流行とはある意味非情であり怖いものです、近年では残業が多い状況が続くと「ブラック企業」だと叫ぶ人がいます、もし本当に自分が務める会社が「ブラック企業」だと思うのなら即時辞めた方が良いと思います、そこに留まる価値を自身が見い出していないからです、企業に就業する者にとって重要なのは「雇用されているのか?」、それとも「自らの意志で働いているのか?」というマインドの置き方だと思うのです。
もし遊ぶことが好きで効率よくお金を稼ぎたいのなら目的に合った稼ぐということを優先した働き方ができるように努力することです、スキルアップやキャリアアップのために働いているのなら相応のレベルに到達するまでは目的を優先して目的のスキルを得た後に働き方をその時の価値観に照らし合わせて考えればよいことです。
雇用されていることが生活費を得るためだというのなら絶対に「ブラック企業」と言われている会社に所属してはいけません、それはあなたも会社も不幸になってしまうからに他なりません、逆に今働いている環境が時間を忘れるほど楽しいのならば「ブラック企業」と言われようが辞めるべきではありません、その環境は自身に適合した環境であり人として成長できる環境であるからです。
最も駄目な行為は誰かが「ブラック企業」と言っていたことを真に受け自分の労働に価値を見い出せなくなることです、価値はあくまでも自身で判断するべきです、どんな事もどんな時もどんな人にもです、これは何も会社員だけではなく経営者でも個人事業主でも同じことです、何に価値を見い出すか、見い出しているならどんな環境も充実感に満たされ不満など一切出てこないはずです、そしてそれによって生活ができるのであれば成功と言わずに何というのでしょう?
商談や営業電話などこちらの話をへし折ってまで一方的に話してくる人がいます、タイミングを見計らって質問でもしようものなら「ちょっと私の話を最後まで聞いてくださいよ」と興奮して話を止める気配もなく捲くし立てるような会話攻撃です。
彼らは話で押し切って今すぐにでもOKを貰おうと必死です、それ相応の裏事情が有るのだとは思いますがビジネスの理屈も理論もそこには在りません、在るのは一方的な自分勝手な都合だけです。
このような会話攻勢には一時休戦するしかありません、「全く話しが理解できないのでゆっくり話してください」とか「後日また聞かせてください」など一旦は冷静な状況に持っていくのがよろしいかと思います、おそらく二度と彼らは連絡もしてこないと思います。
こういうシーンは「今が勝負!」というときに多く見られるもので時間が経てばその状況は脱しているものです、もしくは「この人は無理だ」と諦めるのだと思います、一方的な営業攻勢で仕方なく「OK」した場合はその後にトラブルに繋がる確立は極めて高いものとなります。
また「ここで決めないと絶対後悔しますよ」と言うのが彼らの決め台詞の一つですが、そもそも聞かなければ最初から無かった話なのです、話に乗らなければ実損は生まれません、私は何事も自分の心が気持ち良く動かない時には絶対に上手くいかないと考えています、ましてビジネスは会話では決まりません、相手の気持ちを優先させて心で行う代物です。
ビジネスが上手くいかないのは能力でもやり方でもありません、最も重要な事項を理解していないだけです、最も重要なことは何か、ビジネスの全てが人間関係によって行われていることに早期に気付くべきだと思うのです。
常に脇に置いておきたい人材を考えたとき私的には二人のキャラクターが頭に浮かんできます、一人は事業を推進するに必要な専門的な知識を身につけているスペシャリストで経営者の考えを敏感に察知して完璧にドキュメント作製や事業推進ができる人材です、ドキュメントとは何も企画書や提案書だけではありません、専門分野の設計書や特許出願用のひな型に始まり各種の規定や行政などの申請書類なども含まれます。
経営者と阿吽の呼吸で動くスペシャリストが事業推進・営業・経理・財務など各部門に1名でもいれば大きな組織になっても充分に機能します、特にIT系やバイオ系などの特殊技術分野の企業には特になくてはならない人材で、この人たちの存在によって経営者は多くの時間を戦略策定や経営実務に集中できるのです。
