私の経験則で言うとビジネスに最も重要なのは「時を制する」ことだと思います、事業の内容や方針などよりも全てが「時」で決まってしまうと思えるほどに「時を制する」ことがビジネスの明暗を分けてしまいます。
「時」の一つは「タイミング」です、これは最も重要な要素です、事業を開始するタイミング、同じ事業でも遅すぎても早すぎても上手くいきません、絶妙なタイミングで開始する、そして利益が見込めない場合は絶妙なタイミングで潔く撤退することが肝要です。
また何かを決定するタイミング、これも重要な要素です、「誘われているうちが華」とはよく言ったもので、こういう絶好のタイミングで躊躇している人は何をやっても上手くいきません、理由は解りませんが変な思惑やプライドなのか絶好の判断タイミングを逃す人が多々いることには驚きます、相手が「時を制する」達人であれば自分の待ち時間を超えた場合には必ず次のステップへ移行します、つまりせっかくのチャンスもほんの数分ずれても逃すことになります。
「時」のもう一つの要素は「有効な時間」を常に計算できることです、物事には必ずこの「有効なる時間=クリティカルタイム」が存在します、カップ麺を美味しく食べるにはお湯を入れて3分待つ必要があります、これが「カップ麺を美味しく食べる為のクリティカルタイム」です。
事業も同じことです、その事業を開始したらすぐにお金になると考える人はビジネスセンスはゼロです、その事業が活性化し利益を生むためのクリティカルタイムを正確に計算できる人が必ず成功します。
例えばAの事業が成果を出すには1年は待つ必要があるなら、その間に数ヶ月で結果が出ることを幾つも並行もしくは連動させて行う、こういったクリティカルタイムを頭に入れた最短の時間軸を設計し、それまでの資金調達から資金繰りや行動計画を行わなくてはならないのです。
「時」の要素の最後に「持ち時間」があります、納期や時効など自分に与えられた「持ち時間」を限界まで有効に使い切ること、これが本当に成功するためには重要な事項です、例えば一つの作業、早く終わらせて楽になりたいということで作業に集中して相手が望む時期よりも速く終わらせる人もビジネスセンスはゼロです。
1ヶ月間を貰ったならば早く終わらせても1ヶ月ギリギリで終わらせても収益と貰える時期はまったく同じです、であれば1ヶ月を有効に使うことを考えるべきです、1ヶ月で余裕で出来るのであれば他の急ぎの業務を優先する、或いは余裕を持って品質向上や完成度を上げるなど他にやるべきことをやることが肝要です。
信用や信頼の基本は約束を守るということです、しかも相手が望む以上でも以下でもなくジャストの結果を出すことが最も重要なことなのです、1ヶ月を1週間で納品しミスが多かったら信用も信頼もゼロです、しかも「1週間で終わるものを1ヶ月分の工賃を取るのか」と逆に信用を失うことにもなります。
「与えられた時間」を有効に活用してこそ成功への道が開かれるのです、更に法的な手段に訴えられた時などは相手が何時までという期限を示していない場合は法的に有効と認められた時効がその期限となります。
この場合も与えられた時間を何もしなくても限界まで使うべきです、相手が忘れた頃が法的処置としては最も効果的に機能するのです、逆にこちらが不利益になる争い事なら早期に解決することに尽力することです、憂いを長引かせることは不利益を重ねることになります、成功する為の目的達成に最も大きなブレーキは「憂い事」であることを覚えておいてください。
ビジネスで成功するために重要な要素は戦略に基づいた計画的行動であり決して昔のような政治的なロビー活動ではありません、政治的なロビー活動というのは例えば各種接待や最初から無理のある取引であるにも関わらず複雑に大小の企業を絡めた取引などを指します、ビジネスは取引形態や支払い方法が複雑になればなるほどトラブル発生確度が上がり本業が何か判らなくなるという状況になってしまいます。
企業は時として売上げ確保や資金調達、或いは急成長を狙って一種のギャンブル的行動に踏み込まざるを得ない状況というものがあります、しかし決して正道を踏み外し無理を通して成果だけを追ってはなりません、その瞬間は良いとしても将来に大きな爆弾を残すことになります、この爆弾は時限爆弾そのものであり何時爆発するか解らない代物なのです。
取引の基本は1対1、契約も1対1で決して3社契約など複雑な契約はやるべきではありません、支払いも1対1、双方での相殺は良いとしても3社間での迂回ルートでの相殺などは確かに売り上げ確保など経営手法としては意味もあるのですが絶対に止めた方が無難です。
他にも価格に意味のないオプションを乗せることやマージンを低く見せかけた裏を隠した交渉などは正常な取引とは思えませんし賢いビジネスだとも思えません、賢いビジネスとは小賢しい(こざかしい)手法を駆使することではなく正々堂々と行ってこその価値あるビジネスと言えます、取引はあくまでも簡素で公正に、ビジネスで成功したければ「シンプル・イズ・ベスト」ではなく「シンプル・イズ・マスト」を念頭において行うことが肝要です。
買う場合も売る場合も値段や支払方法などの条件は相手に先に言わせるに限ります、もし自分の方から先に言ってしまった場合はそれがその後の商談のベースとなってしまうことを覚悟しなければなりません。
