会社が窮地に追い込まれるタイミングは幾つか在り、そのなかでも特に気を付けるべきタイミングは売上が一気に上がり業績好調な伸び盛りの頃です、この伸び盛りの状況下で窮地に至る要因は大きく分けて2つあります。
1つ目は運転資金増大によるキャッシュフロー欠如によるもの、2つ目が過剰投資による資金回収不能状態に陥ることです、どちらも「手元に資金がない」という致命的な状況ですが経験が浅いと陥りやすいのが後者の場合です。
会社が伸びている時は社員を増員し設備投資をするなど更に業績を拡大しようとしてしまいがちです、しかし今日売れたからといって明日も同じように売れるとは限りません、思惑通りには行かないのがビジネスの怖いところなのです、「売れる」のはその根拠があるからで、それをどれほど正確に把握できているかが重要なのです。
勢いがある時は現状を正確に把握したうえで次の手を打つ必要があります、それは新規事業を立ち上げるためのリサーチであったり新商品を開発するための準備であったり資金が回っているうちに次の策を実行すること肝要なのです。
勢いに任せて次々に投資を行い回収不能に陥った会社は五万とあります、つまり勢いがある時ほど周囲が見えずに落とし穴に落ちやすいのです、勢いのある時は気持ちが大きくなり無理な投資をしてしまうのは人の常です。
高額宝くじ当選者の破綻率が80%以上という数字を見ても分かる通り大きく儲かれば気持ちも大きくなり無意味な無駄遣いが増えるものなのです、一発屋で終わらないためには「勝って兜の緒を締めよ」の精神が重要です、そしてどんな状況でも常に変わらぬ生活スタイルを貫くことが冷静さを保つ秘訣なのです。
「あの会社は良い」、そう感じる会社に出会うことがあります、訪問した際の対応、電話口での気持ち良い受け答え、生き生きした社員の姿、理屈ではなく「気持ちの良い」と思える何かが社内に浸透しているような会社は自然に気持ちが動かされてしまいます。
結果として「選びたくなる」会社であることは市場における優位性の一つといえます、選ばれる基準というのは何も商品やサービスの質や価格だけではありません、各方面で消費者の心を捉えているかが最も重要な要素なのです。
それは経営者の思考やマインドが見事に社内に反映された結果ともいえます、どのような会社も3年も経てば良くも悪くも筋の通った一貫性の何かが芽生えます、企業風土とも言えるのですが組織を導く経営者の心の中が見事に反映されてきます、企業の収益力は経済活動の一つの結果でしかありません、しかしその裏にある消費者の心を捉えた経営者マインドの反映がこれらに大きく寄与していることは否めません。
一つの例ですがコンビニエンスストアの1店舗当たりの1日平均売り上げにこれらを見出す事ができます、セブンイレブンは他のコンビニエンスストアよりも平均で10%程売り上げが多いのです、セブンイレブンは他社と比べて特別な理由があるのかというと立地や商品や働いている店員など何をどんなに比べてみてもそこには何一つ奇策は見当たりません。
つまりセブンイレブンの持つ強みとは日ごろから「当たり前のことを徹底して行うこと」を履行しているに過ぎないのです、選ばれるのは笑顔の接客、徹底した店内清掃、消費者を裏切らない商品、そしてこれらを継続することによる企業文化なのです。
企業文化とは意図的に作られるものではありません、設立当初からの経営者のマインドが自然発生的に徐々に広がっていくものなのです、一度築かれた文化は今度は逆に経営者が変えたくても簡単に変えることはできません、当初の経営者から発祥する怖いまでの存在である「企業文化」、起業したならこれを常に意識して日々の行動を顧みてほしいのです。
急速に導入が進んでいるLED(発光ダイオード)型の信号機ですが寒冷地では思わぬ伏兵に悩まされています、LEDは節電効果や高寿命を期待できる半面その節電効果は逆に発熱がほぼ無いということで降雪地域では信号機に雪が張り付いてしまって認識できないという声が上がったのです。
これを回避するために降雪地方では県警が業者を委託して人手による除雪作業に追われるという経済的は逆効果となってしまったのです、このため導入当時にはLED型信号機の着雪凍結対策を検討するワーキンググループを設置し寒冷地用のLED型信号機の開発が進められました。
