大小の筒形ボトルに入れた標本型コケテラリウムが現在多数売られています、小さなものでは試験管に大きなものでも直径12Cmほどのロングシャーレ型のガラス容器で造られます。
価格はコケの種類によって異なりますが、一番安い直径2Cmほどの試験管型で1~2,000円ほど、ロングシャーレ型では3~5,000円ほどです。
私は生態観察記録を目的に新たにコケを入手する度に標本型コケテラリウムを造っています、今回はそういった標本型コケテラリウムのコウヤノマンネングサ版です。
コウヤノマンネングサは単草では世界最大級のコケでコケキングと称されています、栽培もようやく本格的になりつつあり市場では唯一の1本売りされているコケです(流石キングだけあります)、現在価格は標準的なもので1本500円、脇芽が出ている株立ちなら1本800円程度と高額で送料を入れると倍になってしまいます、したがって私は大小5本セットで送料込み2,000円程度のものを購入しています。
扱ううえでの注意点として複数植えの際に葉と茎が触れるように植えてしまうと何故か互いに葉を溶かしあってしまいどちらも葉が無い状態になってしまいます、ただしこうなったら栽培素材としてソイルに埋めてしまうと半年ほどで新たな芽を出して再生します、同じ柄から再生したものは葉と茎が重なっても溶けることがありません、このあたりの生態がまだ研究中らしくコケ研究の歴史が如何に浅いかということが解ります。
単草で世界最大級のコケであるコウヤノマンネングサを使った標本型コケテラリウム
完全成長したものは高さ15Cm×直径12Cmのロングシャーレでも頭がつかえそうなほど大きくなる
脇芽が2つ出ています、環境が良いとテラリウム容器の中でも繁殖します

コウヤノマンネングサ(上部拡大)
なんて立派なんだ、これがコケとは誰も想像すらできないだろう

余談ですがコウヤノマンネングサを一回り小さくしたようなフロウソウというコケが存在しています、フロウソウは直立する柄にも葉が付いており上部も張り出すような大きな葉はありません、このフロウソウはコレクション価値はありますがビジュアル的に中途半端なのかテラリウムに使われることはほぼありません、ただし盆景には使えると思います。
問題は山採りしたフロウソウをコウヤノマンネングサとして販売している業者がいることです、コケに慣れている人はすぐ解りますが初心者には写真だけでは見分けがつかないので注意してください、実物で2つを比べてみれば如何にコウヤノマンネングサの存在価値が大きいのかが解るでしょう、機会があれば注意奮起を目的に購入して比較写真を撮りたいと思っています。
☆創作ノート
・コケ コウヤノマンネングサ
・ソイル コケ専用ソイル(華みやび)、アクアリウム用洗浄済小石(GEX)
・ケース ロングシャーレ(15Cm長)
盆栽の世界では盆栽キングと言われる超人気樹木の一つである糸魚川真柏(イトイガワシンパク)ですが、天然物は乱獲によって枯渇し現在盆栽で出回っているのは全て盆栽農家や盆栽家によって自家繁殖されたものです。
糸魚川真柏は新潟県と長野県にまたがる糸魚川周辺の高山だけに自生しているヒノキ科の深山柏槙(ミヤマジャクシン)という針葉樹です、他の地域の深山柏槙が葉寸が長く柔らかいのに対して糸魚川真柏は葉寸が短く硬いです、また幹もゴツンとした荒々しい幹をしています。
糸魚川真柏は険しい岩山の中で寒さと乾燥に耐え忍びながら種を保存してきただけあって自然の姿は折れ曲がったり樹皮が裂けて剥がれ落ちてボロボロです、そういうところが盆栽家にとってワビサビを感じ好まれるのでしょう。
盆栽でも小枝の皮を剥いたり幹の皮を剝いたりして厳しい自然で生きる糸魚川真柏を模した樹形を意図的に創作されています、このあたりが他の樹木と異なり特異な樹形が創作され高値で取引されています。
100年以上の大品(樹高40Cm以上)盆栽の中で1メートルを超える受賞作なら5,000万円以上するものも珍しくありません、これらは世界中の盆栽バイヤーが買い付けに日本にやってきます、日本で長い間守られてきて何度も賞を受賞した糸魚川真柏の盆栽秀作がどんどん海外に流れていっています。
糸魚川真柏に基本樹形である「模様木」仕立ての曲がりを付けた6年もの半完成品素材
針金を外し育成鉢に自家製ブレンド用土で植え替えしたばかり

