アイルランド島の蒸留所をマッピングしてみました。 Irish Whiskey Way のマップでは、アイルランド島全体をざっくりと西・東・内陸・北の4つに分け、そのうえで首都ダブリンだけを独立したエリアとして切り出しています。

参照 https://irishwhiskeyway.ie/
Dublin Distilleries(ダブリンの蒸留所)
ダブリンはアイリッシュウイスキーの「昔の中心地」で、近年都市型蒸留所が集まりつつあるエリア。
ジェムソン・ボウストリートのような王道から、ティーリングのような新世代まで。
01 Jameson Bow St.(ジェムソン・ボウ・ストリート)
02 Teeling(ティーリング)
03 Pearse Lyons(ピアーズ・ライオンズ)
04 Roe & Co.(ロー・アンド・コー)
Wild Atlantic Way Distilleries(ワイルド・アトランティック・ウェイ沿いの蒸留所)
アイルランド西海岸の長大な観光ルートで、荒々しい大西洋の海岸線と風景が売りのエリア
05 The Ardara(ジ・アーダラ)
06 Connacht(コノート)
07 Micil(ミキル)
08 Dingle(ディングル)
09 Skellig Six18(スケリッグ・シックスエイティーン)
10 Clonakilty(クロナキルティ)
Ancient East Distilleries(エンシェント・イーストの蒸留所)
ジェムソン・ミドルトンのような巨大かつ伝統ある生産拠点から、スレイン城やパワースコートのように"観光地×蒸留所"の組み合わせまで。
11 Powerscourt(パワースコート)
12 Boann(ボアン)
13 Slane(スレイン)
14 Royal Oak(ロイヤル・オーク)
15 Blackwater(ブラックウォーター)
16 Jameson Midleton(ジェムソン・ミドルトン)
Hidden Heartland Distilleries(ヒドゥン・ハートランドの蒸留所)
キルベガンやタラモア・デューのような歴史あるブランドに加えクラフト志向の蒸留所もあり、伝統と新興が混ざり合う。
17 The Shed(ザ・シェッド)
18 Lough Ree(ロック・リー)
19 Kilbeggan(キルベガン)
20 Tullamore D.E.W.(タラモア・デュー)
21 Ahascragh(アハスクラ)
Northern Ireland Distilleries(北アイルランドの蒸留所)
北アイルランドは、ブッシュミルズに代表される超老舗と新世代のクラフト蒸留所が同居。
22 Bushmills(ブッシュミルズ)
23 Echlinville(エクリンヴィル)
24 Rademon Estate(レイダモン・エステート)
25 Hinch(ヒンチ)
26 Titanic(タイタニック)
27 McConnell's(マコネルズ)
ジェムソンは、01 Jameson Bow St. と 16 Jameson Midleton がありますが、ダブリンのBow St.は1780年にジョン・ジェムソンが操業した"旧ジェムソン蒸留所"の跡地であり、現在は体験施設として稼働しています。 Midletonが現在のジェムソンのメイン生産拠点であり、巨大な量産蒸留設備が整っています。
カスクとはウイスキーの熟成に使用する木製の樽のことを指します。 蒸留されたばかりのウイスキーの原酒は無色透明ですが、カスクの中で年月をかけて熟成することで琥珀色になり、香りや味わいが形成されていきます。 「ウイスキーはカスクで決まる」と言われることもあり、それくらい樽は重要な要素のようです。
スコッチウイスキーやアイリッシュウイスキーでは熟成に使う樽を「カスク」と呼びます。 一方、アメリカンウイスキーやカナディアンウイスキーでは、標準的なサイズの熟成樽(約53ガロン=約200リットルのアメリカンホワイトオーク樽)を「バレル」と呼ぶのが一般的で、その呼び方が定着しています。
樽の材料となる木は、現在はオーク(ナラ)が主流です。 オークは硬くて密度が高く液体をしっかり保持できるうえ、香りや風味の素になる成分も豊富とされています。 長期熟成にも耐えられることからウイスキーの熟成用としてオーク樽が選ばれてきたようです。 オークにもいくつか種類があり、代表的なものとしてアメリカンオーク、ヨーロピアンオーク、ジャパニーズオーク(ミズナラ)などがあります。
