。

昔から食事の際には必ずビールを味噌汁やスープ代わりに飲んでいる私は完全にビール党です、同じ醸造酒でもワイン(シャンパン含め)や日本酒(紹興酒含め)はどうも身体に合わないようで勧められれば抵抗も無く飲みますが自ら進んで飲むことはあまりありません。
さて、そんなビールですがアメリカでは「リキッドミール(液体食)」、日本では「飲むご飯」と称する人たちがいます、勿論私もその一人で本当にご飯代わりになると考えています。
蒸した麦を醗酵して作るビールには炭水化物(糖質)とタンパク質が含まれており脂質や食物繊維はゼロです、またカリウムやマグネシウムなどのミネラル分も含まれており成分だけでいえば量はかなり水増しされてはいるものの食物繊維抜きのバケット(小麦と塩だけで作るフランスパンの一種)やクラッカーだと言っても過言ではありません。
つまりバケットで摂れる栄養素をビールで補えるわけです、勿論それなりの量を飲んだ場合となりますがビール党の人は食べるよりも飲んでお腹を満たすほうが好きなのですから都合がいいのです。
飲みながら腹が膨れるご飯やパンを避け、おつまみに足りない食物繊維やビタミン類を合わせれば主食を摂らずに食事と同様の栄養素が摂取することができるのです、まさに「食べるご飯」だと思います。
更にビールに含まれているホップはアンチエイジングや免疫力増強に効果があり更には利尿効果のある薬効成分が含まれていますので、ご飯に加えて抗酸化サプリメントを同時に飲んでいるようなものです、ビール党の人は皆さん肌つやがすごく良いのは頷けます。
成人後ほぼ毎日ビールを飲んでいる私は風邪もひかないし夏ばてもありません、そして還暦過ぎて久しくも歩くのは早いし筋力もほとんど衰えず健康そのものです。
食事の際だけではなくウイスキーのチェイサー代わりにまでビールを飲むビール党の呑兵衛の言葉では説得力もありませんが、自身の身体に合うものを好きなように飲んで食べて大いに健康なのだから一つの根拠としての戯言だと聞いていただければそれでいいのです。