ブッシュミルズをの公式EUサイトを見てラインナップを眺めていました。 サイト上ではまず定番として Original と Black Bush が並び、続いて "The Malts" として年数表記のシングルモルトがまとまって紹介されています。10年、12年、14年、16年、21年...と、年数ごとにラインナップされています。
そんな中でいま手元にあるのが BOURBON FINISH(American Oak Cask Finish)です。 このボトルはラベルに中身の説明がきちんと書かれています。せっかくなので、ラベルの英文をそのまま全文載せます。
BOURBON FINISH
Bushmills single malt finished in hand
selected double charred American oak barrels
and blended with smooth triple distilled Irish
grain whiskey for fresh wood and vanilla flavours
Helen Mulholland
ブレンデッドでカスクが表示されている理由がわかりました。 ブッシュミルズのシングルモルトを、厳選された二度チャー(強く焦がした)アメリカンオーク樽でフィニッシュし、それをなめらかな三回蒸留のアイリッシュ・グレーンウイスキーとブレンドしているそうです。
アイルランド島の蒸留所をマッピングしてみました。 Irish Whiskey Way のマップでは、アイルランド島全体をざっくりと西・東・内陸・北の4つに分け、そのうえで首都ダブリンだけを独立したエリアとして切り出しています。

参照 https://irishwhiskeyway.ie/
Dublin Distilleries(ダブリンの蒸留所)
ダブリンはアイリッシュウイスキーの「昔の中心地」で、近年都市型蒸留所が集まりつつあるエリア。
ジェムソン・ボウストリートのような王道から、ティーリングのような新世代まで。
01 Jameson Bow St.(ジェムソン・ボウ・ストリート)
02 Teeling(ティーリング)
03 Pearse Lyons(ピアーズ・ライオンズ)
04 Roe & Co.(ロー・アンド・コー)
Wild Atlantic Way Distilleries(ワイルド・アトランティック・ウェイ沿いの蒸留所)
アイルランド西海岸の長大な観光ルートで、荒々しい大西洋の海岸線と風景が売りのエリア
05 The Ardara(ジ・アーダラ)
06 Connacht(コノート)
07 Micil(ミキル)
08 Dingle(ディングル)
09 Skellig Six18(スケリッグ・シックスエイティーン)
10 Clonakilty(クロナキルティ)
Ancient East Distilleries(エンシェント・イーストの蒸留所)
ジェムソン・ミドルトンのような巨大かつ伝統ある生産拠点から、スレイン城やパワースコートのように"観光地×蒸留所"の組み合わせまで。
11 Powerscourt(パワースコート)
12 Boann(ボアン)
13 Slane(スレイン)
14 Royal Oak(ロイヤル・オーク)
15 Blackwater(ブラックウォーター)
16 Jameson Midleton(ジェムソン・ミドルトン)
Hidden Heartland Distilleries(ヒドゥン・ハートランドの蒸留所)
キルベガンやタラモア・デューのような歴史あるブランドに加えクラフト志向の蒸留所もあり、伝統と新興が混ざり合う。
17 The Shed(ザ・シェッド)
18 Lough Ree(ロック・リー)
19 Kilbeggan(キルベガン)
20 Tullamore D.E.W.(タラモア・デュー)
21 Ahascragh(アハスクラ)
Northern Ireland Distilleries(北アイルランドの蒸留所)
北アイルランドは、ブッシュミルズに代表される超老舗と新世代のクラフト蒸留所が同居。
22 Bushmills(ブッシュミルズ)
23 Echlinville(エクリンヴィル)
24 Rademon Estate(レイダモン・エステート)
25 Hinch(ヒンチ)
26 Titanic(タイタニック)
27 McConnell's(マコネルズ)
ジェムソンは、01 Jameson Bow St. と 16 Jameson Midleton がありますが、ダブリンのBow St.は1780年にジョン・ジェムソンが操業した"旧ジェムソン蒸留所"の跡地であり、現在は体験施設として稼働しています。 Midletonが現在のジェムソンのメイン生産拠点であり、巨大な量産蒸留設備が整っています。
世界五大ウイスキーは、スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、ジャパニーズウイスキーの5つです。 その中からアイルランドのウイスキーであるアイリッシュウイスキーについて書いてみます。
アイリッシュウイスキーは、アイルランド島(アイルランド共和国+北アイルランド)内で蒸留・熟成され、かつ、容量700リットル以下の木製樽で3年以上熟成させたもので、その条件を満たすものだけがアイリッシュウイスキーを名乗ることができます。 タイプとしてはスコッチと同様にシングルモルト、グレーン、ブレンデッドがあり、これに加えてアイリッシュ特有の「シングルポットスチル」が存在します。 シングルポットスチルは、モルト(大麦麦芽)と未発芽大麦を組み合わせて仕込み、単式蒸留器(ポットスチル)で蒸留するアイリッシュ独自のタイプで、単一の蒸留所で造られたものを指します。
アイリッシュウイスキーは、20世紀では蒸留所が3か所まで減少しましたが、21世紀に入ってから大きく復活しており、現在は50前後の蒸留所が稼働しています。 近年はインド市場での伸びが著しく、世界全体では年間1,500万ケース以上が出荷されています。 そのうち約1,000万ケースを占めるのがミドルトン蒸留所のジェムソンで、世界で最も多く飲まれているアイリッシュウイスキーです。
一方日本市場では、ロイヤル・オーク蒸留所のバスカーが近年販売数量を大きく伸ばしています。 発売してわずか数年で日本における販売数No.1アイリッシュウイスキーになりました。 そして1608年のライセンスにさかのぼる世界最古クラスのライセンスを持つウイスキー蒸留所として知られるオールド・ブッシュミルズ蒸留所、その銘柄であるブッシュミルズもあります。 オリジナル、ブラックブッシュ、レッドブッシュといったブレンデッドに加え、10年、12年、16年、21年といったシングルモルトまで幅広いラインナップを展開しています。
アイリッシュウイスキーは、スコッチと比べると非常に手に取りやすい価格帯のものが多いです。 まずは自分でジェムソン、バスカー、ブッシュミルズあたりを飲み比べて、その飲みやすさとそれぞれの個性をじっくり味わってみようと思います。