アメリカンウイスキーの一種であるバーボンは、法律で「内側を焦がした新しいオーク樽」を使うことが定められています。 一方、スコッチやアイリッシュ、ジャパニーズウイスキーでは新樽を使う例はごく一部で、多くは一度別のお酒を熟成させた"中古樽"を再利用します。 典型的なのが「バーボンカスク」です。 まず新樽でバーボンを一定期間熟成させ、その役目を終えた樽をスコッチやアイリッシュの熟成に使います。 もう一つ代表的なのが「シェリーカスク」です。 かつてはシェリー酒の輸送に使われた樽がスコッチの熟成に再利用されてきたそうです。 現在ではウイスキー向けに新しく組んだ樽にシェリーを一定期間入れて"ならし"(シーズニング)、その後ウイスキー熟成に用いる方法が主流になっているとされています。 シェリーにもオロロソやペドロ・ヒメネス(PX)などさまざまなタイプがあり、それぞれのシェリーカスクがウイスキーに異なる個性を与えます。
ごく概要に触れただけですが、カスクの種類や使い方の組み合わせはほぼ無限にあり奥の深さを感じます。 今後も少しずつ調べながらカスクの世界も掘り下げていきたいと思います。
世界五大ウイスキーは、スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、ジャパニーズウイスキーの5つです。 その中からアイルランドのウイスキーであるアイリッシュウイスキーについて書いてみます。
アイリッシュウイスキーは、アイルランド島(アイルランド共和国+北アイルランド)内で蒸留・熟成され、かつ、容量700リットル以下の木製樽で3年以上熟成させたもので、その条件を満たすものだけがアイリッシュウイスキーを名乗ることができます。 タイプとしてはスコッチと同様にシングルモルト、グレーン、ブレンデッドがあり、これに加えてアイリッシュ特有の「シングルポットスチル」が存在します。 シングルポットスチルは、モルト(大麦麦芽)と未発芽大麦を組み合わせて仕込み、単式蒸留器(ポットスチル)で蒸留するアイリッシュ独自のタイプで、単一の蒸留所で造られたものを指します。
アイリッシュウイスキーは、20世紀では蒸留所が3か所まで減少しましたが、21世紀に入ってから大きく復活しており、現在は50前後の蒸留所が稼働しています。 近年はインド市場での伸びが著しく、世界全体では年間1,500万ケース以上が出荷されています。 そのうち約1,000万ケースを占めるのがミドルトン蒸留所のジェムソンで、世界で最も多く飲まれているアイリッシュウイスキーです。
一方日本市場では、ロイヤル・オーク蒸留所のバスカーが近年販売数量を大きく伸ばしています。 発売してわずか数年で日本における販売数No.1アイリッシュウイスキーになりました。 そして1608年のライセンスにさかのぼる世界最古クラスのライセンスを持つウイスキー蒸留所として知られるオールド・ブッシュミルズ蒸留所、その銘柄であるブッシュミルズもあります。 オリジナル、ブラックブッシュ、レッドブッシュといったブレンデッドに加え、10年、12年、16年、21年といったシングルモルトまで幅広いラインナップを展開しています。
アイリッシュウイスキーは、スコッチと比べると非常に手に取りやすい価格帯のものが多いです。 まずは自分でジェムソン、バスカー、ブッシュミルズあたりを飲み比べて、その飲みやすさとそれぞれの個性をじっくり味わってみようと思います。
ジョニーウォーカー12年ブラックラベルは代表が「今も昔も、私の中でのスコッチ・ブレンデッド・ウイスキーのNo.1」とおっしゃっているウイスキーです。 あらためてこの一本についてきちんと学び直してみたいと思います。
まずはジョニーウォーカーという名前の由来や、どのようなメーカーとして成長してきたのか、そしていつ頃から大きな企業グループの傘下に入ったのかといった歴史を整理していくつもりです。 そのうえでレッドラベル、ブラックラベル、ダブルブラック、グリーン、ゴールド、ブルーなどのラインナップについても調べ、ジョニーウォーカーというブランド全体がどのようなシリーズとして構成されているのかを理解していきたいと考えています。
その中でもジョニーウォーカー12年ブラックラベルについては重点的に深掘りしていきたいです。 代表のブログではキーモルトとしてラガヴーリン、タリスカー、カーデュの名が挙げられており、これらの蒸溜所や個性についても学んでいくつもりです。 またブレンデッドウイスキーそのものに関する知識もあらためて蓄えたいと思っています。 ブレンデッドはどのような考え方と工程でつくられているのか、そしてブラックラベルはどのように仕上げられているのか。
一つのお酒とじっくり向き合い、その背景を知ることで「一杯」をこれまで以上に大切に味わえるようになりたいと考えています。