「人は皆、ただ指し出るこそ良かりけり。 戦のときも先駆けし」
どんなときでもしゃしゃり出ては先輩家臣から煙たがられた秀吉が、先輩家臣へイヤミたっぷりと込めて放った一言です。
当時の武士道には「先輩への配慮」がマナーとして浸透していました、しかし秀吉は「混乱の世にあって武士のしきたりなど意味が無い」とばかりに、「天下統一の実現」を大義名分とし我先の行動を起こします、これが混乱の時代を制する天下人の成功の秘訣でした。
戦国の世はそれまでの平穏とは一変し短期間の混乱と変化の時代です、まさに現在のITが齎したデジタル革命の破壊力と同様の「大変化の時代」と酷似しています。
AIよろしくデジタル化全盛を迎える今日は明日何が起きるか解りません、こんなときに過去の事例も常識も何の役には立たないのです。
兵法三十六計にいう「反客為主」(はんかくいしゅ)、「他者が主導している事において、一向に成果が上がらないのであれば、大義名分を以ってその人に代わり自分が主導者となる」という教えです。
逆に言えば、トップは常に成果を上げ続けることができないとすれば自ら潔く他者にその地位を譲ることです、これもトップの責任として重要です。
それをしなければ、ついてくる者が不満や不安を抱え何れはその組織は崩壊してしまいます。
地位と既得権にしがみつくばかりで周囲の人達に利益を齎せないのであれば、仲間が反乱を起こしその地位を奪ったとしてもそれを咎める理由もありません。
混乱の世の真っただ中にあっての「善き夢を見するがな」、これも秀吉らしい名言の一つです。
混乱と大変化の時代は「保身に入り挑戦を諦めた人から淘汰されていく」、いつの時代も同じなのです。
保身に入った人を幹部として雇う人もまたいません、最も危険な行為は「安全な場所を確保する」行為なのです。
守ろうと思えば守れない、真の守りとは「時代に逆らわず自らを犠牲にしてまでも、変化についていくチャレンジ精神」から生まれるのです。
「この度のひょうたんの相印、面白き趣向である。 とりわけ味方の吉事なれば、この後の例として馬印に用いるべし」
織田信長「太閤記」に記されている羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)に対して、織田信長が贈った温かい一言です。
ひょうたんの馬印は秀吉には欠かせない物でした、その起源が稲葉山城攻略の際の秀吉が考案した味方同士の相印に用いたひょうたんでした。
その後、織田信長から冒頭の言葉のように提案が出せれ、その日以来秀吉は結果を出す度に馬印のひょうたんを一つずつ増やしていき、数年後には文字通り千成ひょうたんのようになったといいます。
鬼のように表現されている信長ですが、実は各書に記された文章からは庶民の生活を自ら常に見て回っては改善の提案を行い、心を寄せる家臣には熱い情を注いでいます。
志高き人にとって心の拠り所となるお守りや揺るぎない信条は、いつの時代も重要なものです。
どんな人でも鬼ではなく人の子です、他者ではなく天や神に救いを求めるのは当然のことかもしれません。
抱えきれない重圧を癒してくれるものがなくては、平常心を保つのは極めて難しいものです。
大事を成そうとする者は他者には一切の弱音を吐くことはしません、それは自身の志が揺らいでいることを周知させてしまうことを知っているからです。
もしも弱音や愚痴を吐くなら、人間以外の動物か物に対してのみに留めるべきかも知れません。
世界的な新型コロナウイルス禍での東京オリンピックの開催の是非について国民の60%が中止を望み、延期も含めるとなんと80%の人が否定的な判断をしています、更には医療関係者は政府に中止を求めて嘆願書を提出し諸外国の政府からも同様のコメントが発せられています。
普通に考えれば国をまとめる政府に「イベントと国民の命とどちらを優先するか」と質問したら答えは一つです、ところが日本の場合は明確な回答を避けているという状況です、避けているというよりも判断できないのでしょう、その理由は多額の投資が無駄になることと開催を中止した場合のIOCからの違約金請求が起きるのではないかという恐れがあるからに他なりません。
この中止すべき事項があるのに中止できない心理はまさに「コンコルド錯誤」そのものです、「コンコルド錯誤」とはイギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機コンコルド開発プロジェクトの大損失事件から命名された心理作用を指す言葉です。
開発費は当初予想の3倍以上かかった一大事業であったのですが完成以降も大きな性能向上開発・維持コストが重くのしかかりプロジェクトの中止の是非を問われても誰も明確な回答ができないまま時間だけが過ぎていきました、この時には関係者の誰もが存続させることで損失が更に拡大することが解っていても多額の投資を惜しみ誰一人として事業廃止の決断ができなかったのです。