糸魚川真柏の中品(樹高20Cm~40Cm)の10年以上の各樹形ものの半完成素材
小枝を出させ幹を太くするために主枝や脇枝をあえて伸ばし放題に育成します
既に主幹元の太さは3Cmを超えてきました
来春には剪定して樹形を整え化粧鉢に植え替えしたいと思います

今や女性にも大人気の糸魚川真柏の極小ミニ盆栽(左)とミニ盆栽(右)
※ミニ盆栽(樹高10cm以下)
左の極小ミニ盆栽は樹高はプロの盆栽士の手によってなんと5Cmにまで畳み込んでいるにも関わらずしっかりジン(皮を剥いた小枝)やシャリ(皮を剥いた幹)まで付けている逸品、小さな鉢に入れられ元気を無くしていたので養生のために大きめの鉢に植え替えました

そんな盆栽キングというべき大人気樹木の糸魚川真柏ですが私の故郷近くの樹木とあって親近感もあり盆栽の完成品から素材まで現在100鉢を超えるほど所有しています、それでも毎月のように気に入った樹形を探しては買っていますので増える一方です。
今や盆栽は日本発祥でありながら海外の盆栽人口の方がはるかに多いです、その人たちにとっても憧れの樹木だけあってミニ盆栽でも1万円を超えるものも珍しくありません、むしろ最近大人気のミニ盆栽のほうが一般的な大きさの中品盆栽よりも高く値段が付けられる例もあります、プロの盆栽士の作品であれば基本樹形が整っているだけで他の樹木の完成品よりも高値で取引されています。
尚、2020年に糸魚川真柏活用プロジェクトが新潟で発祥しており糸魚川真柏を守り自然に自生する雄大な姿が見られるようにするために活動しています、現在自然自生地は糸魚川真柏ジオパークとして採取禁止区域となっています。
注意点として普通の深山柏槙を糸魚川真柏として売っている例が多々見られます、私も糸魚川真柏として買ったものの中に後に成長して普及樹木の深山柏槙だったと解ったものが半数を占めています、苗が小さい時には見分けがつかないのでネット通販ではなく確かなところで実際に確認してから買いましょう。
大小の筒形ボトルに入れた標本型コケテラリウムが現在多数売られています、小さなものでは試験管に大きなものでも直径12Cmほどのロングシャーレ型のガラス容器で造られます。
価格はコケの種類によって異なりますが、一番安い直径2Cmほどの試験管型で1~2,000円ほど、ロングシャーレ型では3~5,000円ほどです。
私は生態観察記録を目的に新たにコケを入手する度に標本型コケテラリウムを造っています、今回はそういった標本型コケテラリウムのスギゴケ版です。
市場に出回っているスギゴケは厳密にはコスギゴケとホウライスギゴケの2種があり市場では区別せずにスギゴケとして扱われています、本品はコスギゴケとして売られていましたが飼育していたら大きく育ちホウライスギゴケではないかと疑っています、まあどちらも大きさくらいで左程の見た目の違いはありません。
スギゴケは成長段階によってはタマゴケやアラハシラガゴケと区別がつかない容姿の時期がありますが、すっかり成長すればスギゴケ本来の深緑色のがっしりした男気のある容姿となります、テラリウムでは3Cmほどに大きく育ったものを使うと1本でも針葉樹を模したように使えるので割と重宝するコケでありコケテラリウムの中でも存在感を示します。
スギゴケを使った標本型コケテラリウム
成長したスギゴケは深緑色の小さな草本類のようで存在感を示します

