今年に入りあらゆるものの価格が段階的に急上昇しています、10月の生鮮食品を除く消費者物価指数は3.6%の上昇となり約40年半ぶりの大幅上昇を記録しました。
電気・ガスはこの半年で軒並み20%以上の上昇となり地方によっては30%近くも上昇しています、また数字には表れない各種のサービス価格も足並みを揃えるかのように上昇に転じています。
他方で所得に関しては最低賃金の押し上げもあり若干ながら上昇に転じていますが消費者物価指数の伸びを吸収するまでには至っていません、更には高齢者医療負担率が上昇し年金の納付年齢の延長が検討されています。
政府や地方自治体ではこうした庶民の生活に直結する事態に対応し低所得者層を対象に早くも各種の支援策を打ち出していますがおそらくは焼け石に水で効果の程はほとんど期待できません、こうした目先に迫った経済基盤の危機的状況をどう捉えるかである意味ではその人の未来が決まってしまいます。
ちなみに40年前は経済氷河期と言われた第二次オイルショックの影響が色濃く残っていた1982年です、その4年後に世の中を狂喜乱舞させた超インフレ現象であるバブル景気が5年近く続いたことを記憶している人は今の若い世代の人ではほとんどいないでしょう。
私の分析では国際政治的にも国際情勢的にも、そして経済状況的にもバブル前夜と極めて酷似している状況が各所で現れています、ただしバブル経済期はある意味では陰陽両極な非情なる世界であり世の中が狂喜乱舞しているのを尻目に多くの破産者を生みだした事実を見過ごしてはいけません。
私的には今後数年間のうちに経済二極分化が極まるところまで極まると読んでいます、バブル当時に誕生した「勝ち組か負け組か」の合言葉、法人個人関らずあらゆるところで意識されるようになるのではないでしょうか、こんな状況を迎える静かなる嵐の前夜に何を思考し誰(組む相手)を選択するか、この判断次第で10年後の未来が見事に決まってしまうと言っても過言ではありません。
2022年11月11日、日本の主力メーカーが半導体大国の復活を目指して目を覚ましました、そのドリームチームの新社の名称は「ラピダス」でラテン語の「速い」からきています。
新社ラピダスにはトヨタ・キオクシア・ソニー・NTT・ソフトバンク・NEC・デンソー・三菱UFJの8社が資本参加し、これらの企業は過去業界世界1位など上位ランキングを誇る企業群であり本気度が伺えます。
今後台湾の半導体メーカーなどとも連携し2027年に市場投入を目指して事業推進していきます、しかも世界で最もニーズの高い微小複合チップが主製品とあり世界中から注目を集めています。
現在半導体業界の主力商品はメモリチップです、これは既に1990年代に日本は韓国や中国に抜かれて敗退したカテゴリです、その後日本メーカーはメモリではなく高性能複合チップに生き残りをかけました。
この延長線上に今回の新社発足があります、日本は今後薄利多売のメモリではなく必要不可欠な高性能微小複合チップで世界シェア1位を狙っていくのです。
自動車産業や家電業界、また医療分野に軍需など、今や必要とされている高性能微小複合チップのニーズは無限大に存在しています、このチャンスを逃さず再び半導体大国の地位を取れるかどうか、大いに期待したいと思います。
バブル経済期には世界のICやメモリなどの半導体製造は日本が牛耳っていました、バブル経済が崩壊するとその世界に誇った地位は韓国・中国・台湾に奪われていき、今では当時の面影さえありません。
現在日本で製造されるのは高精密を要求される高度な複合チップだけでメモリなどの量産型半導体の製造は全て海外企業に移転されています、日本の半導体製造は終わってしまったのだろうか、いえ日本人の多くが知らない水面下での日本の半導体メーカーの真の戦略が実は存在しているのです。
それは何かというと半導体製造装置と製造に必要な原料です、これは現在日本が多くのカテゴリで世界シェアの上位にランキングされています、特殊な原料に関しては世界で90%以上のシェアを持ちほぼ独占と言っても過言ではないカテゴリもあります。
