ブランデーグラスにキューリを挿して飲むのは多分昭和の男でしょう、昭和の時代のクラブでは高級ブランデーにおつまみのスティック野菜のキューリを挿して飲むのが流行ったのです。
キューリの香りがブランデーのアルコール臭を見事に消して爽やかな香りに変化するということから流行ったようです、実に自由で平和な時代でした、今の時代にやったら笑われるかもしれません。
これを思い出して実験してみました、ウイスキーの味を変えてしまう生野菜が多い中でキューリは不思議とウイスキーやブランデーに合うことが解りました、ただし塩味の強い漬物類(糠漬け、柴漬け、たまり漬け等)は全て駄目でした。
そこでオリーブオイルにワインビネガーを加えてキューリのたたきに合えてみたらすごく爽やかな香りのウイスキーに合うおつまみになりました、下手にスパイスやハーブ類(ミョウガやシソなどの香草)は無いほうがキューリの爽やかな香りを楽しめます。
おつまみは料理と違って味や香りを作りこんで主張させては駄目です、あくまでもお酒を美味しくする脇役でなければなりません、おつまみに余計な小芝居は禁物です。

強いアルコールが好きな人の為のヘビーおつまみとしてストロング・ラムレーズンを作りました、アルコール度数がかなり高いので数粒食べただけで確実に酔います、これは意図して作ったのではなく、自家製のリキュールを各種作っているときにたまたま砂糖を加えずにレーズンの甘さだけでラムリキュールを作った際の副産物です。
普通のおつまみ用のラムレーズンはラムにガムシロップを加えて三倍ほどに薄めた液にレーズンをたっぷりと漬け込みます、私の場合はラムレーズンではなくてラムリキュール作りだったのでラムの原液だけを加えてレーズンの甘みだけで楽しむストロング・ラムリキュールを作ったのです。
たまたまだったのですが自家製リキュールとして美味しく飲んで残ったレーズンを食べてみたら強烈なアルコールがガツンときますが美味しかったのです、ウイスキーとの相性もばっちりです、ウイスキーを常にストレートで飲む人のおつまみとしてチーズ盛りなどの脇に少し和えるなどするとよいかもしれません、チーズとの相性もいいです。

確実に酔えるストロング・ラムレーズン
昔からチーズ&サラミはウイスキーのおつまみとして定番になっています、ただ日本で普通に買えるサラミはハードタイプで硬いものがほとんどです、ところがイタリア産やスペイン産のサラミの中にはソフトタイプが多くあります、ソフトタイプは美味しいのですが日持ちしないので扱いが難しいです、夏場に素手で触るとあっという間にカビてしまう恐れがあります。
そんなソフトタイプのサラミは太さも倍ほどで塩分やスパイスもほとんど入ってなく豚肉の旨みをそのまま感じられるのでウイスキーの味の邪魔をしません、むしろドライ系のウイスキーがマイルドに感じるほど相性は抜群です、チーズと共に食べると更にウイスキーに合うおつまみになります。
この場合の合わせるチーズはチェダーやミモレットなどが癖が少なく濃厚なコクを醸し出すので良く合います、味的に物足りない人向けにハーブ塩を添えるといいでしょう、ハーブ塩は市販されていますがオリジナルのものを作るのも話のネタになってよろしいかと思います。
豚肉によく合うハーブはオレガノやローズマリーです、岩塩と共にミルにかければあっという間に出来上がります、風味と塩味が調整できるので好みで合わせられるので数種類作っておくのも面白いと思います、私はフローラルの香りを隠し味(香り)的に入れる意味でオレガノとタイムに加えてフレンチラベンダーをほんの少し入れます。
イタリア産の定番ソフトサラミ

自家製ハーブ塩でイタリアン風味に

私がコンサルティングしているお店にはカジキマグロのソテーというメニューがあるのでステーキだけではなく同じ食材でフライにしたらおつまみにいいんじゃないかと提案したところ、即行で作って出してきました。
ウイスキーと共に試食したらすごく美味しいです、ステーキだと塩味が強く感じてビールには合いますがウイスキーにはイマイチだと感じていたのでヒットしました、ここで合わせるタルタルソースは塩味を抑えてレモン果汁で酸味を出すようにしたら更に美味しくなりました。
マスターは早々に「フィンガーフィッシュフライ」としてメニュー化してしまいました、上手くいっているお店のオーナーは本当にやることが早いです、このお店には私の提案したおつまみメニューが20種を超えます、そして料理だけでなくお酒を飲む人が増えたので売り上げも倍増したのです。
ちなみに料理に対してお酒は原価率が30%以下です、更にはドリンク類はアルバイトでも作れるので手軽に客単価を上げることができます、このお店もレストランでしたが場所的に考えてレストラン&バーとしてリニューアルさせたら赤字店だったのが見事に黒字店に変わりました。

シンプルにエビをグリルしただけで味付けも何もしないで食べてみたところ甘みと食感が凄くウイスキーに合います、下手に何もしないで素材の味を活かした方が美味しいおつまみになるという定説そのものです。
しっかりグリルしたエビは殻ごとパリパリ食べられますしプチトマトやピクルスなどを添えたら味付けもソースも何も要りません、おつまみは料理とは違って味付けを楽しむものとは別次元の存在だと思います。
グリルおつまみを作るだけなら業務用の本格的なグリルなど不要です、家庭用の電気オーブントースターがあれば用は足ります、ただしヒーターが温まるまで待ってから食材を入れるようにしないとカラッとした食感が得られないので要注意です。
シンプルイズベスト、おつまみですからお酒を美味しく飲めることが重要でお腹を満たすのが使命ではありません、その意味ではシンプルに素材の味だけを楽しむのがよろしいようで。