もう一人は経営者の趣味嗜好や気持ちを全て理解しておりその場の状況に応じて阿吽の呼吸で動ける人であり周囲にも気を遣いつつ経営者に変わって社内を掌握できるゼネラリストです、この人材の大きな役回りは特に経営者が出張などで不在の時に存在感を発揮します、予測不能な事態が起きた際には経営者が不在だと社内は不安になるものです、しかしこういったときに大いに頼りになる人材であり社内の信頼を一身に集めます。
経営者自身もこの人の存在があるから長期の出張などでも不安なく会社を離れることができます、実に頼もしく大きな存在感を示す人材だと言えます、社長室とか経営企画室などという部署の肩書をみたら社長と常に行動を共にして何でも話合える秘書以上の存在だと理解した方がよいでしょう、それほどまでに経営者が絶大なる信頼を寄せている人なのです。
ここで前述の二人のキャラクラーに共通している事項があります、それは経営者に多くの戦略を練る時間を与え経営に致命的な不安や不信感を与えない人だということです、そして最も重要なのが言葉で繕うのではなく常に姿勢でそれを表示させる人だということです、つまりどんな状況が起きようが自身の責任をまっとうし逃げることなく経営者と共に苦楽を共にできる覚悟ができている人なのです。
会社が元気なときにはどの社員も不満も無く明るく振舞えます、しかし一旦会社が窮地に陥ると蜘蛛の子を散らすように離れていくものです、その状況において思いもしなかった意外な人が残るのです、私は何度かのこういう経験を通して真に信頼できる人を短期間で見極める能力を身につける事ができました。
一つ言えることはビジネスライクな形骸化された信頼関係と絶対的な心が通った信頼関係とはまったく次元が異なるということです、絶対的な信頼関係で結ばれた人が3人もいれば例え会社が無くなったとしても何時でも瞬間的に再興させることが可能です、これは経験則から学んだ事実です。
そしてこの絶対的な信頼関係は経営者にとって絶大な精神的バックボーンとなり大きな自信とパワーを与えてくれます、経営者にとって経営に集中できることが何よりも嬉しいことなのです、そして未来展望において特に事業推進や人事的な事項に不安なく過ごしたいのです、経営者を脇で強力にサポートし身も心も元気にさせる人材は会社を大きくさせる最大の原動力であり貢献者です、だから誰よりも評価されて当たり前なのです。
当然存在そのものが武器なのですから目に見える成果などでは報酬は決まりません、要求されなくても優先的に優遇するはずです、こういった人達の存在が経営者の脇をかっちり固めている会社はどんな厳しい状況が起きても常に乗り越えることができる強い会社となります、そして経営者の脇を固めるは経営者と共に夢を語り合い上場などの暁には達成感と栄華を共有できる連帯成功者となるのです。
法人設立後10年間同一の事業を継続できる企業は2.9%という統計があります、それほど法人化し一つの事業を長期間継続することが難しい事を表しています、私は創業16年後にソフトウェア受託開発からオリジナルシステムの開発販売へと業種をシフトしました、更に27年後にはIT事業すべてを子会社に譲渡し経営コンサルティング会社として生まれ変わりました。
その時に考えたのが社名の変更です、しかし運良く2度の事業変革においても社名変更をしなくても違和感が無かったので社名変更をせずに済みました、この経験で新たに法人を創設する際に社名を考えるにあたり何れ企業とはどこかで事業変革が必要になるという事を念頭に置いて考えます。
社名変更は事業が独り歩きするほど大きくなった場合はイメージアップに繋がりますが、そこそこの事業規模の場合は費用面と信頼面で大きなダメージになる場合が極めて高いのが事実です、「自分の会社の社名くらいは自分の拘りで決める」という起業家も少なくありません、ただその社名は世の価値観の変化についていけるものなのかどうか、そして事業変革した際はどうするのかを考えることが肝要です。
説明してもそんな疑問を持たない起業家は多数います、悲しきかな創業3年もしないうちに社名が仇になるケースも出てきていることも事実としてあります、ここで社名を考える場合に気にした方がよい事項として以下の項目があります。