この心理は自身の投資における行動を冷静に思考できずに損しているにも関わらずその状況を脱する行動が取れなくなるというものです、この心理状況のときの思考はこれまで投資してきたことが止めてしまうことで損失が確定してしまい、これを回避しようとする思考が損を確定し打開案を探る未来思考よりも大きくなり投資を止められなくなるというもので投資の世界ではよく見られる心理現象です。
早い段階で損を一旦確定しその後じっくりと挽回策を練る方が傷が浅く回復も早いのですが潔く判断できるかどうかは思考の器の大きさによります、誰も責任を取ろうとしない、その結果は国民にそのまま跳ね返ってくるのです、今回の東京オリンピックは開催してもしなくても歴史に残る事案となることは間違いありません、であれば国内外から称賛される潔い判断を行ってほしいと願うばかりです。
「日本製の新型コロナウィルスワクチンは何故いつまでも出てこないのだろう?」、こんな疑問を日本人の多くが抱いていることでしょう、当初米国などと共に開発に意欲を燃やしていた日本製ワクチン開発は遅れに遅れてようやく今年の暮れごろに認可が下りると予想されているに過ぎません。
日本の製薬技術は世界的にも最高レベルでノーベル化学賞を13人も輩出しており更には世界トップ50の製薬会社の上位に10社も名前を連ねています、しかし今回の新型コロナウイルスワクチン開発では世界を揺るがす話題が一つも在りません。
この不可思議な事実の原因を先日来調査していたら日本人の多くはまだ知らないとんでもない裏事情が浮かび上がってきました、それは「日本政府は既にポストコロナ時代に向け経済投資を始めている」という事実です、そしてその投資先は何かというと「量子コンピューター」なのです。
日本の量子技術は現在米国と並び世界でも最高レベルにあり量子通信や量子データ処理ではトップクラスです、そして今水面下で進められているのが官民共同組織の創設です、日本政府とトヨタや富士通など民間大手企業50数社で世界最大の「量子技術」組織を結成しようというのです、また近い将来法人化する計画もあるようです。
更にはその前段としての「デジタル化推進投資」が幾つも既に公表されています、これらの政策が新型コロナウイルスパンデミックが終焉の後世界を席巻していくことになると予想しています。
日本政府の直近のワクチン開発投資は100億円です、これは米国の100分の1以下です、「ワクチンで開発先行している米国産を買う方が自国開発するよりも早くて安い」、こんな計算ができていたのかもしれません。
「ワクチンは米国に頼り国家予算を次世代技術に回している」、この是非の結果は10年後に現れることになります、その時に日本人は喜ぶのか怒るのか犠牲になるのは常に弱者ということだけは避けてもらいたいと願います。
新型コロナパンデミックで最も深刻な被害を受けている業界の一つが居酒屋やカラオケスナックでしょう、日を追うごとに次々と閉店しています、そこでこういったお店の業務用の什器備品が現在世に溢れかえっています。
私のところには飲食業をやっているということもあり頻繁に冷蔵庫やテーブルに椅子といった什器備品を要らないかと電話がかかってきます、つい先日も新品同様の椅子38個を引き取ってほしいと頼まれました。
以前であれば中古品を販売している業者が引き取ってくれました、ところが今ではまったく中古品は売れずに倉庫に山積みされている状況のようでお金を払っても引き取ってはくれないようです。
こうなると廃棄業者の登場ですが廃棄業者も毎日廃棄される量が半端ではないので廃棄価格が急上昇しています、そこで無料で引き取ってくれるところを紹介して欲しいという冒頭の電話になるわけです。
過日業務用のガラス扉の冷蔵庫を自宅で使おうと引き取ったのですがフィルターなどの掃除が大変でした、二度と業務用の中古什器は引き取らないと心に決めました。
テーブルや椅子は業務用はしっかり作られているので家庭で使うには良いと思います、中古価格もかなり下がっているので美品なら買っても損は無いと思います。
私は昔ながらの釘1本も使ってない頑丈な手作りで骨董価値も高い椅子などを幾つか無料で調達しています、今同じものを作ろうとしたら10万円出しても作れるところは限定的でしょう。
樫の生木を充分に乾燥させて釘を使わず宮大工の技で作られた椅子などは時間もかかるし手間もかかり今では作っている工場は皆無です、何故ならそんな技を使える家具職人もほとんど現存していないからです、こういった未来に残すような貴重な品は是非とも確保したいと思います、廃棄されるのはあまりにも忍びないのです。