2026年1月 2日 10:00
ジョニーウォーカーはブレンデッドスコッチなので、複数のモルト原酒やグレーン原酒を組み合わせて狙った味に整える「ブレンダー」がいます。 その頂点にいるのがマスターブレンダーで、定番の味を守りながら必要に応じて新しい表現へ更新していく最終責任者と言えます。
私が調べた範囲では、ジョニーウォーカーの歴史で「マスターブレンダー」として数えられる人物は7名しかいないとされています。 1人目は創業者のジョン・ウォーカー。 一方で、2人目以降を公式の一覧として確認するところまでは辿り着けませんでした。 6人目として語られることが多いのがDr.ジム・ベヴァリッジで、Diageoで40年以上のキャリアを持ち、そのうち約20年をジョニーウォーカーのマスターブレンダーとして務めた人物です。 そしてDiageoの発表では、ジムが2021年末に引退し、後任として"ブランド初の女性マスターブレンダー"であるDr.エマ・ウォーカーが就任すると告知されています。エマ・ウォーカーは名字が同じためウォーカー家の一族と誤解されがちですが、本人は「名字がWalkerなのは偶然」と述べており、家系とは無関係だそうです。
では、長年マスターブレンダーを務めてきた6代目ジム・ベヴァリッジはどんな人物だったのでしょうか。 彼は1979年に香料化学者としてキャリアを始め、ウイスキーに微量に含まれる硫黄化合物のようなごく小さな成分が香味に与える影響を研究してきたとされています。 研究者として香味を分解して理解しつつ、最終的には飲み手が受け取れる「シンプルな完成形」にまとめる姿勢でブレンドに向き合ってきた、と語られています。 さらに2019年にスコッチ産業への貢献でOBE(勲章)を授与されたことからも、業界内で高く評価されている人物だということが分かります。
彼の初の仕事として言及されるのがジョニーウォーカー「ダブルブラック」です。 『ジョニーウォーカーで味の方向性を変えるなら、中途半端ではなく大胆にやり切る必要がある。ダブルブラックでは「よりスモーキーにする」ことが狙いだったが、単に煙っぽさを強めるだけでは全体のバランスが崩れる。だから、スモークを活かせるように土台や組み合わせ、つまり香味の"構造"そのものを組み替えた』とのこと。 ブレンデッドという世界は「混ぜる」だけではなく、香味の構造を理解し、時代や飲み手の感覚に合わせて設計し直す仕事なのだと感じます。 これからエマ・ウォーカーの時代は、ジョニーウォーカーがどう更新されていくのでしょうか。