大小の筒形ボトルに入れた標本型コケテラリウムが現在多数売られています、小さなものでは試験管に大きなものでも直径12Cmほどのロングシャーレ型のガラス容器で造られます。
価格はコケの種類によって異なりますが、一番安い直径2Cmほどの試験管型で1~2,000円ほど、ロングシャーレ型では3~5,000円ほどです。
私は生態観察記録を目的に新たにコケを入手する度に標本型コケテラリウムを造っています、今回はそういった標本型コケテラリウムのスギゴケ版です。
市場に出回っているスギゴケは厳密にはコスギゴケとホウライスギゴケの2種があり市場では区別せずにスギゴケとして扱われています、本品はコスギゴケとして売られていましたが飼育していたら大きく育ちホウライスギゴケではないかと疑っています、まあどちらも大きさくらいで左程の見た目の違いはありません。
スギゴケは成長段階によってはタマゴケやアラハシラガゴケと区別がつかない容姿の時期がありますが、すっかり成長すればスギゴケ本来の深緑色のがっしりした男気のある容姿となります、テラリウムでは3Cmほどに大きく育ったものを使うと1本でも針葉樹を模したように使えるので割と重宝するコケでありコケテラリウムの中でも存在感を示します。
スギゴケを使った標本型コケテラリウム
成長したスギゴケは深緑色の小さな草本類のようで存在感を示します
スギゴケ(拡大)
いきなり胞子柄を伸ばしてくることがあります
胞子がばらまかれる前に胞子嚢をカットしました
☆創作ノート
・コケ スギゴケ
・ソイル コケ専用ソイル(華みやび)、アクアリウム用洗浄済小石(GEX)
・ケース ロングシャーレ(9Cm長)
この得体の知れない植物は見た目も触った感触も多くの人はビニールかプラスチックで作った下手な造花だと思うでしょう、実はこの植物はマツバランというシダ植物です、ランと名前が付いているのでランの仲間と勘違いされますがれっきとしたシダです。
このマツバランは「根も葉もない嘘」という話のネタとなっている植物で本当に根も葉もなくすべてが茎だけでできています、地下茎でランの仲間のように木や岩に着生して胞子と地下茎からの分枝で増えていきます、ランの仲間ではないので花は咲かずに茎の先に胞子嚢を付けます。
地下茎で繁殖するのを観察中のマツバラン
このマツバランを上手く育てるのは放置です、他のシダ類のように水をたっぷりあげると夏場などは蒸れてあっという間に腐ってしまいます、ミズゴケやココピートなどの天然植物繊維で包みこむように植えランのように乾燥気味に育てるといつまでも元気で鑑賞できます、できれば屋外で水もあげずに放置していたほうが雨や空気中の蒸気で水分を補給しながら繁殖します。
室内で育てるなら半日陰の窓際で通気のよいところに置き時々ミストスプレーで湿気を与える程度がいいです、根が無いので肥料は不要で与えても意味がありませんし肥料焼けで枯れることもあります、木陰や木の上でひっそり繁殖するマツバラン、人間があれこれと手を加えたらきっと居心地が悪く枯れてしまうでしょう。
尚、現在では多くの自治体で絶滅危惧種となっており環境省では準絶滅危惧種の扱いになっています、したがって流通しているのは全て自家繁殖されたもののはずです(個人でネット販売している場合は不明)、盆栽や観葉植物の山野草類には既に自然界には存在しない種が実に多いのです。
道楽を通してこういった絶滅や絶滅危惧種を保護する活動をしている人もいます、昨今のこうした活動家の問題は後継者がいないことです、引き継がれることなく絶滅する種が今後急増していくのかと思うと心が痛みます、微力ながらも私も絶滅危惧種の保護に道楽を通して可能な限り参加していきたいと思います。
大小の筒形ボトルに入れた標本型コケテラリウムが現在多数売られています、小さなものでは試験管に大きなものでも直径12Cmほどのロングシャーレ型のガラス容器で造られます。
価格はコケの種類によって異なりますが、一番安い直径2Cmほどの試験管型で1~2,000円ほど、ロングシャーレ型では3~5,000円ほどです。
私は生態観察記録を目的に新たにコケを入手する度に標本型コケテラリウムを造っています、今回はそういった標本型コケテラリウムのハイゴケ版です。
成長速度がコケ類最大ではないかというほど早いので日々の変化が楽しめます、尚成長の早さやニーズから現在では大量に栽培されトレー単位(A3サイズ程度)で売られているほどです。
ハイゴケは這性のコケでハイゴケ目を象徴するコケであり他のコケを覆いつくし全滅させてしまうほどの驚異的な成長速度を誇ります、加湿状態下では葉先をどんどん伸ばすので徒長したように見えますが他の草本類の徒長とは異なりあくまでも成長です。
テラリウムでは成長が早く這性があるのであまり使われませんが盆栽の一つのカテゴリであるコケ玉などに多用されシノブゴケと共に最も消費量の多いコケです、また加湿にかなり強いので水槽を使った陸上と水中を模したアクアテラリウムやビバリウムではエコトーン(水辺、半水中)に無造作に敷けるので大活躍してくれます。
ハイゴケを使った標本型コケテラリウム
葉寸が大きいので容器が小さく見えてしまいます
加湿状態にすると驚異的なスピードで成長します
