理想郷の地に創ったオフィスですが工事開始から丸1年かかり今年の初夏に全ての工事が完了しました、と思った瞬間にオフィス作業の合間に屋外で綺麗な空気を吸いながら一服する場所が欲しくなり東屋を建てようと考えていた自分がいます、そんなことを考えていた矢先に幸運にも完成品を手に入れることができました。
東屋とは別にオフィスのメインルームに夏場には陽が入り込むので長い軒先を追加工事することにしました、この軒先は大き車がすっぽり入ってしまうほどの大きさでおそらく見たことも無いほどの大きな軒先になります、まるでカーポートのような木製の屋根を造ります。
最初は簡単なサッシによる大きなシェードを考えていたのです、ただどうせお金をかけるならいいものにしたいと考え母屋の造りに合わせて木製のしっかりしたものを造ることにしました。
また最初は単純に平屋根を想定して打ち合わせしていたのですが二転三転の末に小さな家の屋根だけを取り付けたような形になりそうです、業者さんは「まだ工事するの?」と呆れ顔ですが次第にやる気満々になってきたのかいろいろとアイデアを出してきます。
私の信条に「完成は衰退の始まり」というのがあります、だから道楽同様に家にしても永遠に完成することはないのです、ずっとどこかを工事していたいと考えています、「さて次は何をしようか」と日々アイデアが出まくります、こんな愉しい人生はありません、自然に長生きしたくなる前向きな気持ちが心地よく。
早いもので理想郷の本丸を取得して1年が経ちました、改修工事の前の不要設備の撤去や内装のぶち壊しと共に並行して数年間放置されていた広大な庭や果樹園の整備を急いでいます、既に20本以上の枯れ木や不要な木を伐採伐根し、更に今後30本くらい伐採する予定です、また藪のように茂ってしまった全ての樹木や草花を強剪定して生まれ変わらせています。
さて、そんなことを1年間工事前の準備として行ってきたのですが先週突然朗報が飛び込んできました、購入直後に近隣の宅地や農地など購入できるように進めてほしいと不動産屋にお願いしていたのですが1年後の今になって一気に結果報告が来ました、区画としては10個程度で全ての持ち主から譲渡OKを取り付けたというのです。
早々に詳しい話を不動産屋に確認のため現地に行きました、その区画は当に欲しいと思っていた本丸の手前の宅地と裏側に広がる10個ほどの区画に分かれた水田や畑といった農地です、これらを合計すると約2000坪になります、つまり現在の本丸の敷地面積と合わせると約3000坪となり一気に3倍に増えるわけです。
ただこの中には他者に貸している田畑が含まれており、この権利は引き続き5年間維持できるようにしてほしいとの申し入れがあります、私的には法的にも既得権を保護してあげたいと思いますし大歓迎です、むしろ現契約での収穫物で賃料を支払うということに魅力を感じています、これは何を意味するかというと身内分合わせてお米や野菜に困らない環境ができるからです、また実験栽培で各種の珍しい野菜作りを行いますから失敗しても他に野菜が手に入るという精神的な余裕が生まれることが重要だと思うのです。
不動産屋は年内の契約で進めたいということで本丸の改修工事や付帯設備の工事費用に不動産取得費用が大きく加算されます、工事代金も大幅にオーバーしそうな気配でオフィスの設備増築の計画もあります、「障害は計画が順調に進展している証拠」ということで俄然やる気満々で資金確保に燃える昨今。
本丸の敷地のど真ん中に樹齢100年はあるかという大きな柿の木があります、柿はおよそ1000種類ほどありますが最大樹高は種類によって2~5メートルと中低木に分類されます、しかし本丸にある柿の木は低く見積もっても10メートル以上は優にあり、見た人は口をそろえて「こんな大きな柿の木は見たことない」と言います。
さて、この巨大柿の老木は手の届かないところに実を付け、これが熟して自然落下し発酵でものすごい匂いを発します、庭が汚れるだけではなく野生動物を呼んでしまう可能性もあります、そこで本丸の最大樹高を誇る中央に位置するメインツリーを伐採することにしました。
何人かの専門家に伐採方法と見積もりを出してもらったのですがどの方法にしても廃棄処分まで含むと20万円を超えてしまいます、もっとも高額になる方法は高所作業車を使って上から順にカットしていく方法で安全に伐採することができます、ただ金額的なことはまだしも廃棄するということにちょっとした抵抗感を感じ、伐採とその後のカットだけを行ってもらい、再利用する方法をいろいろ考えました。
結論は巨木伐採のプロである山師に根元から一発でバッサリと切ってもらう方法にしました、巨木を切るのも倒れる瞬間もちゃんと目に焼き付けておきたいと思ったからです、直径20Cm以下の木の伐採は何度も見ているし自分でも何本かチェーンソーで切っています、でも巨木となると簡単にチェーンソーだけでは伐採できません、人生に一度有るか無いかという瞬間に是非とも立ち会いたいと思ったのです。
