2023年11月17日 08:00
「それなら起業しない方がいいです、関係者全員が不幸になるだけだから」
起業したいと相談に来て夢とリスクの狭間で悩む起業志望の人に対して私が発したキツイ一言です、その人は過去に一度仲間と興した起業に失敗し結果的に会社員務めに戻ったのですが自身で会社経営という夢を諦めきれずにいました。
年齢も私と近いということもあり相談後に飲んではいろいろな話しに及びました、その中で最初は笑って過ごしていたのですが看過できない話が何度か出てきたのです。
その話に対して、顧問契約をしてくれた人には「結果を保証する」という責任ある立場の者として冒頭の言葉を発したのです。
何度も出てきた話とは「この歳になると冒険はできないです、結婚したいと思っている人もいます、だからノーリスク・ジャストリターンで起業したい」、加えて「私には守る人が居るのです」というものです。
私が「起業しない方がよい」と言った理由は明らかです、起業する前から自分と家族になる人の安全を確保しつつ最初から確実な収益を上げるという期待自体が経営者の器ではないと思うからです。
本物の志と覚悟が無いなら起業して成功することはあり得ません、守るべき人がいて優先順位が高いのであれば安い給料でも確実に生活できる今の会社員という立場を堅持すべきであり、収益リスクの高い起業など潔く諦めさせるのが責任ある立場のアドバイスだと思うのです。
そもそも守りに入った人に守るべき人を守ることは絶対にできません、守ろうと思えば思うほど守れないのが世の常なのです。
本当に守ろうとする気持ちがあれば相手にも通じ一緒に未来を見て頑張って進めるはずです、結果的にそれでこそ守れるのです。
大切な人を守るには障害と戦い抜き苦境を脱するしかないのです、その結果においてのみ守れるのです。
「守る」とは「守った」という結果が全てなのです、決して方法論でも希望論でもありません、起業する前から「ノーリスク」という考えでは少なくても私は応えることはできません。
自分の報酬だけでなく社員やパートナーの分も自身の手で作るのが経営者の務めです、起業を考える前に自分の思考と素直に向き合うべきだと思います。
事業開始当初から安全に楽して儲かる事業などこの世には有りません、更には成功を収め楽して憂いなく事業を行えていても何時どうなるか解らないのが事業であり経営というものです。
世界的ブランドの超大手企業でさえあっという間に倒産に追い込まれる、これは別に不思議なことではないのですから。