見積もりを要求された場合はまず先に相手から見積もりの条件を聞きだすことが肝要です、数量・コミットメント・支払い条件などです、それを基に見積もるのと何も無いところから見積もって後で条件を交渉するのとでは雲泥の差となります、最も確実な見積もりは担当者にざっくりとした予算を聞き出すことです、人間関係を上手く構築していればそれほど難しいことではありません、こういったことも日頃の付き合いが功を表するものです。
では相手が交渉上手でこちらから先に条件などを提示しなくてはならない場合はどうしたらよいでしょう、その場合は可能な限り条件を厳しくして金額もディスカウントされることを念頭に設定しておけば後で泣くことにはならないと思います。
ゲームの世界では先手必勝もビジネスの世界では後手必勝であることを覚えておくと失敗は激減するでしょう、解りやすく言えばビジネスで失敗しない方法は何事も「後出しジャンケン」ができる状況を上手く構築することです。
ただし人間関係においての「後だしジャンケン」は信頼も信用も大きく失うことになりますので使いどころを間違えると命取りになることを覚えておいていただきたいと思います、「後出しジャンケン」が有益に機能するのはビジネスライクで付き合う相手だけと心に留めておきましょう。
ビジネス然り、プライベート然り、トラブルになるときには必ず前兆パターンが存在しています、商談レベルですんなりと上手くいき過ぎるような感覚を覚えることがあります、何でこんなに上手く運ぶのかと思いつつも進めてしまうこともあります、実はここに大きな落とし穴が待っている場合が多いのです。
例えばビジネスであれば事業が進むにつれ当所の計画との差異が徐々に明確に現れてきます、思った以上の時間や労力を費やし更には経費も膨らみ始めます、気がついたときには予定の半分も進んでいないのに既に赤字、更には難題が山のように増えてくるのです。
例えばプライベートであれば付き合い始めたころのワクワク感は徐々に消え、相手の行いや考え方の差異に苦しめられるようになります、気が付いたときには一緒に居ることすらイライラするようになります、これは一体どういうことでしょうか?
よくよく考えてみると、ビジネスでは最初に推進していた人がいつの間にか代わっていて、打ち合わせに違う人が次々と入ってきます、そしてその都度話も別の方向へ変わっていくのです、プライベートではその人だけ見ていればよかったのに家族や友人など様々な人が周辺に現れ周辺の人にかき乱されてしまっています。
本来なら長年やっていれば途中でおかしいと思うはずですがそれが何故チェックすることができなかったのでしょうか、これは状況がトントン拍子に進むがあまり上手くいくと思い込んでしまっているからです、そして最も重要な本来の事業計画や人となりの確認ができていなかったのです。
何事も「最初良ければ後悪し」と肝に銘じて気を緩めないようにしたいものです、逆に言えば最初あまり良くない印象の取引先や人がある日雪が解けるように穏やかな関係になる場合も多々あります、どんなカテゴリでも思い込み思考は厳禁です、更に大きな期待もしないことが肝要です、日々の些細な出来事をただただ楽しむこと、こういう淡々とした日々の感覚というのが実は上手くいくことが多いものです。
クローン技術や遺伝子改良技術はほんの少し前まではSF映画の世界にしかなかったのですが、近年ではDNA鑑定することでどんな病気になりやすいかなどまでわかるようになってきました、これは遺伝子情報がほぼ解明され分析においても精度が上がったためであり、そのうち病気のリスクを胎児の段階から取り除き体質なども設計できる時代が来てしまうのかもしれません。
さて本題ですが現在のIT業界の頂点の一つともいえるブロックチェーンという世界に身を置くとあらゆる業界の最新で極めてコアな情報が入ってきます、それが今度はベンチャー企業成長支援という資金調達を含めた事業に乗り出すのですからこの傾向は更に極まりつつあります、先述のようなDNA分析装置やナノ素材から環境や食品加工技術に至るまで幅広い最新技術に触れることができます。
結果的にその世界を知らなくては事業の精査ができないがために時間が有ればネットや書籍で勉強してはクライアントの話しを理解できるようにしています、「何でもよく知っている」と昔からよく言われますがそれが仕事なのですから当然のことだと考えています。
ただこの数年で大きく時代が変わってきたという実感があります、特に健康や長寿というカテゴリにおいては今までの常識っていったい何だったのだろうかと思うことがしばしばあります、常識が180度ひっくり返る日々、いったい何が間違いで何が正しいのでしょうか、最新情報が常に入る環境は果たして幸せなのか不幸なのか、でも私はそれを日々楽しんでいるのです。
ただ昔からその事業においては素人同然の私でさえ疑問に思うような計画書を見せられることが多々あります、事業を興して企業を成長させたいのか、直面する経済的な要素だけをクリアしたいのか、私にはどちらなのかはすぐに解ってしまうのです、そしてズバリその目的を明らかにしてしまいます、当然のこと二度と私のところへ来ることはありません、同業他社はこんな私を「商売が下手」だと言います。
下手で結構です、それよりも核心を隠してビジネスするような人は何れは大きな負の資産を抱えることになります、つまり核心を隠して人を騙す人に成功することなどは有り得ないのです、本当に支援を得たいのであればその道の事は当然のこと最新業界動向や経営手法などをもっと勉強して欲しいです、少なくても素人同然の人に事業計画の嘘を見破られるようでは事業そのものに愛着が無いと言われても反論すらできないと思います。