ブルイックラディ蒸留所のポートシャーロットのスタンダードともいえるポートシャーロット10年はザ・クラシックラディのノンピートでフルーティな味と香りとは真逆の実にアイラモルトらしい骨太の逸品に仕上がっています。
ブルイックラディ蒸留所では冠銘柄のブルイックラディ、ピーテッド版のポートシャーロット、最高級ブランドのオクトモアと3つのブランドを出しており、アイラの蒸留所の中にあって個性的なスタイルの経営方針を貫いています。
さてポートシャーロット10年はかなり強くピート臭をつけており燻製の香りが強烈にきてアイラモルトファンには嬉しい香りが堪能できます、加えてバーボンカスクとワインカスクからくる甘いケーキのような香りが口の中でミックスして何ともいえない深い後味と香りを楽しめます。
ザ・クラシックラディを置いていないショットバーはあってもポートシャーロットは置いています、確かにこの味と香りは虜になってしまうのも頷けます。
これぞアイラモルト、同じ蒸留所の対照的なザ・クラシックラディと是非とも飲み比べてほしいと思います、この2本を比較してしまうと謎のアイラモルトのベース蒸留所を当てるのが如何に難しいか解ると思います、まったく別の蒸留所だと勘違いしてしまうでしょう。
品名 ポートシャーロット10年
熟成年数 10年
カスク ファーストフィル・バーボン65%、セカンドフィル・バーボン10%、セカンドフィル・フレンチワイン25%
蒸留所 ブルイックラディ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 50度
内容量 700ml
価格 7,000円~8,000円(2023年8月時点)
特記事項 ヘビーピーテッド、3カスクヴァッティング
ブルイックラディ蒸留所の冠銘柄ブルイックラディのスタンダードともいえるザ・クラシックラディは色鮮やかなブルーボトルで、アイラモルトの中では珍しくボトルすべてをビニールコーティングした斬新なデザインで目を引きます。
ちなみにこのブルーをブルイックラディ蒸留所では「ラディブルー」と呼んでおり蒸留所のある地域の空の色を模したとしています、私の故郷信州の冬の空も同様の色なのですごく共感します、この色はすかっと晴れ渡った青空にうっすらと霧がかかったときの色であり蒸留所がどのような環境下にあるのかが想像できます。
ブルイックラディ蒸留所では冠銘柄のブルイックラディ、ヘビーピーテッド版のポートシャーロット、最高級ブランドで熟成原酒をカスク単位でボトリングしたオクトモアと3つのブランドを出しており、アイラの蒸留所の中にあって個性的なスタイルの経営方針を貫いています、そのためかポートシャーロットやオクトモアはボトラーズ銘柄だと思っている人も多いです。
さてザ・クラシックラディはできるだけ原酒に近い味わいを残す目的でアルコール度数を50度に設定しています、ただアイライモルトの特徴の一つであるピート臭がゼロで物足りないと感じるアイラモルトファンも多いでしょう、その分樽から染み出したフルーティなカスク独特の香り成分が楽しめるのですが最もアイラモルトらしくない味と香りのウイスキーです。
まず梨や桃のような甘い香りがしますが飲んだ瞬間に一転ドライな辛口の味という変化に驚きます、また飲み込んだ後には再度フルーティな後味と香りに包まれます、何とも言えない摩訶不思議なウイスキーがあるものです。
その意味ではアイラモルトファンの心を擽らないのか置いていないショットバーも多いのも確かです、私的にはこんなフルーティ&ドライなアイラモルトも在ってよいと考え気分転換や偏った思考のリセットのために飲む一本です。
アイラモルトとしての評価ではなく美味しいシングルモルトスコッチウイスキーとして評価されるべきだと思います、ただし注意点として非常に飲みやすいのですがアルコール度数はあくまでも50度であることをお忘れなく、一昔前のスクリュードライバーのように意識を無くされないように願います。
<2023年10月16日追記>
新ラベルが出ましたので本ボトルは旧ラベルとなりました、尚本ボトルの価格は急上昇しています。
品名 ブルイックラディ ザ・クラシックラディ 旧ラベル
熟成年数 不明(ノンエイジ)
カスク 不明
蒸留所 ブルイックラディ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 50度
内容量 700ml
価格 6,500円~7,500円(2023年10月16日更新)
特記事項 ノンピート、本ボトルは一世代旧ラベル
アラート 新ラベルの誕生により終売となりました
左:ラガヴーリン16年 右:ラガヴーリン10年
歴史あるラガヴーリン蒸留所がバーボンカスクを使って熟成したモルトがこのラガヴーリン10年で、ラガヴーリン16年とは対照的な味と香りが楽しめる逸品です、2019年に免税店向けの特別仕様で創出されたもので現存数が少ないのか価格が時を刻むごとに上昇傾向にあります。
ラガヴーリン蒸留所の伝統はラガヴーリン16年をフラッグシップボトルとして扱っているように、シェリーカスクで最低でも16年じっくりかけて熟成させないと本来のラガヴーリンらしさが出ないということでショットバーでもラガヴーリンを頼むとほぼラガヴーリン16年を出してきます。