スギゴケ(拡大)
いきなり胞子柄を伸ばしてくることがあります
胞子がばらまかれる前に胞子嚢をカットしました

☆創作ノート
・コケ スギゴケ
・ソイル コケ専用ソイル(華みやび)、アクアリウム用洗浄済小石(GEX)
・ケース ロングシャーレ(9Cm長)
この得体の知れない植物は見た目も触った感触も多くの人はビニールかプラスチックで作った下手な造花だと思うでしょう、実はこの植物はマツバランというシダ植物です、ランと名前が付いているのでランの仲間と勘違いされますがれっきとしたシダです。
このマツバランは「根も葉もない嘘」という話のネタとなっている植物で本当に根も葉もなくすべてが茎だけでできています、地下茎でランの仲間のように木や岩に着生して胞子と地下茎からの分枝で増えていきます、ランの仲間ではないので花は咲かずに茎の先に胞子嚢を付けます。
地下茎で繁殖するのを観察中のマツバラン

このマツバランを上手く育てるのは放置です、他のシダ類のように水をたっぷりあげると夏場などは蒸れてあっという間に腐ってしまいます、ミズゴケやココピートなどの天然植物繊維で包みこむように植えランのように乾燥気味に育てるといつまでも元気で鑑賞できます、できれば屋外で水もあげずに放置していたほうが雨や空気中の蒸気で水分を補給しながら繁殖します。
室内で育てるなら半日陰の窓際で通気のよいところに置き時々ミストスプレーで湿気を与える程度がいいです、根が無いので肥料は不要で与えても意味がありませんし肥料焼けで枯れることもあります、木陰や木の上でひっそり繁殖するマツバラン、人間があれこれと手を加えたらきっと居心地が悪く枯れてしまうでしょう。
尚、現在では多くの自治体で絶滅危惧種となっており環境省では準絶滅危惧種の扱いになっています、したがって流通しているのは全て自家繁殖されたもののはずです(個人でネット販売している場合は不明)、盆栽や観葉植物の山野草類には既に自然界には存在しない種が実に多いのです。
道楽を通してこういった絶滅や絶滅危惧種を保護する活動をしている人もいます、昨今のこうした活動家の問題は後継者がいないことです、引き継がれることなく絶滅する種が今後急増していくのかと思うと心が痛みます、微力ながらも私も絶滅危惧種の保護に道楽を通して可能な限り参加していきたいと思います。
大小の筒形ボトルに入れた標本型コケテラリウムが現在多数売られています、小さなものでは試験管に大きなものでも直径12Cmほどのロングシャーレ型のガラス容器で造られます。
価格はコケの種類によって異なりますが、一番安い直径2Cmほどの試験管型で1~2,000円ほど、ロングシャーレ型では3~5,000円ほどです。
私は生態観察記録を目的に新たにコケを入手する度に標本型コケテラリウムを造っています、今回はそういった標本型コケテラリウムのハイゴケ版です。
成長速度がコケ類最大ではないかというほど早いので日々の変化が楽しめます、尚成長の早さやニーズから現在では大量に栽培されトレー単位(A3サイズ程度)で売られているほどです。
ハイゴケは這性のコケでハイゴケ目を象徴するコケであり他のコケを覆いつくし全滅させてしまうほどの驚異的な成長速度を誇ります、加湿状態下では葉先をどんどん伸ばすので徒長したように見えますが他の草本類の徒長とは異なりあくまでも成長です。
テラリウムでは成長が早く這性があるのであまり使われませんが盆栽の一つのカテゴリであるコケ玉などに多用されシノブゴケと共に最も消費量の多いコケです、また加湿にかなり強いので水槽を使った陸上と水中を模したアクアテラリウムやビバリウムではエコトーン(水辺、半水中)に無造作に敷けるので大活躍してくれます。
ハイゴケを使った標本型コケテラリウム
葉寸が大きいので容器が小さく見えてしまいます
加湿状態にすると驚異的なスピードで成長します

ハイゴケ(拡大)
同じハイゴケ属のシノブゴケと間違えられますが、ハイゴケの方が全体的に分厚く葉寸も一回り大きい

☆創作ノート
・コケ ハイゴケ
・ソイル コケ専用ソイル(華みやび)、アクアリウム用洗浄済小石(GEX)
・ケース ロングシャーレ(15Cm長)