2024年9月16日 07:00
「ヘビービジネス」、つまり「重いビジネス」という言葉があります、ここで「ヘビービジネス」とはいったい何を指すのかというと誰もが簡単にはお金を得ることの出来ないほど大規模で極めて困難な事業を意味し、なかなか転がらないので「ヘビー」という言葉が使われます。
この「ヘビービジネス」ですが例えば複数の異種企業が参加しなくてはできない新分野、資金が潤沢にないとできない大規模事業、マーケティングから売り上げが上がるまでに最低でも1年以上という文化構築が必須のサービスなど、世の中には多数存在しています。
共通して言えることは一人で手軽に起業してその日から業務を開始して売り上げがすぐ上がるというビジネスではないということと最大の特徴は極めてリスクが高いということです、特に新技術の場合は技術的な精度の裏付けや検証などのエビデンス、そしてその後の品質や安全性への保障問題、計画通りに実現出来なかった場合の大きな経済的負担、更には公的資金や第三者などから投資を受けた場合には社会的責任も加わってきます。
また文化の構築というような新サービスの場合は多数の企業が絡んでくるので、それぞれの利害を明確にした契約を取り交わすまでが大変です、あっという間に初期の資金は底をつきます、またその後に発生する権利問題でのトラブルなども考えられます、このように誰でもが簡単に手を出せない「ヘビービジネス」に何故多くの小規模企業であるベンチャー企業は競って参入するのでしょうか?
逆に大手企業はこのような新規での「ヘビービジネス」にはまず参入しません、何故なら業界が成熟した後にのんびりと参入してもあっという間に市場を奪い取る自信とリソース、そして事業推進のノウハウを持っているからに他なりません、ベンチャー企業がベンチャー精神を忘れたら極小企業に他なりません、チャレンジすることこそベンチャー企業の誇りです。
そのベンチャー魂や心意気には敬意を表すると同時に応援もしたい気持ちになります、ただ「ヘビービジネス」にはとてつもなく大きなリスクが伴うということ、そして集めた莫大な資金を返済できなかった場合など、社会的な責任を負うとともに結果的に投資詐欺になってしまうということを忘れてはなりません、このような「ヘビービジネス」で成功する例は極めて低く、それでも多くのベンチャー企業が参入する背景には何が有るのでしょうか?
ただ「今まで上手くいったことが無かったから今度こそこれに人生の全てを掛ける」などという幻想だけは追わないでいただきたいのです、「夢はでっかいほうが良い」と私はよく言います、でも夢と幻想は全然別なものなのです、私も過去に文化を構築できるような新技術商品の特許が取れ、それを契機に数億円を集めてリソースを惜しみなく注ぎこみ、それでもやっとの思いで4年後に製品化に漕ぎ着けたことがあります。
その後は運良く大手企業に事業ごと売却でき全ての投資資金を清算し手元には僅かな利益しか残りませんでしたが最良の選択だったと思えてなりません、何故なら商品化後からマーケティングや販売戦略と更なる大量の資金と期間が必要になる計算が出てそこまで会社が持つかという大きな不安が湧きあがっていたのです、「ヘビービジネス」は何度も事業構築し事業構築というシビアな世界を嫌というほど解っている人が満を持して参入すべきビジネスだということを理解すべきです。