孔子論語に、「その木が枯れているかどうかは春になれば解る」という教えががあります。
特に若い人に多いのですが気になることや興味を持ったことなどに対してすぐに答えを欲しがります、「まず自分で考えろ」と言うと「拒否された」などと周囲に不満を言う人まで過去にいました。
気になることや疑問は自分を成長させる機会なのです、そこで他者から答えをすぐに貰ったとしたらその場では納得するも明日には多分忘れているでしょう。
それが自分自身で答えを見つけたときには一生忘れることなく自分の中での知識から知恵に変わります、そして将来それを活かすこともできます。
孔子は「何も教えないのも教え」と教えています、その真意は「自分で考えて答えを出すこと」が教えだということを意味しているのです。
そしてもう一つこの名言の裏にある教えは「旬を待つ」ということです、つまり今解らないのは旬ではなく旬の時が来れば必ず解るということです。
一時として人間は成長しない時はありません、自分が成長していけばどこかで今解らないことも解るようになります、それがその人にとっての旬ということです、旬に得たことは将来にわたり忘れることなく活かされるものになります。
解らないことは一旦忘れてみるのも一つの手です、本当に自分にとって必要なことであれば何れまたその問題に直面するからです、その時に再度考えてみればよいのです。
知りたいことをその場で考えも無しに他者に委ねるのは褒められたものではありません、委ねられた人がその話題をその時には触れたくないかもしれません、自分の欲求をそのまま出して「ずいぶん自分勝手な人だ」と知らずに嫌われることも考えなくてはいけません。
精神的に成熟した大人とは知りたいことや聞きたいことをじっと待てる人、解った時の楽しみをじっと待てる人を指していうのです。
2008年のリーマンショックを受けて各国の財務担当は慌てました、そしてマスコミも揃って世界金融危機状況を報道しました。
当初は全世界の市民は先行きの不安を募らせました、しかし有識者を中心に次第に意見は一つの方向へ向かうことになりました。
それは「自立せよ!」というものでした、そして日本では1円で法人設立できる法案があっという間に創出されたのです、それが現在の状況に繋がっています。
方や某国は今や家電・自動車・船・情報機器などの輸出に国益のほとんどを頼っています、そこへ来て大幅な為替変動に見舞われました。
更に輸出する代償として輸入も当然多く行わなくてはなりません、それならば輸出に頼ることなく国内消費に力を入れ自国による経済活動を活発化させようという政策を打ち出しています。
この窮地脱出のヒントは国だけではなく、企業も人も同じなのではないでしょうか?
他社が仕掛けたビジネスやサービスに便乗する「パラサイトビジネス」、他者に頼って生きる「パラサイトライフ」、パラサイトとは寄生や依存を意味し自分だけでは生きられないことを言い表しています。
今、それらを捨て自助努力で稼ぐ術を身に着け実行するときではないでしょうか?
企業も人も他者に頼るということは必ずその代償が発生します、代償は何も物質的なものだけではなく環境や精神的なものも含まれます。
この時代を上手く生きるヒントは他者に依存しない「自立」しかありません、起業5年もしたら自立を意識して独自のレールを敷く準備をするのが賢明かと思います、起業10年で完全自立なら成功者と言えるでしょう。
「自立」した大人は互いに常にさわやかな関係を構築できます、それが本当の共存共栄社会を形成し経済循環を興せる立役者になれると思うのです。
世界観とは常に見えている範囲、つまり思考する範囲を指しており世界観はビジネスを行う上で極めて大きな要素になってきます。
起業家との会話や行動を通してその起業家の世界観を常に気にしているのですが、最近の起業家の多くは自分とその家族や周囲だけを見て考えている人が多いと感じます。
世界観が狭くなる一つの要因は、自身の経験を通して得てきた生きたノウハウが少ないことが一つにあげられます、書籍やセミナーなど他者からの情報だけで思考しているのではないでしょうか。
昔から私は「本を読むな」とよく言います、その本質は経験が浅い人がよく陥る思考トラップである「バーチャル思考」になるからです、本を読んで成功すると思いこんでしまうのです。
本を読んで自転車に乗れますか?
本を読んでゴルフが上手くなりますか?
