2023年11月14日 08:00
「栄華を誇れるのは看板が使えるうちだけだ」
上場企業で長年営業本部長を務めあげ定年退職後に当社取締役常務となった人の言葉です、現役時代は敏腕営業マンとして社内外で名声を欲しいままにしていたほどの人です。
その人が定年退職するというのを聞いて大阪まで会いに行きました、その目的は当社の取締役としての就任を打診するためです。
約5年の付き合いで年齢こそ私より20歳近く上でしたが友達のように何度も飲みに行ってはカラオケなどで朝まで楽しんだ仲でした、技術中心の当社に無くてはならない営業統括という要職に就いてもらおうと考えるのは極自然の成り行きだったと思います。
その日のうちに就任の約束を頂き数ヵ月後当社の取締役として入社してもらいました、入社当初の数年間はさすがに元大企業の看板効果は絶大でした、それまでの当社では相手にさえしてくれない大企業にどんどん入り込めて行きました。
それが3年過ぎたころから状況が一変してきます、それは多くの企業で取締役や要職に就いていた人が退社し新旧交代劇が時期を合わせたかのように連発したのです。
新しい取締役や本部長に挨拶に彼と一緒に行くのですが「前任者は前任者、私は私」というまったく同じ態度をみなさん見せるのです、よく考えてみればなるほど解ります、これまでの関係は前任者と彼のそれまでの役職における信頼関係で成り立ってきたわけです、つまり大きな看板効果があったわけです。
当然のこと新任者にもお抱えの仲の良い業者がいるのですから、そしてそこには別の看板効果による関係が出来あがっているだけなのです。
こんな状況が続き彼は自ら責任を果たせないと退職を申し出てきました、冒頭の言葉はその時の重い言葉だったのです。