スコッチにはバーボンカスク表記が多いですが、もともとはシェリーカスクがベースだと代表から教えていただきました。 そこでバーボンカスクの歴史を少し調べてみました。
昔はスペインから英国へシェリーを樽で輸出し、英国側で瓶詰めする流れが一般的だった時期があったそうです。 そうすると空になった樽が英国に残るためスコッチの熟成樽として使われてきたという背景があるようです。 ところが1970年代末から1980年代初頭にかけてシェリーを「樽で輸送して英国で瓶詰めする」時代が終わり、伝統的な輸送樽が蒸留所へ回りにくくなったとされています。 そこで存在感が増したのが使用済みのバーボン樽、いわゆるバーボンカスクです。 背景にあるのは供給の太さでした。 少なくともストレート・バーボンでは熟成に「内側を焦がした新しいオーク樽(charred new oak barrels)」を使用することが規定されており、これが使用済み樽を継続的に生み出す構造になっています。 スコッチ側から見ると一定の品質の樽を継続的に確保しやすく、結果としてバーボンカスクが広く使われるようになったようです。
さてそのバーボン樽についてですが、材料はアメリカンホワイトオークを使用します。 樽の内側は、樽を組み上げたあと中身を入れる前に直火で短時間焦がします。 これをチャーと言います。 チャーは「#1〜#4」のように強さで語られることが多いようで、Wild Turkey のサイトには以下のように記載されています。
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#1: 15秒の焦げ目。甘みとオークの風味を持つ軽めのトースト。
#2: 30秒の焦げ目。コーヒーとバニラの香りがほのかに漂う、中程度の焦げ目。
#3: 35秒の焦げ目。スパイス、バニラ、ココナッツ、キャラメルの香りが漂う、中程度の焦げ目。
#4: 55秒の焦げ目。バニラ、スパイス、スモーク、タバコの香りが強く漂う、濃厚な焦げ目。
新たに焦がされた樽は風味を増すだけでなくフィルターとしての役割も果たします。
バーボンが熟成するにつれて焦げた部分の炭素が液体から不純物を取り除きます。
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Wild Turkey は#4(いわゆる"alligator char")を好むと明記されています。
なお、チャーリング(焦がし)によってオーク材の成分が熱分解し、甘い風味のもとが生まれるとも言われます。特にヘミセルロースが分解して木の糖が生じ、それがカラメル化することでキャラメルのような甘い風味につながるそうです。
同じ「バーボンカスク」でもチャーの強さによって樽内面の状態が変わり、付与される風味の方向性が変わり得るということが分かりました。 味が変わる要因の一つとして樽側の条件(チャーの違い)が効いてくるのだなと勉強になりました。 また同じバーボンカスクでもファーストフィルやリフィルといった違いもあるそうなので、それについては次回調べてまとめたいと思います。
カスクとはウイスキーの熟成に使用する木製の樽のことを指します。 蒸留されたばかりのウイスキーの原酒は無色透明ですが、カスクの中で年月をかけて熟成することで琥珀色になり、香りや味わいが形成されていきます。 「ウイスキーはカスクで決まる」と言われることもあり、それくらい樽は重要な要素のようです。
スコッチウイスキーやアイリッシュウイスキーでは熟成に使う樽を「カスク」と呼びます。 一方、アメリカンウイスキーやカナディアンウイスキーでは、標準的なサイズの熟成樽(約53ガロン=約200リットルのアメリカンホワイトオーク樽)を「バレル」と呼ぶのが一般的で、その呼び方が定着しています。
樽の材料となる木は、現在はオーク(ナラ)が主流です。 オークは硬くて密度が高く液体をしっかり保持できるうえ、香りや風味の素になる成分も豊富とされています。 長期熟成にも耐えられることからウイスキーの熟成用としてオーク樽が選ばれてきたようです。 オークにもいくつか種類があり、代表的なものとしてアメリカンオーク、ヨーロピアンオーク、ジャパニーズオーク(ミズナラ)などがあります。
アメリカンウイスキーの一種であるバーボンは、法律で「内側を焦がした新しいオーク樽」を使うことが定められています。 一方、スコッチやアイリッシュ、ジャパニーズウイスキーでは新樽を使う例はごく一部で、多くは一度別のお酒を熟成させた"中古樽"を再利用します。 典型的なのが「バーボンカスク」です。 まず新樽でバーボンを一定期間熟成させ、その役目を終えた樽をスコッチやアイリッシュの熟成に使います。 もう一つ代表的なのが「シェリーカスク」です。 かつてはシェリー酒の輸送に使われた樽がスコッチの熟成に再利用されてきたそうです。 現在ではウイスキー向けに新しく組んだ樽にシェリーを一定期間入れて"ならし"(シーズニング)、その後ウイスキー熟成に用いる方法が主流になっているとされています。 シェリーにもオロロソやペドロ・ヒメネス(PX)などさまざまなタイプがあり、それぞれのシェリーカスクがウイスキーに異なる個性を与えます。
ごく概要に触れただけですが、カスクの種類や使い方の組み合わせはほぼ無限にあり奥の深さを感じます。 今後も少しずつ調べながらカスクの世界も掘り下げていきたいと思います。