例えばメモリ製造で世界シェア1位の韓国の製造工程で製造装置や原料で日本製品の占めるシェアは40%です、2年前横流し防止での輸出規制で日韓で貿易戦争が勃発しそうな気配となり韓国は自国産の装置や原料に切り替えるという政策を出し国を上げて取り組んだ結果がこの数字なのです。
半導体の完成品に関してはアジア諸国にシェアを奪われても製造する重要な部分だけはしっかりと押さえ更に拡大成長を遂げています、いまだに日本は水面下でしっかり利益を積んでいる陰の半導体大国なのです、決して「ものづくり大国日本」は沈下してはいません。
2年以上に渡る新型コロナウイルス禍で経営が低迷している企業が多い中で、なんと売り上げを伸ばしている業界が多数あります。
一つはIT業界です、テレワークなどでパソコンメーカーや周辺機器企業、また電子署名やWeb会議などのアプリケーション開発企業、更にはグループウェアなどを開発販売している企業などが業績を伸ばしています、更には家庭用の回線業者やプロバイダも新規顧客が倍増しています。
また家庭電化製品業界ではパン焼き機やオーブンなどの調理器具や小型冷風機、ホームシアター製品やゲーム機などが販売好調のようです。
居酒屋やスナックなどが低迷する中で酒類製造業が大変だろうと思っていたら大間違いです、缶ビールや缶チューハイなどは製造が間に合わないほど売れ行き好調です、更に冷凍食品や乾燥麺なども売り上げ倍増で特に袋麺をはじめとしたインスタントラーメン類は空前の売れ行きだと言います。
化粧品業界はコスメティックは半減しているものの消毒や保湿剤などは好調で製造ラインを需要のある製品にシフトして対応しているようです、ソーシャルディスタンスによって自宅で過ごすことが多くなっています、この生活スタイルの変化によって思わぬ業界が売り上げを伸ばしているのです。
業界のパワーバランスがシフトしても日本全体では一時的には大きく経済の落ち込みはあるものの中長期での経済パニックは今のところは起こらないように思えます、順応能力が高い日本人には変化を受け入れながらも逞しく経済活動を行ってほしいと思います。
スポーツの世界最大の祭典がオリンピックなら文化の世界最大の祭典が万国博覧会でしょう、歴史から文化そして最新技術を世界中の人にアピールできる万国博覧会は国力を表示できる最大の舞台と言えます。
その万国博覧会ですが190カ国の参加によってドバイ(UAE)万博が昨年の10月1日に開催されました、新型コロナウイルス禍で18歳未満は入場不可、ワクチン接種証明書か72時間以内のPCR検査での陰性結果書の提示などの入場制限が付き入場者はほとんどいなかったそうです。
どの国のパビリオンもガラガラ状態ですが40度を超える炎天下の中でも2時間待ちの行列ができたパビリオンがありました、それは何と日本のパビリオンなのです、日本のパビリオンは建て物自体がまずグラフィックスのような3Dをイメージさせる構造で展示内容は最新技術がびっしり詰まっており、フロアには3Dグラフィックによる波が投影されていました、歩いたり立ち止まると行動に応じて3Dグラフィックスによる表示が現れ世界中の人々を魅了しました。
そんな万国博覧会ですが次回開催の2025年は日本の大阪で開催されます、2019年12月に開催が承認され決定しました、この事実は意外と日本人も知らないのには驚きます、2020東京オリンピックの話題で忘れ去られた感がありますが世界各国の文化と最新技術が見られる万博に是非一度は行ってみることをお奨めします。
私は1985年のつくば科学万博、2005年の愛知万博、2010年の上海万博と過去3度万博に行きました、いずれも見たいパビリオンが数時間待ちの行列で空いている国のパビリオンと全体の雰囲気しか感じることができませんでしたが大いに楽しめました、2025年の大阪万博には是非とも日本をはじめ世界の未来技術を肌で感じる為にも是非行ってみたいと思います。