以前は電動自動車の音がしないために市街地では車に近づかれても判らないということが問題となりました、何事も高度技術やアイデアによって善き事がもたらされる裏には意外な伏兵が潜んでいるものです。
商品開発やサービス展開は全方位で未来に発生するであろう事象を事前に検討しなければなりません、もしもの時の為の「転ばぬ先の杖」は何本持っていても困ることはないということです。
バブル崩壊から三十数年後の今、日本の企業はようやく「喪失感」から目覚めつつあるように感じます、気が付けば急成長&グローバル展開を遂げている企業が多数あります、これらの企業に共通する点は「顧客の本質を捉える目線」です、「安くても質の良い物」という顧客ニーズを見事に捉えて具現化させています。
顧客の求めているものと自分自身の提供したいと思う物が一致すればヒットに繋がり、一致しなければ相手にもされないというのが商品の宿命です、中小企業に多いのが世の流れを読むでもなく先に製品を作ってしまうケースをよく見かけます。
商品はアイデアや思い入れだけでは売れません、重要なのは商品やサービスが「どこを向いて作られているのか」ということです、「良い物だから売れる」、この発想から離れないと売れる商品を作る事はできません、「売れるものを世に送り出す」という発想が重要なのです。
売れるものとは市場が必要としているものが何かを熟知し「買いたい」と思わせるまでの心の動きを掴む一連のシナリオが根底にあります、つまり売れる根拠が重要なのです、まずはその商品を気持ちよく使っている姿やサービスに満足している姿が提供者に見えているでしょうか?
成功している企業は一連のシナリオが実に巧妙にできています、コマーシャルによるイメージつくり、店内のムード作り、接客方法、値決め、値下げのタイミングなど全てにおいて完璧に計算されつくされています、いかに優れた商品やサービスであっても市場の求める小さな「変化」を読んで提供できなければ意味のないものと化してしまいます。
商品そのものの良さに加えて見せ方・売り方など全てを含めバランスのとれた商品やサービスが最終的に消費者に選ばれます、商品やサービスを作り上げることだけに必死になりユーザーの心を置き去りにしていてはいつまで経っても売れないのは至極当然のことなのです。
私は28歳で起業以来常に複数の法人を経営してきました、そこで必ず聞かれるのが「何故同時並行して多くの企業経営や事業を行えるのか?」というものです、逆に私からすれば「何故同時並行していろいろな事ができないのか?」となります。
つまり私にとってはこれが40年間に構築された自身のビジネススタイルであり何も特別なことではないのです、むしろ同時並行の障害よりも一つに集中するリスクの方がはるかに高いことを知っているのです。
考えてみれば解ります、たった一つの事業が大きな障害によって収益を生まなくなったらどうなるでしょうか、対して異なる事業を複数同時並行して行うメリットは大きいものがあります、複数の人生を同時並行して体感できるのでいろいろな業種のノウハウが同じ時間に収集できメイン事業にも活かされます、その事業を実際に行った者だけしか解らない感覚的なことも把握できるので極めてピンスポット的なニーズにも応えられます。
ここで複数同時並行して事を成すための秘策は人です、各事業のバックヤードには必ず阿吽の呼吸で任せられる人を配置しています、そして固定報酬を払う人以外に何時でも業務委託できる信頼できるパートナー企業の存在があります、まさに「人は城、人は宝」なのです。
思ったような成果が出なくても報酬は払い続ける、経営的にはかなりきついのですがいざという時の保険となります、保険の存在があるから思い切った経営方針を何時でも打ち出せるのです、方針決定後の初動が極めてスピーディなのです。
そして極めて短期間に成長路線へローンチできます、更にはここぞの時にはいつでも結集させることができるので事を成す時の爆発力は半端ではありません、どんなに優れた能力を持った人でも一人で行える事などたかが知れています、「人は城、人は宝」、経営者が一番に考えなくてはならない事項がこれです。