本丸の敷地のど真ん中に樹齢100年はあるかという大きな柿の木があります、柿はおよそ1000種類ほどありますが最大樹高は種類によって2~5メートルと中低木に分類されます、しかし本丸にある柿の木は低く見積もっても10メートル以上は優にあり、見た人は口をそろえて「こんな大きな柿の木は見たことない」と言います。
さて、この巨大柿の老木は手の届かないところに実を付け、これが熟して自然落下し発酵でものすごい匂いを発します、庭が汚れるだけではなく野生動物を呼んでしまう可能性もあります、そこで本丸の最大樹高を誇る中央に位置するメインツリーを伐採することにしました。
何人かの専門家に伐採方法と見積もりを出してもらったのですがどの方法にしても廃棄処分まで含むと20万円を超えてしまいます、もっとも高額になる方法は高所作業車を使って上から順にカットしていく方法で安全に伐採することができます、ただ金額的なことはまだしも廃棄するということにちょっとした抵抗感を感じ、伐採とその後のカットだけを行ってもらい、再利用する方法をいろいろ考えました。
結論は巨木伐採のプロである山師に根元から一発でバッサリと切ってもらう方法にしました、巨木を切るのも倒れる瞬間もちゃんと目に焼き付けておきたいと思ったからです、直径20Cm以下の木の伐採は何度も見ているし自分でも何本かチェーンソーで切っています、でも巨木となると簡単にチェーンソーだけでは伐採できません、人生に一度有るか無いかという瞬間に是非とも立ち会いたいと思ったのです。
もう一つ重要な理由があります、それは私が立ち会うことで怪我人が出たり他の重要な樹木や設備を壊してしまっても責任は私になります、立ち会っていなければ誰かが責任を取らされます、それは本意ではありません、したがって連絡を貰って急遽土曜日の深夜に移動し日曜日の朝早く伐採に立ち会ったのです。
切る前に根元にお酒と塩を撒いて地神の許しを得てお清めします、そして倒す方向の逆側に重心が傾いているのでロープをかけてハンドジャッキで引っ張り大きなチェーンソーで切りながら何個か楔を打っていきます、途中ハンドジャッキが壊れて急遽新品のステンレスロープとハンドジャッキを追加してと予想しないトラブルが発生しました、チェーンソーも3台使いでしたが2台のロータが壊れてしまいました、なるほど切るだけで道具や準備などでも費用がかかるのですね、巨木の伐採費用が高い理由がよく解りました。
結果は流石プロです、ものの見事にジャストここしかないという狭いスペースにぴったり倒しました、ミキミキという音と共に倒れていき地面に着くなりドスーンという大きな音と共に地面が揺れるのを自覚できました、大迫力の瞬間を体験させていただきました。
メインツリーは地面から70Cmのところで直径60Cm超、根元はもっと太いでしょう、幹の中央部は炭化して真っ黒な土に変わっています、そして太いところを5個ほど80Cmの長さでカットしてもらい、脇枝も再利用できるように細かくカットしてもらいました。
細い枝は畑の緑肥に使い太い幹や枝は加工して様々な形で生まれ変わらせようと思います、つまりメインツリーのセカンドライフのお手伝いです、廃棄を躊躇った理由はこれです、太い柿の生木は現在ではほぼ手に入りません、せっかくなのでテーブルや椅子など趣味のDIYで愉しむことにしたのです、しかしカットした1個の重さは山師の目算では100kg以上、これが多数あります、これどうやって運んで加工するのかまたもやワクワクさせる悩みのネタができました、これも含めて大いに老後人生を謳歌している昨今。
突然ですがAという事項が極めてBに酷似しているとして、あるときにAがCに変化したのであればBも遅かれ早かれCに変化していくと予測できます、これが一つの自然の摂理という流れの法則です、ビジネスであれ経済的な問題であれ未来を見極めることができる人は今この状況に楽観もしないし悲観もしません、そしてマイペースに状況の変化を愉しみながら天の時を待つこともできます。
でもこういった一つの法則的な流れをまったく意識することもなく日々繰り返す出来事に翻弄されながら生きている人もいます、そして些細な人間関係でのトラブルでパニックになり絶望することさえあります、また僅かな喜びごとに浮かれ優先すべきことすら忘れてこの喜びが未来永劫続くものと考え満足してしまいます。
多くの人がこういう日々の些細な出来事に翻弄される生き方をしていると思います、これに関しては悪いこととは思わないしそれが所謂人間らしいとも思います、ただし普通の人生ではなく何かを興して自身の理想とする世界を築きたいと考えているなら市井の人と同じ思考で生きていても絶対に満足な結果は得られません、むしろ無謀な夢など持たなければよかったと自分の人生に失望すら覚えるようになるでしょう。
理想とする世界を生きている間にどうしても築きたいのであれば今すぐにでも市井の人の思考を捨てることが重要です、そして今の状況を見て考えるのではなく5年後10年後を見据えて今そして未来に何をすべきかを思考することが重要です、それには冒頭の法則から思考する癖のようなものを獲得しないと自然に思考し行動を起こすことはできません。
では自分にその能力が無い人や獲得できない人は理想とする世界を得られないのでしょうか、否可能です、そういう思考ができる人のできるだけ近くで活動し人生のパイロットランプの如く意識して思考と行動を真似するだけでよいのです、これも一つの成功するための流れに素直に従うということかもしれません。
