幸せな人を見ては自身の現状に落胆したり不幸な人を見ては自身の現状に満足する、つまり他者と比較することにより芽生える感情とは如何なる性質のものなのでしょうか、ズバリ他者と自分の状況を比較しては失望感や幸福感を得ているようでは何年経っても夢は実現することはありませんし成功することもないでしょう。
この他者と比較する事で起こる感情の本質は他者に自身の感情コントロールを委譲している状況にあるからです、もっと言えば自身の思考が相手によって支配されていると言っても過言ではありません、つまり本来の実像での相手ではなくて実は自分の中に存在している相手の虚像に操られてしまっているのです。
成功している人や未来に成功する人というのは他者と比較することは決してありません、それこそ自分自身の思考そのものでビジネスを行いその結果に対して感情が湧きあがるものだからです、自身のやってきた結果が情けないから落胆しそれを振り切って再度チャレンジし幸福感を味わえるように自身を磨きあげていくのです、その結果において成功が待っているのです、あくまでも比較するのは自分が描く理想と現実とのギャップでしかないのです。
成功する人とは他者動向に一切左右されない人であり自身のポリシーにブレがない人、だからオリジナルのスキームやメソッドを作りだしていける人なのです、ちなみに他者に感情を委譲している人は他者の動向を見て自身の動向を決めてしまいます、これが感情コントロールされているという形容詞で表現される現象です、人真似やパクリもその過程における行為の一つで無意識のうちに他者と比較して他者の優れたところを取り込んでいってしまうのです、これが他者に感情や行動を支配されている証拠なのです。
この状況を好ましく思わない表面意識は「依存」という意識を芽生えさせることによって自身を抑制しようと試みているのです、だからこういう人はよく「依存」を口にします、対して他者と比較しない人は自身を見失わない強い精神力のある人と言えます、自身の中で満足感を追求する人というのは自分自身を甘やかさない人でありストイックなまでに自分が満足するまで結果を求めようとします、目標を達成させつつ成長して行ける企業の経営者とはこういう自分に厳しい人でなければなりません。
反対に他者には厳しく自身は甘やかす、こういう人は確実に結果を残せない人です、それは周囲の人に真に心を許し信頼関係を築くことができないからです、そういう人にまたついていくストイックな人もいません、したがって周囲には自分を甘やかし甘やかしてもらえる感情委譲する人だけが集まってきます、慰め合うだけの関係ではそこにどんなビジネスの成功も有り得ないでしょう。
人間関係や自身の理想を云々という前にまずは自身の中にいるもう一人の自分と真摯に向き合ってみることが肝要だと思います、そして自身と向き合うためには一人では不可能です、頭の中で幾ら向き合っても結果的には最後に表面意識が勝って自分擁護に終わってしまうので意味がないのです、信頼し心を開いて向き合える人をもう一人の心の中にいる自分として嫌な部分も素直に全てを曝け出すことでしか真摯に向き合うことはできないのです。
もう一人の自分と向き合うことでの葛藤・怒り・悲しみの噴出は本当に辛いのです、でもそれを乗り越えられなければ自分を守っている殻から抜け出すことができず常に他者に感情委譲する人になってしまいます、本当に成功したいのであればまずは真の大人の思考と心を得てどんな事も受け入れられる強い人間になってほしいと思います、これが自立した大人ということです。
記憶に久しい一つの企業の本物の拘りを見た報道がありました、それはインスタントコーヒーのトップメーカーでありながら日本インスタントコーヒー協会などインスタントコーヒーに関する4つの全ての団体から離脱したネスカフェのブランド名で有名なネスレ日本株式会社(ネッスルジャパン)です。
ネスレの拘りは著名人を多用しての人気シリーズ化していた「違いが解る・・・」というゴールドブレンドのCMも打ち切りました、この裏にはネスレの企業としての一つの強い拘りが在ったのです、その拘りとは「ネスレの提供するコーヒー飲料は単なるインスタントコーヒーではない」という事実を徹底するためなのでした。
ゴールドブレンドのCMは確かにインスタントコーヒーをイメージしてしまいます、こういった「ネスカフェ=インスタントコーヒーメーカー」というイメージが先行するのを嫌ったのです、事実ネスレではこのごろオフィスや家庭用のドリップ式のレギューラーコーヒーやコーヒーメーカーに力を入れています、またインスタントコーヒーにしても他社には真似のできない独自の製法で名称もインスタントコーヒーではなく「レギュラーソリュブルコーヒー」と変えています。
スイスに本社を置くネスレはグローバル総合食品メーカーです、インスタントコーヒーはそのごく一部の事業に他なりません、その極一部の事業であっても独自路線でのインスタントコーヒー新文化を構築するという強い意志を感じずにはいられません、企業が拘るのであれば徹底した戦略を打ち出してほしいと思うのです、よく使われる「譲れない拘り」、そんな個人的な取るに足らない拘りなど経営者という立場であれば正直どうでもいいことなのです。