もう一つ重要な理由があります、それは私が立ち会うことで怪我人が出たり他の重要な樹木や設備を壊してしまっても責任は私になります、立ち会っていなければ誰かが責任を取らされます、それは本意ではありません、したがって連絡を貰って急遽土曜日の深夜に移動し日曜日の朝早く伐採に立ち会ったのです。
切る前に根元にお酒と塩を撒いて地神の許しを得てお清めします、そして倒す方向の逆側に重心が傾いているのでロープをかけてハンドジャッキで引っ張り大きなチェーンソーで切りながら何個か楔を打っていきます、途中ハンドジャッキが壊れて急遽新品のステンレスロープとハンドジャッキを追加してと予想しないトラブルが発生しました、チェーンソーも3台使いでしたが2台のロータが壊れてしまいました、なるほど切るだけで道具や準備などでも費用がかかるのですね、巨木の伐採費用が高い理由がよく解りました。
結果は流石プロです、ものの見事にジャストここしかないという狭いスペースにぴったり倒しました、ミキミキという音と共に倒れていき地面に着くなりドスーンという大きな音と共に地面が揺れるのを自覚できました、大迫力の瞬間を体験させていただきました。
メインツリーは地面から70Cmのところで直径60Cm超、根元はもっと太いでしょう、幹の中央部は炭化して真っ黒な土に変わっています、そして太いところを5個ほど80Cmの長さでカットしてもらい、脇枝も再利用できるように細かくカットしてもらいました。
細い枝は畑の緑肥に使い太い幹や枝は加工して様々な形で生まれ変わらせようと思います、つまりメインツリーのセカンドライフのお手伝いです、廃棄を躊躇った理由はこれです、太い柿の生木は現在ではほぼ手に入りません、せっかくなのでテーブルや椅子など趣味のDIYで愉しむことにしたのです、しかしカットした1個の重さは山師の目算では100kg以上、これが多数あります、これどうやって運んで加工するのかまたもやワクワクさせる悩みのネタができました、これも含めて大いに老後人生を謳歌している昨今。
理想郷を手に入れたらどこかのタイミングで東屋を庭に建てたいとずっと考えていました、オフィスのリノベーション工事が完成した辺りから棟梁に相談していました、あれやこれやと意見交換し木材屋さんと話し合って見積もりを貰ったのですが意外や高くてびっくり、見た目は屋根付きのテーブルと椅子なのに100万円越えです、最近では木材が急騰していることもあり仕方ないのですかね。
ついでに出窓のある部屋の外に3メートルという超ロングなシェードルーフ(日よけ屋根)も一緒に造ってもらって合わせて200万円、それでも欲しかったものが手に入るのだから何とかしないといけません、ただ本丸の工事費が計画よりも高額になりそうなので本丸の工事の後にしようと検討していたときです、思わぬ朗報が突然齎されました。
なんとオフィスから車で数分のところに住んでいる大工さんが2年ほど前に趣味で作った東屋の嫁ぎ先を探しているという情報が入ったのです、しかも趣味で作ったので材料費に若干の手数料を貰えればよいということで価格は見積もりの半額以下です。
早々に見に行ったのですが見るなり即決しました、趣味で作ったということですが実によく考えられた構造をしています、しかも天板は分厚いケヤキの一枚物でこれだけでも買えば20万円近くはする代物です、他の木材はヒノキとスギ、屋根は伝統のヒノキの皮葺きといい実に良い趣味をしています、当初の計画よりも若干小さめですが大きさは問題にはなりません。
しかも決めたその日に運んでもらって設置、ということで念願の東屋をあれよあれよという間に手に入れることができました、この地に決めて以来ずっと良い流れが起きています、この流れで本丸の休憩所とか屋外茶室(庭に在る喫茶店)とか朗報が齎されないかと心待ちにしている昨今。
9月の下旬から始まった本丸のぶち壊し工事が10月中旬にあっという間に完了しました、大型重機を投入しよくもこれだけ壊したなと思うほど鉄筋コンクリート部分以外は全て壊されて何もないすっきりとした状態になりました。
本館の脇に増築された鉄骨作りの作業小屋、同じく畑の脇の鉄骨作りの農作業小屋、本館奥の新建材で増築された部屋、木造で増築されたサンルーム、意味の無い階段やフェンス、内装は床から天井・壁・トイレに風呂・電気水道などの設備など壊せるものは全てこの際に壊してしまいました。
こうして改めて附帯設備が無い鉄筋部分だけの状態を眺めると敷地面積の広さが更に増して広く見えます、今後は内装工事の前に現在床下が土間なのでコンクリートで固めて土間と鉄筋の隙間も埋めビルのような土台にします、そこから内装工事に入ります。
あれ、ちょっと待った作業小屋や農作業小屋が無くなったということはこれまで休憩などに使っていた場所が無くなったということです、ということで壊した農作業小屋の跡地に本館の工事の前に広々とした新たな休憩&作業所を急遽作ることにしました。
結局のところ思わぬ大きな出費が本工事の前に出て行ってしまいます、この先もこんなことがちょいちょい起きるのでしょうね、オフィスの時と同じように思い付きにより予算オーバーとなる気配が冷たい秋風と共に本丸の地に吹き荒れる昨今。