冒頭から「よそ者」・「若者」・「ばか者」待望論などと謳うと「若者」は良いとして人によってはあまり気分がよろしくないかと思います、実はこの3者は企業革新の必須人材として経済界で話題になる一つの革新理論でもあるのです。
「よそ者」とは外部者のことであり内部にいては知りようもない重要な外部の情報提供者を指しています、正確な社会情勢や他社情報は企業革新を行う際には必要最低限の必須な情報となります。
次の「若者」は言うまでもありません、つまり若手の社員を指しています、臆することなく自由な発想と行動が企業革新には不可欠な要素です、社歴が古い社員はこれまでのシステムを自ら変えようとはしません、また現在のシステムに不満さえ持たずにルーティング業務に生活の糧を見出そうとしています、企業革新は現状のシステムを崩壊させることが第一ステップなのです、ここにこれまでのシステムに甘んじる社員の意見は厳しいようですが不要となります。
最後の「ばか者」とは一つのことを行わせたら天才的な能力を発揮させるエキスパートの人を指しています、所謂「専門ばか」と呼ばれるような人です、例えば企業革新にはバックオフィスシステムなどのITシステムの変更などが重要となります、それを短期間にミスなく行えるのは天才的な職人芸が不可欠なのです、商品の変更も同じことです、その商品に関しては誰よりも知り尽くしている専門家が不可欠なのです、つまりこういった一つの事に長けた人材もまた重要不可欠ということなのです。
経営シンクタンクの調査によって導き出された革新の必須人材である「よそ者」・「若者」・「ばか者」ですが、地域活性化の成功事例にもこの3者が重要なカギを握っていたという報告が存在しています、政府もまた新たなタスクフォースやプロジェクト結成にはこういった人材を揃えるようにしているのです。
やる気満々で頑張ってる人がいます、朝から電話しまくり打ち合わせをこなし機敏に仕事を行っています、でも何時まで待ってもこれといった実績が出ずなかなか結果を残せません、会議ではいつもの元気は余所に発言することもなくただ下を向いているだけです、こういう人はビジネスとは何かを本質的に理解していないのかもしれません、そして忙しくしていることで仕事をしていると満足してしまっているのです。
ビジネスはボランティアや仲良しサークルではありません、「コストをかけてリスクを回避しながら利益を上げる商行為」なのです、実績が出せないのはどの部分でどのような方法で利益を出せるかというビジネスの根本的な思考に欠けているのです、もしくはそれが解っていても計画通りの行動ができずに無意味な行動を行っているかどちらかなのです、つまり利益構造が考えられないか利益行為の段取りや実行ができないかです。
そして一番問題は謙虚さに欠けていることです、自分がその業務や事業を仕切っているかのような錯覚を起こし社内のルールは無視して私物化してしまっています、経営者なら利益が出せなければ自己責任において倒産しても納得がいくでしょう、しかし責任が取れない立場の人は自分の立場をわきまえ謙虚に冷静なる業務遂行なしでは結果を出すのは困難です、社内の支援さえも得れなくなります。
言葉では解る人は多いのですが行動となると別物です、社員がそれぞれ個人事業主ならその人はどうなりますか、利益が出せないなら自己破産です、個人事業主を集めて組織化したのが会社という意識ができる人が本物のプロであり有能な社員と言えます、ビジネスとは労働(ワーキング)ではありません、あくまでも商行為を指して言うのです。
日本の中小企業においては前例が無いほどの厳しい状況が長期間続いていますが、できる範囲の最大限の自助努力でこの状況を乗り切って欲しいと願うばかりです、不況下で重要な事は無駄なコストを無くすことを考える必要があります、コストで大きいのが固定費です、毎月のように必ず出る家賃や人件費がそれに相当します。
私が厳しい状況下で思考するのは一時的にキャッシュアウトをしても固定費は最小限に抑えるということです、時節柄大手企業でさえコスト削減目的で事業推進上最低限の社員だけは事業所に勤務させ自宅でも作業が可能な社員は自宅勤務というスタイルを採り始めています。
これは事務所家賃に加えて通勤費・光熱費などのコストダウンに繋がり総合的にみると大幅なコスト削減が可能になります、特に先の大震災後は光熱費の20%削減が各企業の命題であり、これを達成させるにもこの方法はかなり有効に機能しています。
