ブレイクスルー思考とは、プラス思考の単純な都合の良い前向きな発想に対して、障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものだとして、それを乗り越える思考法をいいます。
しかし、大手企業の組織運営上は良いがベンチャー企業や中小企業においては良いことだけを見ていては経営はできません。
私が違和感があると感じるのは、これが最大の理由です。
ただ一言でも、「どういう立場の人向けの思考である」ということを最初に謳っていただけていれば問題ないと思うのです。
また繰り返しになりますが、大企業での課内単位で行うには短期的目標達成には大きな成果が出るかもしれません。
しかし、ベンチャー企業や小さな組織でこれを用いると、もう一つ大きな懸念されることがあります。
それは、「優秀な良い子は育つが、強い子は育たない」ということです。
大企業では優秀なる良い子は成果を発揮できますが、ベンチャー企業や中小企業では良い子ばかりが集まっても、成果を出す前に会社がいざというときに持たない可能性があります。
ベンチャー企業や中小企業に必要な人材は、あくまでもいざという時に踏ん張り、必ず成果につなげる強い社員なのです、決して「優秀なる良い社員」ではありません。
ベンチャー企業や中小企業にとって重要な人材とは、都合よいときに普通に成果を上げる社員ではなく、非常事態に成果を上げつつ、苦しい状況下でも最後まで踏ん張れる逞しい社員が必要なのです。
企業価値とは、平和なときではなく非常事態のときに真価が問われるのです。
危機を何度も潜り抜け、その都度成長を成し得て、10年以上も同じ事業で営んでいる企業は何故潰れないのでしょうか?
そして、どんなに苦しい時でも、銀行や社員は何故見捨てないのでしょうか?
理屈や計算で解けないものを認められない人は、この謎は一生解くことはできません。
企業に真に重要なものとは、頭ではなく心で感じ取らなければ解らないものなのです。
何故だか解りますか?
企業とは人によって作り上げられた組織、そして法の下での「一人の人格者」なのですから。
「法人」という言葉を、心で感じ取っていただきたいと思います。
「ブレイクスルー思考」とは、プラス思考の単純な都合の良い前向きな発想に対して、障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものとし、障害となるべき物を乗り越える思考法をいいます。
そして、その具体策として以下に示す方法を述べています、これを簡単にまとめると以下のようになります。
・迷ったときはワクワクできる方向を選択する。
・全ての事象には意味があるものとし、それは順調な試練と考える。 これを無条件に信じる。
・嫌な気分になることは放置する。
・トラブルは全て順調であるとする。
・出会いには全て意味があるものとする。
・落ち込まないために期待しない。
・「しなければならない」から「するにこしたことはない」の発想に変える。
・自分に解けない問題はないと信じる。
・自分なりの発想を持ち、それを大切にする。
・具体的方法として、「自分が成長すること」、「再出発すること」で非常事態を潜り抜ける。
また前回私の意見として、上記から組織を構成する要員ならよいが、経営者や組織をまとめる人には危険と言ったことをもう少し説明すると。
・重要な経営課題が、本質を認めないまま刷り替わる可能性が極めて大きい。
・状況を素直に把握できない、危機管理上問題がある。
・大きな障害が何故起きたのかの本質を見抜けない、その結果危機回避を行えない。
つまり、良いことだけを見ていては経営はできないということです、これが私の違和感の最大の理由です。
最後にもう一度言いますが、大手企業の組織運営上は目標達成などに有効と思えるのですが、ベンチャー企業や中小企業ではどうでしょうか?
そして、経営者がこの思考では危険であると思えてならないのです。
「ブレイクスルー」という思考が、若き経営者を席巻した時代がありました。
この「ブレイクスルー思考」とは、簡単に言うと、プラス思考の単純な都合の良い発想に対して、障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものだとし、それを乗り越える思考法をいいます。
ただ、各種の書籍を読んでみて違和感を感じるのも確かです。
これは、私の感性からの一つの意見ということをまず申し上げておきます。
つまり「ブレイクスルー思考」を否定するものではなく、発展させたいという願いも含まれていると考えていただければ幸いです。
さて、「ブレイクスルー思考」では、発想法として「決してどのような状況でも悪く考えない」ということが述べられています。
都合の悪い情報などは、無視することで向上的意識を高めていくというもので、スピリチュアル的な意味合いも含まれています。
私の意見というのは、この「ブレイクスルー思考」の利用範囲として、例えばある組織の目標を達成させるという点などにおいて、限定的に用いることは有効性を発揮すると思います。
つまり組織を構成する要員に対して、一時的に用いることは何の問題はありません。
しかし組織をまとめる人、例えば経営者や役員など、判断や決定を行う人がこの「ブレイクスルー思考」をそのまま実践すると極めて危険であると考えます。
情報や状況に対して、良いとか悪いと思うこと自体がそもそも間違っているのです。
私からすれば、全ての状況は自己を成長させるための試練であり、全て自分の行動によって引き起こされた結果です。
したがって、責任という意味でもそれを認めることが冷静に状況を把握し、ベストな決断を行えるものと考えています。
その意味で、私が自ら実践しているのは「ブレイクスルー思考」ではなく、「肯定思考」なのです。
「肯定思考」とは、正確に起きた事実を認識し認めることで次の段階の軌道修正を積極的に行う思考をいいます。
組織をまとめる責任ある立場の人は、組織を構成する要員に関しては「ブレイクスルー思考」の推奨を、自らは「肯定思考」で責任ある立場を全うしていただきたいと願うばかりです。
世の中、様々な情報が溢れています、それをどう捉えるかはそれぞれの自由です。
ただ、自分の立場・責任・状況をしっかり「肯定思考」で把握してから、取り入れるなり無視するなりの決定を行っていただきたいと思います。