注意事項として断っておきますが、ラガヴーリン10年はラガヴーリン16年の若熟成ものではなく、価格も現在ではラガヴーリン16年よりも高くなっており異種のシングルモルトとして考えたほうがよいでしょう、ラガヴーリン16年の若熟成を飲んでみたいのであればラガヴーリン8年が在りますので飲み比べてみると面白いでしょう。
ラガヴーリン16年に比べてラガヴーリン10年は、俗にいうアイラモルトらしく尖ったスパイシーな味と飲み込んだ後にくる対照的な甘いケーキのような味と香りが広がりアイラモルトファンにはかなり好まれる傾向の味だと思います、ただラガヴーリン16年に比べて明らかに人を選ぶでしょう。
味と香りのバランスではラガヴーリン16年に軍配が上がります、対して一口目からくるスパイシーの中に広がる甘いまったり感という職人芸的な妙味を楽しむなら間違いなくラガヴーリン10年に軍配が上がります。
ラガヴーリン10年はショットバーではほぼ飲むことができません、是非とも家でじっくりとラガヴーリン16年と飲み比べてアイラモルトのカスクの重要性の奥深さを味わってみてください、もしかしたらその日からラガヴーリン10年の個性的且つ魅力的な味にはまり虜になってしまうでしょう。
品名 ラガヴーリン10年
熟成年数 10年
カスク ファーストフィル・バーボン
蒸留所 ラガヴーリン(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 43度
内容量 700ml
価格 12,500円~14,000円(2023年8月時点)
特記事項 免税店向け特別限定版(2019年~)
左:ラガヴーリン16年 右:ラガヴーリン10年
歴史あるラガヴーリン蒸留所のフラッグシップボトルがこのラガヴーリン16年です、16年熟成がフラッグシップというのが他のアイラ島の蒸留所では考えられず面白いのですが、ラガヴーリンの美味しさを引き出すのにはシェリーカスクでじっくり最低16年かかるというのが同蒸留所のポリシーのようです。
ちなみにショットバーでラガヴーリンを頼むとほぼラガヴーリン16年を出してきます、ラガヴーリン蒸留所のポリシーを守っているのか若熟成ボトルを置いていないショットバーが多いです、ちなみにラガヴーリン10年はファーストフィル・バーボンカスクであり単なるラガヴーリン16年の若熟成ものではないので要注意です。
ラガヴーリン10年は如何にもアイラモルトらしい骨太な味ですが、どうしても価格とのバランスで比較してしまうとコストパフォーマンスが高いのがラガヴーリン16年ということに落ち着きます。
アイラモルトらしいピーティな力強さと上品で濃厚な甘い味と香りを兼ね備え、更にアルコール度数を43度に調整していますからストレートでも大変飲みやすく女性にも熱烈ファンが多いのも納得です。
私個人的には常飲用アイラモルトではなく、眠れない夜のナイトキャップや嬉しいことがあったときに静かに一人1杯やりたくなる特別な存在です、飲んでその存在に感謝できるウイスキーは私にとっては貴重な存在です。
<2024年2月18日追記>
2023年初頭に正規品の価格改正により20%ほど値上げしており、他のラガヴーリンは10%以下の値上げということからラガヴーリン16年は終売が近いのではないかとの噂が広がっています。
品名 ラガヴーリン16年
熟成年数 16年
カスク シェリー
蒸留所 ラガヴーリン(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 43度
内容量 700ml
価格 12,000円~13,500円(2023年8月時点)
特記事項 2023年初頭に価格改正があり20%ほど値上がり
アラート カスク原酒が枯渇気味で終売の噂がある(2024年2月18日更新)
何を隠そう私がこれまでに一番多く飲んだアイラモルトがこの明るい琥珀色に輝くカリラ12年です、一時期はショットバーではこれしか飲まない時期もあったほどです。
一癖も二癖もあるピート臭やヨード臭が強く感じて敬遠する人もいるでしょう、でも一度好きになってしまうとこの香りが堪らなくなってしまうのです。
特にブルーチーズ好きの私にはブルーチーズを美味しく食べるためのウイスキーと言っても過言ではないほどで、アンモニア臭がきつく味が濃いブルーチーズと味も香りも本当に相性が抜群なのです。
ロックで飲むと若干の水分で連鎖アルコール分子が分解して味がガラッと変わるのも楽しいです、ストレートで気になっていたヨード臭も香ばしいカラメルコーティングのアーモンドのような香りに変化するのには驚きます。
アイラモルトの命ともいえるピート臭(スモーキーフレーバ)、ヨード臭(磯の香り)、加えてスパイシーな味を存分に堪能でき私個人的にはリーズナブルな価格ということもありアイラモルトのなかでもイチオシの逸品です。
尚、現在日本で手軽に購入できるカリラ蒸留所の銘柄はカリラ12年に加えてカリラ12年の原酒であるカスクストレングス版などがあります、もしもUD社発売の「花と動物シリーズ」のカリラ15年を現在飲んでみたいと思ったらオークションで落とすしかなく最低でも7万円は覚悟する必要があります、しかし味はカリラ12年に比べてコクが増して甘みが加わり至福の逸品です。
品名 カリラ12年
熟成年数 12年
カスク バーボン
蒸留所 カリラ(アイラ島)
ウイスキー種 シングルモルト
アルコール度数 43度
内容量 700ml
価格 6,000円~7,500円(2023年8月時点)