「真面目」や「正直者」は裏を返せば「頑固」や「融通が利かない」と取られることがあります、ビジネスは真面目さだけでは成功しません、時には自分の信条を曲げてさえ相手と向き合う必要もあるのです。
真面目さがビジネスで最も敬遠されるケースは融通が利かないと思われることです、ビジネスを行っていくうえで時には契約事項通りにはいかないことは多々あるのです、それがビジネスという生き物だからです、理由は人間同士の取引なのですから当たり前なのです。
ビジネスが生き物というのは環境の変化や事業の見直しそして人間関係など最初から全て計画通りには進まないからです、しかしそういうときでも契約事項を持ちだして「これは出来ません」と強行に言われると、相手もそれに応じて「じゃ、契約は破棄しましょう」となってしまいます、「仕事は真面目にビジネスは臨機応変に対処」したいものです。
ところで、仕事は「労働=ワーキング」でありビジネスはあくまでも「経営=商売」です、これを決して混同してはいけません、つまり業務・就業・計画という仕事に関しては真面目に取り組み、ビジネスでの思考に関しては柔軟に人間関係を重視して相手との共存共栄を頭に入れて対処することです、ビジネスと仕事のメリハリが肝要です、そうしなければ動くものも動かなくなります、そしてビジネスと仕事を決して履き違えないこと、これは社会人として基本中の基本事項です。
ビジネスでもプライベートでも何か上手くいかないときは必ず何処かに大きな勘違いが潜んでいるものです、私も後から考えると「あそこで勘違いしていた」と気付くことが多々あります、でもその勘違いを起こしている時は自分ではなかなか解らないのです、終わって始めて気付くことになるのです。
例えば信用できると思っていた人、賛同してもらえると思っていた企画、高収益になるはずの事業、結果が伴わなければそれはやはり勘違いなのです、勘違いは多くの場合は冷静に判断できない状況から湧き出ることが多いのも確かです、それが思い込みや根拠のない自信に繋がり、結果的に勘違いを引き起こしてしまうのです、では勘違いを自ら気付くにはどうしたらよいのでしょう?
私の場合は期間を目安にします、例えば事業なら1年、人なら半年など、その期間の間はおかしいと思っても目を瞑って継続させます、何故なら多くの場合結果が出るまでのクリティカルタイムという期間が必然的に存在しているからです、しかしその目安の期間を超えても更におかしいと違和感を感じるときはやはり何かが間違っているのです。
その期間に起きたことを順序だって時系列で考えます、そうすれば矛盾やその本質的なことも見えてくるようになります、どんなことも何処かで一旦は冷静に判断しなくてはいけないのです。
そして「勘違い=誤り」に気付いた時は潔く軌道修正することです、もしくはリセットできることであれば潔くリセットすることです、事業であれば撤退であり、人であれば離別ということになるでしょう、おかしいと思いながら継続することは自分だけでなく周囲も巻きこみ引くに引けない最悪の状況になってしまいます。
年配の人に多く見られる習慣でお願い事や相談事に「俺に任せておけ」と言う人がいます、しかし何時になっても返事はきません、問い合わせても電話にも出てもらえません、信じて待っていても良い結果は殆ど期待できないのが実情です。
でも冷静に考えてみましょう、どんな人でも無料で他者の利益の為に更には自らリスクを負ってまで行動してくれるものでしょうか、「俺に任せておけ」と言うのは「近くまで来たら家に寄って下さい」と同じような意味であり単なる社交辞令や挨拶程度と思わなくてはいけないのです。
もし本当に行動を起こしてほしいのであれば、お願いではなく正式に「業務依頼」するのがビジネスとしては正解なのです、相手も自分に結果が出せない事ではお金を貰えないと考えます、無理な事ははっきり断るでしょう、また自信のある事なら「判った、やってみましょう」と明快な回答を出してくれるはずです、お金で割り切るようでしっくりこないかもしれません、しかしビジネスにとって不確実な期待や情報は経営そのものに悪影響を与えることになります。
