「人間万時塞翁が馬」(じんかんばんじさいおうがうま)
中国の古書「淮南子(えなんじ)」に載せられている教えです、25歳で独立し28歳で法人化した私は、経営指南役として当時70歳近い大手接着剤会社の社長だった人を専務取締役として登用し3年間経営手法をみっちり学びました。
その当時の専務がこの言葉を使っては、「今この瞬間に一喜一憂するな」と事あるごとに私を冷静にさせてくれました。
この「人間万時塞翁が馬」の意味ですが、まず「人間」は「じんかん」と読み人のことではなく「世間」を意味しています。
そしてこの言葉の由来の話を要約すると、大切な村の馬が逃げ出してしまった、それを見た老人が「これが不幸とは限らない」と言いました、その通り逃げた馬が多数の馬を連れて戻って来ました。
それを見た老人は「これが幸福とは限らない」と言いました、その通り馬に乗った老人の息子が落馬して大怪我を負いました。
それを見た老人は「これが不幸とは限らない」と言いました、その後、隣国との紛争が起り多くの若者が戦死する中、老人の息子は怪我のため戦争に加わらず無事でした。
成功する人は今この瞬間の出来事に一喜一憂しません、それが本当に幸福なのか不幸なのかは未来にはっきりするのであって今は解らないからです。
少なくても今この瞬間の小さな喜び事に湧いて、その後に起こる事への事前準備を怠ることがないようにしたいものです。
取り決め事は詰めるのに時間を要す。
しかしこれらはあくまでも体裁上の約束事。
樹木で例えるなら「枝葉」である。
重要なのは「総論」である。
つまり何を目的として契約するかである。
樹木で例えるなら「幹」である。
本当に重要なのは互いに信頼するということ。
互いに相手を思いやる「心」の問題である。
樹木で例えるなら「根」である。
更に契約を交わすことだけが「契約」ではない。
口頭であれ約束すればそれはもう契約と同じ。
約束を守らないのは「契約不履行」に他ならない。
※耳順(じじゅん)とは、孔子論語の「六十にして人の話しを素直に聞けるようになった」という節を起源とする60歳代の呼び名である。
綺麗な花にはトゲがある。
美味い料理には毒がある。
儲け話には例外なく裏がある。
※長いビジネス人生、多くの人と出会い、多くの善悪を学びました。
有能な人材は五万といる。
いないと思うのは視野が狭いだけ。
何事も自分の周辺だけを見て思考するな。
※長いビジネス人生、多くの人と出会い、多くの善悪を学びました。
昔から「天の時」の話しをよく口にする私ですが真に理解して姿勢を正せた人は極僅かです、その極僅かな人を身近に置いて重用するのが私流の人材発掘の方法でもあります。
自身の使命を理解して「天の時」を待ちつつ日々脳を活性化することができる人は必要なときに何をやらせてもミスなく成果を出せる人だということを長い経営経験で学んでいるからこその術なのです、多くの人はその場で「天の時」の話しは聞いてはいても次の日には頭の隅にも置いてなく更には真に理解して自身の姿勢に活かすことはありません、私はそういう人には興味すら抱くこともないのです。
「天の時」を解りやすい例えで言うと「傘が使われる時」です、傘は雨の日にしか使われません、長らく雨が降らない日が続けば玄関先で埃をかぶって見向きもされません、でも雨の日には一瞬にして重用される必須のものに変わります、もし傘が無ければ出勤することもできません。
傘が使われる時が傘の人生でいうところの「天の時」です、傘を人間に置き換えてみてください、傘と同じようなタイプの人は必ずどの組織にもいるものです、常日頃は利益に直接貢献する要人でもなく休んでも別に業務に大きな支障をきたすこともありません、でも有事の際には他のどの人よりも頼りになる人なのです。
どこにそんな能力を隠し持っていたのかと周囲を驚かせます、そして一瞬にして組織に認められる存在になるのです、もしも、傘タイプの人が「私はここに居ます、もっと認めて下さい」とばかりに常時出しゃばってきたら組織はどうなるでしょうか?
業務フローが乱れ悪い流れが組織の中に巻き起こります、そして各所で障害や無意味な業務がどんどん増えていきます、自分が傘であるなら余計な事を一切考えずに大人しく雨が降るまでじっと待つことです、むしろ自分が使われることがない日が続くのは組織が正常で平和な状況だと喜べばよいのです。
自分の使命が理解できていない人は組織においては本当に厄介者扱いされます、「無知は最大の罪だ」という本質がここにあります、自分の使命と存在価値を正確に知ることと相応しい使われ方をする「天の時」をじっと待つことができるか否かで成功する人としない人に分かれるのです。
真の事業家とはお人よしでも馬鹿でもありません、本当に役に立たない人であれば何年もの間給与を払い続けるわけがないのです、払い続けるのはビジネス百戦錬磨で身についた意味も理由も在ってのことです、いつの時代もどんな組織でもリーダーを信じられなくなったら潔く身を引くことです、代わりは幾らでも瞬時に用意してしまうのも真の事業家という自分の使命を理解している人の成せる技なのですから。
最後に傘があっても壊れていたら「天の時」に使われずにそれこそ本当に即捨てられます、いつ発動命令が出ても全力発揮できるように日々自身のメンテナンスを怠らないことです。
事業家と行動する者の日々の最大の業務は自身のメンテナンスと脳のウォーミングアップです、未来に活かせる資格の取得や事業推進に活かせる知識やノウハウを貯め込んでいればよいのです、やる事がないというのはまさに自身の使命に気付いていない確たる証拠です、最悪なのはやることがないと勝手な解釈で組織の未来に活かせる知識ではなく自分が理解できる知識に意味も無く時間を費やす人です。
何故プロ野球の世界でレギュラーよりも代打の方が出番が圧倒的に少ないのに報酬が高いのでしょうか、レギュラー以上に日々練習をしてここぞの時にきっちり成果を出すからに他なりません、事業家にとってこれほど不安なく事業推進できる材料は他にないのです、何故ならやりたい時にやりたい事が則実行できる人材が常に脇にいるのですから。
「私にできる事をやらせて下さい」と言う人がいます、私は「報酬はちゃんと払うから大人しく言われた事だけに集中しろ」と言います、まさにこれを言われる人が傘タイプの人だということです、時間が有るなら先の話しのように未来に繋がる事項で資格を取得したり事業に関る知識を得てコンテンツを貯めこんでいればいいのです。