2024年3月29日 11:00
ファッションに音楽のジャンルといい価値観と同様に時代と共に大きく変化していきます、スコッチウイスキーも例外ではなく大きく変化していきました。
私がスコッチウイスキーを飲み始めた70年代では今のようにシングルモルトは日本にはほとんど入ってきていませんでした、そもそもですがスコットランドでも蒸留所の多くがオフィシャルのシングルモルトはほとんど出してなく多くの蒸留所がブレンデッド用に造っていました。
当時でスコッチウイスキーといえばブレンデッドを指していました、特に日本で早くから人気があったのはジュニーウォーカー、ホワイトホース、ディンプル(ピンチ)、オールドパーなどです、今でこそシーバスリーガルの日本市場開拓作戦が成功して日本で最も売れているスコッチブレンデッドになっていますが当時はジョニーウォーカーがダントツの人気でした。
そして80年代に入るとブレンデッドの新ブランドの誕生ブームと高級化に火がつきますが、同時にアイラではボウモアとスペイサイドではグレンフィディックが海外の免税店で大々的に売られるようになったのをきっかけにしてなのか徐々にシングルモルトの価値が認められるようになってきます、また街の小さな酒屋でもシングルモルトが買えるようになりました。
90年代に入りバブル景気が落ち着き出した頃にUD社(現ディアジオ社)から花と動物シリーズが売り出されるや否や一転してシングルモルトブームが巻き起こります、この頃にスコッチウイスキーをショットバーなどで飲み始めた人の多くは現在も尚ブレンデッドウイスキーには目もくれない傾向があるのは面白い事実です。
そして時が流れて現在では再度スコッチウイスキーブームが巻き起こり、ありとあらゆる蒸留所からオフィシャルのシングルモルトが売り出されています、またブレンデッドも負けず劣らずで次々と新しいブランドが誕生し日本で買えるスコッチウイスキーの種類は数えたことはないのですが500種以上はゆうに超えているのではないでしょうか。
今の時代はいろいろなスコッチウイスキーが飲めるのはいいのですが逆に自分の好みを探すのに苦労するのではないでしょうか、私の時代は数種類しかないので選べないけど好みがはっきり解ります、そして同じウイスキーを飲み続けたことによって味のリファレンスができているので新しいウイスキーの味を評価しやすいと思います。
これはオーディオや健康などにも通じる事項です、情報過多で選択肢が多いだけが幸福ではないと思うのです、いつの時代においても在りものに感謝し自分流で生きることに満足できる人が一番幸せだと思います。