ハイゴケ(拡大)
同じハイゴケ属のシノブゴケと間違えられますが、ハイゴケの方が全体的に分厚く葉寸も一回り大きい
☆創作ノート
・コケ ハイゴケ
・ソイル コケ専用ソイル(華みやび)、アクアリウム用洗浄済小石(GEX)
・ケース ロングシャーレ(15Cm長)
コケ類は実に多様な容姿で葉寸も数ミリから10センチほどと幅が広く日本だけで生息が確認されているだけで1,700種を超えます、しかし多くの日本人がイメージするコケは間違いなくホソウリゴケかギンゴケだと思います、ホソウリゴケとギンゴケは日本全土だけではなく海外のどこに行っても見かけるハリガネゴケ科のコケで地球上に最も広く生息しているコケだと思います。
中でもホソウリゴケは道路の脇やビルの隙間と本当にどこにでも生えています、しかし他のコケの多くが生息地としている山林や川の淵などには不思議と生えていません、つまりハリガネゴケ科のコケは山林ではなく過酷な環境の人里に生息することで種を保存するように進化したコケだと言えます。
ハリガネゴケ科のコケは乾燥や直射日光にめっぽう強く、ホソウリゴケは茶色か黒色になり仮死状態で何年間も生きられます、そして雨が降って水分を取り込むとあっという間に緑色に変色し脇芽を出して成長していきます、逆に他のコケ類には最適な環境の湿気のある半日陰では蒸されたように葉が黄色になり腐ってしまいます。
どこにでも生えているホソウリゴケ
多くの人のコケのイメージがこういう感じだと思います
ホソウリゴケなどのハリガネゴケ科のコケは一つ一つの葉は極めて細く短いのですがドーム状にコロニーを形成しながら生息域を広げていきます、そのコロニーの中心部は枯れた葉でできておりスポンジ状の構造になっています。
つまりこのスポンジ状の構造で土埃を捉え水分を保持しながら活着して風に飛ばされないようにしているのです、こういった知恵を獲得したホソウリゴケだからこそ人里で生息できるのだと思うのです。
コロニーを形成して種の保存を行うホソウリゴケ
さてこのホソウリゴケの利用価値ですが加湿に弱いのでテラリウムなどには不向きです、逆に盆栽や盆景では乾燥に強く表面の土が乾くのを防いでくれるので昔から多用されています、したがってホソウリゴケの購入はテラリウムショップではなく園芸店や盆栽ショップになります、ネット販売でも安く大量に購入できます。
過酷な環境で生息するホソウリゴケは各種の書籍に室内で繁殖させるのはほぼ不可能だと書かれていますが私は標本にしているし他のコケと異なる管理をして室内繁殖にも成功しています、上手に完全成長させたホソウリゴケはまるで別物のように薄緑色に輝く美しい姿を現します、見た目も触感もビロードのようでとても自然界に生息している植物とは思えません。
室内繁殖でも完全成長を遂げてくれたホソウリゴケ
一つだけ注意点としてどこにでも生えているコケにお金を払いたくないと自分で採取することは止めた方がいいです、これはどのような植物にも適応される事項です、何故なら家に持ち帰り水を与えた瞬間に虫が湧いてきたり寄せ植えした他の植物にカビが生えたりするからです。
コケはあくまでも盆栽に使うとしても清潔な環境で育てられ出荷前に洗浄消毒された安全なものを使いましょう、支払ったお金はコケ代ではないのです、安全にコケと愉しむための保険料なのです。
ホソウリゴケ(拡大)
葉の大きさと軸の細さはおそらくコケ類最小
大小の筒形ボトルに入れた標本型コケテラリウムが現在多数売られています、小さなものでは試験管に大きなものでも直径12Cmほどのロングシャーレ型のガラス容器で造られます。
価格はコケの種類によって異なりますが、一番安い直径2Cmほどの試験管型で1~2,000円ほど、ロングシャーレ型では3~5,000円ほどです。
私は生態観察記録を目的に新たにコケを入手する度に標本型コケテラリウムを造っています、今回はそういった標本型コケテラリウムのタマゴケ版です。
霧吹きで水を与えた際に細かな水滴を纏った薄緑色のタマゴケは光り輝き非常に綺麗なコケです、画像販売サイトでコケの画像を検索するとかなりの割合を占めるほどビジュアル的パフォーマンスが極めて高いです。
タマゴケは丸い玉のような胞子嚢を付けることから命名されたコケでコケテラリウムでもよく使われます、固体そのものが見ごたえがあるのでテラリウムでは他のコケと合わせるよりも本品のように装飾素材は何も使わずに単独で使われる場合が多いです、またレトロな小さな丸鉢にタマゴケだけを盛りコケ盆栽として盆栽業者が売り出している例もあります。
ちなみにタマゴケの綺麗な胞子嚢は適度な湿度が保たれる容器の中ではほとんど見ることができません、どうしても見たい場合はコケ盆栽のようにオープン容器で育て枯らし気味にしておくと気温が下がる時期に胞子嚢を付けてくれるでしょう、ただしコケを過酷な環境に置いていじめるのはお薦めしません。
タマゴケを使った標本型コケテラリウム
上手く育てば1年でシャーレいっぱいに広がるので中央に一つまみほど入れるのがコツ
タマゴケ(拡大)
フサフサと茂る感じが心地よい
☆創作ノート
・コケ タマゴケ
・ソイル コケ専用ソイル(華みやび)、アクアリウム用洗浄済小石(GEX)
・ケース ロングシャーレ(9Cm長)