もう一つは雇用を継続しながら人件費を圧縮する方法として企業内自立化が浸透し始めています、営業社員の場合には個人事業主を奨め最低限の保障を行い成果給とすると利益に合わせて人件費も連動するために需給のバランスが取れるようになります、更に業績の良い社員のモチベーションも上がるなどの効果も期待できます。
経営者というのは過去に体験した栄光をなかなか捨てられずに経営悪化しても規模縮小には抵抗があるようです、しかし今の時代には見栄もプライドも捨てるべきであり現実を正確に把握して冷静なる行動を心掛けることが肝要です、そして社員やパートナーの生活を守るためにもできるだけ雇用を確保しながらコスト削減を行える方法を模索することです。
今の時代に規模縮小で笑う人は誰も居ません、むしろそれもできずに見栄を張り通す人の方が余程世間の嘲笑を受けることになります、不況脱却はもうすぐそこまで迫っています、今のうちに身軽になって来るべき時に備える事が肝要です、動き出したら身軽になっておかなければ動くに動けませんから。
俗に言う「駄目元」、実はこの一見無計画に思える行動に成功のヒントが隠されています、賢そうにしている人ほどこういう無計画な行動を嫌がります、したがって自分なりに考えて過去の実績や経験に基づいて判断したり行動計画を立てます。
平和な時はこれで良いかもしれませんが緊急的な数字を作らなくてはいけないというようなケースでは全く無意味なのです、またこういった状況下では結果も皆無でしょう、緊急事態では過去の実績も経験も当てになりません、ましては合理的な思いこみ行動では無意味に時間だけが過ぎていきます。
ビジネスで重要なのは思考ではなく行動であり結果なのです、「駄目元」の行動によって悪しき事態が好転することなど多々あるものです、行動によって確実にそれまで入らなかった情報が入ります、そして情報によって新たな人脈が開けます、その結果において状況が一変するのです。
緊急事態では過去の経験などはまったく無意味で何の糧にもなりません、いざという時は「駄目元」であらゆる方位から思考し我武者羅に行動することです、行動することでしか新たな道を開くことはできません。
「経営者にとって精神力の強さは不可欠である」というのが長い経営経験の中で嫌というほど学んできました、正直「精神力の欠如」は経営が上手くいかない最大の理由の一つでもあるとさえ考えています、精神力の強さは特に困窮したときに素直に現れます、経営が窮地に陥ったときに精神力の強さ次第でその後が決まってしまうと言っても過言ではありません。
どんな成功者でさえも明日はどうなるか解らないほどの厳しい状況を何度も乗り越えてきて今があるのです、成功者となるのは決してアイデアや運の良さなのではありません、ただ精神力が他者に比べて極めて強靭だったというのが正解かもしれません。
そして私がパートナーとして選ぶ際にも精神力が強いか否かを必ず確認するようにしています、精神力の強さは思考と行動に見事に現れます、それは「皆が推し進める事でも自分が納得しない事は決して選択しない」という覚悟です、「皆がやっていること」でも「自分の方針に従って断固としてやらない」ことが重要なポイントです。
頼まれごとをあっさり断ることは非情な人と思われるかもしれませんがまったく違います、できないことややりたくない事を断れないから請けてしまった結果において上手くいかないのです、そしてそれは利益事業創出の大きな障害となるのです、頼まれごとをされた際に未来に何が起きるのか、今の流れがどう変化するのか、それを敏感に察知できるかどうかなのです。
結果が悪ければ自身も頼んだ相手もそしてそれに巻き込まれた人も不幸になるのです、例え頼みごとで一時的な成果が出たとしてもです、付き合いの長い人や仲良くやってきた人からの頼み事、これを「自身の未来ビジョンを考え断る」勇気、これも一つの精神力の強さです。
仮に頼みごとをしてきた人がそれによって離れていってしまっても一つの結果です、そういう人は相手の選択の理由と意味を解らろうとしない人であり自己利益(経済的要素以外も含めて)を優先する人、だから遅かれ早かれギクシャクした関係になります、むしろ早期に結論が出て良かったのです。
これはビジネスでもプライベートでも同様で、済し崩し的なお付き合いや合意事項はハッキリ言って誰も幸福になりません、そして頼まれ事をキッパリと断れないは決して成功しないことを肝に銘じることです。