「よくわきまえたる道には必ず口重く、問わぬ限りは言わぬこそいみじけれ」
鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて名を馳せた歌人である吉田兼好のこの一言は、人間関係構築上において大変参考になります。
700年の年月を感じさせずに今も尚新鮮に心に沁み入る金言として、私は常に頭において如何なる時も言動に注意しています。
本当にその道を極めている人は自身の生業における専門分野についてあれこれとは話さないものです、それは相手に不要な警戒心と嫌悪感を与えてしまうからです。
むしろ良く知った専門分野については冗談で誤魔化すなり、あえて知らないふりをすることで価値が出るというものです。
その道を極めれば極めるほどに、その立場を得れば得るほどに口は重く閉ざすことが肝要です。
問わぬのに自身の栄光をペラペラとしゃべる人に信頼と尊敬の念を抱けるかと問われれば、多くの人の答えはたった一つでしょう。
「ずいぶん丸くなったな」
恩師の言葉から30余年。
今更ながら頭をよぎる度に思考を凝らす。
世間の荒波にもまれ、
角を削られて丸くなるのではつまらない。
角が目立たなくなる程に、
デコボコを埋めて丸くするのがよい。
削られては小さくなるばかり。
例え丸くなっても、
小さくまとまってしまっては意味が無い。
角(個性)は削り落とす必要はない。
他の部分が不足しているから、
角(個性)が目立つだけ。
経験によって溝を埋めることで丸くなれ。
今より幾回りも大きく育てろ。
※耳順(じじゅん)とは、孔子論語の「六十にして人の話しを素直に聞けるようになった」という節を起源とする60歳代の呼び名である。
中国の古代思想の一つに「陰陽思想」という学問があります、この世は光と影・男と女・天と地・肉体と精神・動物と植物など「万物は陽と陰から成る」というものです。
現在では、科学の発展によって素粒子も電気も電波も見えない存在までこの法則に従って成り立っていることが実証されています。
これらの事象から18世紀以降には多くの哲学や新たな宗教が生まれました、その一つに「運命」があります。
「幸事が起きると同時に不幸事も生まれる」、「幸不幸はリズミカルに訪れる」など、多くの哲学者が「陰陽思想」を基本にして科学の裏付けにより説いています。
更には「陰陽思想」の法則は基本事項を入れると5つ存在しています、その中の一つが私が常に意識しているもので「陰極まれば陽極まる」という法則です。
これは「悪いことが大きければ良いことも大きくなる」という意味で、「幸不幸は常にその瞬間のパワーバランス」によって生まれると解釈できます。
ここで本題です、例えば感情的に許せないという気持ちから意図的に誰かを陥れたり攻撃したりします、そうするとどうなるでしょうか。
相手は自分の思惑とは逆に一時的な強いストレスを感じた分、その後に結果的にはどんどん良い事が積み重なっていきます、つまり陥れたはずの相手にエールを送ることになるのです。
そして、自分は一時的にでもスッキリして一瞬でも幸せを感じた分、その後に必ず悪いことが起きてきます、先人は「人を呪わば穴二つ」と実によく例えて言ったものです。
ビジネスにプライベートに常に私はこう考えます、「やりたい人にはやりたいようにやらせておけばよい、言いたい人には言いたいように言わせておけばよい、何れは全てが明白になるから」と。
これを我慢できずに反撃しようものなら相手には良いことが回っていくようになります、私のロジカルシンキングもまた陰陽思想重視でシナリオを立てます、つまり良い事と悪い事を想定して陰陽バランスを考えたうえで戦略を練るのです。
世の中は良い事ばかり起こりません、じっくりとその裏に潜む悪い事も含めてロジカルシンキングしてほしいと思うばかりです。
例え口頭であろうが約束は必ず守ること。
それがビジネス取引での最低条件である。
口頭合意は法的にも有効なのだから。
「記憶にございません」で通るほど世間は甘くない。
※長いビジネス人生、多くの人と出会い、多くの善悪を学びました。
真の信頼関係が築けたとき、
心の痛みは喜びに変り、
心の傷は勲章に変る。
傷つくことを恐れていては真の信頼関係は築けない。
※長いビジネス人生、多くの人と出会い、多くの善悪を学びました。