本を読んでみんな成功するようなら実はの本は売れないのです、これは実に簡単な思考トラップなのです、売れる本というのは本当に人の心理を突いていると感心します。
成功する事業とは自身が汗水たらして「カット&トライ」を繰り返して数年間という多くの時間を投資して熟成されていくものです、熟成された事業は熟成された生ハムやチーズのように芳醇な香りを放ちます、これは多くの成功も失敗も含めた経験を積んできた人でしか嗅ぎ分けられない匂いなのです。
一旦熟成された事業はそれまでの苦労が嘘のように何もしなくても大金を産み続けるのです、そして異様なほど輝くオーラを放ってくるのです、更に人が引きつけられ成長拡大していくのです。
アインシュタインは、「大切なのは疑問を持ち続けることだ、神聖な好奇心を失ってはならない」という名言を残しました。
更に、「過去から学び今日のために生き未来に対して希望を持つ、大切なことは何も疑問を持たない状態に陥らないことである」という名言も残しています。
目的を達成し成功したいと思うのであれば、常に疑問を持ち続けることが重要だと思います。
ここで疑問を持つ際に前向きな回答を得るように疑問を持ってほしいと思うのです、そうでなければ意味のない回答しか得られません。
例えば「楽しくするにはどうしたらよいか?」というのは確かに疑問なのですが、期待に近い思考であり成功するための知恵は出てきません。
有効な回答を得るための疑問というのは、「どうして楽しくないのか?」というように思考することです。
これによって欠点や障害が見つかります、要はまず欠点や障害を取り除くことが重要なのです、欠点や障害を棚に上げておいて幾ら思考しても改善する方法を導き出せません。
同じように、「売れるようにするにはどうしたらよいか?」ではなく「どうして売れないのか?」、また「どうしたら便利になるか?」ではなく「どうして不便なのか?」なのです。
前向きで有効な「陽」の回答を得たいのであれば、後ろ向きな「陰」の思考で疑問を持つことです。
これは簡単な計算でも解ります、「(-)*(-)=+」であるからです、つまりは自然の摂理そのものなのです。
疑問の持ち方一つ、解決方法も次元の違う回答が得られるのです、普通の人と同じ思考をしないためには普通の人と同じ疑問を持たないことです。
インターネットの急速な発展によって、自分の部屋に居ながら世界各地を回り月や宇宙旅行まで楽しむことができるようになりました。
しかし、これらはあくまでもコンピュータグラフィックスによって人工的に作り出されたものであり、当然のことですが現実の世界ではありません。
あまりにも非現実感だと誰しも作り物だと理解できます、したがって冷静にバーチャルの世界を楽しむことができます。
しかし例えば現実社会に近いTVドラマや小説などは、コンピュータによるリアルな映像こそないものの主人公の気持ちが理解できたりその人の目線で展開を見てしまうことがあります。
一過性のこのような状況を自分の中に作り出すことで、泣いたり笑ったりと嫌な現実から一種の逃避をバーチャルという世界で行うことができます。
またこれによって精神のバランスを保つことも可能となります、したがってバーチャルの世界は上手く活用することでストレスの解消や心のバランスを保つための有効なる手段と言うことができます。
しかし物事には良いところもあれば悪いところも必ずあるのです、怖いことに「自己陶酔」しやすい人にとってはバーチャルは一種のリアルと同様の記憶や意識をしてしまうそうです。
例えばゴルフの本を読んだりゴルフゲームをすることによって、ゴルフをやったこともないのにゴルフは簡単なもので自分が凄く上手いと本当に思い込んでしまう人もいます。
経営指南書を読んだり経営シュミレーションゲームを行うことで、自分が経営もしたこともないのに起業すれば簡単に利益を上げて名実共に一流の実業家になれると思い込んでしまう人もいます。
ここで問います、バーチャルとリアルの根本的な違いは何でしょうか?
その答えはバーチャルは「人間関係」を一切考えない世界であるということです、自分が主人公でその他の役者も自分自身ですから自分の思うように動きます、自分以外はそこには存在していません。
しかし現実はそれぞれの人生の主人公との係わり合い、つまり「人間関係」という現実があります。
家族も友人も社員も取引先も全てがそれぞれの人生での主人公です、あなたがあなたの人生の主人公であるようにです、したがってバーチャルの世界のように自分の意図するように行くはずもないのです。
現実の世界を無視した自分の都合や思い込みによる起業、そして経営など極めて危険だと思います。
何故ならリアルの世界では先述のように主人公はあなただけではありません、全ての人が自身が主人公となってそれぞれの人生設計によって生きているのです。
下手をすればあなたと関わった人たちが、あなたの一過性の思いつきの犠牲者となる可能性があることを考えなくてはなりません。
夢は起床すれば覚めます、でも覚めない夢とはもしかしてとてつもなく危険な「思い込み」という催眠であるのかもしれません。