確実性をお金で買えるならある意味においては安い買い物だと思います、不確実な情報に翻弄され時間や労力を無駄に注ぎ込むこと、これこそが結果的に高いものとなるのです、「お金を使って確実な事項や人材を手に入れる」、こういう思考をビジネスライクといい、これを解っている人が成功者になれるのです。
インターネットやスマートフォンの普及が近年加速度的に広がりSNSの普及も加わることでマーケティング手法も大きく変わってきました、ネットの中ではテレビなどのメディア以上のアイドルやカリスマが連日のように生まれては消えていきます、テレビや新聞離れが進む中で情報メディアはSNSが世代によっては有効な手段となっていることは否めません。
ただやはりSNS情報は確実性に欠けるのが大きな課題でもあります、特に優れた能力が有り実際に成功を収めているわけでもなく収益も大赤字で生活すらままならないような人でもSNSの世界では華麗なるセレブ成功者として崇められている例も少なくありません。
数年前にはIT関係のビジネス仲間と会食をする都度にこれらの情報の真実性の話になったことを記憶しています、知人の一人はブログ全盛の時代から長年に渡り次世代メディアの有益性を研究してWebマーケティングを生業としています。
彼は仕事柄SNSのカリスマたちと連日のように会っています、そして会う度にネットの中での華やかさとは裏腹に真実の姿を目の当たりにして問題意識が益々芽生えてくると言っています、今やSNSでビジネス成功者として崇められている人、みんながその人の情報を得て真似しようとしています。
しかしその人の情報が真実なのか似非なのかはリアルで事実を確認するまでは誰にも解らないのです、本当に価値ある重要な情報とは決して不特定多数にスプレーされることはありません、つまり本当の成功者はむやみに付き合う人を増やしません、よく考えれば解ると思います。
本当に成功している人はSNSでパフォーマンスを繰り広げカリスマになる必要もないし不特定多数を相手に集客する必要もないからに他なりません、SNSの世界には本当に利益に繋がる人は極めて少なく、みんなが利益を欲しがっています、少ないパイを奪い合うというレッドオーシャンの中で生き残りをかけ日々奮闘している、そう考えるのが正解だと思います、そういう意味では異業種交流会もこれとまったく同じことが言えます。
成功者はいつの時代もみんながやっていない方法で一人悠々とブルーオーシャンを泳ぎ自分だけの魚場を時間をかけて作り上げているのです、だから益々成功していくのです、そろそろこれに気が付かないと次代の新エコシステムの世界では生き残れないと思います。
印刷はA社、ソフト開発はB社、デザインはC社、部品調達はD社など業務内容によってパートナーや人材を固定化することは珍しいことではありません、確かに固定化するメリットは数多く有ります、まず頼みやすさ、それから支払いなどの事務処理のやりやすさ、お互いの考えなどが解っているのでミスも少ないなどのメリットがあります。
しかし本当にそれで良いのでしょうか、それで本当に収益性は上がっているのでしょうか、例えばデザイナーですが今までのパンフレットや会社概要などを再度良く見てください、何かマンネリ化していませんか、その商品を引き立たせる内容とデザインになっていますか?
「やりやすい=マンネリ」ということに陥りやすいものなのです、結論を言うとパートナー企業は一つの業務に複数社用意しておいた方が絶対に良いです、その業務に最適なパートナーを選択することによって同じ商品のパンフレットでも見違えるように変わります、今までに無い視点からの提案も出てきます。
見積もりを双方から取るようにすれば互いに良い意味での競争心から安価に発注できる可能性もあります、「競争原理は資本主義の美学」なのです、事務処理の煩雑さや担当者の仕事が増えることは当然のことです、担当者とはそもそもそれが仕事なのですから。
良い物を作って良いビジネスにする為に手を抜いていては本末転倒です、自ら面倒なことを行ってこそ結果も付いてくるというものです、一つしかないものを仕方なく使うのか、多数有るうちから一つを選んで使うのか、この答えは自ずと解ると思います、ビジネスに妥協は最悪手であり厳禁です、期待するような成果と結果は望むべくもありません。