人生65年、経営歴37年、これまでに理屈では説明できない不思議な現象を数多く体験してきました。
ここ最近の出来事は、数多い不思議現象の中でも極めて不思議な体験でした。
ことの始まりはオープンを目前に控えた新事業の要ともいうべき完全オリジナルの巨大なシステムの最終段階に入った頃、ほんのちょっとした違和感を感じ始めたことに起因します。
「これ、私が次代の概念を形にすることを意図して考えた理想のシステムではない、もっと言えば愛情をもって育てることなどとてもではないができない・・・」
このシステムは新事業の将来を決めてしまうような重要な位置付けでしたが、最初の企画立案と特許出願以降は組織のリーダーと開発チームに任せっきりにしていました。
「威厳と結果を欲しがる人がいるなら私は静観を決めてやらせてみよう・・・」
都度開発状況の報告は受けており、その間は何の不安もなく予定のオープンから1年以上も遅延していても不思議と焦りも感じなかったのです。
でも流石にオープン直前で全てのコンテンツが完成していないという事もあり、自ら乗りだして詳細にチェックを始めた瞬間に冒頭の大きな違和感を感じたのです。
「私が意図した概念の実現には程遠いし、仏作って魂入れずの如くコンセプトの一貫性が何も無い・・・」
その後、取り急ぎのコンテンツの作成と校正を急ピッチで行うのですが、違和感が更に大きくなり連日のように起床直前に同じリアルな夢を見るようになったのです。
その夢は何の特徴も無い普通の日常事の夢なのですが、同じ内容で毎日ちょっと内容が変わるものの起きる瞬間はいつも同じところで目が覚めるのです。
「何かを探しているのだが、探しているうちに何を探していたのか思い出せない・・・」
そんなことが続いたある日の朝、ふと頭に浮かんだのが「何故、今やってるシステムは当初のオープン期日よりも1年以上も遅らせたのだろう?」という自分に対しての疑問です。
開発部門がさぼっていたわけではありません、最初のヴァージョンは予定通りに完了していましたし、その後の仕様変更も納期通りに完了しています。
ただ、私自身に何故か前向きな気持がまったく起こらず、「天の時を待つ」という名分を自身の中に作ってはグランドオープンを保留していたような気がします。
その保留期間はなんと1年半です、このシステムに支払った外部開発費だけでも都内の高級マンションの一部屋を買えるほどの多額の費用をかけているにもかかわらずです、しかも保留させていた期間も高額なサーバーレンタルフィーや開発経費は垂れ流しです。
そしてその日の朝、連日走った違和感と保留していた意味と理由が明確に解ったのです。
こうなると私の思考と行動はフル稼働し休むことを覚えません、その日は会社は休日だったのですが関係者に社内会議システムを使って突然の爆弾発言です。
「今のシステムは一旦廃止し、1から全部作り直す!」
意外な事に全員が安堵した様子、関係者も疑問と不安を持ちながらの推進だったのだろうか?
私に違和感が走った原因、それは関係者が発する疑問や不安、そして前向きになれない姿勢を微妙に日々感じ取っていたのかもしれません。
いずれにしてもこの水際での大どんでん返しの決断、何時もの様に「成功へのターニングポイント」となることを祈るばかりです。
巨大システムを1から設計し直しです、過去使った多額の予算は勉強代としてはあまりにも大きすぎますが私の中には躊躇いも後悔もありません。
違和感を感じながら事業推進する方が、損失やストレスが更に大きくなることを肌感覚で解っているからです。
私が何よりも嫌う事がストレスを感じることです、ストレスによって思考が制約されることは自身も含めて周囲にいる全ての人に伝播し幸福感を得られないからです。
さて私の脳に久々のターボスイッチが入りました、2年半かけたシステムを1から半年で終わらせます、しかも新規開発の5システムも加え、更には複数のポータルサイトも含めての複数同時並行です。
コアシステムは何とかそのまま使えるので、変更するのは基本的なコンセプトとそれに適合した目に見えるユーザーインターフェース部分とシステムマトリックスだけです。
この時期は決算対策と事業計画書作成など他にやる事が山積みです、しかしターボスイッチが入った脳状態と有能なスタッフとパートナーがいるから何とかなるでしょう。
今の私には何の違和感も不安もありません、毎日が楽しくて仕方ないほどに。