ベンチャー・キャピタリストの世界には「ベンチャー企業の売り上げ限界説」というものがあります、これは過去の膨大なデータを分析した結果です、下記に示すデーターは経営者には大変参考になる数字ではないでしょうか。
1.売上1億円までは社長一人でも頑張れば何とか作れる。
2..売上2億円までは優秀な社員やパートナーに恵まれれば作れる。
3..売上3億円までは相応の戦略と有能な参謀とも言える人脈に恵まれれば作れる。
4..売上4億円を超えるには上記に加え独自の技術やサービスなど他社にはできない武器がなければ達成できない。
ベンチャーキャピタルやファンド運用会社は、上記の法則に照らし合わせて売上げが最低でも4億円を超えてきた企業に対して初めて出資の検討などを行うのです。
これは実際に起業した人であれば理解できると思いますが売り上げ1億円はそう難しくありません、とにかく必死に社員と共に頑張ればできる売上げです、しかし不思議なことにその先はピタッと売り上げは横ばいになります。
売り上げ2億円超は将来大企業になるか中小企業で終わるかの大きなハードルと言っても過言ではないほどの極めて高いハードルなのです、そして殆どの経営者は売上げの横ばいが長く続く2億円のハードルが精神的な障害ともなり何時の間にか志も薄れ成長より安定を選んでしまうのです。
経営者はまず1億円を超える売上げを出せる有望なる人脈を早期に得て盤石の態勢を構築しましょう、そういう意味では常日頃から人間性を磨き信頼関係を築いていかなくてはならないのです。
企業には銀行やオフィスのIT環境など本当に様々な業種の方がアポ無しで営業に来ます、ビジネスはその経緯や何回会ったかは関係ありません、少なくても私においてはその会社と取引を行おうと思うときは営業している人の資質や言動によるところが非常に影響すると考えています。
例えば証券や保険会社の金融商品は各社の差異はほぼありません、他の商品についても同様だと思います、では何故何時も結果を出せる人と出せない人とが存在するのでしょうか、結果を出す人はまず説明をダラダラとしません、初回は「また来ます」程度です、そして必ずこちらのメリットを最優先して提案してきます。
ところが最初から一方的に説明してこちらが具体的な質問をしても正確な回答も無く、自分が話したいことばかりを話す人は取引どころか今すぐにでも話を終わらせたい気持ちになってきます、これは必死さや一生懸命な気持ちだけは確かに伝わります、しかしそれがこちらにメリットが有るのか他社と何が違うのかなどは全く解りません。
結局こちらも無駄に時間を費やすだけで聞いている側としてはイライラを通り超えて担当者に苦痛や怒りまでも覚えるようになります、ビジネスとは必死に売ろうとすればするほど売れません、もう経験済みの人も多いのでよく解りますよね?
ビジネスはチャンスをもっと大切にして相手を思いやる気持ちのゆとりが欲しいと思います、今だけがビジネスチャンスなのではありません、ビジネスは売ろうとせず買って頂くという気持ちが基本であり肝要なのです、物が世に溢れ欲しいものはすぐにも手に入ります、価値の対象も判断指標そのものが新たなステージに上がってきています、これまでのような売り一辺倒のビジネスは既に崩壊しているのです。
自分は経営者として今どのステージにいるのでしょうか、そのゲージの一つが顧客です、顧客のレベルは会社の存在感を示すことにもなり経営者のステージをものの見事に表しています。
私は起業前に個人事業主としてフリーSEを2年ほどやっており、その頃の取引先は国内外問わず全て上場企業でした、ところが法人化したとたんに取引先から子会社や関連会社との取引口座に変更されました。
理由は企業コンプライアンス上の規定だということでした、上場企業は法人契約の場合には取引先の信用調査を行います、なんと当時の商習慣では設立3年以内は信用力ゼロだったのです、その後徐々に信用力を上げ取引先も大手中堅企業や上場企業に戻っていきました、つまり取引先のレベルがそのまま自社の法人信用力レベルだと確認することができます。
もう一つのゲージは自社オリジナルの商品やサービスを持っているかということです、OEMやPB商品でも良いのですが、この場合は完全オリジナルよりもステージは当然下がります、OEMやPB商品とは他社商品の自社ブランド化であり、そこには大きな投資もリスクも存在しません。
大きな投資とリスクを抱える、これを行えるということは一つのハードルをクリアしたも同然であり企業レベルとしては数段上のステージに上がることになります、私の場合は法人化から自社商品を目標にしていながら結果的に自社商品を持つまでに実に9年間もかかってしまいました。
今もなお「ものづくり」神話は生きています、IT全盛時代であっても同じことです、IT事業でも自社商品を持つことが重要なのです、ITの場合はパッケージという単独で扱える商品とITのWebサービスとも言えるASPとがあります、OSや会計ソフトなどがパッケージであり取引サイトやショッピングモールなどがASPサービスとなります。
最後のゲージが売り上げです、信用力が一気に上がるのが売り上げ1億円です、次に3億円のとてつもなく大きな壁があります、その次は10億円までレベルは変わりません、まずは最低でも1億円の壁を突破し維持させることが重要です、これは単独でも自信が代表を務めるグループ全社でも構いません。
