おそらくグレンフォレスというウイスキーが存在していたことを知っている人はほぼいないと思います、幾つかのショットバーで話を出してもバーテンダーでさえも知りません、たった一人行き付けのショットバーの還暦過ぎたばかりのマスターが知っていましたが飲んだことはないということです。
1823年に創業したグレンフォレス蒸留所は1837年にオーナーチェンジにより現在のエドラダワー蒸留所と改めます、この初期の蒸留所の名前を冠したシングルモルトは1986年にエドラダワーというオフィシャル名称に代わるまで70年代後半から数年間だけ流通していた幻のウイスキーなのです。
エドラダワー蒸留所は2018年までスコットランド最小の蒸留所として観光名所ともなっている大変人気のある蒸留所です、その少量生産されてきたウイスキーは甘みの中にやんわりと酸味が香る非常に上品な風味です。
先のマスターにも味わって欲しいと先日大判振舞で皆で試飲しました、エドラダワー蒸留所は2018年から蒸留ポットスチルが変わりました、その影響もあるのか現在のエドラダワーとグレンフォレスは別物というほど風味が違い非常に上品な香りがします。
過去を掘り起こしてもっと評価され話題となるべきウイスキーです、きっと現在のエドラダワーの前身銘柄だということがウイスキーマニアの間に広まれば一気に手の届かない存在になるのは必至でしょう。

木箱・リーフレット付きのグレンフォレス12年フルセット
アイラファンの送るアイラファンによるアイラモルトブレンデッドウイスキーがあります、この存在の価値を解る人だけが至福の味を味わえるウイスキーなのです。
ビッグ・ピートはアイラ島の4つの蒸留所のモルトのみをブレンドしたモルトブレンデッドウイスキーで1983年に閉鎖した幻のアイラモルトであるポートエレン蒸留所の最期に仕込んだ1983年カスク(40年もの)が含まれています。
ポートエレンに加えてアードベッグ、カリラ、ボウモアとアイラファンには堪らない蒸留所のシングルモルトがブレンドされているとあってアイラモルトファンにとっては看過できないウイスキーではないでしょうか。
これ1本でアイラモルトエッセンスのすべてが理解できるウイスキーと言えます、アイラモルトファンの為のアイラモルトブレンデッドがビッグ・ピートなのです。
封切りから立ち上るスモーク臭にはじまりスパイシーな味がガツンときてフィニッシュでバニラやアーモンドのような香りが口の中に広がります、私はいつ終売になってもよいように5本もストックしています、そのうち手が出せないほどの価格になってしまうかもしれません。

バブル景気は高いものほどよく売れるという変な時代でした、そんなバブル景気真っ最中な時代にはファッションブランドやスポーツブランドからも高級ブレンデッドウイスキーが商品化されていました。
90年代に入るといつの間にかこれらのブランドのウイスキーは姿を消していきました、また多くは香港やパリの免税店で発売され日本人向けを意識してかバックラベルなどには日本語表記されているのも面白いです。
当時は日本向けに高価なウイスキーを出せば売れた時代で今は無き銘柄のウイスキーも多数あります、アンティークウイスキーショップやリサイクルショップには見たことも無いウイスキーがずらりと並んでいます。
これらは全て80年代に免税店やリカーショップが並行輸入して販売されていたものです、風味はどれもトロンとした甘口でこれはこれで一つのカテゴリとしてのウイスキーとして美味しく飲めるものが多いです。
ブランディが流行っていた時期でもあり、当時のジャパニーズウイスキーがこれらに比べてドライな風味ということもあり、今思うに80年代はジャパニーズウイスキーの氷河期だったのかもしれません。
ダンヒル

バーバリー

JPS

もう10年近く前になるでしょうか、30数年前のバブル経済期の頃にヒースロー国際空港で買ったボウモア飲み比べ200mlボトルセットをみんなで飲み比べしました。
このセットはボウモア8年、12年、15年、17年、21年で当時出されていたボウモアの全オフィシャルの200mlボトルで現在では二度と手に入らないものです。
味と香りの違いを楽しむための免税店限定セット、もし今オークションに出したら購入価格自体が2万円ほどだったのでどれほどの金額で売れたでしょうか、おそらく世界でも現存していないのではないかとというほど極めて貴重なセットだったのです。
味と香りは当然楽しめたのですが、そういうことよりも貴重な経験をしたこと自体が宝だと思うのです、それをみんなで共有できるのはすばらしいことです。
貴重なボトルを持っていることは一つの誉れ、でもそれを手放してしまったらそれを再度手にするのには数十倍のお金を払わなければならないのです、貴重であろうが高額であろうが今それを楽しめることに大きな価値があると思うのです。

そのときの写真をスタッフがこっそり撮って残してくれていました
ちなみに左のボウモア12年は現在プレミアムが付いている激レアのカモメラベル
以前はほぼ毎日で最近でも週2回は通うネパール料理レストラン、常に芋2種と麦1種の焼酎をキープしているのですが、ウイスキーのキープを始めたというので早々にシーバス・リーガル12年の1リットルボトルをキープしました、それにしても1リットルボトルで1万1,500円とはスナックの半額で嬉しいです。
ショットで積算するとキープ価格の倍以上になってしまうので、私のような自由なスタイルでゴクゴク飲む派には日本のボトルキープ制度は本当にありがたいです。
バランタインと並びブレンデッドの代表格のシーバス・リーガルはブレンデッドのスタンダードとして日本においては昔から安定した地位を築いています、ちなみに国によってはバランタインがスタンダードとなっていたりで国によって事情が異なるのが面白いところです、いわゆるその国におけるウイスキーセーラーのマーケティング戦略の違いでしょう。
スパイシーな味と香りが売りのネパール料理にはマイルドなブレンデッドウイスキーは実に良く合います、ストレートにロックに水割りとどんなスタイルでも美味しく飲めるのがまた嬉しいです。
ちなみにシングルモルトファンには驚きの事実ですが、実はシーバスリーガルのキーモルトはストラスアイラ、グレンリベット、ロングモーン、ベンリアックという4つのスペイサイドの超有名な蒸留所のシングルモルトです。
特にロングモーンは現在では手が出せないほどの高級シングルモルトになってしまっています、この事実は見逃せません、ブレンデッドウイスキーはシングルモルトに比べて決して格下なのではありません。
オーナーは頼めば何でも快くやってくれます、アイラモルトをお願いすればきっと入れてくれるのでしょう、ただスパイシーな料理とアイラモルトを合わせて美味しいのかどうかは疑問ですが是非とも一度は体験しておきたいと思います。

シーバス・リーガル12年1,000mlボトル