起業家になると多くの人は不要な武装を身につけ始めます、自分を守るために、自分を大きく見せるために、相手に馬鹿にされないように、根拠のない実績を隠すためにと、これらは経験豊富な人には全てお見通しなのですがそれでも世間を知らない人を相手にするためなのか武装していきます。
解りやすい事例に自信の無さや弱さを見せないための誤魔化す心理行動があります、笑うところでもないのに不必要に大きな声で笑う人はコミュニケーション能力欠如の人であり笑うことでその場の緊張を解こうとします、これは自分の緊張を解き相手の警戒心を和ませるという無意識で行ってしまう行動心理の一つです、でもこれが出ているうちは成功者には成り得ません。
なぜなら弱い犬がしっぽを振って媚びるのと何も変わらない無意識なる自己防衛の為の心理行為だからです、当然解る人からは信頼されることはありません、つまりその時点で自分が相手より下位に位置しているということを暗黙のうちに表示させてしまっているのです。
また妙な知識を身につけては何かにつけてそれを表示する人もいます、特に法的知識を得ては不用意に表示する人が多いです、法的な要素を先に表示した時点で負けを認めているようなものです、経験豊富な人には一切通じません、何故ならビジネス成功法として法律で解決するのが最も楽な方法なのですから、勝手にやってほしいという気持ちで気楽に大人の対応をされてしまいます、そもそもビジネス経験豊富な人はそういったトラブル対応の為に必ず複数の弁護士を顧問にしています、本当の武装とは易々と見せてはいけない存在なのです。
最期にもう一つ、どこで覚えるのか解りませんが妙な交渉術を安易に使うという事項があります、賢く見せるため、相手を油断させるため、実績や根拠の無さを悟られないため、軽率な人だと思われないため、交渉上手だと表示するため、相手の考えを探るため、人生経験が浅いと表面上だけの稚拙な行動や言動をつい行ってしまいがちです。
自分擁護で武装するのは構いませんがビジネス経験豊富な人が相手にするのは自ら武装解除し自然体でしかも身一つで向き合おうとする人だけです、意味の無い武装をしていると思った瞬間に経験豊富な人には小物だと悟られる事を念頭に置いてビジネスを正直に自身の実績と根拠だけで勝負してほしいと思います。
実績も根拠も何も無いなら素直に表示すればいいのです、そういう人があっという間に成長し成功を収めていくのです、何故なら成功している人が最も好ましく思う人であり何かにつけて支援してもらえるからに他なりません、意味の無い武装をしている間は自分の思ったような成果も出せなければ成功に必要な支援を得ることも皆無です。
武装とは自分を守るために行っているかもしれませんが同時に必要な支援者をも跳ね返すものだと覚えておいてほしいのです、ところで武器や防具を身にまとい誰と戦おうとしているのでしょうか、そして何をしたいのでしょうか、まともなビジネスを行いビジネスを通して利益を得たくて起業したのではないのでしょうか?
ビジネス然りで人生そのものが思い通りに上手くいってない人の多くの誤りは真実の本質が見えていないということに尽きます、さて真実とはいったい何でしょうか、真実とは実際に起きている事象そのものなのです、決して目で見えているものだけが真実ではありません。
ノーベル賞受賞者の天才科学者の一人であるバートランド・ラッセルは「煙を見て、そこに火があると思い込む人は愚かである」というけだし名言を残しています、「煙=火」、この見えている事象を脳の手抜き処理による合理化によって勝手に思い込んでしまう、これこそが真実を追求できない人の最大の特徴であり自身で追求することを怠り常に世の中に存在する嘘に翻弄される人なのです。
煙は火が無くても条件が揃えば化学反応によって何時でも起こります、これを単純に火による燃焼と結論付けしてしまえば新たなる発見を得ることはできません、バートランド・ラッセルは真実のような仮定と推論から導き出せる真実ではない結論という「パラドックス理論」を極めた天才科学者です、それを理解できる人にはこの名言はなるほど深いものがあると感じ入ります。
見えている事象だけを信じる人はあえて見せている人にはいとも簡単に操られてしまいます、人は時に「玉(ぎょく)を隠して石を見せる」という見せかけのテクニックを繰り出すものです、これもビジネス兵法の一つです、真実を見極められる人は見えている事を信じません、起きている結果だけを信じます。
例えば私のメインの会社は40年継続中で設立来23期連続黒字を達成し3期を除くトータル37期で黒字です、その他の会社もほとんどの期で黒字です、また過去20社近く設立した会社を1社も倒産させたことがありません、これが結果という紛れもない真実です、その瞬間の状況だけを見て判断する人はこの真実の裏にある本当の意味での経営テクニックを得ることは一生かけてもできないでしょう。
企業も人も善し悪しあっても今の姿は仮の姿。
少なくても今の状況だけを見て判断するなかれ。
5年後、10年後の姿を正確に読んで判断すべし。
コメント:
企業にも人にも5年先、10年先には互いにどうなっているのかを正確に予見することが肝要、付き合うか否かを思考するのはその後の話である。