この3つのゲージをクリアできる企業、これを経営する経営者は一応の成功経営者と言っても過言ではありません、「年商1000万円!」、「月収100万円!」、今の時代にはこれも素晴らしいことなのでしょう、でも世間の評価は個人レベルという評価になります。
ちなみに私のフリーSE時代での年商はパートナーを2人雇って6000万円超です、納税額は2000万円超で2年連続高額納税者(納税額1000万円以上)として新聞に載りました、当時で独立するとはこういうことなのです、だから今の時代の起業家は何を目的に起業するのか私には正直理解できません。
年収だけで言うと会社員よりも低いのであれば道楽であって決して法人ビジネスではありません、法人化したのであれば最低でも年商1億円を目指すことです、その過程においてやりたい事を真にやれるようになり結果として成功者と言われるのです。
経営者とは何でしょう、ときどき経営者としての人生を省みては平坦でも安全な会社員人生と比べて苦労やリスクの重さに押しつぶされそうになるときがあります、経営歴が人生の半数以上経った今でも毎日のようにあります。
この期に及んではこの葛藤から逃れることはできないのだろうと潔く受け入れています、それで落胆することも一切ありません、会社員では味わえない大きな喜びもまた何とも言えない最高の人生のスパイスであるからです。
給金感覚・休日感覚・曜日感覚は全て会社員の特権であり組織に属するが故の習性でもあると思います、経営者はある意味では24時間365日がビジネスと言っても過言ではありません、逆に24時間365日がプライベートでもあるのです、何をするにも自身の責任と立場において自由に何事も決定することができるからです。
家族に関しても時にはビジネスや社員を優先せざるを得ないこともあります、その意味で人生そのものが会社員時代のそれとは次元と思考が異なるのです、起業しても尚会社員と同じ感覚の人もいます、主婦起業家でよく見かけますが生活の経済ベースだけは旦那に頼りそのうえで「自身のやりたい事を自由にやるんだ」という人がいます。
これは経営者の感覚ではありません、世間的には法人化したフリーターがよいところでしょう、経営者とはまずは経済的にも精神的にも自立できて初めて経営者と呼べるのです、マインドはフリーターで実現しようとしている事は経営者、こんな上手い話は有り得ません、経営者として成功することはないと断言できます。
生活が守られ時間も気持ちも自由でいたい、それであれば経営者など辞めて名実ともに潔く主婦人生を歩めば良いと思います、個人の収益があるなら個人事業主登録で納税すれば良いのです。
会社員には会社員なりの立場によるノルマや責任が有ります、それとは比べ物にならないほど経営者には使命とリスクが付きまといます、だからこその相応しい大きな喜びや成功も在るのです。
ノンリスク・ノンストレス、それに見合った人生は結果もそれ相応にささやかな戯れ事はあるとしても大きな成功という喜びは無いのです、経営者人生とは苦しくも厳しくもあるのですが極めて楽しいものです、私には何度自問自答しても答えは同じです、だから経営者を続けられるのです。
近年企業戦略の一つとして「ダイバーシティ」という構想が生まれています、この「ダイバーシティ」とは性別・人種の格差を無くして宗教・文化・専門分野などのフィールドの違う人材を積極的に雇用することで現在の社会の多様なニーズに応えようとする企業活動を言います。
実際に日本でも大手企業などでは既に数年前から取り組みを見せています、特に日本は世界的にみて宗教や人種に対して寛大でありダイバーシティ戦略を行いやすい国として評価されています。
例えば家電量販店やドラッグストアなどでは現在外国旅行者向けの専門店舗を展開しており、ほとんどがアジア系の従業員で構成され店舗によっては日本語の表示が一切ない店舗もあります、またIT業界ではブロックチェーンやAIの台頭によりこれまでのIT技術者と事務職だけで構成されていた組織も金融経験者や医療業務経験者などが続々と登用されてきています。
更には外資系でもないのに国籍も様々なグローバル指向の組織が誕生してきています、こういった活動を行う事で現在の多様なニーズに応えられるだけではなく多くのメリットも生まれてきます、その一つがグローバル化へのスムースな戦略です、人種の異なる社員が自国に戻るときがベストなチャンスであり、その国の出身者によって多くの国でマーケッティングが行え場合によっては憂いなく支店化もできるのです。
同時に社員の思考視野が広がり国際競争力強化に必要なコミュニケーション能力や他国文化を日本に居ながらにして磨けることにも繋がります、これによって狭いマーケットでしか売れなかった商品が大きなマーケットを意識した世界ブランドに変貌していきます。
多様化する時代において企業成長の一つのキーワードになりつつある「ダイバーシティ」戦略、重要なのは経営者のフレキシブルな対応です、更には少子化への対応としても有効に機能すると確信しています、雇用形態も日本人のみというわけにはいかなくなっている企業も多いと思います、今考えるべきは拘りを捨てダイバーシティ構想を検討する絶好の機会なのではないでしょうか、日本の企業が生き残るためにはあらゆる文化や人種を受け入れていく必要に迫られているのです。