1.特定の地名を入れる・・・本社が移転した場合はNG
2.業種や職業の名称を入れる・・・業種変更の場合はNG
3.流行りの用語を入れる・・・死語になった場合はマイナス要素
4.自分の名前をそのまま入れる・・・個人企業と思われマイナス要素
5.複雑な英語の社名・・・関係各所に各種の迷惑をかけるのでマイナス要素
6.自身の拘りを入れる・・・個人企業やナルシストだと思われてマイナス要素
※ただし、社団法人・財団法人・NPO法人・NGO法人では2項に関しては例外です。
たかが社名されど社名、社名は経営者の経営姿勢をダイレクトに表します、これが合わないと自分も周囲も大きな違和感が発生するようになります、経営とは他者との経済循環を礎とする経済活動です、つまりそこには自分だけの拘りなど捨てて人間関係という複雑な心理を理解しなければならないのです。
「ヘビービジネス」、つまり「重いビジネス」という言葉があります、ここで「ヘビービジネス」とはいったい何を指すのかというと誰もが簡単にはお金を得ることの出来ないほど大規模で極めて困難な事業を意味し、なかなか転がらないので「ヘビー」という言葉が使われます。
この「ヘビービジネス」ですが例えば複数の異種企業が参加しなくてはできない新分野、資金が潤沢にないとできない大規模事業、マーケティングから売り上げが上がるまでに最低でも1年以上という文化構築が必須のサービスなど、世の中には多数存在しています。
共通して言えることは一人で手軽に起業してその日から業務を開始して売り上げがすぐ上がるというビジネスではないということと最大の特徴は極めてリスクが高いということです、特に新技術の場合は技術的な精度の裏付けや検証などのエビデンス、そしてその後の品質や安全性への保障問題、計画通りに実現出来なかった場合の大きな経済的負担、更には公的資金や第三者などから投資を受けた場合には社会的責任も加わってきます。
また文化の構築というような新サービスの場合は多数の企業が絡んでくるので、それぞれの利害を明確にした契約を取り交わすまでが大変です、あっという間に初期の資金は底をつきます、またその後に発生する権利問題でのトラブルなども考えられます、このように誰でもが簡単に手を出せない「ヘビービジネス」に何故多くの小規模企業であるベンチャー企業は競って参入するのでしょうか?
逆に大手企業はこのような新規での「ヘビービジネス」にはまず参入しません、何故なら業界が成熟した後にのんびりと参入してもあっという間に市場を奪い取る自信とリソース、そして事業推進のノウハウを持っているからに他なりません、ベンチャー企業がベンチャー精神を忘れたら極小企業に他なりません、チャレンジすることこそベンチャー企業の誇りです。
そのベンチャー魂や心意気には敬意を表すると同時に応援もしたい気持ちになります、ただ「ヘビービジネス」にはとてつもなく大きなリスクが伴うということ、そして集めた莫大な資金を返済できなかった場合など、社会的な責任を負うとともに結果的に投資詐欺になってしまうということを忘れてはなりません、このような「ヘビービジネス」で成功する例は極めて低く、それでも多くのベンチャー企業が参入する背景には何が有るのでしょうか?
ただ「今まで上手くいったことが無かったから今度こそこれに人生の全てを掛ける」などという幻想だけは追わないでいただきたいのです、「夢はでっかいほうが良い」と私はよく言います、でも夢と幻想は全然別なものなのです、私も過去に文化を構築できるような新技術商品の特許が取れ、それを契機に数億円を集めてリソースを惜しみなく注ぎこみ、それでもやっとの思いで4年後に製品化に漕ぎ着けたことがあります。
その後は運良く大手企業に事業ごと売却でき全ての投資資金を清算し手元には僅かな利益しか残りませんでしたが最良の選択だったと思えてなりません、何故なら商品化後からマーケティングや販売戦略と更なる大量の資金と期間が必要になる計算が出てそこまで会社が持つかという大きな不安が湧きあがっていたのです、「ヘビービジネス」は何度も事業構築し事業構築というシビアな世界を嫌というほど解っている人が満を持して参入すべきビジネスだということを理解すべきです。