自然の流れに抗って生きても苦労は多けれど何一つ得ないで終わる可能性が極めて高いです、人生は生きている間だけです、生きている間に何をしたかであの世に逝く瞬間ににこやかに笑えるか否かが決まると思います、充実した思い通りの人生で終わらせたいのであれば先ずは成功するための正しいプロセスを正しい順序で踏んでいくことです。
理想郷を手に入れたらどこかのタイミングで東屋を庭に建てたいとずっと考えていました、オフィスのリノベーション工事が完成した辺りから棟梁に相談していました、あれやこれやと意見交換し木材屋さんと話し合って見積もりを貰ったのですが意外や高くてびっくり、見た目は屋根付きのテーブルと椅子なのに100万円越えです、最近では木材が急騰していることもあり仕方ないのですかね。
ついでに出窓のある部屋の外に3メートルという超ロングなシェードルーフ(日よけ屋根)も一緒に造ってもらって合わせて200万円、それでも欲しかったものが手に入るのだから何とかしないといけません、ただ本丸の工事費が計画よりも高額になりそうなので本丸の工事の後にしようと検討していたときです、思わぬ朗報が突然齎されました。
なんとオフィスから車で数分のところに住んでいる大工さんが2年ほど前に趣味で作った東屋の嫁ぎ先を探しているという情報が入ったのです、しかも趣味で作ったので材料費に若干の手数料を貰えればよいということで価格は見積もりの半額以下です。
早々に見に行ったのですが見るなり即決しました、趣味で作ったということですが実によく考えられた構造をしています、しかも天板は分厚いケヤキの一枚物でこれだけでも買えば20万円近くはする代物です、他の木材はヒノキとスギ、屋根は伝統のヒノキの皮葺きといい実に良い趣味をしています、当初の計画よりも若干小さめですが大きさは問題にはなりません。
しかも決めたその日に運んでもらって設置、ということで念願の東屋をあれよあれよという間に手に入れることができました、この地に決めて以来ずっと良い流れが起きています、この流れで本丸の休憩所とか屋外茶室(庭に在る喫茶店)とか朗報が齎されないかと心待ちにしている昨今。
毎年のように空気が冷たく感じてくると年末年始を意識するようになります、これは何歳になっても変わらない意識です、そして口をそろえて「昨日まで正月が開けたと思ったらもう年末・・・」と言うのです、これも毎年変わらない口癖です。
本当に1年なんてあっという間です、「起業家になったら3年は赤字でも興した事業を続けろ」と周りの起業家に言ってきましたが、待つ時間は始まる前は長く感じても終わってみればあっという間なのです、事業を行うに3年など序の口です、10年続けて初めてその事業が継続できたという価値が出はじめてくるものです、ビジネスってパッションなどではなく初心忘れず努力の継続で決まると言っても過言ではありません、所詮ビジネスとはそんなものなのです。
さっぱり売れなかった商品も10年続けていると世間の価値観や流行が変わってきます、そして見向きもされなかった商品にいきなりスポットライトが当たることなど珍しいことではありません、だから最低でも3年は継続させないとその事業を興したことが正しいかどうかも解らないのです。
10年という期間の放つもっとも大きな価値は起業した覚悟が本物かどうかという証を示せることです、これは大きな根拠となります、今世界に名を馳せる料理人や職人のほぼ全員が10年以上の下積みがあったからこそです。
どんなすごい料理を作れたとして名を残せないのはその世界に誇る根拠が何も無いからに他ならないのです、料理人だけではなく天才的な技術者も技能者も全てが実力も然りだけど同じことを継続してきたという根拠が最も重要な事項なのです、儲からないからと次々に職や付き合う人を変えているようでは成功しないのは当たり前なのです。
9月の下旬から始まった本丸のぶち壊し工事が10月中旬にあっという間に完了しました、大型重機を投入しよくもこれだけ壊したなと思うほど鉄筋コンクリート部分以外は全て壊されて何もないすっきりとした状態になりました。
本館の脇に増築された鉄骨作りの作業小屋、同じく畑の脇の鉄骨作りの農作業小屋、本館奥の新建材で増築された部屋、木造で増築されたサンルーム、意味の無い階段やフェンス、内装は床から天井・壁・トイレに風呂・電気水道などの設備など壊せるものは全てこの際に壊してしまいました。
こうして改めて附帯設備が無い鉄筋部分だけの状態を眺めると敷地面積の広さが更に増して広く見えます、今後は内装工事の前に現在床下が土間なのでコンクリートで固めて土間と鉄筋の隙間も埋めビルのような土台にします、そこから内装工事に入ります。
あれ、ちょっと待った作業小屋や農作業小屋が無くなったということはこれまで休憩などに使っていた場所が無くなったということです、ということで壊した農作業小屋の跡地に本館の工事の前に広々とした新たな休憩&作業所を急遽作ることにしました。
結局のところ思わぬ大きな出費が本工事の前に出て行ってしまいます、この先もこんなことがちょいちょい起きるのでしょうね、オフィスの時と同じように思い付きにより予算オーバーとなる気配が冷たい秋風と共に本丸の地に吹き荒れる昨今。